«  2013年3月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
2013年3月 1日

臨床写真を整理していたら、過去に補綴など不可逆的加療を受けていない歯周病患者さんの臨床例を思い出しました。

以前も60代の補綴治療などほぼ受けていない患者さんの歯周病治療のケースをブログで書きましたが、ここで紹介する患者さんもそういったケースです。歯科的な治療である補綴修復治療を殆ど受けていない患者さんです。
主訴は、「ある医院で歯周病なので歯を抜くかも知れないと言われ、驚いて来院した」とのことでした。



またこの患者さんは入院等をして検査を受けてレントゲンを幾回も使ったので、歯科のレントゲン写真は撮影しなくて良いように前医からレントゲン写真のコピーを持って来院されました。

本来なら、精細な画像は正しい歯周病治療には必要なので初診時にはレントゲン撮影しますが、今回は撮影しないで治療しました(よって、レントゲン写真像はここには掲載できません)。



この患者さんは、歯周病のブロービング・チャート診査をしたら,概ね中等度〜一部重度の歯周炎でした。

現代の歯周病学的常識から言えば、オーソドックスなスケーリングやルートプレーニング(SRP)を行えば、治癒するケースでした。
たぶん前医が歯周病の正しい知識が無かったために(抜歯する等)そのような事を患者さんに語ったのだろうと思います。




KTブログ1.jpg

確かにこのよう↑に、初診時はかなり見かけ上でも充分ある程度進行した歯周病であることが解るほどの状態でした。


・・・

この患者さんに関しては,極めて基本的な歯周病治療を丁寧に行っただけです。
初診時と全顎SRPを行っておよそ1年後のメインテナンスの時の状態を下の写真で比較して下さい。


KTブログ1_2.jpg


写真 上:術前(初診時)  下:治療後1年・(メンテナンス時)







◎歯周病治療後には、歯肉退縮と根面露出は必ず生じます。
   露出根面には、根面う蝕が生じ易い傾向がありますが、上手く管理すべきです。


KTブログ2.jpg



初診時と治療1年目のメインテナンス時の右側側方面観を例に示します。
歯周病治療で歯肉は引き締まりました。
それと供に一様に歯根露出が起きています。
犬歯や小臼歯の歯根露出面には茶色に変色した極く浅い根面う蝕が確認できます。
露出根面や前歯〜小臼歯部根面のクサビ状欠損もピカピカで大変に良い状態に管理されています。


今まで詰め物などで全く治療の手が加えられていないこの患者さんの希望で、
極力非可逆的な治療は行わない方針で敢えて根面にう蝕治療の充填を行わずにメインテナンスを継続していました。

この患者さんは非常にコンプライアンスが高い(清掃に気を使う)真面目な方で、キレイに清掃されていました。

茶色の根面う蝕部も初診時から存在しましたが、特に進行していく状況もなくコントロールされていたので、表面のポリッシング(PMTC)とフッ素剤の塗布をして引き続き定期検査を通じて根面の様子を観察してゆくことにしました。

通常、歯頸部の明らかなう蝕部位はコンポジットレジン等を充填しますが、コンポジットレジンは術者が正しい充填をしないと歯周炎を起こしやすい事も考慮すべきです。
この患者さんのようにクサビ状欠損部や極軽い根面う蝕は敢えて充填しない方針には、私は賛成です。

他のブログ記事でも書いた通り、敢えてこのように加療を加えない姿勢とその意図は、
余計な不可逆的かつ侵襲的加療を"治療"の名の下に安易に行う巷の傾向に対するアンチテーゼです。





*今回のような浅い根面う蝕部に充填処置をしない臨床的基準は:

・変色部の歯質の硬度が非常に硬いこと
・予後観察で進行しない事
などの臨床的基準を根拠にしています。もちろん、定期的PMTCやフッ素剤の塗布を含むメンテナンスでの予後観察が前提です。もし変色部が変化すれば必要な処置をします。





・・・


KTブログ3.jpg


大変に良好にコントロールされ、健康的な歯周環境が維持されています。
犬歯や小臼歯クサビ状欠損部の根面う蝕は今後も注意して観察してゆきます。

70代後半で全てご自身の歯が健全なカタチで保存・管理されているこの患者さんは立派です。

そして、我々はこういった良く口腔内が管理されている患者さんから多くの事を学んでゆきます。

患者さんのお口自体が生きた教科書です。




















2011年11月24日

【 口腔衛生の重要性は医学的にも証明されつつある 】



最近では、口腔疾患、取り分け歯周病が全身的疾患と関連があることが言及され始めています。
この10年ほど、歯周病の学会誌では、歯周病の罹患と低出生体重児(未熟児)出産リスクや全身疾患発症リスクとの関連性が言及されています。また、かなり前から歯周病の患者さんは心臓弁膜症を発症するリスクが高いことも言及されていました。

ただ、極端に 「歯周病がある→○○病になる」  といった短絡的な考え方は全くの間違えです。



  「体に良い治療を装って歯科治療の基本原則を破る歯科医には要注意」 

そして、歯科界の一部で蔓延する局所の原因因子を正しく除去しないで全身的・内科的歯科診療やいかがわしいホリスティック○○といった全身疾患と歯科治療を強調する一部のおかしな先生方すなわち、誤った治療解釈=コンセンサスがない療法(エセ歯科治療)には反対です。

原因除去を正しく行わない間違った治療をしている先生方には騙されないようにして下さい。困るのは、いかにも体に良いような印象を与え一部の健康志向の強い患者さんが間違って同調してしまう事です。これには、歯科界の真っ当な治療をされている先生の間では疑問の声が出ています。     当オフィスに来院された患者さんの一例では、漢方薬の内服や針灸など東洋医学的エセ治療を受けて、歯周病の基本的治療(スケーリング&ルートプレーニング:SRPなど)がほとんど行われていなかった例もあります。

