«  2018年3月  » 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
2018年3月28日


  


この患者さんは昭和40年代に補綴治療を受けたまま幾回か治療をしていたが、ある時咬合状態の崩壊を感じて、全顎的に正しい治療し直しを希望して来院された方です。

EY正面観・術前.jpg

一見,バラックの残骸のような口腔内に見えますが、本人もその点を気にしていらっしゃいました。

術前5枚.jpg

上顎前歯部は3/4冠(スリークォ-タークラウン)等で補綴され、下顎前歯切端は上顎の舌側の金合金と咬合して極度に咬耗(すり減って)しています。

*3/4冠の様ないわゆるパーシャルヴェニアクラウン(部分冠)は有髄のまま補綴するので、今回の治療し直しでも有髄歯のままクラウンを被せ補綴する事が出来たことは全く幸いでした。抜髄して審美修復する先生が多い中で改めて有髄である事の価値を感じる昨今です。

上下顎の前歯の位置関係に起因した不適当な咬合状態が起きています。すなわち歯牙の傾斜など矯正と咬合の挙上(バイトアップ)をする事で適切に歯冠補綴が出来ることを確認して治療を始めました。


スライド1.jpg

咬合器に中心位でマウントして、前歯部で約3mm咬合挙上すれば(咬合器のピンを3mm上げる)、適切な歯冠補綴が可能になることが解りました。下顎前歯の切端部の咬耗で削れた部分はコンポジットレジンで形態付与して矯正治療を始めました。

とにかく補綴できるような状態に歯を移動できれば良いので、比較的シンプルな移動で補綴が可能になりました。


矯正EY.jpg


あくまでも、適正な補綴が出来る状態に歯の位置を移動する事が今回の矯正の第一の目的です。歯の叢生、歯軸の是正と歯の間隔を広げる事で補綴できる状況を作ったわけです。個別には詳しく記述しませんが概要は補綴前提の矯正ということです。


EY技工.jpg

前歯バイトアップ(咬合挙上)した事で前歯部の上下で適正な厚みのセラモメタルクラウンを作製出来ました。セラモメタルクラウンは金属に陶材(セラミック)ヺ築盛して焼いて作ります。
丈夫に耐久性あるセラモメタルクラウンはメタルの厚みと陶材の厚みが一様で適切で無ければなりません。特に前歯部は矯正で歯牙移動させたので将来的に後戻りしないように冠を連結冠にして固定しています。


EY正面観.jpg

EY最終補綴5枚法.jpg

EY smile.jpg

初診時の崩壊した口腔内からは想像も付かない70歳の綺麗な口元に満足して頂けました。

EYjpgpartial.jpg

*この患者さんは咬む力が強いので義歯の人工歯が削れないようにとの希望で特別に人工歯を金合金に置き換えました。 これはこの患者さんの特別仕様で、一般にはこのような金の歯を使う事はありません(スペシャルオーダーです)。


○治療し直し希望の方はお越し下さい:


昨今,真摯な歯科医の心を感じられない信用に値しない営利主義のブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんが認識不足で、そのような情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためにこのブログを作成しています。

私がオフィスで実際に行った臨床例を解説するカタチのブログ記事を作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を明確に反映したものです。

最近,セカンドオピニオン*や治療に関する説明を聞くためにカウンセリング*へおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。 

    *元々,セカンドオピニオンや歯科的な相談等(カウンセリング)は全て保険給付外の自費です。


  治療し直しをお考えの方は是非電話でご予約下さい。

虫歯1本から全顎治療まで内容を問わずお問い合わせ下さい。実際に診察した上でないと個別の治療方法や治療方針に関してはお答え出来ません。とにかくまずはご来院下さい。
治療に関する説明とご相談は自費カウンセリングとしてお受けしています。

また,治療し直し希望の方是非おいで下さい。

その他診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスに電話でお問い合わせ下さい.

