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2013年2月27日

◎意味のない治療や 必ずしも勧められない治療があることも知って下さい。



この頃、患者さんが自ら何らかの治療法を希望して来院することがあります。
ネットや雑誌で色々な情報が公開されています。
そういった情報を観て、自分もこうして治療してもらいたい。もしくは、そういった治療法から自分の治療方法を選択して来院する患者さんがいます。

歯科的知識を持つことは良いことですが、客観的な診断も出来ていない状態で患者さんが勝手な治療方針を決めて来院する場合には見当違いの治療方法を希望される場合も多く有ります。

「○○という治療方法をしたい」と希望して来院しても、全くその状況には適当でない、その治療方法では治療できない場合も多くあります。
医療サービスとは、一般のサービス業種と違うのは、患者さんの希望に添うことをすることが必ずしも一番良い対応でないという点です。もちろん、適切な治療方針を説明します。



本当は学問的な意味が無くても治療行為をすれば治療費が派生するために不必要な治療や,場合によっては患者さんのために必ずしもならない治療でも「出来ますよ」といって歯科医が行ってしまう傾向には疑問があります。
実は、こういった恣意的な思惑で行われる治療が沢山あるようです。


例えば、最後臼歯部(智歯部=親知らず部)や第二大臼歯部にインプラントを埋入する治療も、場合によってはその典型といえます。

臼歯部へのインプラント埋入自体は問題ではありませんが、ケース選択に注意を要します。
特に、高齢者や口腔ケアに疑問がある患者さんには埋入することは慎重になるべきです。

インプラントは清掃を徹底しないとインプラント周囲炎でダメになる可能性があります。
もちろん、埋入前の歯周病治療の時期にコンプライアンスが大変に良く、充分な口腔清掃を励行する患者さんの場合には可能にしても、清掃が難しい臼歯部への埋入は患者さんによっては行わない方が無難な場合が多いと思います。

口腔清掃に関しての考慮は大原則でしょう。治療する事自体は比較的に簡単でしょうが、患者さんの口腔内で安全に長く機能する方法論を選択すべきで、危険性を考慮して、予防原則に則り、少し余計に用心する態度こそ術者には必要です。

implants .jpg

この頃、よく見かける第二大臼歯部へのインプラント埋入↑症例


ここにインプラントを埋入しなくても上顎の大臼歯の挺出(伸び出すこと)があっても下顎は顎運動時には、咬合の干渉を受けません。

すなわち、第一大臼歯までで充分に噛める場合に、この部分へインプラントを埋入しても余り意味がないことを考慮すべきです。 
ましてや、ケアの励行に不安がある患者さんならば余計な治療となりかねません。

詭弁的根拠:第二大臼歯まで揃った方がより理想的咬合様式を取りやすいので、ここへインプラントを埋入することは正当な根拠だと主張する公立大学の先生がいましたが、多くの歯周病学を研究する臨床医は、この意見を怪しいと考えているように思います。

一般的には、写真のような症例は、歯科医の中では賛否が別れます。私的考え方では、行わない方が良いと考える治療方法です。

我々周囲で歯周病を研究している先生方の多くは、"勧められない治療"と考える先生が大多数です。 しかし、臨床医になるとどうしても治療費の問題で埋入をしてしまう傾向があるようです。









それから、最悪なことにこのケースでは第一大臼歯には根分岐部病変も見られます。

すなわち、歯周病を放置したままインプラントを埋入しているので,これは行ってはいけない禁忌症のはずです。
歯周病の感染叢から細菌がインプラント周囲に移動してインプラント周囲炎を起こす可能性があります。   日本の臨床医は歯周病を放置してインプラントを埋入するヒトが多くいますが、インプラントがダメになるのも当然です。


顎模型.JPG

↑は下顎の第二大臼歯が欠損し、上顎の対合第二大臼歯が挺出した場合のイメージ像です。

上顎の対合歯である第二大臼歯は挺出している状態ですが、下顎は前方と側方運動をしますが、挺出した上顎第二大臼歯と下顎は干渉することなくそのままで機能的な顎・咀嚼運動は特に問題なく行えます。

*欧米の補綴学の教科書にもよく掲載される典型的な下顎の臼歯を補綴する必要がないケースです。  なぜか、日本の教科書には余り掲載されていません。
たぶん、over-treatmentの概念が日本には根付いていないのでしょう。




私は、第一大臼歯までで充分に食物を咀嚼できるこのケースでは、↑のようなインプラントの埋入は全く無駄で、70才台のこの患者さんにはむしろ余計な埋入だと思います、
特に、高齢者にはリスクの少ない口腔環境を考えるべきと私は考えます。
私は、この治療方針は歯科医が治療費を稼ぐための過剰な治療行為と考えます。

臨床医の責任としては患者本位での見地に立ち欠損した部位に他の処置ではなく敢えてインプラントを埋入することに充分な科学的根拠や合理的な説明やが必要です。


この頃、1歯欠損の症例にブリッジではなくインプラントを埋入するケースも同様に沢山観られます。
欠損部の両隣在歯を削らないで保存できるというメリットは確かにあります。
しかし、選択出来るか否かは患者の側の希望やオーラルケアなどコンプライアンス(ケアを励行する患者の協力度)に依存すると考えています。もちろんインプラントの特性が患者側に充分理解されている条件は言うまでもありません。






