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2015年11月26日


同じような症例が何故か短期間に集中することはさほど珍しいことではありません。
つい最近、根尖病巣が治らないという主訴で来院された患者さんが数名続きました。
ここにその内の2症例を挙げます。
これ等はいずれも極めて基本的な治療概念を知らない担当医が真っ当な治療を行わなかったから治らなかっただけの典型的な症例です。

<症例Ⅰ

kobayashi_miyuki01.jpg


この症例は、上顎右側中切歯の根尖病巣が治らないので、歯根端切除術をして欲しい。更に下顎左側臼歯部にブリッジを装着して欲しい。等々と希望されて来院された患者さんです。
また、12月に国外転勤の辞令が出る予定なので、それまでに治療して欲しいとの要望の下で治療に着手しました。

この方は成人歯科矯正を受けています。上下前歯部には保定装置のワイヤーが設置されています。

歯内療法の都合上、上顎のワイヤを撤去しラバーダム防湿法下で中切歯の舌側から根管内へアクセスしたところ、根管中にはメインポイントらしき根管充填材が1本挿入されているだけで大きな間隙が空いている様な根管内の状態でした。しかも根管壁には清掃不良による感染歯質が沢山残っていました。すなわち真っ当な根管治療もしていないメインポイントを1本挿入しただけのデタラメの根管治療でした。

これでは清掃不良の根管から根尖孔を通って、デブリスや細菌(抗原)が根尖外に自由に放出されるので根尖病巣は治る訳はありませんし、むしろ大きくなることさえ有り得ます。

そこで、私は根管壁の充分なファイリング操作による機械的清掃とEDTA等による化学的清掃を行い根管には水酸化ナトリウムペーストを根管治療薬として封入しました。
水酸化ナトリウムは世界標準の根管治療薬です。これをもう一度交換して年末近くまでそのままにしておけば後は根管充填するだけで基本的には根尖病巣は治るはずです。
もちろん、基本的には外科的なアプローチなど今の時点では全く必要は無いはずです。
あくまでも通常の根管治療を終えても根尖病巣が治らない際に外科的なアプローチを考えます。まともな根管充填もされていない時点で外科的な処置を採る計画はしません。
また計画では根充後にはコロナルリーケージを封鎖すためにも直ぐに精度の高い歯冠補綴(セラモメタルクラウン)を装着するところまで行う予定です。


前医は「根尖病巣が大きいと根管治療だけでは治らない」といった勘違いをしていて外科的な歯根端切除術をやりたがったのでしょう。こういった勘違いをする歯科医が多いのが勉強もしていない歯科医の実情です。
そもそもこれを行った先生は根管治療もまともに出来ない歯科医です。
このケースのように単根の前歯の簡単な根管治療も出来ない無能な歯科医ほど外科的に処置したがる傾向が強いので驚きます。


kobayashi_miyuki02.jpg

根管には根管充填材のメインポイントが1本挿入されていました。
根管壁にはデブリスが付着し明らかに根管清掃が完了せずスカスカな状態で根尖外へは自由に抗原性があるモノが漏洩する状態です。



症例Ⅱ:


tamaki_sanae01.jpg

この症例はある歯科医院で上顎側切歯に歯根端切除術を受けたが根尖病巣が治らないといった問題でカウンセリング希望で二番町から来院された方です。

確かに上顎前歯部にオペによって出来たであろう切開の瘢痕が歯肉に残っていました。
よって患者さんが仰るようにオペは行われたはずです。
しかしレントゲン上からは何かおかしいと感じました。


tamaki_sanae.02jpg.jpg

レントゲン像からは限りが有る情報ですが、適切な歯根端切除術は行われていないように思われます。

このケースでは実際には歯根端部には触れない(もしくは少し削った程度)で根尖病巣の嚢胞など搔爬しただけにように思います。
もちろん逆根管充填もされていないようです。


もしそうなら、根尖病巣は治りません。
せっかく外科的に歯肉を切開をして歯肉を剥離し翻転したのなら、治療効果のある基本的手技を行わなければければ単なる傷害を与えたことにしかなりません。(=治療とは言えません)


歯根端の側枝の状態
根尖側枝.jpg

根尖付近3ミリは細菌侵入の可能性がある根尖周辺の側枝の95%が存在し得る部位なので、しっかりカットする事が必要です。また通常はカット面に露出した根管断面へは適切な封鎖性の良い充填材によって逆根管充填すべきです。

根尖の切除と供に逆根管充填によって根管から抗原性がある物質が漏洩する事をブロックする事で根尖病巣を治癒に導きます。
これが基本的な外科的歯内療法のアプローチの基本概念と治療の概略(下の模式図参照のこと)です。


