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2016年2月 7日

私のオフィスへ遠方からもカウンセリングに来院される方が増えています。
今まで歯科医から治療根拠の説明や治療概念の説明を殆ど受けたことが無い方が多く、そういった方々が歯科診療自体に不安を持って来院されます。
巷の歯科医院では理由もわからないで治療を漠然と受け続ける患者さんが潜在的に沢山存在しているのが現実です。


今回,この記事では口腔内細菌の動態(移動や増殖)に関しての簡単な基本概念とその根拠に沿った歯周病治療に関して述べたいと思います。

以前,私のブログでは口腔内細菌の棲息形態としてバイオフィルムという概念を説明しました。
口腔内ではデンタル・プラーク(歯垢)という粘着性のペースト状のカタチで歯面に付着して多種類の細菌がエコロジカルな一種の社会を構成して棲息しています。そういった細菌が作る棲息形態をバイオフィルムと呼んでいます。
デンタル・プラークとバイオフィルムは同じモノを違った学問的用語で呼んでいるだけです。細菌学一般で通用する棲息形態をバイオフィルムという用語で呼んでいますが,これが口腔内に形成される時に特にデンタル・プラーク(歯垢)という用語を使っていると考えれば解り易いと思います。
余談ですが,キッチンシンクの排水溝に出来るヌメリも雑菌が作るバイオフィルムです.
換言すれば我々の口腔内デンタル・プラークも全く同じようなもので大変に汚いものだとお解り頂けると思います。

う蝕の図2.jpg
歯面に付着した歯垢の塊の下で細菌が出す酸によりエナメル質表面が脱灰され崩壊している状態を表現した模式図です.これがすなわちう蝕の本態です。

上の図のように,う蝕(虫歯)とは歯質表面に歯垢というカタチで細菌達が付着しエナメル質の場合にはカルシウムに富む石灰化結晶の集合体を酸で脱灰しボロボロに崩壊させてう窩(虫歯の穴)を作る事です.


口腔疾患の殆どは口腔内細菌によって生じています。
う蝕はう蝕原性菌によって起こります。
一方,歯周病は歯周病菌によって生じます。これら歯科の2大疾患の細菌は各々棲息環境も違いその細菌学的性質も異にします。

・う蝕病原菌:歯の表面に歯垢として塊で付着して歯周ポケット内よりも空気が多い通性嫌気性*の環境に住む性質があります。
*次に記す嫌気性に対しての用語です。通性嫌気性とはう蝕病原菌の好む環境で、これはすなわち歯質表面に付着した歯垢の内部環境,ある程度酸素にさらされる程度の酸素分圧の特徴を表現した用語だと考えて下さい。

・歯周病菌:歯周ポケット内の極めて空気が少ない,酸素分圧が低い(嫌気的*)環境を好んで棲息します。
  *空気の少ない嫌気的環境に住むことを好む細菌を嫌気性菌と呼びます。歯周病は嫌気性菌により生じます。
上に記した通り歯周病とう蝕ではそれを起こす細菌の性質を異にします。上のようにう蝕と歯周病では全く別な細菌によって生じることをまず知って下さい。

よってう蝕が沢山あっても歯周病には殆ど罹患していない方もいます。一方,若い頃から虫歯が一本もできなくても中年以降は歯周病には罹患する方も多いのが現実です。
これは全く異なる細菌によって生じる細菌学的原因論を知れば概ね理解出来ると思います。

更に、歯周ポケット内では酸素が極めて少ない嫌気的環境のためにう蝕病原菌は活動できません.つまり歯周ポケット内ではう蝕が生じません。これは幸いなことで、もし歯周ポケット内でう蝕が起きてしまったら,知らぬ間に歯の歯根途中に出来たう蝕で次々と歯を失ってしまうでしょう。



○う蝕は歯面に細菌を付着させなければ生じません


 う蝕(Caries)の成因は細菌が歯面(Tooth)に歯垢というカタチで付着して細菌(Bacteria)へ食餌(Diet)を供給する環境があれば成立します.あくまで歯垢が歯の表面に付着して歯の表面で起きる現象です。

Kayes circle 3.jpg


よって,う蝕が成立しないようにする現実的な方法はブラッシングで歯垢を歯の表面から除去することです。

更にブラッシングをしていても食餌(diet)の要因が強い場合(甘い物を長い時間口腔内に入れる)にはう蝕になるリスクが上がります。
ですから甘い物の摂取の仕方を注意することも重要になります。
お菓子を食べるならダラダラ食べないで、食べた後に口腔清掃を行えばう蝕は生じないことも理解できると思います。

何故か日本では甘いお菓子だけが悪者になっているようですが、摂取の仕方を理解して逆に清掃出来れば甘い物の摂取は全く問題がありません。甘党の方は甘い物と上手く付き合って下さい。



○歯周病治療は一口腔一単位:

