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2011年10月 6日


◎インプラント治療では歯は蘇りません






タクシーに乗ると、助手席の背にあるアドボックスの小冊子が目につく時があります。


「安心なレーシック治療」「家事の代行はおまかせ」「成人歯科矯正なら○○矯正センター」....

特に、三流の法人タクシーには宣伝用の透明なアドボックス内にチラシが沢山置かれている事があります。

時々私も下世話な目でそういったチラシを観て楽しむことがあります。
ある日、そういった中にインプラント治療の広告がありました。
そのリーフレットのキャッチコピーは、たしか「失われた歯がよみがえる」とかいったものでした。
中を見ると父親の院長とその息子らしい若い先生が一緒に治療されている光景が写真に写っていました。ようするにインプラント治療を勧める歯科医院の宣伝です。


ただ、キャッチコピーの「失われた歯がよみがえる」といった表現があまりにベタな誇大広告であったので笑ってしまいました。

素人である患者さんの一部はこの通りの認識を持つだろうなと私は思いました。
ただ、歯科治療の認識に間違いを持つことは問題なので、この場を通じて少し説明させて頂きます。

  当たり前ですが、インプラント治療では、けして"失われた歯"が甦ることはありません。



  私は文字通り"歯が蘇らないこと"をわざわざ言及したいのではなく 以下を読んで、どうか私が意図することをご理解下さい。

インプラントに関する認識は正しくもって下さい。



これは少し大げさに言えば根本的認識の間違いへ誘導する誇大広告です。
インプラント治療後に欠損部に植立されるのは、よみがえった歯ではなく=人工物のインプラントで、これはすなわち作り物の歯です。
この歯を天然歯と同じように考えると悲惨な結果が待ち受けています。



  
ここからが一番重要な点です。
インプラントに関する認識で一番大切なことは、「それは天然歯とは全く異なった特性を持つことです
 

実はこういった核心事項↑を心得ていない患者さんと歯科医師によりインプラント治療のトラブルは作られてしまいます。< 





◎ハッキリしているインプラントと天然歯との相違点




○両者の周囲組織は解剖学的に全く異なります。



天然歯は歯根膜という一種の咬合圧を受け止める緩衝ゾーン(組織)が歯根周囲に存在し、歯槽骨とは歯根膜線維というコラーゲン主体の繊維で放射状にくくり付けられ歯槽骨にしっかり固定さられています。この組織によって天然歯は咀嚼を機能的に行えます。

一方、インプラントでは"オッセオインテグレーション"と言われるインプラント体の微細な表面構造に骨組織が入り込む強固な結合様式で固定されています。
しかし、そこには歯根膜のような機能的な咬合圧の緩衝層(組織)の介在はありません。←この点は一種のインプラントの欠点といえます。

また、咬合圧の受容器も存在しませんから、いわゆる"噛み応え"は得られません。





 ◎天然歯の周囲に生じる歯周病なら治療できますが、インプラント周囲炎の治療は未確立分野


* 両者の組織周囲は免疫学的な防御や組織修復反応の様相も異なります。

  
そして、細菌がインプラント体周囲に付着するとインプラント周囲炎が起き得ます。
しかし、インプラント周囲炎に対する治療方法は未だに確立していません。
その進行を食い止める事すら必ずしも確実にはできないのが現実です。


未だインプラント周囲炎に関する学問的かつ治療学的な対応は不十分です。
よって、インプラント周囲炎を生じないようにケアすることが最優先事項になります。





○インプラント治療後の管理はセルフケアできることが必要条件です。





例えば、入院したら?手が不自由になったら?


 一番大切なこと: 日々周囲には歯垢が付着する可能性があり、付着したまま放置すれば炎症を惹起する可能性があります。放置すればインプラント周囲炎でインプラントがダメになります。

毎日、充分に清掃をしてプラークフリーな状態にしていればインプラント周囲炎発生のリスクは無くなるはずですが、こういったケアを続けられない状況が人生の中ではあり得ることを想像してみて下さい。(=高齢の方には一番大切な事項です)


入院した経験がある方なら理解して頂けるでしょうが、入院するとご自身もしくは看護師や他人であるご家族があなたの口腔内のインプラント周囲や残存歯に関して充分な清掃を毎日続けられるでしょうか?  一日でも難しいかも知れません。 


