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2010年8月10日

先日、週刊朝日に3週連続企画でインプラントに関わる危ない実態の記事が載っていました。マスコミの中では、歯科に関して面白い記事を書くことで有名な週刊朝日が、真っ当な記事を載せていました。

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「週刊朝日」10/16号、10/23号、10/30号の3週連続企画として、インプラント周辺の諸々の危険な問題を伝えています。



今回の「週刊朝日」は真摯にレポートしていると私は評価いたします。ただ、最終的にはどのケースでもインプラント自体にリスクが大きく存在する事までは、
歯科医師の反論に留意して触れていませんでした。大きくインプラント治療を宣伝したM大学の教授やインプラント学会の記事広告(お金を払って掲載する記事
を装った宣伝)も既に「週刊朝日」は掲載している訳ですから、こういった広告を出してくれるお客さんがいるので、余り悪く書けない訳です。



しかし、この企画では"インプラント周囲炎(peri-implantitis)"の話を挙げていたのですから、聡明な読者の一部は、ここに書かれていな
い本来のリスクの存在をも行間から読み解いたことは想像に難くありません。そのリスクに関しては、この後書かせて頂きます。



*週刊朝日を購読していない方で、この記事をお読みになりたい方はバックナンバーが公立図書館に保存されていますから、上の3号の複写を図書館に請求して下さい(詳しくは各図書館におたずね下さい)。





「 まずは義歯を第一選択にする 」



ここで、最もリスクが少ない義歯の長所と「義歯は噛めない」といった誤った認識に関して、認識を新たにして頂きたいと思います。



私は、著書や論文の共著者でもあり、今回「週刊朝日10/23号」にもコメントを寄せた弘岡秀明先生のオフィスへ10年ほど前までは頻回に遊びに行っておりました。その当時、患者さんも数名任されていました。



任された患者さんの中で、某有名会社の役員をされている患者さんがいました。この方は、上顎が重度歯周病で、全部保存できない状態だったので、全部抜歯し
てインプラントを埋入する予定でした(弘岡先生の治療計画)。まず、予め歯がある状態で印象して、抜歯した状態を想定して義歯(即時義歯)を作製してお
き、抜歯と同時に義歯を装着しました。治癒と共に変化する顎に合わせて何回も修整して、3ヶ月程で即時義歯で快適に噛めるようになりました。



患者さん曰く、「これで何でも良く噛めるね」「義歯は噛めないって聞いてたけど、ウソだね」「でも、インプラントならもっとしっかりしていいんでしょ?」



多くのインプラントを希望する患者さんは、義歯ではご馳走が噛めないと思っているようです。噛めないと思っているから、インプラントにしようと考えるので
しょうが、適切に調整した義歯は,例えこのような即時義歯でも大変に良く噛めて吸着も良いのです。これは、局部床義歯(部分義歯)でも同様です。



結局この患者さんは、この後その義歯のままインプラントへ移行しなかったように聞いています。ちょうどその頃、この患者さんの会社の女子スポーツ部(実業
団系チーム)が解散したとのニュースを聞きました。業績悪化で役員給与もカットされたような状況だったのでしょう。そういった中、高価なインプラントでな
くて総義歯で充分だと思われたのだと想像しています。この患者さんにとっては、むしろ総義歯がベターな選択だったかも知れません。



このように、何本ものインプラント体をケアし、リスクを背負って生活するよりも、チャージも安い安全な義歯で解決する方が患者さんにとって良い場合は圧倒的に多いと考えています。もちろん、リスクを受け入れた患者さんの選択ならインプラント治療も可能ではありますが。





「 埋入後はインプラント周囲炎対策は必須 」



「週刊朝日10/23号」にも載っているように、インプラントが埋入される部分以外の残存歯部分にはインプラント埋入前に、歯周病やう蝕などの感染を充分に除去しておく必要があります。