歯根端切除術・模式図
オペ模式図.1jpg

歯肉を剥離翻転して根尖病巣部位の骨壁を唇側から除去し根尖部が明確に見える状態で根尖部約3ミリを除去し残った根尖の断面に露出した根管へ充填材で逆根管充填(斜線部)をします。

また、良く歯根端切除術がマイクロスコープを使わなければ出来ないと信じて問い合わせしてくる方がいますが、顕微鏡歯科に習熟して使いこなせるスキルがある歯科医が行ってより臨床成績が良い治療を可能に出来ますが、基本的には顕微鏡を使用しないでも数倍のルーペ付きグラス等で充分治療は可能です。
ちなみに、私のオフィスにはマイクロスコープが設置されています。


まとめ:

上の二つの症例は担当医が治療概念を理解していなかったと思われます。
各々真っ当な治療を行えば治るはずです。

患者さんは治療(オペなども)をした事実があれば治療が出来ているものと考えがちですが、全く治療として成立していない一種の傷害を与えられただけの今回と同様のケースが世の中には沢山存在しています。
患者さんが素人なので何も問題を感じないだけの話です。

歯科界では学生時代に本当に大切な基本を充分に教わらないで学生も基礎的歯科の学問を身につけないで卒業しているのが現状です。
充分に歯科の学問を学生に教えていないうちに何故か国家試験対策を始める大学が私立歯科大を中心として今では情けない常識になっています。
これは歯科大の経営上の問題で国家試験の合格率が低いと生徒が集まらずに経営危機になるので歯科大では優秀な人材を育てる使命を置き去りにしてまで合格率を良くする方策ばかり考えるようになったのです。
こうして何も歯科の学問を知らない馬鹿な卒業生が歯科医師免許を得、その多くは惰性で歯科医として働き臨床を行い続けます。
更に、卒後真剣に歯科の学問を基礎から学ぶというよりも、即自費治療のネタになる治療を行うためのハウツーを得る為に講習会で治療の仕方だけ身に付けることばかりに熱心になってしまうようです(その典型が業者主催のインプラント講習会への受講です)。

ほぼ一度も歯科の基礎的学問を深いレベルで勉強する機会が無かった先生ばかりが増殖しているのが恐ろしい歯科界の実態です。
このような実態を知ってもアナタは怪しい歯科医師に安心して口腔内の健康を委ねることが出来ますか?

リテラシーを持って、歯科医に騙されないで自分の身は自分で守って下さい。



*私のブログやオフィスのwebは基本的にコンテンツの文章や作図(イラストや模式図)に至るまで院長の私が全て作成しています。
よって、当オフィスのポリシーが全て反映されています。

お読み頂ければ幸いです。







2011年9月14日


皆さんの周りには、前歯に色が変わった歯のあるお知り合いはいませんか?
もっと解りやすく言えば、ハリセンボンの箕輪はるかさんの前歯のような歯があるヒトのことです。

minowa1jpg.jpg

 ハリセンボンの箕輪はるかさんの変色した前歯=こういった歯は、少なくとも、完全な治療が成されないまま放置された歯です。
「神経が死んじゃった」byハルカ(本人の言)

お笑いの箕輪さんなら、これで笑ってもらえますが、一般人では少し恥ずかしいとは思いませんか?

多くは、根管の中に細菌が存在して細菌の代謝産物の色素が歯冠部歯質に入り込んだり・口腔内からの食物などの色素も侵入した状態です。感染歯質(細菌が感染した歯質)が残存することが普通です(感染根管の状態)。

この頃、箕輪さんのように前歯の治療途中のまま放置した患者さんが多く見受けられます。
歯内療法(根の治療)では、感染根管治療をした後・もしくは抜髄(神経を抜いた)した歯は以前歯髄が存在していた空間(根管)は空っぽにしておかないでキレイに清掃(根管治療)してからキッチリと隙間なく根管充填材で充填して根尖(根の先端)まで完全に閉鎖します。

 *歯内療法の根管治療の一連の手順は根管充填まで完了すれば一区切りです。

 しかし、歯内療法が終わったらそのままにしないで、できるだけ早いうちに土台(支台築造)を装着して歯冠部に精度が高い補綴物(セラミック製の冠など)を装着します。ここまで行えば、この歯の治療は一応完了になります。

◎よく見かける箕輪さんの例:


・例Aー
    他院から転院してきた新患の患者さんで、よく見かけられるのは
 根管充填後セメントやコンポジットレジンなどで開口部を充填して全てのこの歯に関する治療を 終わりにしている例です。

 ・例Bー
   根管充填まで終了していない状態で患者さんが勝手に通院しないために放置されている場合 もあります。この場合は完全に感染根管の状態のまま放置されていると言えます。
放置期間が長ければ長いほど再治療が難しくなります。

ハリセンボンの箕輪さんはこっち(例B)かな?