◎ 臨床における decision making とは?
       そして、over-treatment という概念による歯止め




欧米の教科書には臨床上行われる治療方法における decision making(意思決定)の合理的な方法論が沢山語られています。 decision makingを研究する専門の教科書もあります。

こういった概念を重視する背景には日本の場合とは異なり、皆保険制度が無いことや法的な問題の捉え方の違いといった点で国情が異なることも原因だと思われます。


しかし、日本では処置方針の合理的決定に関する教育が無いに等しい点は反省すべきです。
大学の専門教育でない事は卒後もそういった概念を考える機会が無く,一度も合理的で臨床的治療方針の決定方法を意識しないまま、歯科医の経済的な思惑や学問的興味が優先して治療方針が極めて恣意的に決定されているケースが多いのではないかと私は想像しています。


そして客観的に患者さんのプロファイルを考慮しないで治療方針は決定されることが多いのが現実です。
以前書きましたがC型肝炎で検査数値が悪く、いつ入院するか解らない患者さんがある歯科医からインプラントを勧められた話が有りましたが、どういった考え方で抵抗力や基礎疾患のある患者さんへインプラント治療を勧めたのか大変に疑問でした。


一般に、街の歯科医の場合には「治療費がもらえるから」、
また大学病院など研究機関にいる歯科医は「専門分野の技量を磨きたいので行う」といった患者さんには面と向かっては言えない理由で治療をする先生が実際にはいます。

そして、これも日本ではあまり言及されない概念ですが、over-treatment (過剰診療) という概念も欧米では問題とされます。

日本は、皆保険制度がありますが、そのシステムの下で治療をして請求をすれば、出来高払いで治療報酬が得られるシステムになっています。とかく実質的に治療意義もない場合や治療根拠がない治療が沢山成されているのが現実だろうと思います。
医歯薬業界全般でこの傾向が多いと思います。


こういった側面を知って、患者さんも客観的に治療方法や方針を捉える見方の重要性と恣意的に治療を捉える考え方の不合理と危険性を知って下さい。

重要な治療を同意する際には,背後に上に書いたような歯科医の思惑があるか否かを考えることは実は重要です。

治療方法を多面的に考えて一番良い選択をされることを私はオススメします。







◎学問的に正しいというのみでは治療方針は決定できません:患者さん個別に最良の治療選択は違う。




理屈好きな人々が良く騙される詭弁には、「学問的に正しいから、正しいのだと考えるような思考」があります。


すなわち、学問的にはその治療法は単独では正しい方法であっても、ある患者さんに行えばその患者さんに必ずしも幸福な治療方針と言えない場合があるという事です。

患者毎に、個別に妥当な治療方針を決定する臨床医のdecision makingのトレーニングも必要でしょう。


我々臨床医は、個別の患者さんのプロファイル(年齢・性別・職業・生活環境・性格等)から、その方針が一番幸福な結果となる妥当な意志決定か否かを考える必要があります。
素人の患者さんへは最良に選択肢を幾つか提示して選択が誤らないようにすべきでしょう。

治療方法の選択はある種、経験則に依存するために若い先生方には非常に難しい事もあります。
患者さんの身になって長期予後を考えて安全で最も適切な治療方針を決定しているか否か?
歯科医自身が自ら反省し熟考する時期に来ているのではないかと私は切に思います。







   ○敢えて治療をしない事が最良の選択の場合*もあります。


* 解り易い例では、顎関節症の患者さんへの対応があります。
特に、顕著な症状もない時は全く加療しないことが最良の選択となる場合が多いと思います。

当オフィスにも顎関節症状がある患者さんは来院しています。
多くの場合まずは、経過観察をします。
顎関節症の患者さんへの生活歯への根拠の無い不可逆的加療は避けるべきです。

明確な科学的根拠も無く多くの歯を削って不要な補綴まで行って、症状が治らずトラブルになったケースを業界では幾例も耳にしています。








殆どの歯科医は、免許を取得してから3,4年もすれば日常的に遭遇する多くの治療は出来るようになります。
そういった時には若い歯科医は勘違いして「何でも出来る」、「出来るから治療すべきだ」、「治療できるのだから手を加えて治療すべきで、それこそが歯科医だ」と自身の技量や知識を過信して、見たモノ全部を治療の名の下に手を加えるべきだと勘違いする過ちを犯しやすいように思います。


治療の本質を考えれば、患者さんの一番ためになれること、または不必要な苦労を回避できるような安全な選択が解ればそれを勧めるのが担当医の良心だと私は思います。



充分患者さんに配慮した説明を歯科医がしないと、治療の予後が患者さんには予想も付かないので、患者さんは行わなくても良いような危ない選択を希望することがあります。



治療に伴う顕著なデメリットがある時には、患者さんへそのデメリットを説明するのが良心的な歯科医療なのかも知れません。
私は行わなくて良い治療を過去に受けてつまらない思いをされているケースを再治療を希望し来院する患者さんの口の中に沢山見てきました。

たぶん、そういったケースでは前医が総括的&客観的視点で治療方針を決めていないだろうと疑われます。


私自身も、一歩下がって客観的に治療の意志決定をする重要性と積極的加療をしないことが良い場合がある事を身を以て理解するようになりました。
それは、四十近くになってからのように感じます。

歯科医は思い上がりは禁物で、治療には敢えて行わないことも含めて、冷静な歯止めを課して行うべきです。
そんな考え方の重要性を益々身を以て考えるようになった今日この頃です。

では、また(^_^)ノ


























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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。