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2016年4月27日

最近,下顎大臼歯が破折したり歯周病に罹患して抜歯するケースも増えています。大臼歯部の破折の場合には抜歯になるケースが多いので患者さんの希望も考慮して妥当で安全な治療方針を提示する事が我々臨床家には重要な使命になります。
ところで今回ご紹介する症例は破折線が歯髄を通っていなかったことにより幸運にも歯髄を抜髄しないで歯を保存する事が出来た症例です。

先日,歯が割れてある男性が来院されました。問題の歯はかなり前に割れて会社の歯科室で歯の割れた欠片をスーパーボンドという歯質に接着する歯科用接着剤で接着し原状に歯の形態を戻し治療した経緯がありました。
一般的に一度割れた歯を接着しても強い力が掛かれば再び歯は割れます。この症例もそういった典型例です。この症例では破折線が幸い歯髄を避けるように入っていたために歯髄に接致命的障害を与えないまま有髄(歯髄が生きたまま)の状態で機能していました。しかし接着が破綻していて破片が動いてしまうので、それが不快だといって事が主訴でした(下に示す写真参照のこと).

以前初めて歯が破折した時は飛び上がるような激痛を感じたと語っていました。もちろん破折部はエナメル質からその下の象牙質を横切っているので象牙質に存在する象牙細管という管を通じて歯髄へあらゆる破折面からの刺激が伝わるので痛みを感じます。

しかし今回来院した際に破折部をピンセットで動かしても,痛みを感じないとおっしゃっていました。
歯が破折してからもう数ヶ月時間が経つので歯髄の象牙細管も二次象牙質が出来て刺激をブロックしていたようです。
二次象牙質とは象牙細管を通じて刺激が続く際に歯髄にとっても不都合な刺激をブロックするために象牙質の歯髄側に形成される石灰化した防御層のことです。 これは知覚過敏症の際にも形成される極めて生物学的な防御機構です。今回もこの防御層が形成されることを患者さんに説明しましたが,硬組織が後から形成されることを初耳だと驚かれていました。二次象牙質の形成は生きた歯髄ならではの素晴らしい防御システムですから、歯髄を生きた(有髄の)まま保存することが大切だと改めてご理解頂けると思います。

レントゲンコピー.jpg

会社の歯科室で撮影されたレントゲン画像です。画像のコピーを携えてこの患者さんは来院されました。
この画像では偶然,破折して離開した部分が歯冠部に写っています。

図1-2.jpg

*図では智歯(親知らず)は割愛し描かれていません

術前01.JPG


下顎左側第二大臼歯の遠心の一部が破折しています。来院時はスーパーボンドが完全に剝がれて破折片が動いていました。
この破折片を再度スーパーボンドで接着したら再び同様な状態にも戻りますが、それでは患者さんが来院した意味がありません.私は破折片を除去し破折面をコンポジットレジンで被覆することにしました。元の形態に戻したら咬合圧によって再び破折してしまうので、豊隆を敢えて控えめにして薄めの層になるように被覆しました。このコンポジットレジンの層は露出した象牙質を完全に被覆して象牙質への細菌の侵入と刺激を完全にブロックするためのものです。

このような治療で患者さんのご意向にも沿えて,抜歯も抜髄もしないで、また破片が動くような不快感からも抜け出せたことで患者さんは近所の歯科医院ではなく私のオフィスにご来院頂いた甲斐があり,当オフィスを選択して頂いたことが正解だったことになります。
たぶん他院へ受診したらよくても以前と同様に破折片をスーパーボンドで接着して終わりにしてしまっただろうと思います(これではまた以前と同様の不快感が続く事になります)。

○私は以前にも歯牙破折に関するブログ記事を書いています。併せてお読み頂ければ幸いです。


図2(CR).jpg


術前術後.jpg

左:破片をピンセットで除去した状態.   右:破折面をコンポジットレジンで被覆した状態.

今回は出血が無かったので、破折面に接着に必要なエッチング等の適切な表面処理を出血や唾液に汚染されないで行えました。これは大変幸いなことでした。
もし破折部が出血していたら,この日のような適切な治療は不可能でした。

破片.JPG

上の画像は破折片です.

