昨日,ネットを観ていたら歯科関連の記事が眼に入りました。
一般人的視点では良く書かれています。さほど否定的なコメントはありませんが一般的勘違いがあるので歯科医師として以下のように記事を書かせていただきました。
いわゆる銀歯=12%金銀パラジウム合金(俗称・金パラ:以下金パラと略す)の合金の物理的特性に注意が必要です。
保険歯科治療で歯科医がう蝕治療として"インレー"と呼ばれる歯の一部に詰め物をする治療方法では金パラが物理的に硬いために辺縁不適合や辺縁部で隙間を生じ易い特徴が有ります。
そもそも歯科医学の常識ではインレーに使用する合金は適合性が良く辺縁封鎖性が良い材料以外は禁忌です。
ですから適切な治療を励行する歯科医は18K〜20K程度の軟らかい物性の金含有率が高いものを使用しています.世界的に見たら日本の金パラのように硬い合金を使用するのは異様です。
しかし日本では保険適応できる合金としてコストパフォーマンス上,仕方なく金パラを使用しています。
私は常々,ブログや医院webで皆さんへ保険の金パラインレーで雑に治療する歯科治療=街の歯科医院で疑いも無く金パラインレーの治療を受けたら歯がダメになるので絶対にそのような不良な治療を受けてはいけないと警告をしています。
特に、お子さんには絶対に不適切な歯科治療されないように、う蝕予防を徹底的にして馬鹿な歯科医に金属インレーのような悪い歯科治療を受けないで済むように言い続けています。
しかし金パラでもクラウン作製で精度を高く行えば適切な材料として使用出来ます:
12%金銀パラジウムは歯科用金属材料として全く劣った金属では有りません。
金パラという金属が悪いといった誤った観念が患者さんには多いようですが,むしろ形成や印象採得が雑すぎて患者さんに迷惑をかけているのが現実です。
視点を誤ると材料が悪いといった見当違いの認識を持つようです。
他院では保険治療の印象採得(寒天+アルジネート連合印象)が余りにも雑に行うので驚きます。
適切な印象採得など殆どされていません、しかもいい加減に石膏を流して適切な保湿等々の精度管理の常識を守って行われていないのが街の標準的歯科医院のスタンダードです。
私はこの20年、シリコン系印象材しか利用していませんが、保険中心の短時間診療の歯科医院ではコストを理由にこういった精密印象を使わないのが普通で、よく技工士があのような汚い精度が狂った石膏模型で技工物を作れるものだと妙に感心することさえあります。
それぐらい雑で精度が狂った技工物が口腔内に保険治療だからといって装着されて、後年二次う蝕や歯周病を助長して、そのような医原性疾患で歯をダメにしている現実を知って下さい。
私は患者さんの再治療を毎日オフィスで行っていますが、ハッキリ解るのは余りに常識外の雑な処置が多いことです。
たぶん、出来高払いの保険治療の制度が作り出した日本の雑な歯科診療の副産物ばかり患者さんも観ているので本来の正しい歯科治療を全く受けた経験も無いし理解出来なくなっているようです。
インレーのように外形が比較的複雑な充填物では不適切な材料と言えますが、金属冠(クラウン)では形成と印象を精度よく行えば、リング状で一線のマージン形成が出来るので、形成された歯質マージン部が充分にクラウンとフィットすれば適合性や口腔内安定性を得られる良い材料になります。
また、黒変する事が嫌な場合には20%ほど金をブレンドした金パラ合金(保険非適応金属)を使用すれば黒変することを免れます(自費治療で可能)。
またパラジウム単体は10年ほど前に世界的に"貴金属"(precious metal)に分類された高価な金属ですから、金属アレルギー(*)が無い患者さんには特に嫌がられる根拠は無い金属です。パラジウムはswiss有名時計メイカーでは時計ケースに使用する高価なモデルも発売されています。
金含有率が20%以上の金パラでは貴金属用語では"ホワイトゴールド"に分類されます。
昨今は金合金は黄金色(イエローゴールド)は嫌われる事が多いので、大臼歯の冠には白金色の金の含有率が少し多いホワイトゴールドを使用する事が臨床では多くなりました。
*金属アレルギー:時々金属アレルギーであると患者が訴えることがありますが、殆どは既に保険の金属インレーやクラウンが装着されていることさえ多く、臨床的に顕著なアレルギー症状を呈する例はむしろ希です。
むしろ、患者さんが金属アレルギーと語った時には多くの場合は不適切なクラウン形状や不適切な支台歯の形成や雑な印象採得で出来た不良なクラウンによって二次的に歯周疾患が惹起され助長され、また二次う蝕も生じて、それ等が為害性を生じる医原性疾患になっています。
このように金属製クラウンに利用するなら保険仕様の12%金銀パラジウム合金が悪いという事ではありません。
ただしインレーに利用するのは不適切だと明確に言えます。
私は歯科治療で20年間以上、数例の例外を除き保険の12%金銀パラジウム合金のインレーは二次う蝕を誘発する可能性が高い故に行っていません。
また金属インレーでも良いとする方には20K以上の軟らかい金合金インレーを装着しています(自費治療で可能)。
また一方、金属が嫌な患者さんにはセラミック系インレー(自費で可能)を装着して解決しています。
また特に,窩洞が小さいときにはコンポジットレジンで充填して、不必要な健全歯質を削除する事無しにミニマルインターベンション(MI)などの機械的侵襲の少ない治療方法を行っています。
私のオフィスではコンポジットレジンによる充填処置はこのMIの概念に則って治療しています。
う蝕の基本的知識はこのう蝕治療の記事を参照して下さい。
例え、う蝕治療1本でも、いい加減な治療が横行する巷の雑な歯科治療を避けて当オフィスの丁寧なう蝕治療をお受けになり歯を健全で確実に保存して下さい。
治療方法にはケースバイケースの方法があります。充分な説明をお受けになりたい方はカウンセリングをお受け下さい。
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