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2011年5月31日


相変わらず、新患の患者さんに歯内療法のいい加減な治療ばかりを目にします。

歯内療法とは、いわゆる歯の神経組織(歯髄)の治療をする診療科目です。
以前、ブログにも書きましたがこの治療は時間が経って良否が解ります。
いい加減な歯内療法の治療をした歯は予後が悪くなります(歯の寿命が短くなる)。
歯科医師の真面目さや学問に真摯であるか否かが解りやすい分野です。

我々は歯内療法でその術者のレベルや見識が解ります。
まず、極めて現在の日本の歯科治療の実情を現す歯内療法の典型的治療例を挙げます。


endo1.jpg

この患者さんは、左側小臼歯〜大臼歯部に装着されたブリッジの支台歯(第一小臼歯)の築造が壊れ歯肉が腫脹して来院されました。この状態を根本的に治療するには歯質が崩壊した第一小臼歯の抜歯、すなわちブリッジの除去をする必要があります。通常その後はこのようなブリッジは設計できなくなります(局部床義歯)。

また、口腔内全体を眺めると、装着された歯冠修復物(補綴物)は全てセラモメタルクラウンと思われる目にしみるほど真っ白な補綴物が施されています。補綴物が装着された歯牙は全て歯内療法が施されています(そして根管充填されています)。ココで注意すべきことはこれらの歯は全て本当に歯内療法をする必要がある状態の歯であったのか否かということです。

もう少しハッキリ説明すると、多くの歯がそもそも虫歯(う蝕)もなく問題が無い歯であったにもかかわらず補綴をする目的で抜髄したことが疑われます。

歯牙は、抜髄しないで生活歯のまま保存することが歯の寿命のためには良いのです・当院では可及的に生活歯(抜髄しない)で保存します

未だに旧世代の歯科医師のように冠(クラウン)やブリッジを装着するのに抜髄して築造しなければ形成して冠を装着できないと考える先生方が多くいるのです。

そして更に困ったことは、いかがわしい歯科の造語である"審美歯科"なる言葉を使って積極的に "審美補綴"(そういった先生が使う変な名称)を治療をする先生には平気で健全歯を抜髄する不良治療を行う先生方が多くいるという現実です。

残念なことにそういった"審美補綴"の講習会を行う有名な(?)先生でも保存治療に関しては多くは間違った治療コンセプトを平気で教えているのです。その一つが補綴前に抜髄することです。

日本の歯科界の変なところは間違えを誰も省みず、有名な先生が教えた間違えが歯科界のスタンダードになってしまうところです。このように歯科医師の正しい臨床哲学を持たない馬鹿さ加減は患者さんの想像以上です((-。-;))。歯科医師の認識の間違えによって多くの患者さんは困っています。
後年歯に問題が起きても、"そもそも受診した医院の選択を誤ったことを認識できない患者さんも多いよう"で、更にまた同じことを繰り返してしまうのです。


◎患者さんには気を付けてもらいたいことです。

すなわち、冠を被せる時に、歯髄を抜いて(=抜髄)から冠を被せる先生が沢山います。
"審美歯科"などと名乗るいかがわしい言葉に騙されて来院した患者さんの歯を、
補綴目的で平気に抜髄するような歯科医師がいます。看板に"審美歯科"などと宣伝して意味のないオーバートリートメント(過剰治療=意味のない抜髄)と歯の寿命を縮める処置を施して、高額な治療費を請求している現実が日本の歯科界にはごく当たり前のように有ることを知って下さい。

上のレントゲン写真のように、根管充填の状態もイイ加減なモノが多く観られます。随分荒い根管充填です。しかもこの程度の治療をする先生の場合、ラバーダム防湿法も使用せず、器具の高いレベルの滅菌・消毒もしないで、治療の全てがイイ加減だろうと想像できます。(既に根尖病巣も観られます。)

高い治療費を払ったと想像されますが、いくつかの根尖に根尖病巣が見えますが、後年、更に根尖病巣が出現する可能性があります。


◎歯内療法は、治癒してから補綴するのが常識:担当医の倫理は絶対条件

どうやら、多くの先生は出来高払いの保険制度の中で、個別な治療に関する思い入れなど全くなく、効率的に沢山患者をさばいて、高い治療を行え、稼げればそれで良いと考えているようです。
良く多くの方とのお話の中で、「歯科界にも倫理は既に無くなっています」と申し上げていますが、これはけして大げさなことではありません。知識も技量もないアホそうな若い歯科医師が「○○インプラントセンター」と言った名称でやっているのをみると恐ろしくなります。