歯周病治療では口腔内の全歯周ポケット内の歯根面に付着する歯石にスケーリング&ルートプレーニング(SRP)と呼ばれる徹底的な根面の機械的清掃を手用キュレット等を使って行います。
治療対象部位は口腔内全般です。ある特定の部位だけを歯周病治療しても意味を成しません。
これは口腔内で歯周病菌が他の部位(歯周ポケット)から唾液の環流によって移動してくるからです。

ミクロレベルの細菌にとっては口腔内は地球の如き巨大な環境です。
私は細菌の移動する特性とその概念の例え話に次のような話をよくします。

「福島で汚染物質を大気や海洋に放出すると、スイスの山奥の雪が汚染されたり、インド洋のマグロが汚染されます.」 このように口腔内の細菌も遙々唾液で他のポケットへと移動してゆくことが解っています。

通常,口腔内を6分割して6回に分けて全顎を対象にSRPを行いますが、時々全てのSRPを終えないで途中で来院しなくなる方がいます。
途中で治療を止めた場合にはSRPしていない部位が口腔内にあるので細菌が移動して治療(SRP)した部位まで無駄になってしまいます。途中で治療に来院しなくなるのなら、初めから治療を受けない方がむしろ時間や治療費を無駄にしないで済みます。

素人の患者さんには細菌の移動といった認識が無い事が多い様ですが更に少し付け加えると、元々歯肉溝には細菌は棲息していません。
成長と供に口腔内細菌の内から嫌気性菌の一部が歯肉縁上に付着した歯垢の中から入り込み歯肉溝へ移住して病的な環境を形成したものです。
歯周疾患を生じた状態を解剖学的な正常状態の歯肉溝と区別して歯周病に罹患した病的状態(病的な歯肉溝)を歯周ポケットと呼んでいます。
こういった事から、一般には歯周病治療をしている時には歯周ポケットや単にポケットという用語を使用しています。

一旦,歯周病治療のSRPを完了して歯周ポケット内の細菌が除去され細菌が存在しない良い環境になっても、また歯肉縁上に付着した歯垢から細菌が再び戻ってきます(下図参照)。

ブラッシングで除去されないで歯肉縁上に付着したままの歯垢は内部に存在する細菌が増殖し続けます。細菌の増殖によって歯垢全体のボリュームが増加して歯周ポケット内へ成長してゆきます。こうして歯周ポケット内へ増殖した歯垢の塊から嫌気性菌はポケット内へ戻ってゆきます。
このように歯垢は成長し拡がってゆく性質もあります(下図参照)。

縁上プラークの移動2.jpg
歯周ポケットの縁上歯質に付着した歯垢は清掃されないで放置されると歯垢全体は体積を増やし成長します。そして歯肉縁上からポケット内方向へも進展します。
こうして再びポケット内へ嫌気性菌が戻ってゆきます。

☆☆☆

インプラント埋入前には残存歯の歯周病治療を完了させておくことはこのような細菌の移動が細菌学的に明白なので臨床上特に重要です。

私の別のブログ記事で幾回も書いている通りインプラント周囲へ残存歯の歯周ポケットから歯周病菌が移動してくる可能性がある事実は特に日本の臨床家は無視している先生が多いことで極めて恐ろしい実態です。インプラント周囲炎が生じてインプラント周囲から排膿している症例も有りました。



○歯周病治療は定期検査(メインテナンス・ケア)とワンセット:その科学的根拠


極めて軽度の患者さんは別として殆どの歯周病治療を行う患者さんには歯周病の治療を終えても定期検査においで頂くことをルールにしています。

上に述べたように一旦細菌が除去されてきれいになったポケット内の環境も縁上の歯垢から嫌気性菌が歯周ポケットへ戻ってまた元と同様の環境へリバウンドすることが解っています。


SRP後の細菌数の変化.jpg


 歯肉縁上を清掃していない場合のポケット内の細菌数のリバウンドは2〜3ヶ月でSRPする前の状態に戻ってしまうことが解っています.
このような科学的根拠から3ヶ月に1回のメインテナンス・ケアのため来院して頂く事が重要となります。

 3ヶ月に一度の定期検査で細菌のリバウンドの有無を確認しもし一部にリバウンドの可能性すなわち,プロ-ビング時の出血やポケットの深化があれば再度その部分をスケーリングや洗浄して細菌叢を改善することが可能です。
歯周ポケット内は通常,3ヶ月では元のような硬い歯石形成はないので,修整には最初に行った時のような手間のかかるSRPは行う必要はありません。多くは歯石化していないバイオフィルムの状態ですから超音波やエアスケーラーなどの振動性イリゲーションディバイスでポケット内環境を改善できます。

こうしてポケット内環境の局所的改善をするのが定期検査の大切なポイントです。




昨今,医療機関が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう正しい歯科知識の啓蒙のため私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています.コンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

私の診療姿勢に共鳴されご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.











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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。