もっときちんとした言い方をすれば、歯周病処置(う蝕処置含む)をする中で、欠損部対応の一方法論として、インプラントを使用するのです。もちろん、術後のプラークコントロールはインプラントおよび残存歯牙ともに徹底する必要があります。



残念ながら、多くの先生が全顎的に歯周病治療を全く施さないで、欠損部にいきなりインプラントを埋入しているのが現状です。全顎的に歯周病治療をしないで、インプラントを埋入するような先生の治療を受けるのは、大変に危険ですから絶対に避けて下さい。



歯周病やう蝕などの感染除去を徹底する根拠は、(細菌が棲む)感染組織が口腔内にある場合は、そこから悪い細菌が移動してインプラント周囲へ棲み着く可能
性があります。そうなると,インプラント周囲炎の可能性が高くなるのですから。(=インプラントがダメになる可能性が大きい)



また、私は歯周病の講習会でインストラクターをしておりましたが、インプラントを精力的にしている名前が出ている先生が、基本的な歯周病の治療や知識がな
いことを目の当たりにして、歯科界の現状にショックを受けました。またどれだけ、患者さんに迷惑を掛けたのだろうかと怖くなったことを思い出します。





「 インプラントは強いと言った先生は嘘つき 」



都内Yデンタルクリニックの院長は、日頃「インプラントは強い」と言ってはばからないそうです。インプラント周囲炎が、平気なのでしょうか?



天然歯に比べて、インプラント周囲は細菌感染に強くはありません。むしろ、天然歯牙周囲(歯茎)より細菌感染の侵襲を受け易い側面があります。ですから、ダメになりやすい傾向があります。



あるインプラントの第一人者と言われている先生に至っては、インプラント周囲につくプラークが無害のような事を、講演で平気で言及されていたことは有名な
話です。特に、残存歯があるのにプラークに問題が無いというのは、細菌学や歯周病学を知らないヒトのコメントです。スーパーバイザーとして驚く程の無知で
無責任なコメントと言わざるお得ません。権威者と目される方までこの程度ですから、一般の無知な歯科医師では、どの程度のレベルか想像に難くないと思いま
す。



更に付け加えると、天然歯牙の場合は歯周組織へスケーリングなどの歯周病の治療が可能ですが、人工物のインプラントの場合は、そう簡単に治療できるわけで
も、やられた組織が天然歯牙のように簡単に治癒するわけでもありません。多くの場合進行を止めることすら難しいのです。未だ、侵されたインプラント周囲の
治療方法は確立していません。インプラントの周囲炎では、一度やられた際には、天然の歯牙における歯周病より遙かに急速に進行してしまいます。



ですから、既に埋入されている患者さんでは、インプラント周囲炎にならないように天然歯以上の厳格なプラークコントロールが必要なのです。患者さんにイン
プラントを埋入した後、患者さん自身が質の高いケアが可能か否か想像してみて下さい。そもそも、歯牙を失った原因は歯周病です。これは、プラークコント
ロールが悪いから生じた訳なのですから。どんなに、プラークコントロールを指導しても、どれだけ長い間こういったケアが持続できるか?特に高齢者では、以
前より質の高いケアなど非常に困難なのですから。







「 ケアが困難なヒトに、インプラントを勧めるのは良心的か? 」



人間、60代頃から急に体が故障する傾向が強くなります。入院をすると、必ず口腔清掃は悪くなります。そういった時、インプラントが口腔内に埋入されてい
る患者さんは、インプラント周囲炎のリスクが著しく高くなります。(インプラント埋入患者さんは、平均して60代以上の方が多いと思います。)



現在、日本の病院ではインプラント装着患者を想定したような質の高い口腔ケアを看護師がしてくれる訳ではありません。もちろん自宅でも充分なケアは無理で
しょう。ですから入院した場合や自宅療養でも、インプラントがダメになり易い事を考えなければなりません。そういったことを公で誰も語らないことは不思議
でなりません。



