«  2015年1月  » 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
2015年1月 7日


「歯周補綴とは」


徹底した歯茎の治療が終わった後には補綴処置が必要なケースもあります。
こういった場合にはケースに応じて適切な補綴処置をします。

中等度〜重度に歯周病に罹患した歯は歯周病治療を終えても健全だった元と同じ条件に戻るわけではありません。
歯周病に罹患した歯は硬組織のサポートに関して健全歯とは状況が異なります。すなわち,
歯槽骨が歯根を支持する表面積が減っています。
これは歯の動揺が増加することに現れます。また動揺や隣在歯との接触部の離開などが生じて充分な咀嚼が困難になります。また歯肉の形態変化によって清掃性の不具合も生じ得ます。


より良く咀嚼機能が発揮出来るような工夫を歯周病学的視点で考慮して補綴物を設計する必要が生じます。
こういった歯周病学的視点で行う補綴治療を「歯周補綴(治療)」と呼びます。 


今回紹介する症例は歯周病治療の結果、歯肉退縮を伴う歯根の露出が全顎的に顕著です。
もちろん、各々は動揺度が増していました。
さらに歯の動揺等により咀嚼運動に不都合が生じ始めていました。

IK・ final restorations.jpg


「何故フルブリッジか?」 

歯周病のケアには終わりがありません。
 すなわち一生安定して安全に使い続けられる歯周補綴物を装着する事が進行した歯周病患者の補綴治療ではキーポイントになります。

重度歯周病に罹患した箇所は特に支持組織が少なくなっているために、将来再発して上部構造を支える支台歯を抜歯する可能性を前提に補綴設計を考慮しなければなりません。

今回上顎に装着したクロスアーチブリッジ(以下,フルブリッジと呼ぶ)は歯周病学的に起き得るトラブルに適切に対応できる設計です。  


フルブリッジのメリットを理解するための概念図:


支台歯の平行性.jpg

上の概念図は今回のような上顎全部をカバーする一続きの大きなフルブリッジにする場合と、これを少し小さめの3つのブリッジに分けた場合の違いについて比較してみました。

複数のブリッジに分割した場合には各々の内1,2本歯がダメになってもその都度隣のブリッジを含めて作り替える必要性が起きます。

 一方、今回のようなフルブリッジの場合には1本ないし複数本の歯がダメになっても残る他の歯で上部構造(フルブリッジ)を支持し続けられるためにより上部構造を長期に渡り支え続けられるものといえます。

このように適切に作ればフルブリッジでは滅多なことでは補綴物を治療し直しする必要がない事が特徴です。長期の予後を考慮したフルブリッジによる補綴の必要性が理解されます。

歯周病専門医が長い臨床経験から行ってきた重度歯周病患者への歯周補綴治療の正統派の方法論といえます。

平行性作業模型からjpg.jpg

このように、歯髄を保存したままフルブリッジを装着するには支台になる歯を平行に形成する事が条件になります。換言すると支台歯の平行性を得られる症例がフルブリッジの適応症と言えます。

平行性が適切に設定された場合には、支台歯形成面と冠の内面との摩擦が強く。これによって重いフルブリッジを維持出来ます。
また、歯髄の神経組織を保存するために歯の形成によって歯髄が露出しないようにするために形成の際にはマージン(辺縁)の位置をセメントエナメル境より上でエナメル質内(*)に設定するように形成しています。

*石膏模型で少し膨らみのある位置にマージンが形成されていることでエナメル質上に冠のマージンを形成している事が解ります。もちろん、くびれより歯肉方向は歯根面です。


「この症例の概略」


この患者(女性・56才)さんは全顎中等度〜重度歯周炎(10mmを越えるポケットもアリ)です。
主訴:歯茎がおかしく良く噛めない


術前5枚法.jpg

↑が初診時の口腔内の状態です。

術前X-ray.jpg

↑は初診時のレントゲン写真です。

SRP後 .jpg

全顎的に徹底的にスケーリング&ルートプレーニング(SRP)をしました。

また動揺が大きくなり始めたのでスーパーボンドといわれる歯質と接着性が強い透明な材料で上顎の歯を暫間的に固定しています。
また口腔内の残根で保存出来ない4本は抜歯しています。