 


 


 

 


 


 

 


 


 


 


 

2018年3月21日

  

   昨夜、TV番組の「教えてもらう前と後・2時間SP(3/20)」を観ていたら顎位のズレや噛み合わせと体調が関連することや線維筋痛症との関係性まで言及されていました。   *この番組の画像倉庫
私は常々科学的根拠が曖昧でコンセンサスを得られていない治療方法や理論で歯科治療を直接患者に施す事は止めるべきだと主張しています。 臨床で確認される事でも明確にエビデンスある治療効果とそうでは無いものには線を引いて明確に分けて考えるべきだとも主張しています。

"効果がある様に見えたモノ"でやはり科学的に効果を確認できたものと"効果らしい"ものが認められただけで実際には効果が無いモノもあります。それ等には明確に線を引いて科学的根拠の有無を区別すべきです。

昨夜の番組の噛み合わせのズレが身体に大きく影響する事実は知っておくべき情報だと一応、考えています。しかし、TV番組では脚色や誇張がある事は常識ですから、注意深く観て頂きたい。  TV局や製作会社には扱うトピックの科学的信憑性を判断する専門家がいないし、つまりほぼ無審査のまま製作されるのが通常だと言われています。よって怪しい医学関連の番組も有り得ます


歯科治療では全身的影響がある事も起こり得るという事は認識すべき最も重要で身近な現象だと言えます。(=学問的常識外の治療は身体に影響を与える)

かなり以前から、顎関節症を勉強すると解る事でしたが、噛み合わせの不正と身体のゆがみが関連している事は確かな現象面での事実です。臨床家の常識でした。  ただし現象は常識化していても科学的なメカニズムの解明は不充分で未だに解明途中です。

昨夜のTV番組でゲストの芸能人に軽く口を開けてもらい、楽な状態で自然に口を閉じると最初に歯が一本接触するポイントが有れば、そこから噛み込ませないで、その状態に保てば 身体の直立姿勢を安定的に得られて他人が身体を押しても倒れないほどに堅固に姿勢が保てる事が披露されていました(私はこの現象は、その真偽を判断出来ません)。 
 
スタジオで芸能人に自然に口を閉じさせた行為は私も診療室で行っている患者さんに顎を自然に両手で誘導する中心位への誘導法(バイマニュピュレーション法)を行ったこととほぼ同様です。

この時、最初に歯が当たる事は早期接触と呼び、この時の顎位は中心位(CR:Centoric Reration)と呼びますが最も生理的な安定した顎関節窩内での関節頭の位置であり、顎位だと換言できます。
この中心位(CR)は、関節頭の位置と顎の周囲に存在する咀嚼筋により規定される生理学的に安定した下顎頭の位置であって、無歯顎(歯が一本も無い顎)の総義歯患者にも存在する顎位です。
これと対照的に中心咬合位(CO:Centoric Occlusion;)は歯が沢山ある方の口腔内の歯がキッチリと安定して噛み合う位置です。もちろん有歯顎者だけに存在し、歯が無い無歯顎者では存在しない顎位です。
  (余談ですが、CRは無歯額患者の義歯作製時に使用する事は多い顎位です。下顎頭が生理的位置で安定して機能するので1番良い無歯顎患者での基準となる顎位といえます。)


○私の全額治療し直しで基準はCR=COに仕上げること


  私が全顎的歯科治療し直しを行う際には、中心位で全顎的に多くの歯がキッチリ噛み合うように補綴します。  

すなわち CR=COでキッチリと噛み合うので最も生理的に安定して問題が起きませんし、むしろ以前の顎がズレていた時のように口腔周囲筋・咀嚼筋のコリや痛みが出ず多くの場合で治療後の体調が改善する傾向が強いです。

早期接触があったまま放置して、不正な咬合が放置されると顎関節症など障害が生じることもあります。私もそういった症例を治療し直しで中心位を基本の顎位とする治療を日常的に行っています。