大学の教授などへは、研究費の一部や一種の見返りが業者からきているので、インプラント関連でネガティブな事を言わない傾向にあります。また、無知な臨床
家に沢山インプラント材料を売る業者は、インプラント関連で問題が起きても、自社に火の粉がかからない程度であれば、自社製品を沢山売ることだけに奔走し
ます。このように歯科界での全く顧みられない悪循環は、多くの患者さんに結果的に迷惑を掛けているのです。ただ多くの患者さんは、インプラントがダメに
なって初めて気がつくのものなのです。



お年寄りや、初老の患者さん達(=小金持ちの方々)をターゲットにして,どう考えてもケアができないような状況が想像できるのに、平気でインプラント治療を第一選択として勧めるような歯科医師が良心的でしょうか?



この点、よく考えて下さい。



私は、こういった患者さんにリスクを説明することなしに、すすんでインプラントを第一選択で勧めるのは、一種の詐欺行為だと考えています。



これは、口腔清掃ができなくなった患者さんの例です。こういった事を知って、あなたはどうお考えになりますか?







「 インプラントの故郷・スウェーデンでも困っています 」



忘れてはいけないのは、インプラントは社会保障制度が充実した北欧・スウェーデンに生まれたシステムだということです。



0歳から居住区内のドクターに毎年検診を受けて、う蝕や歯周病に関する知識の指導やそのケアを受けるように国家的にサポートが整っています。スウェーデンで国をあげての医療改革が行われて既に30数年経っています。ですから、う蝕も歯周病も激減しています。



また、国の負担(現在は一部負担かも知れません)でインプラント治療も行われていますが、診査を受けて適応症の患者さんに専門医が治療する訳です。ですから、埋入前・埋入時・埋入後のケアは日本に比べれば遙かに正確で徹底しています。



病院では入院患者には、専門のスタッフがケアをしてくれます。このようにオールラウンドのバックアップがスウェーデンでは存在します。こういった状況でも、スウェーデンでは1/4人がインプラント周囲炎に罹患してしまうとの統計が既に出ています。



さあ、全てにいい加減な日本ではどうなるか想像して下さい。全く、日本の国民(患者さん)は本当の姿を解っていないようです。現在も沢山訴訟が出ているよ
うな状況です。十年後は、トンデモナイ結末になると考えています。そうなれば、日本のインプラント治療の本当の姿を知って、インプラントを安易に希望する
患者さんはいなくなるのではないかと想像しています。





「 インプラントとは本来、リスクがあるモノ 」



日本では、多くの先生がリスクを説明しないでインプラントを患者さんへ埋入しています。(リスクを説明すれば、インプラント治療をあきらめてしまうと考えて、説明すらしないことが一般的です。)



診療契約時、インフォームドコンセント(説明と同意)をする際、リスクの説明が不可欠です。リスクの説明がない先生方は、インフォームドコンセントが完了していないまま治療に入ったことになり、これは法的にも大問題だと言えます。



どんなに、完璧にインプラント治療が完了しても、その後が問題です。インプラント周囲炎などは、あらゆるケースで生じる可能性があります。ですから、良い先生に診てもらったと喜んでいる患者さんも、ケアを怠れば結局ダメになるものなのです。



私は、17年前に米国のメイヨ・クリニックの教授のレクチャーや実習を受けてブローネ・マルク・インプラントを教えて頂きました。しかし、歯周病学を深く
知るにつれてインプラントのリスクが大きいことを感じ、(上に書いたような理由から、)インプラントを臨床で勧めることを止めました。



インプラント治療中までは、ほぼ歯科医師がコントロールできるステージです。しかし、その後は我々歯科医師が必ずしもコントロールできないステージになり
ます。必ずしも責任を持ってケアできないステージが長いほど、問題は我々に処理できない部分で発生します。ですから、責任ある治療をしようと考える私には
どうしても選択できないのです。