◎良い治療を受けるには出来る歯科医を見付ける事が大切


この患者さんのように歯科医院選びでは自分の症状を適切に治療できる歯科医を選択する事がキーポイントです。

実際に同種の治療実績がある"出来る歯科医師"をブログの解説や実際の臨床写真で確認して歯科医を選ぶことも大切です。  
良く勉強をしていて臨床例を大切にする真摯な臨床家は口腔内写真で症例を保存します。やりっ放しにしていない先生が多いので、こういった観点でも良医が解ります。 
また臨床写真を撮影するのは短時間診療体制の雑な歯科医院では難しいと思います。

皆さんもこの方同様に治療が出来る歯科医師をネットによってピンポイントで探し出して受診してはいかがでしょうか?



















































2016年2月16日

先日,親子でカウンセリングを受けに来院された患者さんがいました。患者さんはお嬢様の方で、お父様は娘さんの治療を心配されて一緒においでになったとのことです。
元々,お父様が私のブログの読者で以前治療においで頂いた私の診療方針をご理解頂いている方です。

昨今,一般的傾向では歯科治療はかかりつけ医院を持たないで治療の度に複数の医療機関に受診するケースが多いようです。何一つ担当医との信頼関係も成立しないまま新しい医院へ渡り歩く方が多いので、今回のような親子で同一歯科医院へ信頼関係で繋がるケースは患者と歯科医両者にとって安定した関係性が継続する理想的な診療のあり方だと私は考えています。




さて、今回の患者さんは16歳の高校一年生のお嬢さんですが、数年前に学校で前歯部に打撲を負って、上下前歯が不完全脱臼(亜脱臼)状態で大きく動揺する状態になったので、即座に上下とも近所の歯科医院で歯槽窩の適切な位置に整復して暫間固定してもらったようです。暫間固定も前医で外された状態で私のオフィスへおいでになりました。

s_mizuki1.jpg




○歯の脱臼に関して:


・不完全脱臼(亜脱臼):
定義からは、歯の転位はないが明らかな動揺を伴う歯周組織への外傷。歯根膜の一部に断裂がある場合を亜脱臼と呼んでいます。
今回は歯が歯槽窩(歯槽骨に歯が植わる穴)から脱離していない状態で少し位置は変異し動揺も増加していたそうですが元の歯槽窩に整復できたケースです(緊急歯科治療により行われた)。
このように歯が脱落しないで元の位置に即座に整復できた場合(不完全脱臼)は比較的予後が良く、元の位置で機能的に歯周組織が修復されることもあります。

外傷を受けた歯は、歯根膜細胞と歯根膜線維が保存された状態の場合には歯槽窩に戻せば良い治癒が期待できます。
今回は上下顎前歯は打撲という傷害を受けて一様に不完全脱臼状態だったとのことですが、下顎右側中切歯のみ歯髄壊死して失活しています(歯の神経が死んでいます)。


不完全脱臼3.jpg

前方から打撲などを負って不完全脱臼状態(亜脱臼)の前歯 :歯根膜線維,神経と血管の断裂で歯髄は失活します。
歯根膜の線維や細胞が歯根面に殆どそのまま残るので、上手く整復すると歯周組織の修復が進行し比較的予後が良い場合も多いと思います。




・完全脱臼:
学校保健会で常識化している事ですが、完全脱臼して歯が口腔外に飛び出して脱落してしまった場合には、素早く汚れを洗い直ぐに牛乳へ浸して歯科医に受診し元の位置に整復されれば歯周組織の修復は比較的良好に起きます。

歯根膜細胞が障害を受けないように歯の歯根面に極力触れないで乾燥もさせないようにする事が肝要で細胞培養に使用する緩衝液や培養液等に浸漬する事が理想的ですが、学校などではミルクや生理的食塩水に漬けた状態で歯科医院へ受診すべきでしょう。
第一選択で牛乳を使用する訳はヒトの母乳同様に血清成分によりできた液体ですから歯根膜細胞には刺激が少なく優しい液体だからです。

歯髄は保存出来るのか?:

不完全脱臼では本ケースの上顎前歯部同様に失活しないで歯髄神経の反応を担保したまま保存出来るケースもあります(下顎右側中切歯のみ失活して根尖病巣を作った)。

ただ、今回の下顎中切歯のように脱臼時に毛細血管が完全に断裂されてしまった場合では基本的に歯髄組織には血液が送られないので歯髄は壊死します。
今回の下顎右側中切歯は壊死したためにレントゲン写真の画像の通り根尖病巣ができてしまいました。


s_mizuki2.jpg


根尖病巣の図.jpg

このように、歯髄という血液供給により生きた状態で機能している組織は血液が到達しなければ容易に壊死します.
死んだ組織の残骸(変性タンパク質)が歯根尖端の根尖孔から外部に漏れます。これらの変性タンパク質は免疫学的には正常な状態では体に存在しない物質ですから白血球によって非自己の抗原として処理されます。
白血球が攻撃した結果、局所の骨組織が崩壊して白血球の死骸である膿が溜ります。このように根尖病巣の内容物はいわゆる膿です。