CRとCOが一致する様に全顎的治療の場合には設定するのが現代咬合論では常識化しています。

すなわち、噛み込んでから顎がずれる不正な顎運動が起きません。前述のような顎関節症の症状の原因がこういった不正な顎のズレに起因することから、それを避けるようにCRの位置でキッチリ歯が噛み合う(CO)にする事で解決されます。

番組では,こういった中心位へ顎位を保つことで全身的な正しい姿勢と正しい身体機能が保たれる事が説明されていました。

そして番組内で歯科医の平岡先生が語った事と同様に、早期接触がある場合にはその場所から歯がズレて噛み込みます。このようなズレた顎運動を行いますが、こういった状態は"顎にズレがある"と呼んでいます。 

 顎のズレがある状態で身体に失調や疾患も起きると考えられます(現象面ではこれは事実ですが、その詳細なメカニズムは学会でも完全にまだ解明されていません)。


さらに顎にズレがある時にはそれに付随して姿勢にも不正が生じて骨格も曲がり体勢にゆがみや偏りが出ます(身体が左右どちらかに偏って傾いている事もあります)。これは骨格の歪みや背骨などが曲がったことで生じますが、つまり体調に大きな影響を及ぼして一部では何らかの全身的疾患にも影響することが言及されています。

私が今まで全額的な補綴治療し直しをしてきた症例の多くは、既存の補綴治療を全額的に治療し直すもので、この時の基準となる基本的顎位は現代咬合論で最も生理学的に安定した中心位を使用し全額的に歯が一様に中心位で噛み合う様に治療しています(CR=CO)。

もちろんその結果、患者さんは食事が効率的に咀嚼出来るだけではなく、全身的健康やそれまで患っていた疾患や姿勢の一部も正しく補正改善され、より健康になる可能性があります。こういった噛み合わせの是正を行う私が行っている治療し直しでも全身的な健康にも効果も大きいことを先日のブログ記事に追加したいと思います。

また、このような全顎的な補綴の治療し直しで若さが甦るということは、中心位での生物学的な最も安定した顎位を使用した治療し直しが全身的に何らかの影響を与えた結果とも考えられます。

こういった顎位や噛み合わせの改善が若々しさが甦ったような治療後の患者の状態を説明する根拠の一つになるように思います(先日のブログ記事参照)。

私の治療し直しは既存の補綴物の不良な部分を治療し直すのものです。全く治療されていないキレイな未形成の天然歯の多数を形成して全額的に治療する様なことは重度歯周病治療の歯周補綴のような例外以外では、行う事は希です。

むしろ、積極的に根拠も曖昧なままに全顎的に歯を削る治療を顎関節症の治療として行う先生方には、要注意だと私はよく注意を促す事があります。  

これは根拠が曖昧な治療であるが故に、良い効果が得られなかった時にはただ歯が削られてしまうだけで、その歯が元に戻ることはありませんから歯の一部が失われた傷害だけが残ることになります。 患者さんへの傷害だけが残り治療を終えるようでは全く無謀な治療行為です!

一昨年から、歯科医院へ行ったら主訴でもない顎関節症の治療=咬合調整など傷害的治療を多数歯に加えられて憤りを感じたと語る患者さんが数名来院しています。中央区で顎関節症や咬合を研究する勉強会の先生方の一部だったのが印象的でした。

しかも、顎関節症に関わる治療はマッサージなど東洋医学的アプローチを歯科医でありながら執拗に行うので、怪しく思えたそうで私のオフィスへ逃げ込んできた患者さんもいました。
 
我々が第一義的に用いる西洋医学的科学的根拠が有るアプローチよりもある先生しか出来ないと言い張るマッサージを受ける予定だったと報告する患者さんがいました。
その先生がどういった根拠でそういった治療を行おうとしたのかは私には解りませんが、これ等は患者さんが治療根拠の概念が解らないので怖がって敬遠した典型例です。  治療の根拠を説明しない歯科医に問題があるのは当然です。


また、私は患者が治療を希望しない症状が極く軽い顎関節症を歯科医が執拗に治療しようとするのは治療費獲得を第一に考える場合以外には理由がないと考えています。私は患者さんへも妙な治療をする歯科医には注意するように注意喚起をしています。

