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2011年1月11日

 【   間違った認識は患者さんをも困らせる   】


この頃、ますます歯科矯正に対するニーズが高まってきています。ここで、一般の方々が持つ誤った認識を訂正させて頂きます。
「歯並びが悪いとう蝕や歯周病になる」といったことをおっしゃる方がいますが、これは一見正しいように聞こえますが、根本的に勘違いをしています。歯並びが悪いヒトは、概して歯の清掃が不良になり易い傾向はあります。もちろん磨きづらいからでしょう。しかし、自分の歯の状態に合った歯の正しい磨き方や清掃方法を身につけて励行すれば、全く問題はありません。充分に清掃できていないために、歯や歯ぐきに歯垢が停滞することでう蝕や歯周病になります。

【歯並びが悪くとも口腔清掃が正しければ問題有りません】


"歯並びとう蝕や歯周病との関係"について、思い出すのは10年ほど前、ある患者さん親子が来院された時のことです。

学校から春の歯科検診の後、「歯並びが悪いので専門の先生に相談するように」といった通知を渡されたので、早速矯正専門の歯科医院へ行ったら、矯正には随分お金がかかるらしいので困った。やはり治さなければいけないのでしょうか?」といった旨でした。

ここでまず問題は、「歯並びが悪いと虫歯や歯周病になる」という勘違いです。原因論から言えば、 歯科疾患は歯ぐきや歯表面局所への細菌感染により生じるので、口腔清掃をしっかりすれば、歯並びが悪かろうが歯周病やう蝕にはなりません。 しかし、多くの方は"原因が歯並びが悪いことだ"と勘違いしているようです。

歯科医師も、短絡的に「歯並びが悪いとう蝕や歯周病になる」といった言い方をすることにも問題があります。もし歯並びが悪いことが原因ならば、う蝕や歯周病の治療には時間とお金がかかって大変です。矯正の先生は儲かりますが、原因論が間違っています。強いて言えば「口腔内の環境因子として、歯周病やう蝕罹患のリスクを高める」といった言い方ならば可能かも知れません。
しかし、歯並びが悪いことは発症の修飾因子であっても、原因ではありません。


【  私からのこの患者さん親子への実際に行った説明  】


そして、この患者さん親子に私は次のようにお答えしました。

「歯並びはきれいな方が良いですね。歯科矯正で歯並びがきれいになれば素晴らしいですね。」

「歯並びが悪いから、う蝕や歯周病になるのではありません。歯並びが悪いことは直接的なこれらの原因ではありません。」

「私がう蝕や歯周病にならないように正しいお口の清掃・ブラッシングの仕方などお手入れの方法を今からお教えしますから、それを毎日実践して下さい。そして悪くならないように時々定期検査にもおいで下さい。」

「歯科矯正は、確かに治療費と時間はかかりますが、大変に意義のある歯科治療です。しかし経済的な負担もありますし、ご両親も経済的に大変でしょうから今すぐにおやりにならなくても、これから説明する方法(ブラッシングなど)を励行していればう蝕や歯周病は予防できますから心配は要りません。」

「もし、歯科矯正をご希望でしたら、社会人になってからお子さんの判断で通っても遅すぎるということはありません。治療費だってご両親に全部負担してもらわないでもご自身の稼ぎから支払っても良いでしょう。最近は大人になってから歯科矯正をする方が沢山います。成人の矯正では、皆さん自覚を持って自身の判断で通っていらっしゃるので、矯正治療に非常に協力的で治療も上手くゆくことが多いようです。」

説明はこんな↑ところです。
しかし、こういった患者さんの立場で考えた当たり前のことが、矯正専門医の口から説明されなかったことが誠に残念です。


一般業種と同じで、歯科界にも医院経営に厳しい現状が有ります。ですから、患者さんが来院されたら逃さないといった思惑による変な対応や先生の一方的な都合で治療を勧めるようなケースも増えているようです。昨今の歯科業界では、インプラント関連のみならず患者さんの立場で、ものを全く考えていない歯科医師の話や危ない治療の話が沢山聞こえてきます。


誰も、自分の利益につながらないことは本当のことを正確に語らない時代になってきました。これは職業人として全く残念なことです。 
本当の正しい話を誰も語らないので、私は僭越ながらブログ記事の中や来院された患者さんには、できるだけ正確に歯の本当に正しい知識をお話しています。 

【  成人歯科矯正についての注意点  】 


上にも少し触れましたが、歯科矯正は子供だけが対象ではありません。年齢にかかわらず、歯がある方なら対象になります。
この頃、成人してから矯正をしたという患者さんがよくお越しになります。最近のことですが、連続して2名の方に気になる口腔内所見を目にしました。

ikeda_michiyo.jpg
左下第一大臼歯に根分岐部病変が透過像としてみられます。また、他の部位にも明らかにくさび状の骨の欠損もご覧頂けると思います。残念ながら、歯周病治療をしないで矯正治療を行って生じた認識の低い矯正専門医による歯科医原性疾患といって差し支えないと思います。
 