何も解らない多くの先生方が無批判にインプラント治療を行っているこの状況だからこそ、尚更自信を持ってインプラントを避けるべき方針を私は表明します。



私だけではなく、海外留学をされた先生や専門的見識が非常に高い先生の中に、批判的な方が意外に多くいることも心強く思っています。



安全な方法論を採って、患者さんに確かな治療をお勧めすることが私のポリシーです。







◎麹町アベニューデンタルオフィスでは、このブログで述べたようなポリシーをもって正確に治療しています。ポリシーに共鳴された方、歯でお困りの方は虫歯一本から丁寧に治療させて頂きますので、お気軽にご連絡下さい。



また、お口の中全体に及ぶ治療をお考えの方は、カウンセリング(診断及びご相談)の時間を充分お取りしますので、お問い合わせ下さい。





*私のブログに共鳴された方は、ご自身のブログにリンクして下さい。

ー3MiX-MP法は何故人気?ー
 3MiX-MP法は、かなり以前から私も知っておりました。なぜか、この頃TVや雑誌などマスコミで大々的に3MiX-MP法が紹介されています(誰が売り込んだのかは解りません)。その際、「無痛治療」「麻酔なしで出来る虫歯治療」「虫歯が薬で治る」など、全く見当違いの売り文句が使われています。これは、患者さんの多くが歯科治療で"痛い"という事を嫌がる傾向が強いため、"無痛"や"痛くない"などの文句を加えるとそれだけでセールスポイントになるという、全く安易な作戦を使ったわけです。しかし、こういった患者心理につけ込まれ、踊らされている患者さんも多いように思います。3MiX-MP法では、"全く痛くない"といったこと自体が嘘です。確かに、有る程度"無痛"と言ってよい状態で治療できるケースは多いとは思いますが、麻酔を使用しない方法で行うなら、深い齲蝕(虫歯)のケースでは程度の差こそあれ、疼痛が生じます。逆に、通常の齲蝕治療(虫歯治療)は麻酔下で行うので麻酔が効いていれば術中の痛みは特にありません。
 また、時に"麻酔薬が毒なので使用しない"といった理由を言う先生がいますが、麻酔をしないことで痛くて完全な治療が出来ないのなら、この方が遥かに害があります。
それよりも何よりも、この方法やその扱われ方には、根本的におかしな部分が沢山あります。ただの小さな事とお思いになるかも知れませんが、実は歯科医師の倫理的でない姿勢までもが露呈してくる事柄なのです。
以下は、少し自分のことを棚に上げてお話ししますがお許し下さい。

回りくどいお話なので、ご興味のない方はお読みになれないと思います。これをご理解いただいた上で、読み進んでください。また、歯科医師の方にこそ、お読みいただきたいと思います。

ー歯科医師の多くが、正しく虫歯治療を行っていない可能性があるー
 私も、齲蝕治療(虫歯の治療)を日常的に行っておりますが、一般の歯科臨床医のかなり多くが真っ当な齲蝕治療さえ行っていないだろうということを日常的に感じております。

この理由は、かなり多くの充填物(インレーやコンポジットレジン)が適切に充填されていないかつ精度不良である点と、充填物を除去すると、二次齲蝕(充填物と歯の間から細菌が侵入して虫歯を作ったもの)のみならず、軟化象牙質(細菌に侵され、軟化・変色した象牙質)の取り残しと思われるモノが多く観られ、歯痛の原因はこういった不完全な処置が原因と考えられるからです。

 私の臨床経験からは、深い齲窩(虫歯の穴)でも、軟化象牙質など齲蝕検知液(細菌が侵入している歯質が染まる液)で真っ赤に染まった層とその下層の薄いピンクに染まった部分まで除去し、必要が有れば覆罩(歯髄保護)し、露髄(神経組織の角が露出)していないのなら、適切な充填処置をした後は歯髄炎(歯髄の炎症、ズキズキ痛み出す)に移行することはむしろ希です。

ですから、齲蝕処置では多くの場合、初めから3MiX-MP法など薬剤を使用する必要性がない
と考えています。また、再石灰化などの修復機転が3MiX応用にのみ生じるような印象をうけますが(そうは書かれていないかな?)、そうではないと思います(*)。