私はオフィスで、顎関節症の治療を積極的に患者が希望もしないのに行ったことはありませんが、
去年、前歯部で二横指の開口状態(オープンバイト)で口が閉らなかった患者さんを咬合分析結果を基に咬合調整を主体とした処置で前歯が閉まる状態にまで回復出来た症例を経験していますが、顎関節症をオフィスで治療した誠に希な例でした。 このように歯の一部を削るような治療(咬合調整)を行う顎関節症治療は通常は余り行うことはありませんでした。分析結果で明確にその方法論が利用出来る確信があったから行った訳です(←これが科学的根拠です)。


○線維筋痛症に咬合不正などが関与する可能性がある:

レディーガガが罹患して事で有名になった線維筋痛症にも歯の噛み合わせや顎位の不正が関係すると報告する脳神経外科医の新居医師は、歯科領域で最も関係が深い三叉神経が刺激されて不正な額位での噛み合わせで線維筋痛症が起こる可能性を報告していました(現在彼の理論は研究中で、解明途中ですが、信用できる真摯な医師ですから、私は興味を持って科学的解明の行方を追っています)。

歯科界でも噛み合わせを適正に治療したり不良な補綴物を交換して良い補綴物へ治療し直して咬合の再構成を行うことで線維筋痛症が緩解した症例は幾つか報告されています。

ただ、未だに繊維筋痛症の発症の科学的メカニズムは解明されていません。新居先生と平岡先生のような治験アプローチは出始めていますが、コンセンサスが学会レベルでも充分に得られるまでには多くの研究と知見が必要です。

ただ、不良な補綴物を除去して中心位での学問的咬合理論に基づいた正常な咬合の再構成は私も日常的に行っている治療し直しそのものです。


しかも繊維筋痛症も直せる可能性もあるとは驚きですが、こういった治療し直しは歯科治療のゴールデンスタンダードに他なりません。正に鉄板の方法論です。

さらに、こういった治療指針は私の治療姿勢と同じであり科学的に更に私の治療指針も支持されたように思えて心強い限りです。


現在、歯科治療や咬合不正が原因で線維筋痛症が起きるのは咬合学的に非常識な治療や不良な補綴物が原因の場合が多いと想像されます。

私が日常的に治療し直している保険の不良な金属インレーも代表的な医原性疾患として線維筋痛症をも起こす可能性の一因になり得ることも一部の臨床医により報告されています。


○日本では学問分野の成熟が不可欠:


繊維筋痛症もそうですが、一般によく言及される顎関節症も日本では専門医が欧米のように育っていませんし、学会で規定した明確でシステ
マティックな治療ガイドラインや治療診断のプロトコールが存在していないに等しく、この状況が我流の治療方法を臨床家に行わせることを助長する結果になっています。
臨床家が一律に間違えなく診査診断して、治療出来る方法論が構築されるように願っています。

これ等学問分野自体が未だに未熟なために今後顎関節症などでは専門分野の医学的に広い分野が垣根を越えて行われる集学的研究が是非とも必要で、こうした学問的成熟が成される事が望まれています。咬合に関係する学問分野がより高い科学的根拠に基づいた学問に成熟するように育つことを私は願って止みません。  






























2018年3月17日

  
 


   私も臨床家としてそろそろ30年になります。過去の症例を観ていて思い出す事が沢山あります。
初診時,かなり酷く咬合が崩壊した状態だった口腔内を歯周病治療や補綴治療を終えた後に、患者さんは皆必ず若返ったように生き生きとして見えます。 

特に、中年以降で歳をとった方になればなるほど治療後の変貌には驚かされることによく遭遇します。もちろん歯が悪かった方では比較的若い方でも更に若返ったように見えます。