口臭を気にして来院されたある方は、20歳台のお若い患者さんですが、深い歯周ポケットが何カ所も存在していました。しかも奥歯に根分岐部病変と呼ばれる歯根の間に歯周病で侵され歯槽骨破壊まで存在しました。根分岐部病変は、歯周病がある程度進行してから生じる通常は中年以降の方に観られるような歯周病の状況です。ですから不思議だと思ったのですが、数年前、成人歯科矯正をしたということでした。この時歯周病治療は全くしないで矯正治療を行ったということでした。


私は患者さんで歯科矯正を希望する方には、かならず術前に全顎的に歯周病学的治療・すなわちスケーリング&ルートプレーニング(SRP)や口腔清掃の指導を徹底して、矯正の動的期間中にはクリーニングに定期的に通って頂くことにしています。
間違っても、上のレントゲン写真のようにならないようにしています。
しかし、元々これは常識です。日本の一般的歯科矯正医がどうかしているのです。

この患者さんのように、特に成人歯科矯正の場合、既に患者さんが歯周病に罹患している可能性があります。歯周病に罹患した状態のまま歯牙移動を行うと歯周病は悪化します。ただでさえ、口腔清掃を怠って歯牙移動をすると歯垢を巻き込んで歯周病を惹起してしまうリスクは高くなるのですが、既に歯周病に罹患した状態では、思わぬ大きな歯槽骨の吸収・破壊と深い歯周ポケットの形成を許すことになります。

◎歯牙の移動は、移動方向の圧迫側の骨の吸収と反対側の牽引側の歯槽骨の添加による改造現象が同時に正しく行われて初めて上手く歯牙は移動します。歯周病という局所の炎症が存在すると、上のような歯周組織の改造現象が上手くゆきません。むしろ歯周病が増悪して歯槽骨の吸収・破壊と深いポケットの形成を起こします。

ですから、 成人歯科矯正の治療には歯周病学的ケアが大変に重要です。

【 矯正家選択のポイントの一つ:口腔内のケアを正しく行っていること 】


矯正専門の歯科医院で術前に歯周病学的チェックをする先生は大変に少ないようです。歯周疾患に罹患していても矯正を始めてしまうのです。矯正家でも、自身のオフィスで動的期間中(歯を動かしている期間)にクリーニングなど口腔清掃の処置を行わない医院もあるようです。こういう医院では他院に歯周病学的ケアを依頼するなら問題が無いのですが、全くそういったことを行わない先生がいるようです。通っている矯正の医院ではしてくれないので、クリーニングを希望して来院される方がいます。

◎正しい矯正家を選ぶ基準にこういった口腔内のケアを正しく行っているといったポイントがあります。

残念ながら、矯正家でも広く一般的歯科治療を考えた・総合的歯科治療への配慮がある先生ばかりではありません。むしろ、そういった配慮を充分にしている先生が意外にも少ないようです。

しかし最近では、歯科矯正専門医で補綴学や歯周病の講習会に参加されて総合的に歯科治療をお考えになっている見識のある先生は一部にいらっしゃるようです。こういった方々は、他科に関する認識の重要性を、成人歯科矯正が増えている昨今の状況からたぶん感じ始めているからでしょう。これは大変に良いことです。

私のところへも矯正専門医から補綴や歯周病治療を依頼されることがありました。しかし、ほぼ全く歯科一般の臨床経験がない方だったようで、補綴治療や歯周病治療を依頼をする際の治療の根拠自体が間違っていることがありました。

「移動している歯の歯肉が下がって歯根が露出してしまったので、歯肉を移植してくれ」といった依頼を矯正医から受けたことも有ります(実際には行いませんでしたが)。

これは歯牙移動の方向と力加減を誤ったために歯肉が下がって歯根が露出したのです。ですから、歯肉など移植するのではなく歯牙移動の方向を訂正すれば直ります。こういったことは、歯周病の正しい勉強をしていないから起こる勘違いで、一部の矯正専門医に多い一般歯科分野の知識不足による間違いの典型例です。


歯周病を治療しないで矯正治療を施して歯周病が増悪したとすれば、これはもはや治療ではなく一種の歯科における医原性疾患です 。患者さんもココに書かれたようなある程度の知識を持って、こういった認識の低い先生による間違った治療のリスクを回避して下さい。

◎また、残念ながら日本の歯科矯正医の認識が上に書いた通りのお粗末な状況が現実ですから、既に成人矯正の治療をお受けになった方は念のため歯周病学的検査を受けてみることをオススメいたします。


歯科矯正は、意義がある歯科治療です。ですから正しい医院を選択して綺麗な歯並びで良い人生を送って下さい。


麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。