*再石灰化など齲蝕処置後の硬組織・修復機転自体、他の無菌操作(化学的処理や機械的除去のみ)によっても生じると思います。換言すると、齲蝕の際に観られる透明層は、生体防御反応による高石灰化層であるといえます。これは、細管が閉塞しているので、検知液では染まらない健全な層です。この層を上手く残せれば、問題になりません。
理屈から言えば、象牙細管が完全に閉塞していれば痛みもありません。逆にこの層がキレイに残ったような状態では、抗菌成分の帖薬に何も意味はありません。3Mix-mp法は、こういった側面からも方法自体に矛盾を含んでいます。

ー当院での齲蝕処置の一例 (3MiX法など使いません)ー

 3MIiXーmp法のような詐欺療法を使わないで世界標準の正しい治療方法でう蝕治療をした臨床例を画像と供に提示致します。


これは、数日前に行ったある患者さんの齲蝕治療です。日常的に行っているケースを例として提示しました。特に3MiX-MP法に対し比較するためにお見せする訳ではありませんが、当院での基本に即したスタンダードな処置の一例と思ってください。当然、3MiX-MP法など使用していませんが、予後は良好で術後に疼痛もありませんでした。
す。
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下顎左側第二大臼歯には、金のインレーが充填されていますが、辺縁が不適合な不良な充填状態です。詰め物と歯との間から細菌が内部に侵入していることも疑われます。このような不良修復物に、金合金であるというだけの理由で数万円の自費治療費を支払ったのですから、この患者さんは気の毒です。

歯の背景の緑色の部分は、ラバーダムというゴムの膜です。これを使用しないと唾液や呼気の湿気などで術野が汚染され、処置(接着にも障害があります)が適切に行えません。当院では、歯内療法やこのような修復処置時には必ずラバーダム防湿法を使用しております。残念ながら、日本では多くの医院でこれが実践されていません。特に、歯内療法(根の治療)時にラバーダム防湿法を使用しない先生は、適切な診療をしていないので上手く治せないと思います(予後不良)。医院を変えた方がよいでしょう。
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金インレーを除去したら、近心側(歯の前側のコンタクト部)に齲蝕が見つかりました。下層には齲蝕が大きく広がっています。写真では隠れていますが、遠心側にもコンタクトから波及している齲蝕がレントゲン上で確認できました。これも(写真には出ていませんが、)近心側と同様に治療しました。
近心側に齲蝕検知液に赤く染まる感染巣が確認できます。感染歯質の除去と検知液での染色・水洗を何回も繰り返しました。
検知液で赤く染まった感染歯質を完全に取り去った後の様子です。術中には超音波器具に小さいダイヤモンドチップを付けたモノを使用したり、エキスカベーターという耳かきのような小さな先端部をもった手用器具で丹念に除去してゆきました。 実に、この操作に時間がかかるのです。この時は近心側と遠心側合わせて30分ほど時間を要しました。最終的な除去状態の確認と取り残しの除去は、マイクロスコープを使用し拡大下で行いました。また、近心側コンタクト部には、メタル製隔壁(マトリックス)を挿入しました。 さらに、クサビ(写真ではブルーのモノ)やリングでコンタクト部をわずかに離開させて充填し、コンタクトが喪失しないように形状を再現しました。

充填後

コンポジットレジンという強い可視光線で硬化する材料により天然歯のように綺麗に充填を完了しました。この時、解剖学的形態を再現し、硬化時収縮など生じないように注意するため、小部位に分けて充填してゆきました。このため、充填操作に20分ほどかかりました。

このように、正しい方法の丁寧な齲蝕処置では、たった1本の歯にも麻酔を施す時間を含めればチェアータイムが1時間以上かかります。齲蝕処置では微小部分を丁寧に治療する必要があります。どうか、繊細な操作を必要とする治療の価値をご理解いただきたいと思います。

健康保険での診療は、負担金が少なくてすむため、患者さんにとっては有り難い制度です。しかし、採算性から十分に時間をかけられないことが多く、結果的に不十分な治療となり、この症例のように感染巣の取り残しなどが原因で後で虫歯が進行する事が起きるかも知れません。そういったことと、対価を払ってこの治療のように十分な時間をかける良い治療(自費治療)を受けるのとではどちらをあなたは選びますか?