上の様な過程で根尖病巣を作った歯根には、歯内療法学的視点で適切な根管治療を行い根管を根管充填材で緊密に閉鎖し根管内から抗原物質が根尖へ漏出しない状態にすれば根尖病巣は自然に治癒し消失します。

本症例は非感染性の壊死で生じた根尖病巣であったために比較的予後の良い治療が可能です。
間違いなくオーソドックスなラバーダム防湿下での滅菌性の高い器具での根管治療を行えば良好な治癒が期待できます。





○今後の治療計画:


・歯内療法;下顎右側中切歯の根管治療


 下顎前歯は例外的に歯内療法後に築造して冠(クラウン)など装着しない方が予後が良い例があります。

上下顎前歯比較.JPG


右が下顎の中切歯,左が上顎の中切歯です。

*歯の模型ですが解剖学的平均値で作られたリアルな模型です.
画像でお解りの通り上顎前歯に比較して下顎前歯は非常に歯根が細く、根管治療根充後に土台(支台築造=コア)を根管内へ装着した際は物理的な圧力によって破折の危険性が高いことを想像して頂けると思います。

以前から、私は根管治療した歯根は最終的にはコロナルリーケージが存在するので精度が高い辺縁閉鎖性が良い補綴物を必ず装着すべきだと説明してきました(歯内療法学では現在は常識)。

しかし唯一下顎前歯(下顎側切歯と中切歯)は例外的で,根管充填された歯に関してはむしろ歯冠補綴によって歯根破折し易い傾向から接着性の高い充填方法で根管口を閉鎖して終了する方が長期でのより長い歯牙保存が可能になるものと考えています。

このように,私の25年ほどの臨床経験からも下顎前歯部で無髄歯で歯冠補綴された歯に歯根破折を認めた例に幾度か遭遇しているので、日常臨床では常に下顎前歯部は歯内療法治療を行わないで済むようにう蝕を作らないようにケアすべきと考えています。

*最近の歯質接着性材料(ボンディング剤やセメント)がコンポジットレジンと併せて使用する事で長期での封鎖性と接着性の維持が良好なので適切な充填を歯冠部根管口に行えば臨床上コロナルリーケイジの問題は回避可能と考えています。

下顎前歯でも細い既製コアとレジン系築造材などを使い歯冠修復する事はもちろん可能ですが、
もし希望があれば患者さんの年齢を考慮して、今すぐに補綴修復しないで将来補綴した方が歯牙の寿命は長くなると考えます。 

根充後の根管口の修復2.jpg





・矯正顎的な治療;矯正専門医による分析に従った歯牙移動

スタディモデルを観れば解る通り前歯部がやや前突して咬合状態は前歯部で理想的な咬合からはかなり逸脱した状態です。
私は前歯部打撲以前の咬合状態を知りませんが、受傷後に歯牙の位置関係も多少変わったと患者さん本人とお父様も語っていることから、やはり受傷後に多少変異したことが想像できます。


石膏模型で患者さんの咬合状態や歯列不正の状態をご覧下さい。

study.jpg




以前から私が言及しているとおり、歯科矯正治療は、年齢にかかわらず行うことが出来ます。 

何らかの理由があって早期に治療を開始したい場合以外は矯正治療は患者さんの生活の中で無理のない時期に行えば良いと私は説明しています。
すなわち、今回の患者さんはまだ高校一年生ですから、大学受験が控える時期ですから、勉強の障害になると考える場合には、そういった時期を過ぎて大学に入った後や就職が決まって生活が落ち付いた時期に始めても良いと思います。


矯正医は生活のために来院した患者を逃さないように、受診すると治療を急いで薦める傾向があるので事前に患者さんには注意しています。
急ぐ理由がない時には、患者さんの生活や経済的状況に合わせて行うことで失敗無く矯正治療を受けられると思います。 







昨今,医療機関が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう正しい歯科知識の啓蒙のため私がオフィスで実際に行った臨床例をもとにこのブログを作成しています.コンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

私の診療姿勢に共鳴されご来院希望の方は是非ご予約下さい。
う蝕治療一本から,適切な治療をお受け下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.










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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。