生物学的に人間は摂食する事が基本で、よく噛んで食事できる事で本来の人間としての身体機能の恒常性が安定するように出来上がっています。
つまり自然の摂理に従って本来の人間らしい摂食行動が円滑にできるように回復できれば、人間としての理想的な有り様に復活するのでしょう。

逆に言えば,食事が出来なくなると身体に何らかの失調が出るのも常識です。さて、医院へ来院された多くの方は咀嚼など口腔機能が正常な状況に無い方ですから、我々はそういった事を前提で診察します。

  私は咬合が崩壊している方や義歯が必要なのに装着されていないままの患者さんには早期に噛める状態に移行できるように目標をたてます。出来るだけ早い時期に仮歯・仮義歯など暫間補綴物(provisional restoraions:仮歯)で最終的な状態に近いように修復することが重要なポイントです。暫間補綴物に早期に移行できることが患者さんの協力を頂く事には必須です。しかし場合によって早期に暫間補綴に移行できない例もあるので充分な患者さんの理解が治療にご協力頂くには特に必要になる事もあります。
暫間補綴物(仮歯)で噛めるようにするとは例えば以下の画像のようなことです。


NFTEK(5枚法)jpg.jpg

  *右下大臼歯2本だけは先に最終補綴物の金属冠を装着して仮義歯を適切に維持出来るように配慮しています。 暫間補綴物は充分に咀嚼運動が出来るように修整して、その情報や形態を最終補綴物作製時に参考にします。:下にも紹介するNFさんの暫間補綴物の画像です。

この方の場合には、この暫間補綴物(レジン製)のままでもイイですよ(最終補綴物は要りません)といい出すほどよく出来ていて良く噛める状態になっていたようです。これは良く出来た暫間補綴物に満足した患者さんの典型的なコメントです。我々はこういったコメントをむしろ得られるように仮歯を作製できるよう目指しています。

 臨床家の心得:

 ところで臨床家は、よく誤るのは治療での重要性の順位を忘れてしまう事です。
特に前歯の補綴物が脱落した患者さんには、応急処置で真っ先に前歯を暫間補綴して日常生活で支障が無いように応急処置します。
 
去年来院されたカウンセリング患者の中に、虫歯や歯周病の治療を希望したのにいきなり噛み合わせが悪いと指摘されて顎関節症の治療と称して多数歯を咬合調整されて歯を削られたと訴えていた方がいました。臨床家は時として、このように自分が興味を持つ分野の治療を真っ先に行い、患者の主訴を忘れる先生がよくいます。

  我々臨床家は主訴を的確に捉えて、治療のゴールを想定して円滑にかつ治療をステップワイズに適切な段取りで進めてゆくことが必要です。

  ここで我々が重要なのは治療内容を患者さんに説明して科学的根拠を理解して頂いた上で患者さんへ協力して頂けるように理解を得るよう誘導することです。私も沢山の治療し直しを経験していますが、治療し直しでは最も難しいことは患者さんに治療推移によっては計画の変更さえ有り得る類の治療特性の理解を得ることです。実は治療自体より患者さんの理解を得る事の方が難しいといえる例が多いように思います。

極言すると、 特に治療し直しでは最も難しいのが患者さんに高いレベルでの理解を得て治療に積極的に協力して頂く事です。  すなわち患者さんが治療概念を理解してくれさえすれば、治療はほぼ成功したも同然とも換言できるかも知れません。

私は、原則的に自分にできないことは治療を請け負いませんから、殆どの場合は治療の成功は患者さんの理解を基にした協力に依存します。 ですから、患者さんが理解していない時は例え、口頭で同意している場合にも患者さんの理解が充分にレベルに至らない場合には治療を始めないようにしています。
 

とにかく、患者さんが理解しているか否かは一見わかりずらいので誤らないようにすべきです。
特に治療上のストレスは、治療が進行しているにもかかわらず中途で患者の協力が得られなくなる例です。特に更年期の女性に多いように思いますが、突然治療途中で文句を言いだして、通院しなくなる方も時にはいます。最近多い傾向は、歯内療法や歯周病治療他で途中で来院しなくなる子供じみた大人とは言えないように精神性の方が出始めた事です。