◎ ワガママは正しい治療の敵です


つい最近、他院での感染根管治療の途中のまま、長年放置された患者さんが来院されました。根管内は茶色の軟化象牙質が沢山残存していて、大変酷い状態でした(例Bの典型例)。
この患者さんの感染根管治療を始めましたが、予約をこの方はすぐ取らずにいました。
すると突然、歯冠部が折れて困ったらしく来院しました。
自分勝手に考え、正しく歯内療法を受けないでいるとこうなるという悲しい例です。

こういった患者さんは困った時にしか来ません。当たり前の治療のルールが理解できない困った患者さんです。たぶん適切な治療はこういった患者さんの性格では無理です。

例A、Bのいずれの場合でも、数ヶ月〜数年放置すれば、歯牙の開口部に仮に詰めた詰め物と歯との狭い隙間(リーケージ)から細菌が侵入して歯根の歯質(象牙質)に再感染して感染根管の状態になる(再感染・再発)可能性が高いといえます。

コロナルリーケージとは

根管充填されていても、歯冠部から根尖方向へは細菌が通過できるような狭い隙間が生じます。歯冠部開口部に充填された充填物にも歯質との間に狭い隙間(リーケージ)が生じます。すなわち、口腔内の細菌はこのリーケージを介して歯質(象牙質)まで入り込み、根尖まで至り再度根尖病巣を作る可能性があります。

困ったことに、例え正しい歯内療法を行ったとしても、術後(術途中)に細菌の侵入があることはコロナルリーケージとして科学的根拠がある事実です。
多くの歯内療法を行って補綴治療をしなかった患者さんの歯ではコロナルリーケージによる問題が起きています。もちろん歯冠部の変色(黒ずみなど)でも簡単に理解できるはずです。


○術者と患者さんの責任は治療ルールを守ること:治療以前の社会常識


毎回説明はしていますが、なかなか補綴治療にお出でにならない方もいます。
皆さん個々に、時間的問題や治療費のご都合などがあると思います。理屈をご理解頂き、治療を検討して頂きたいと思います。 補綴物(被せる物)はいろいろ選択肢があります。お出で頂ければご説明致します。


都合が悪い時にはご予定をお話し頂ければと思います。
正しい治療をお受けになるために
一連の治療を完了させることは、私の責任でもありますが患者さんの治療を受けるルールを守るという責任でもあります。


困ることは、治療途中のままにした箇所がある初診患者さんは、私が時間をかけて再治療をしても、高い確率で途中で来なくなるという傾向があります。

ですから、そういった治療途中で来なくなる患者さんには、必ず通う意志を確認しています。
 

 アポイントを取って連絡がない様な患者さんは社会人としてイイ加減で問題がありますから、当院では貴重な時間を無駄にするためお断り致しています。最低限の社会常識がないというのは、歯科治療以前の問題です。   良い治療のためにはどうかご協力下さい。


とにかく、不十分な治療で放置された状態の患者さんに再治療をする時にはその歯が根管充填されているケースでは、既に充填されている根管充填材を時間をかけて除去し再度感染感染根管治療をし直す必要があります(除去に1時間以上かかることもあります)。

当然、再治療には時間もそれ相応のお金もかかります。ココで注意すべきことは、
根管充填されたまま放置されていた歯に歯冠修復物を被せる時には、例えレントゲン写真上では根尖に病巣(黒い部分)が認められなくとも、上述のようなコロナルリーケージで細菌再感染の可能性が高いため多くの場合は再根菅治療する必要があります。


 時間がかかり、めんどうですが再根管治療をしないで高価な歯冠修復(メタルバンドクラウン・セラミックの歯)など装着してしまうと後で問題を生じる可能性があるという事を知って下さい。
もちろん、以前行われた他院での治療がラバーダムも使用しないようなイイ加減な歯内療法であった場合はなお更徹底した再治療が必要になります。

○正しい歯科医院選択と患者さんの通院ルールが正しく行われてこそ、良い歯科治療は生まれます。

こういった科学的社会常識的理屈が解らない患者さんも多いことと、一方では歯科医師側にも不勉強でいい加減な先生も多い現状もあります。


よって、巷には補綴物(冠など)にお金をかけた補綴治療でも歯内療法的な問題を生じる不良治療が多く存在してしまいます。

こういった困った状況を知って患者さんにはせめて受診姿勢をよく考えてもらいたいと思います。そして、いい加減な歯科医院は危険ですから、通わないようにして下さい。毎度強調していることですが、このブログは歯科医原性疾患に騙されないための基礎知識と思って下さい。



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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

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こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

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