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2016年3月 3日






先日,下顎臼歯の歯を抜いたがどのような方法で補綴したら良いのかと前医の延長ブリッジによる補綴方法が妥当か否か意見を私に聞くためにある患者さんが来院された。

麹町のある歯科医院で左側下顎第二大臼歯を歯周病のために抜歯されたそうです。
抜歯後にその歯科医院の先生が延長ブリッジ(延長ポンティックを付けた連結冠)を勧めてきたそうです。


HM.1jpg.jpg

*左側下顎第二臼歯は重度歯周炎のため抜歯されたばかりです。これから数ヶ月経てば抜歯したところも癒えて顎堤も綺麗になるでしょう。
歯内療法が不良の歯も有ります。将来根尖病巣の再発など懸念されます。
また、全顎的には中等度歯周炎が存在しています。

下顎臼歯部の欠損に使える補綴方法

一般的に臼歯部の欠損には、
延長ブリッジ(Ⅰ),従来型の局部床義歯(Ⅱ),インプラント(Ⅲ)などの補綴方法が可能ですが、臨床的にそれ等が妥当なモノか否か吟味する必要があります。

我々の咀嚼機能はこの患者さんのように第一大臼歯まで歯が揃っていれば充分に円滑に咀嚼出来ます。
失った第二大臼歯の咀嚼能力を補綴物を装着する事で回復できたら良いだろうと考える先生もいるようですが、
しかし臨床的にその補綴物によるデメリットがメリットをはるかに上回ってしまう事に気づかないようでは単なる馬鹿な臨床家です。

すなわち、この症例で前医の想定した
Ⅰ:延長ブリッジ(延長ポンティックを付けた連結冠)を装着した場合には支台(支えの歯)となる第二小臼歯や第一大臼歯に大きな力学的ストレスが掛かりますし、これを維持するためには支台歯と延長ブリッジのポンティック周囲を極めて綺麗に清掃する必要がありますが,これが出来ない場合には支台を含めて壊れる可能性が高い方法と言えます。

実は前医は歯周病治療も全くしていませんでしたから歯周炎が存在する状態で力学的ストレスが過大に加われば歯槽骨に予想外の大きな吸収を招く事も懸念されました。

延長ブリッジ1.jpg

こういった延長ブリッジの真の適応症は余りありません。 私は歯周補綴のフルブリッジの臼歯部欠損の場合に力学的に安定性が得られれば行うこともあります。しかし希にしか行わない方法論です。補綴学の実践的ディシジョン・メイキングのトレーニングが出来ていない臨床家ほど勝手で無責任な治療をしてしまう傾向が強いようです。


Ⅱ:また1歯欠損のために局部床義歯を入れる事も可能ですが、これも鉤歯(支えの歯)にかかるストレスが大きくメリットをデメリットが上回り患者さんに厳密なケアを強いてまで快適な義歯装着を得ることが難しいと思います(使用に耐えない義歯)。
今回の症例でも遊離端義歯は現実的では無く蛇足治療に他なりません。


cf.最も典型的な片側遊離端の局部床義歯装着症例ー

例えば,下顎片側に小臼歯から大臼歯に掛けて数本の欠損が存在する場合には典型的な局部床義歯の適応症です。
最近,歯科医に写真(下の画像参照)のような下顎遊離端の従来型局部床義歯を作製する能力が無い人間が多いらしく、使用に耐えない不良な義歯を持って来院される患者さんが多い現実には驚きます。

パーシャルデンチャー.jpg

上は実際に去年、全顎的に補綴の治療し直しを行った患者さんの下顎局部床義歯の画像です。






Ⅲ:インプラントをここに埋入するのは歯科医の一方的な都合、高額治療費を得るために埋入する典型例です。良好な予後も期待できない典型例です。

最近,根拠の無いインプラントによる補綴症例を患者さんの口腔内に見かける事が多くなっています。歯科界の経済的状況の反映が根拠無きこういった歯科医の都合による治療を産んでいるのでしょう。

また、シングルでインプラントを植立した場合でも高度な清掃を継続しなければ容易にインプラント周囲炎になり得ます。
元々歯周病で歯を失った患者へ高度なケアを行ってもらえるか否かよく考えれば一種の不安を抱くことが臨床家として自然です。
コンプライアンス良くオーラルケア出来る患者なら良いと思いますが、オーラルケアが継続できる確証が無い類の患者さんへ厳密なケアが必須な補綴治療を行うのは余りに臨床医として無責任過ぎます。しかも歯周病治療さえ行っていない臨床医が行うのなら最低です。







蛇足の補綴物.jpg

2画像ある内で上の写真は下顎第二大臼歯の抜歯直後を現します。一方,下の写真は下顎第二大臼歯が抜歯されてしばらく時間が経った後に下顎の方向に第二大臼歯が挺出*した状態を現しています。


上顎第二大臼歯が残っていて下顎第二大臼歯が欠損した場合には上顎第二大臼歯は下顎の歯と噛み合おうとして伸び出します。
*このような歯牙の生理的な移動を"提出"(ていしゅつ)と呼びます。
例えば数ミリの挺出が起きても下顎は前方に運動するために挺出した歯と下顎の第一大臼歯などは干渉して問題を起こすことは全くありません。

特に何もしないで放置してよいケースとして欧米の補綴学の教科書にも掲載されている典型例です。今回もその典型通りに歯周病治療以外には何も補綴治療をしない予定です。


とにかく今回の症例でも何も補綴治療を行う必要が無いことを患者さんへ説明しました。
むしろ補綴物によって二次的に新たに歯をダメにする可能性が大きいことを説明しました。
患者さんも余計な補綴物を入れないで済む根拠が有るシンプルな治療方針を喜んで頂けました。

私はかねたから言い続けてきたことですが、「敢えて何もしないことが最良だという選択肢を常に持っている者が良い臨床家」だと思います。

また、この患者さんは今まで口腔内にインレーやクラウン他補綴治療をされていながら適正な歯周病治療を全く受けていなかったので、むしろ次回から歯周病治療を徹底的に行って現在ある歯を全て健全なカタチで保存するように私が提案しました。
これには患者さんも前向きに同意して次回から歯周病治療を行う予定となりました。


◎歯科医師が治療行為として行う補綴治療には、意味の無い補綴治療や,むしろ二次的に大きな障害を誘発する治療もある事実を知り臨床的見識が高い上位から5%の良い歯科医を是非見つけて虫歯一本でも適切な治療を受け医原性疾患からアナタの身を守って下さい。




昨今,歯科医院が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためこのブログを作成しています。私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

最近,他院での歯科治療の方針に関するセカンドオピニオンや治療に関する説明を行うカウンセリングへおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。

私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.














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院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

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