患者が若返るとは:

  一種の印象ですが人間は円滑に咀嚼出来れば生き生きとしてや精神状態さえ安定してくる事が多いようです。
今までの治療経験から咀嚼が回復した患者さんは穏やかになり初診時に生気が無かったような方でさえ気力が出てきて、その結果、家族との関係性さえも多くの場合には円滑になった方もいました。

そして病院の定期検査の結果も正常値に戻るケースも経験しています。すなわち、何でも良く噛めるような食生活が可能になるために無理な食生活や嗜好の偏りなどを無くせる可能性も出てバランス良い健康的な生活ができるようになったからだと思います。

口腔内環境の改善、咀嚼機能の回復で身体機能の健全性を取り戻し安定した状態に戻してくれるようです。

 このように我々臨床家はこのような生活(人生)への良い影響を与える大切な仕事である歯科治療という重要な仕事を担う人間である点には一応の自負心を持つべきだと考えます。

しかし一方では、我々は歯科治療により得られることの良いレールを敷くだけであって、究極的に患者さんがそれを得てどのように生きてゆくのか、どう生活してゆくのか決めて実際に生活してゆくのは患者さん自身の能動的な意志や能力だということを忘れずにいるべきです。

患者さんの様子を観察させて頂くと勝手に我々だけの力だと過信するように思い上がってはいけないと私は強く感じています。 それほど患者さんの自立的な生活が生まれ変わります。

  ここで以前,ブログ記事を書いたこの患者NF(仮名)さんの例を紹介します。  
   たぶん、今までに多くの患者さんを担当しましたが、最も印象的な幾人かの患者さんの1人と言えます。
とにかく戦前の生まれの方ですが,未だに競技ダンスをでされている活発な患者さんです。そして以前装着されていた継続歯ばかりの補綴物を最も安全で長持ちするように、かつ趣味の競技ダンスに支障が出ないようにより良いカタチで治療し直しできた素晴らしい症例と言えます。

上顎を従来型の義歯にしてしまう一般的方法論で治療すれば、趣味の競技ダンスに支障が出るのでフルブリッジで対応しました(  最初からインプラントを希望しない方でした )。
   継続歯のコア部は除去・交換出来ない状態であった故にそれを支台として利用する事になりましたが,支台が小さく各々の予後が不安故にフルブリッジで支台各々の負担を軽減してフルブリッジ全体で咬合圧の負担を分担させたわけです。
フルブリッジの途中のいずれかの歯に問題が起きてもフルブリッジ自体は一生保たれることを期待できる治療法です。


NF初診五枚法2.jpg

   上顎前歯5本は,この画像のように暫間的に(初診時に緊急対応しています)仮の暫間補綴物を装着した状態です。

物事の考え方や男勝りの合理的な決断力に魅せられていまう様なとても垢抜けた魅力的で聡明な方です。

NF・final.jpg


NFsmile2.JPG
初診時には前歯の5本(連結の継続歯)が脱落して、やつれたような表情で来院されたNFさんも今では毎日ダンスの練習と供に活発に生活を楽しんでいるそうです。

NFさんの性格や人柄に合うように、上顎の歯を綺麗にお歳よりも少し白い(VITA ・A3)という色調で作製しました。

NFさんの日本人離れした風貌や姿にはむしろこのくらいの方がよく調和すると思います(顔貌が公開できないのが残念です)。


そして、最近,ブログ記事に書いた咬合挙上と矯正をして補綴治療し直した男性の症例もご覧頂きます。

EY正面観.jpg


EY smile.jpg

本当にしっかり噛めて笑顔も美しく、驚くほど若返っています。70台男性としては驚くほど若々しく活き活きしています。食事は何でもよく食べられて肌つやも良くなりました。
このように患者さんの多くの歯科的希望が叶っています。

