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2010年12月27日

その1では、歯内療法の基本的なお話をしました。詳しくはそちらを読んで下さい。

○リスクの話:歯科治療とリスクの話

世の中、最近は「リスク」といったキーワードがメディアには溢れています。簡単に言えば、悪いことが起こる可能性=危険度のことです。いってみれば確率論でその危険性の大きさを認識することで、安全か危険かを知る合理的な考え方です。

金融商品がいち早くこの言葉を使い始めたように思います。ネット上やメディアでは、リスクへの対応策としての「リスクヘッジ」や「リスクマネジメント」...などといった言葉も良く目にする単語です。

絶対安全といったことは究極的にはありません。安全と思って投資したら、損失を負ってしまったといったコトは当たり前のように起こってきます。特にリーマンショック以降は、更にリスクの認識が高まったことと思います。金融商品では、「リスクがあることを前提に契約してくれ」といったことです。リスクを無制限に保証できないので、こういった考え方を業界では強く提示する必要があったのです。
同様に歯科治療にも、「リスク」といった概念を持っておくべきです。現実的には我々歯科医師は、「リスク」を最小限にする努力をすることがすなわち、「患者さんの立場に立った良い治療をすること」です。

日常臨床では、私はリスクの少ない治療法を第一選択で行い、患者さんにもリスクの少ない治療方法をオススメしています。

当院が、特に保存治療では「ラバーダム防湿法」の使用を励行しているのは、歯科治療におけるリスクマネジメントであり、リスクを最小限にする世界標準の方法論です。逆に、巷でのラバーダムを使用しないような不良な治療は、リスクが大きく歯をダメにすることはお解り頂けると思います。

例えば昨今、問題になっている「インプラント治療」は、インプラントが生体に埋入されること自体にリスクがあることを患者さんが充分認識していないために、世間ではトラブルが生じているようです。

本来はリスクを認識した時からインプラントの適切な管理が始まるのですが....
そもそも、こういったリスクに関する認識がない臨床医は、適切にリスクマネジメントできるわけもありません。もちろん患者さんへリスクの説明などする訳もありません。はっきり言ってしまえば患者さんへ多大な障害や損害を与えかねません。非常に危険ですから、インプラント治療を選択する前にインプラント治療自体にリスクが内在することと、そのリスクマネジメントの方法論と問題点を患者さんは是非とも考えて下さい。その上で治療を行って良いか否かを決定して下さい。


○コロナルリーケージという理論

 ところで、歯科治療の「歯内療法」では、正しい手続きで根管治療を行いきれいに根管充填された場合でも、"cronal leakage"(コロナルリーケージ)と言われる歯冠部に根管への漏洩ができます。歯冠部から隙間が生じて根管へ漏洩が生じます。この隙間を通じて細菌が根管内へ移動し得るというこの学説が幾つもの研究で証明され最近ではコンセンサスを得ています。

またさらに、根管内の根管充填材の中にも、どんなにベテランの歯内療法学の専門医が根管充填しても大なり小なり狭い隙間(micro leakage)による漏洩が生じることも解っているのです。

コロナルリーケージの細菌侵入経路.jpg
実際の患者さんのお口では、歯冠部に装着された補綴・修復物と歯との隙間からcoronal leakageで根管へ細菌が移動し、根管内・根管充填材の間もしくは根管壁と根管充填材の間に生じるmicro leakageを通じてさらに根尖孔へ細菌の移動通路ができるのです。
つまり、口腔内の細菌は、補綴物と歯質との隙間から入り込んで根尖部へ移動して根尖病巣を生じる可能性が示唆されているのです。

一度根尖病巣が消えたように見えても、再度coronal leakageによって根尖病巣が生じる可能性があると換言することができます。もちろん、coronal leakageや根管充填部での漏洩の影響で根尖病巣が治らない可能性があります。

よって、根管充填の状態が云々よりも、歯冠部に装着された補綴物の適合性など補綴精度が歯内療法の予後にはより大きく影響するといった考えが、専門医の間では支持されてきています。
ですから、補綴治療の精度は非常に大切なのです。


○根管治療後、根管充填された歯は、早期に歯冠補綴物を装着すること

根管充填された歯牙ではcoronal leakageを前提に、歯科治療には注意すべきことがあります。
coronal leakageが生じるリスクを最小限にするために、できるだけ充填物と歯質との界面を正しく処理して完全な接着が可能になるように充填物での閉鎖を行うことが大切です。しかし、これでも時間が経つと接着部が破壊されcoronal leakageが生じる可能性があるところに難しさがあります。
ですから、リスクを最小限にするように精度の高いfull coverage(冠タイプ) の補綴物装着を早期に行います。精度の高い補綴物で覆うことで隙間(micro leakage)の長い経路の入り口である補綴物辺縁部を閉鎖させてしまいます。マージンフィット(辺縁適合性)の良い歯冠補綴物でリスクを低下させます。

コロナルリーケージと歯冠補綴.jpgcoronal leakageの防止といった書き方をしましたが、いわゆる従来から行っている補綴処置を精度高く正確に行うことが一番重要だといった意味です。


歯冠補綴物を装着するよう早い時期に移行しないと細菌が根管内へ継続的に移動する状態を許してしまいます。結局、予後が悪くリスクが大きいので、根管充填後はできるだけ早期に歯冠補綴物の装着をさせて頂けるように患者さんへはご理解頂いております。

よく見かけるのが、前歯部の根管治療で歯冠部の歯質が沢山残っていて見かけ上気にならない時には、数年にわたって根管治療をしたときの窩洞にただコンポジットレジンを充填しただけで放置してしまうことです。もっと悪いのは、切り株のように根管充填されたままむき出しで臼歯部に放置されているモノもお口に見かけます。これは大変に予後が悪く歯冠部を補綴しても長く持たないと思います。上述の理由から、根尖病巣の再発で根管治療が無駄になるリスクが高いのです。早く歯冠補綴をして歯牙を機能的なカタチできれいに保存しましょう。


○補綴修復物の精度が悪いと歯内療法の予後が悪い

精度の高い補綴治療が、歯内療法の予後に関係することが示唆されたことから,「私は精度の高い補綴処置を行うよう最大限の努力をしています。」

ごく最近も補綴物の作製でも、精密印象をやり直しているケースが2例ほど有ります。患者さんの唾液や歯肉のコンディションなどにより細部まで充分に細密な印象が採得できない時があります。患者さんにお時間を更に頂き、再度印象をすることがございます。そういった場合には、どうか精度ある補綴物作製に必須であるため,ご協力をお願いします。


○総合的にレベルの高い処置で安全な歯科治療が可能になる

補綴学と保存学では、交わらないような印象を歯科医師でも未だに持っている先生が多いようですが、実際は相互によい処置が成された時にリスクの低い安全な歯科治療が可能になります。
昨今、ただ白くきれいな歯にしたいといった一面的な審美志向へ偏った要求をされる患者さんには、認識を改めてもらいたいと思います。「審美歯科」といった造語を使う歯科医師と患者さんの両者に言っておきたいことです。目に見えないところが大切なのです。


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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。