   この10年で得られた多くの知見から、歯周病に罹患していることが幾つかの疾患発症では、その発症のリスクファクターにはなり得るという考え方は予防学的見地からも言及しても良いと私は考えています。

疫学的手法(大勢のヒト達を調べる)で調査すると、例えば歯周病に罹患したヒトに○○病になるヒトが多い傾向があった。もしくは、 「歯周病があると○○になるリスクが比較的高い」といった事が統計学的解析で傾向が算出されることがある。簡単に言えばそのような意味です。
一般には、極端に相関性や因果関係が強いといったコトはないようです。
  


そういった疾患発症との科学的因果関係(関連性)が比較的明確に確認されたモノの中でもそのメカニズムは多くの場合(一部を除いて)充分に解明されていません。

ですから、あまり短絡的に直結させて考えない方が良いと言えますが、関連性が語られ始めたということは、是非全身の健康のためにも歯周病は治療すべきで、歯周病はメインテナンスを含めてケアすべきと考える必要があります。


ここで、ハッキリ言及して良いことは、少なくとも歯周病などお口の中の疾患を完全に治療する事で、口腔内の疾患によって起り得る全身的疾患の発症のリスク(起きる確率)は低くなると思われます。
お口の中の治療を充分していれば関連が疑われる全身疾患発症の可能性はその分だけ低くなると思われます。


換言すれば、 少なくとも「お口の治療をしていれば全身疾患予防にも役立つ」という事は言及して良いと思います。
  



《 歯石除去で心血管疾患や脳卒中などのリスクを減らす!? 》 


ところで、つい最近も、医療界では「歯石除去の頻度と歯石除去の頻度に心血管疾患のリスク減少や脳卒中の回避率にも関連する」ことが科学的に示唆されています。




 《 全身疾患と歯周病の関連性: 基本的概念》   


全身疾患発症と歯周病の関連性とその仕組みは充分に解明されていません。
しかし、ここでは解っている範囲で、その概念を簡単に解説します。


我々の歯の周りには歯周ポケットが存在しています。歯周ポケットは(図)のような構造です。
ポケットには内縁上皮というポケット内に面する上皮組織で基本的に細菌が体内へ直接侵入することをブロックしています。
しかし、ポケット内に細菌が存在する時には、細菌を攻撃するために上皮下層に存在する毛細血管の透過性が亢進して免疫細胞が局所の細菌に対する攻撃に参加します。すなわちコレがいわゆる「炎症」の実態です。炎症の臨床症状は、歯茎の腫脹・出血・疼痛などです。歯周病でよく見られる臨床的兆候です。

炎症が続くと反面、毛細血管へ細菌が分泌する物質が侵入することを許す可能性も出てきます。もしくは、炎症時に免疫を担当する細胞間の信号伝達物質(サイトカインなど)が血流に入り全身を循環する可能性があります。

そういった状態になると微量ですが細菌由来の色々な物質や毒素も血液を介して全身的に運ばれる可能性があります。
この量は極めて少ない量ですが、時には歯周ポケットから離れた遠隔臓器の細胞に到達することもあります。
このように細菌の作った物質や毒素が血流を介して全身に運ばれる可能性があります。ゆえに、こういった物質を体細胞が受け取った場合(細胞の受容器に結合することもあり)には様々な疾患発症のトリガーにもなることが想定され、疾患の発症との関連が疑われます。



  〖 歯周ポケット内面の総面積は掌ほどの広さがあります  〗

そして、我々の口にある歯周ポケット内面(の内縁上皮)の総面積は、我々の掌(手のひら)程の面積があります。
言い換えると、掌ほどの面積が細菌と触れ合っているのと同じ事です。もし我々が擦り傷のような手のひら程の大きな傷を体の表面に放置したらどうなるでしょうか? 

多くの皆さんは、正しく創面(傷口)を消毒して保護する処置をお医者さんでしてもらうことでしょう。このような大きな創面を歯周ポケット内では毎日放置して、全く処置されないままにして、ポケット内の細菌からの攻撃を受け続けるのです。

そう考えて頂ければ歯周病を治療しないで放置することがいかに無防備で恐ろしい事かとご理解頂けると思います。 歯周病を治療するとは、原因である細菌を除去することです。


 ですから 皆さん、
  歯周病は正しく治療しましょう。 そして健康に過ごしましょう!  


巷では、実質的治療が成立していない雑な診療が多くみられます。

歯周病は原因である細菌をポケット内から徹底的に除去しないと治りません。
ただ、歯科医が保険点数を得るだけの通り一遍の雑な治療では取り残しの細菌による再発が生じて治りません。
歯周病のことなら、是非当オフィスへおいで下さい. 

  〖  低体重児出産(未熟児出産)のリスクのメカニズムは解り始めてきた!〗

感染症によって炎症がおこると、それに伴ってからだが色々な物質を作り出します(ここでは、これらの物質を総称して難しい物質名はやめて"炎症性物質"と呼びます)。

この"炎症性物質"の中には、子宮を収縮させて出産を促す物質も含まれているます。そして、
歯周病に罹患した母親は、早産や低体重児出産のリスクが高いことが報告されて始めています。
これは、歯周病にかかった歯周組織が作り出す"炎症性物質"が血流に入り込み、血流によって子宮まで運ばれて子宮の収縮に関わるためだと考えられています。また、歯周病菌の毒素が歯周ポケットから血液中に入り込むことで、血液の"炎症性物質"を増やすことも想定されています。


 
 

Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。