治療し直し症例でも咬合が崩壊されたものの治療し直しではこれは典型例と言えます。極めて良い咬合状態へと咬合機能の再構築が出来上がった素晴らしい症例だと思っています。



我々が行う歯科治療は、全て患者さんの幸せのためであって、単に虫歯を詰める・歯周病を治す等々といった事では無く、その先にある事こそ我々の目標とするところです。
そしてそういった目的を達成できるのは、若々しい生きる気力がみなぎった患者さんだからこそ可能になります。たぶん多くの方が自信を持って活き活きと活動できる様になるから、患者さんが皆自発的に積極的な生活を始めるようになるからでしょう  我々がそういった事を可能にするためのお手伝いを出来ることはむしろ光栄なことです。1人でも多くの方に能動的に生活を楽しんだり活動できるようになって貰いたいと切に私はそう希望しています。


治療へお越し下さい:


    私のオフィスでは、このような治療し直しをお受けしています。虫歯一本から治療し直しを誤ったら時間と治療費も無駄にしてしまいます。
  治療の概念を理解してご協力頂けるようになれば、必ず良い結果が得られます。治療の相談など予約で時間を割いてカウンセリングを行います。治療を行う前の診査や治療概念の説明を受けてレベルの高い認識を持って治療し直しをお受け下さい。
カウンセリングは自費(1万円)で行っています、電話予約制です。










2018年3月 9日

  


   この症例は以前,歯の根元が虫歯になったので治療して欲しいとの主訴で患者さんが来院した方の治療例です。
昭和50年代に歯周病の治療と共に歯冠部の補綴治療を受けたそうです。
前歯は一様に抜髄されていました(歯髄神経がない歯になっています)。そのために根面う蝕が進行しても一切痛みを感じなかったので、医院へ行く切っ掛けがなかったのでしょう。

 以前、歯周病の治療を受けたことで、一様に前歯部を中心に治癒に伴い歯肉が退縮した結果、歯根露出が増えて、そこに根面う蝕が罹患したわけです。
根面う蝕は歯肉が退縮して露出した歯肉に近い歯頸部歯根面に生じる類のう蝕です。

例え歯周病が治癒しても歯の途中(歯根面で)根面う蝕が出来進行すれば、
歯は折れてしまいます。このように根面う蝕は意外にも恐ろしいう蝕であることを認識して下さい。

特に,この症例のように歯周病治療してある程度の治癒の結果,歯肉退縮し露出根面が出来た場合に特に問題になります。 我々歯周病を扱う臨床医にとっては特に日本国内が高齢化社会になってきたことから根面う蝕が歯周病治療後の大きなトピックになっています。



○根面う蝕の特徴

根面う蝕は誰にでも出るモノでは必ずしもありません。すなわち,根面う蝕を起こす細菌が口腔内に多い患者さんに主に発症します。今までに露出根面に茶褐色のステイン様の根面う蝕が出ている方には今後も根面う蝕が出る可能性があるので,
過去にこのような根面う蝕が出ていないかチェックする必要があります。

また、根面う蝕の原因菌は他のエナメル質にう蝕を作る菌とは違い、歯根面のセメント質や象牙質に弱い酸でう蝕をつくる菌です。また、困った事に比較的清掃が良い患者さんでも根面う蝕が生じ易い事が解っています。 こういった特性からブラッシングだけでは予防が困難な事から歯質を強化することを積極的に行う必要があります。

よって、特に歯周病を治療した後にはフッ素を利用した歯質強化を定期検査やデイリーケアで行うことが必要です。

定期検査の際には、歯科医院でしか利用出来ない高濃度のフッ素ゲルを塗布しますが、日々の口腔清掃時にもフッ素含有の清掃剤や塗布剤を利用してもらいます。

とにかく、今では患者さんに、歯周病後の定期検査で厳密にケアの継続を出来る医院プログラムがあるので定期検査に来てもらえれば、今回の患者さんの様な酷い根面う蝕はは起きませんが、歯周病の長期に継続するオーラルケアを理解しない患者さんは問題を生じるので、その必要性を自覚してもらいたいと思います。