もちろん、ご自身が何らかの不自由な状況になった時には自分で清掃はできない可能性も考えられます(脳卒中などによる手指の麻痺等)。


そういった時にインプラント周囲炎になる可能性は高くなります。進行すれば植立されたインプラント自体がダメになるリスクは相当に高くなります(治療法は、未だ確立していませんから)

上の様な口腔ケアの問題は、高齢化に伴い特に高齢者のインプラント治療とケアの問題を忘れて対策の無いまま治療が続けられている現状に、私は問題提起しています。

そもそも、↑そういった事を患者さんに説明しないで治療する歯科界の風潮が間違えです。
良いことだけで、問題点や欠点を隠して治療するのは、ハッキリと詐欺行為です。
もちろん、被害にあった患者さんは文句を言うべきです。





◎歯科医師は、正しく偽りない情報を開示・説明する事が前提





この数年、私のオフィスのお出で頂いたインプラントの治療経験がある方に関して・多かった問題点の主なモノをを列記します。




ー 全くリスクやその管理の話が説明されなかったこと(100%)。



ー ケアの方法やメインテナンスが充分に行われていなかったこと(未だに多くあるようです)。




ー残存歯の歯周病治療をほとんどしなかったこと.
                これは、ぜったにしてはいけない事です。残存歯周囲から細菌が
インプラント周囲へ移行するため,こういった状態はインプラント治療禁忌の状況です。
(欧米では訴えられる要件です)





ー インプラントの上部構造も含めた植立状態が不適切で清掃できないためインプラント周囲炎が生じ始めたこと(先日も同様なケースの患者さんが川崎市からお出でになりました)。





 とにかく、インプラントで問題が生じた患者さんのお話では→担当した前医が良いことしか話さなかったこと=リスクや問題になる点の説明が無いこと。もちろん、問題が起きないための防御策も解らないという意見が多く聞かれました。





すなわち、日本では多くの先生がインプラントの特性や各種のリスクを患者さんへ正確に話さないまま治療をしているのが現状です。もちろんリスクを話さないのでリスク管理の話も余りされません。

これが一番の間違えであり術者の大きな罪です(インフォームドコンセントが不完全な状態)。


また、患者さんは歯周病と同じで問題が起きれば治療できるとものと思っている方もほとんどです。ですから、口腔ケアに積極性もないのでしょう。(←歯科医師の説明不足)

多くの臨床医は多額な治療費が頂けるインプラント治療を希望する患者さんをとにかく逃さないようにするため、大切な残存歯の歯周病治療もしないまますぐにインプラント治療に移行する。不誠実な対応が目につきます。

インプラント治療の特性も知らせず、都合の悪いことを全く話さずに治療を始めてしまうのが一般的傾向です。これでは問題が生じた時には訴訟問題にもなり得ます。

法的には、インフォームドコンセント不十分では、やはり厳しく言えば担当医の説明不足による過失事項になり得ます。




 仮に良いインプラント治療の成立要件があるとすれば、治療そのものが適切であることの他、インプラント治療の長所や短所とその色々な特性を患者さんに理解してもらった上で承諾を得て治療しているといった"ごく当たり前のこと"です。
全く情けないのは、こういった常識的理屈が日本の歯科界に通用していない事です。





これがすなわち、患者さんから信頼される極く真っ当な最低限の要件を満たした当たり前の治療です。「 正しく説明しないような歯科医師は信じるべきではありません。」←これが鉄則!





○最後に、歯科臨床医の私からの一言:


これを読んで頂いた患者さんは、それでもまだインプラント治療を希望されるのであれば、
上の様な歯科界の現状を知った上で学問に真摯で倫理的な歯科医師を選んで相談してみてはいかがでしょうか。

真摯な歯科医師なら行わないような宣伝(広告)をする歯科医師は避けた方が良いでしょう。
皆さんの正しい認識が歯科界をより良いモノにします。

究極的には自分の身は自分自身で守るしかないのが世の鉄則ですから、知性を持ってより良い歯科治療を受けて下さい。





◎以前、私が書いたブログ:危ないインプラント治療 など、いくつかの記事もお読み頂ければ幸いです。

麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。