 これも、この1,2週間の間でお出で頂いた患者さんです。

「補綴したけど何か変です!?」

endo2.jpg

この患者さんは、右下の奥歯が痛くはないけど、何かおかしいので治せないかといった主訴で来院されました。
良くあるケースですが、根尖病巣で違和感を感じて来院された患者さんです。

endo3.jpg

拡大象です。
右下第一大臼歯(6番)には、歯冠部にセラモメタルクラウン(メタルボンド冠:陶材焼き付け冠)が装着されています。
金属支台(土台)が装着されているようで、遠心根は2根管とも根管充填されていますが、根尖には根尖病巣が見えます。
また、近心根は根管充填は成されていません。そして根尖には病巣が見えます。


患者さんのご希望通り、根尖病巣を治療するには、歯冠部に装着された冠と支台築造を除去する必要があります。
すなわち、せっかく高い治療費を払った補綴物を除去する必要があるのです。更に根尖病巣が治った後に再度補綴処置(築造して冠を被せる)が必要です。

この治療をするには、時間も金銭的ご負担もかかります(*)。
*当院では、大変に時間と技術が必要な再治療は、全て自費治療で行っています(治療毎にご説明します)。


上のような条件を理解頂ければ、治療はできますが、まず、支台築造(歯の土台)が非常に大きく除去後は何らかのダメージが予想される。
また、遠心根管は根管充填を除去すれば再度感染根管治療はできると思います。
近心根は、どうやら根管の途中で前医が根管が空かないので止めてしまった形跡があるようです。根管が根尖まで治療できるか否か難しいと思います。

このケースでは、冠と築造を除去しても完全に治療できるという保証はないのです。
結局、妥協案として現在著しい症状がないので、このまま様子を観察することにしました。
(この治療は15年ほど経っているそうなので、根尖病巣は容易には大きくはならないと想像されます。顕著な症状が出たら再治療を考慮するといったことです。)

歯科医師の立場から言うと、歯内療法で病巣が治癒してから補綴するのが常識です。

また、根冠治療で根尖まで治療できないときには、その条件を患者さんに理解してもらってから、補綴など次の処置に入るべきだろうと思います。

当院も日々、再治療が多いのですが、根管充填をされるべき無髄失活歯を再治療して補綴する時には可能な限り感染根管治療を充分行い補綴しますが、希に根尖まで根管が空かないこともあります。その歯牙が例えば10年以上もその状態で根尖病巣も確認できず嫌な症状もないのならば、条件付きで補綴物を装着するときはあります(条件付きの補綴処置)。


◎不良診療に騙されないための防御法

ラバーダム防湿法を使わない歯科医は悪い歯科医師です!

・歯内療法は、大切ですからラバーダム防湿法をつかわない低レベルの医院は避けるべきです。
日本の巷の歯科医院の85%以上でラバーダム防湿法は使われていません(=危い歯科医院)。
→残念ながら、ラバーダムを使っていてもカタチだけの医院が多いです(先生の認識が低い
)。

歯内療法は 基本から徹底していることが必要で、高いレベルの滅菌・消毒などは最低条件です。
これに技量と倫理観が無ければ、上に示したようないい加減な不良治療が行われてしまいます。

・「審美歯科」といった現在流行のいかがわしい造語を看板に宣伝する医院も、歯の保存療法が基本から誤っている可能性があるので特に気を付けること。 

補綴治療に入る前にレントゲン像を見せてもらい説明を受けることが必要でしょう。
特に、前歯部の補綴時に虫歯でない歯を抜髄しようとしたら、その必要性の説明を先生に求めること(実際、滅多に便宜的抜髄の必要性はない)。

・究極的には、歯科医院選択で歯科治療は決まってしまいます。
 歯科医院は、慎重に選ぶことです。歯内療法でラバーダムを使わない低レベルの医院では歯内療法は危険ですから受けるべきではありません(巷の医院の大多数がそのような状態ですが)。

その後問題が起きる可能性があるからです。そのまま補綴すれば上の例と同様な結果になります。

(ラバーダム防湿法の使用の有無は、受診する医院へ問い合わせてみるのも良いかも知れません。そして、その医院の基本的診療レベルを判断するポイントの1つにして下さい。)

ちなみに当院では、保存治療では歯内療法のみならず、う蝕治療も含めてラバーダム装着下で行っています(保険・自費に関わらずこれを励行します)。


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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。