画像通り露出歯根に茶褐色の根面う蝕のう窩である穴が空いています。
前歯は抜髄されて、神経組織が無い歯だった故に歯痛を感じないため、このような酷い根面う蝕を放置してしまったのでしょう。


*以前ブログに書いた根面う蝕関連の記事 もお読み下さい


術前1.jpg  初診のこの時点では右側上顎犬歯が脱落した状態です。 また、左側上下顎大臼歯は歯周病が重度に進行したためにオペ時に予後不良と判断し抜歯しています。


before1.jpg

右側上顎犬歯は歯冠部が脱落しましたが患者が脱落した歯冠を持参していたのでスーパーボンドと言われる特殊な強い歯質接着性がある特殊なセメントで歯冠を補強材も加え修復しています。


ope.jpg

SRPをおこなった後、歯周外科を行いポケット内環境を更に改善しました。これは歯肉弁を縫合した後の画像です。


after .jpg

歯周外科処置で治癒した後に高度に進行した根面う蝕の感染歯質を除去した後、コンポジットレジンで充填処置を行い歯垢が付着しづらいように可能な限り滑沢に研磨しました。


術後.jpg  上下顎で第二小臼歯までの20本による咀嚼咬合が確保出来たので日常の食事は義歯を利用しないで行える状態に担保出来ました。いわゆる8○2○運動の要はそこに有ります。

◎この症例の概要と臨床的ゴール:


この患者さんは特に補綴物の治療し直しを希望されるわけでは無く、根面う蝕の解決とこの状態で咀嚼機能を維持する事を希望されていました(=噛めるようにして欲しいと希望)。よって、私は歯牙と補綴物を可能な限り残して咀嚼機能に絶える状況に歯周病治療と根面う蝕治療を併せて行いこのように修復しました。

左側の大臼歯は上下とも抜歯していますが、小臼歯部までの咬合は辛うじて担保出来たことによって患者さんは、通常の食事を不自由なく採れると語っていました。
この症例のように歯周病があり根面う蝕も進んだ例では出来るだけ小臼歯までの咬合の確保を出来るよう努力できれば。可徹性の入れ歯を利用しなくてもこの症例のように咀嚼機能が維持出来て臨床医の努力も充分な意味を持ってきます。











2018年3月 6日

 
  更年期障害に関しては歯周病関連でブログを書いてきましたが,この頃,更年期障害に悩む中年女性の中に、意外にも口臭に悩む方が多い事実が報道され始めています。
確かに,私のオフィスでも初診や通院中の中年女性の中に口臭を訴える方が多いのは現実です。

そういった方の多くは、歯周病の治療が不充分である場合が殆どですが通常の歯周病治療だけでは治らない難治のケースにも遭遇しています。

そういった難治のケースでは総じてドライマウスなど唾液分泌の低下が顕著な共通点があります。
すなわち,更年期症候群の中で唾液分泌の低下を現した例では、唾液の口腔内での環流量が低下して口内の自浄性が著しく低下して歯周病菌の活動を助長して仕舞います。もちろんう蝕原性菌も増えますから、う蝕にもなり易い方もいます。

このように唾液が分泌不足になれば細菌が口腔内で増えるために口臭が出易い環境になります。

更年期もそうですが,糖尿病性の唾液分泌不足でも同様です。
最近も、糖尿病になった患者さんが来院して口臭が顕著な歯周病を発症したケースに遭遇しています。糖尿病の基礎疾患がある場合には特に歯周病治療の反応が悪い例も多いために、特に厳密なケアが必要になるために、患者本人のレベルが高い協力が不可欠になる点も注意すべきです。

更年期障害に関しては、婦人科を受診するように奨めていますが,
唾液分泌全般では歯科大学にはドライマウス外来がありますから、そういった専門の科に受診する事も必要かも知れません。


 



 



 



 



 



 



 



 



 



 



 


« 2018年2月 | メイン | 2018年4月 »

Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。