ちなみに当院では、これは3万円の自費治療*です。技量や治療時間など考慮されていない保険治療ではこれは行えません。ご理解いただき、真っ当な歯科治療をさせて頂きたいと思います。

*治療費は、ケース(虫歯の状態)や充填物の種類により異なります。また、充填する範囲によって、充填方法などが変わります。詳しくは、来院時にお尋ね下さい。

ー歯科における薬剤療法は正しく研究されるべきことー



 ところで、私の父親は以前ある保存学系学会の会長をしておりましたが、大学研究室も介した研究テーマの一つには、難治症例における抗生剤などの使用によ
る研究が有りました。根管(歯の中心にある歯髄が入っているところ)に感染した細菌に関して、寒天培地で感受性試験(薬剤効果の有無の判定)をして、抗生
剤の効果などの研究をしていたわけです。感受性試験は、一般臨床家がチェアサイドで簡易に行えるわけではないので、研究目的での方法論の域を出ませんでし
たが、難治性といわれたモノに対しては、有効な場合が多かったのです。あくまで、ルーティーンで薬剤療法を行うわけではなく、一般的治療法で治癒しない、いわゆる"難治性の症例"に対して、感受性試験を行って有効な抗生剤を局所に使用する療法であったと認識しています。

cf. 3MiX-MP法による歯内療法への適応では、3MiXのカバーするスペクトルが広域(多くの菌に効く)で万能であるような前提で使っているように思います。先の研究での難治症例では、こういった三剤に感受性のない細菌や真菌感染(抗生剤は効かない)による症例が幾例も存在していました。3MiXが歯内療法でも万能であるような考え方は、少し安易であろうと思います。


 3MiX-MP法のオフィシャルサイトに書かれている事柄は個別に観れば全くの間違えではないと思われることもあります。しかし今のように臨床で全く根拠なく自費診療のネタとして使っている現状は非難されるべき行為です。絶対にこのような馬鹿な臨床家に騙されてはいけません。


 ところで、3MiX-MP法のサイトでは、この療法を完全にマスターした先生が10名足らずと記されています。では、マスターしていない先生は、勝手に診療室で"治験のようなこと"を日常的にしていることにはならないでしょうか?"治験のマネごと"や、正式な"治験の結果を得ていない療法"を、臨床医がオフィスで行うべきではありません。ですから、集団で"根本的に過ちを犯している"と思います。

 もう一度言っておきますが、私は歯科における薬剤療法自体には賛成です。もっと研究されて良いと思っています。しかしこれは、科学的根拠を探求できるだけの資格のある歯科医療機関、すなわち主に大学で正式に行われるべきことで(開業医中心の研究グループではなく)、決して一般開業医の個別オフィスでいい加減に行われるべき事ではありません。

さらに治験は、倫理規定をクリヤした科学的プロトコール(研究計画)に則り行われるべきです。そして治験結果から、確固たる科学的根拠に基づく治療方法が確立し、認可が下りた製薬会社の製剤を使用して、その治療法が一般臨床医に正しく使用されるようになる事が医療倫理を考慮すれば、正しい手続きだと思います。そういったステップに時間がかかると言うかも知れませんが、ステップを飛び越えたら過ちを犯すことになりかねません。これは、素人でも解る簡単な理屈です。(正式に研究機関の治験で行われるのならば、製薬会社から正規に入手した抗生剤の原抹を混合して使用すべきです。)