この後、下に示すレジン製の暫間被覆冠(仮歯)を歯を形成して作製装着しました。

TEK :IK.jpg

ラボで歯冠修復物のための暫間補綴(レジン製の仮歯)を上下で機能的に咬合できるように作製しました。
最終補綴物を作製するラボの技工士によりワックスアップして機能的な形態に作られています。
この仮の歯で2,3ヶ月過ごして問題がある箇所をチェックして最終的な補綴物へその情報をフィードバックし安全な補綴物設計を行います。

すなわちこういった仮歯の時期は最終的に装着する補綴物の良いシミュレーションにもなる大事なステップです。


ワックスアップからロウ着.jpg

ワックスアップ(ロウ型)を鋳造して金属冠ができます。その金属面に陶材を築盛して焼けば金属焼き付け陶材冠(セラモメタルクラウン)が出来ます。

フルブリッジ作製では、いくつかのセラモメタルクラウンを作り口腔内に試適しその状態で石膏で固めて口腔外に取り出してその微妙な位置関係をそのままラボでロウ着することでフルブリッジが出来上がります。
 正確に作られていても、模型上で仕上げたままでは口腔内での微妙な位置関係の違いによって平行性が強いフルブリッジの上部構造は口腔内へはピッタリと辺縁が一致するように装着できません。

特にフルブリッジでは技工精度が補綴物の予後に大きく影響します。
歯科医と技工士の二者が供に高い精度管理を行うことで安全な歯周補綴物が出来上がります。

歯周補綴にはその特徴的な臨床上の配慮が必要なので歯周病と補綴学の両分野に高い見識が要求されます。

またこのような歯周補綴の経験が無い先生には細かいキーポイントが解らないために難しい治療だと思います。安易に治療すると意味を成しません。 歯周補綴に関して充分なスキルを持った良医へ受診すべきです。

 我々のオフィスでは進行した歯周病ケースにはこのようなクフルブリッジのようなオーセンティックな歯周補綴も行っています(不可能な症例もあります:症例選択が重要な歯周補綴治療です)。

 昨今の戦略的に歯周病治療で保存可能な歯まで抜歯して無歯顎堤に人工歯根(インプラント)を埋入するような方法論を心配される患者さんには自身の歯を可能な限りしかも有髄歯のまま保存出来て高評価を得ています。

         
  インプラント治療を歯科医の都合でファーストチョイスするようなタイプの歯科治療コンセプトに対する正にアンチテーゼです。

 我々は天然の歯を極力保存してそれを補綴処置する事が最も道理にかなう生物学的な方法論だと考えています。

その次の段階の選択肢に人工歯根はあっても良いと思いますが、歯科医の都合で人工歯根を執拗に勧める風潮は間違った臨床姿勢だと信じて疑いません。


IK final restorations 2.jpg


歯周補綴の典型例:上顎をクロスアーチブリッジを装着して安定した状況を維持できるよう多くの支台歯(支える歯)を有髄歯(神経がある活きた歯)の状態で保存出来ました。

この症例では、欠損部には局部床義歯(部分義歯)を使う事無しに口腔内の咬合のバランスと咀嚼運動を行えるように設計できました。
もちろん、従来型の可撤式の金属床部分義歯などによって欠損補綴をする場合もあります。

人工歯根によるのではなく、歯髄を極力保存した状態で上のように安定した咀嚼を行えるよう設計されています。何よりも有髄歯に補綴を装着できる安心感(耐久性と安定性)を評価できます。


歯周病でお困りの方は麹町アベニューデンタルオフィスへご連絡下さい。

当オフィスは電話予約制です。



« 2014年11月 | メイン | 2015年3月 »

Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。