 新潟大学の先生らの基礎研究は、ある程度行われているようなので(論文が出ている?)、もっと確かな方法論でこの治療法を臨床面で確立すべきだと思います。学内での何らかの問題がネックになって出来ないことは多いと思いますが、巷の臨床医に野放しで臨床応用されている現状は誠に残念です。
(もっとハッキリ言えば、この方法を著しく"怪しく"かつ"ナンセンス"な方法としか学内でも受け取られていないので、治験が出来ないのだと言えます)。この方法の表層だけマネをして、"無痛治療"などと宣伝している医院がかなり増えてきことは危険な傾向です。患者さんは、こうした似非専門医に騙されないようにご注意願います。そして、こういった状況では薬剤を使った歯科治療自体の評価が著しく落ちることは必至です。

ー3Mix-MP法は、薬事法違反では?ー

 3MiX-MP法で使う薬は三種類の抗生物質を乳鉢などで粉砕し、各医院で調剤されたモノです(いわゆる自家製剤を使用する治療法)。
しかも、これらの調剤法が研究学会で説明や指導もされていました(関連HP参照)。本来の使用法が粉にして虫歯などに使用する目的で作られていない薬剤であり、かつ勝手に調合や複数の薬を調剤しているため、明らかにこれは薬事法違反だろうと思われます。
10年以上前ですが、この自家製剤を作っている事実を外国の教授陣が知って"信じられない"、"日本人はクレイジーだ"と驚いていました。このような"自家製剤を臨床家がかってに作る事"が、医療人としてトンデモナイ行為だという認識が、日本では全く歯科医師にないのも情けない限りです。
 すでに数年前、千葉県の歯科医師会から自家製剤を使用する3MiX-MP法に関して、薬事法違反の可能性など数項を載せた通達文が配布されたことがあります。歯科医師会の見識がいつも正しいわけではありませんが、この件に関しては、歯科医師会の薬事法違反の可能性を示唆した見解については私も賛成しています。なぜ、医療の論理的筋道や医療倫理を見識があるはずの先生までが理解していないのか?誠に不思議でなりません。


 一事が万事です。すなわち、現在の日本では医療倫理に即しポリシーを持って行動できる歯科医師が指導的立場にいる先生でも非常に少ないのです。このように、残念ながら日本の歯科医療は全く信用できない状況に陥っているのです。
他業界のヒト達から歯科医は馬鹿だと言われるのはその程度の倫理観しかないからです。


ー最後にお読みいただいた患者さんへの一言ー


 3MiX-MP法は、まだその効果や臨床手技が確立されたものではなく、また研究機関で臨床面での正しい治験が成されていないようです。すなわち、まだ未知数な治療法で、本来これを一般医が臨床に応用してよい時期には未だ至っていないはずです。
というより、基本的に間違った治療の方法論です。
ですから、もし患者さんが"ボランティア"のようなカタチでこの治療を受けるならば、問題が生じる可能性があります。特に、術者が齲蝕治療の基本を忘れて、3MiX-MP法の効果を過信するならば、リスクはさらに大きいと思います。そして、何よりもこの療法をウリにする歯科医師の医療倫理的に問題がある姿勢にこそ、日本における歯科界の根深い問題があるという事を忘れないでください。


当院にも年間に何人も3mixーMP法を受けたという方がお出でになります。多くは治療を受けた部位に疼痛があるので来院しています。そして、変色した軟化象牙質が窩洞から発見されます。はっきりと原因除去しないまま薬剤の効果を期待する原因除去療法の基本を間違えた治療法です。そして患者さんへ迷惑をかけています。

 上のような理由から私は、この方法を全くオススメいたしません。これをお読み下さった皆様には、怪しげな効果を宣伝してすり寄ってくる療法に惑わされることなく、慎重に歯科医院を選択され、基本に忠実な正しい歯科治療をお受けになるようお願いいたします。


○3MiX-MPオフィシャルサイトHP:http://www.3mix-mp.com/ 

↑この方法を研究されている先生方のHPです。



○mixiのニュースでも この問題が冷静に書かかれていますので 、mixi会員の方は是非お読みください。



http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=44&id=507416

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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。