私は、下町が好きで以前は文京区千駄木に住んでいました。下町の馴染みの店で飲んでいると、歯科医院の悪口をよく耳にしました。下町の人間はとにかく口
が悪いヒトが多いのです。同業者としては、辛いものがありました。それは、だいたい以下のようなことです。すべて、控えめに標準語に言い換えています。
ココにあげるのは、ほんの一部ですが...
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1.診療時間が短い(1回15分位で、ハイまた次回)
まず、保険主体の医療環境であれば、当然時間をかけた診療をすると不採算きわまりない状況になると思います。ですから、全体に時間的余裕を持たせた診療が可能となるには、対価以上の診療費を自費診療から得ることが一方ではどうしても必要になります。
ところで、これは歯科医院を経営する側の意見ですが、昨今の景気悪化を考慮すると、以前ほどの自費診療を患者さんから頂くことは難しくなってきました。
そういった中で、もしコミュニケーションが取れる余裕ある医院を探すとすれば、自費主体の医院か、不採算をある程度承知で診ていただける良心的歯科医師を
捜すしかありません。しかし、なかなか難しいと思います。
私は、自分のオフィスではできるだけ時間をさいて患者さんと、コミュニケーションを取るように心がけています。特に、ある程度のまとまった処置を必要と
する患者さんへは、初診時には1時間程度は時間を取っています。患者さんの根本的な考え違いなど、時間をかけてお話ししないとこちらも解らないことがあり
ます。また、丁寧に基本的な考え方をご説明しないと患者さんにも、必要な歯科治療がご理解いただけないことが多いようです。
我々歯科医師は、専門分野の人間として治療のご説明をし、治療方針の提案を致します。ですから、これに関しては、聞く耳をお持ちになって欲しいと思いま
す。先日も、自分のご希望と合わないということで、こちらの説明を理解しようともしなかった方がおりました。残念ですが、あれでは今後まともな治療は如何
なる医療機関でも、お受けになれないだろうと思いました。
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2.医院内部が汚れていて汚い
3.器具が錆びていたので、行くのを止めた
知り合いの店でよくお会いする中学校のある先生が通っていた近所の歯科医院で、治療用のトレーに乗った器具が錆びていたそうで(患者さんの言)、それを見てそれ以降その医院には通わなくなったそうです。
現在、多くの医療機材がステンレス製で耐蝕性がありますが、一部の切削器具に錆び易い鋼(刃がね)を使用したモノも使うことがあります。このケースでは、どんな器具だったか解りませんが、医院全体が汚いそうですから、治療内容も悪い歯科医院だろうと思います。
2,3これらは、医療機関としては致命的です。まず、医院の清掃が行き届いていないところは、医療機器や器具の滅菌など、必要な感染予防処置が十分でな
い懸念もあります。こういった医院へは通院を避けるべきでしょう。よく言われるのは、「待合室が汚い医院は通ってはいけない」というものがあります。私
も、これは常識だと考えています。
最近、銀座の眼科で、レーシックの手術を続けた結果、沢山の患者に術後に感染症が併発してしまったという事件がありました。これは、手術器具の滅菌管理
が徹底されていなかったからです。医療機関でこんなずさんなことは許されないはずです。しかし、全く患者さんはそういったことに気づかず、来院患者が次々
にあったようです。なぜか、医療常識を無視した診療をしている医療機関へ吸い寄せられるように多くの患者さんが受診してしまう例を目にします。そういった
医療機関は、下品なまでに雑誌などに宣伝広告を沢山出している傾向があります。派手目の宣伝には怪しさを感じるくらいの感覚はお持ちになった方が良さそう
です。まさに実情を知らないのは、患者さんだけなのかも知れません。
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4.仮歯のまま1年以上になるが、新しい歯を入れてくれない
これは、ある店で以前頻繁にお会いしていたある会社の社長さんのお話です。中央区のある有名な先生に、インプラントを含む有歯顎の治療を受けていたよう
です。そして、大きな規模のプロビジョナル・レストレーション(=テンポラリー:クラウン:レジン製の仮歯)が装着されていたようです。
「1年以上、仮歯を入れてるんだけど、先生が一向に最後のブリッジとか入れてくれないんだけど、これ、おかしくないですか?」「何かおかしいはずだか
ら、先生、おかしいと言ってくれませんか?」といったことを私に言ってきました。この方が通っていた先生は、私も名前は良く知っている先生でしたが、主治
医でない私が事情も知らず、かつ診察もしないで勝手に治療に関して言及すべきでないので、何も言わずにいました。何回も会う度に言われたので当時は本当に
困りました。
プロビジョナル(仮歯)のまま、1年以上お使いいただくことは、オペを数回する場合にはさほど珍しいことではありません。事情はわかりませんが、説明を
できないような歯科的問題もあったかも知れません。その後トラブルが生じたことは、想像に難くありません。まず、この場合必要な患者への説明を主治医が
怠った可能性があります。このケースでも患者と先生とのコミュニケーション不足が関わっていると想像できます。
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5.うちのおばあちゃんは大学病院に通っているが、眼の下が腫れてきた
これは、某国立大医学部病院に三叉神経痛の治療で通院していた近所のおばあさんのお話です。この方の場合、医学部に受診していて、その間に歯科領域の問
題が生じたにもかかわらず、神経痛からはそんな症状は生じないと言っただけで、医科の主治医が同大の歯学部へ受診するよう勧めなかったことが原因です。上
顎犬歯(犬歯の感染根管→急発)が原因だったようで、眼下部がお岩さんのように腫脹してしまったのです。ここで、担当医師が歯科領域の原因だと解釈でき
ず、併設の歯学部・保存科に即座に受診を勧められなかったことが問題でした。このおばあさんの家族から、間接的に飲み屋の店主を通じて私に相談されたの
で、とにかく歯学部で診てもらえるよう勧めたのです。それで、そのおばあさんは隣の歯学部の病院へ行き、それ以上大事に至らないで済んだのです。
この例は、医科の融通のきかない病院組織で生じた問題ですが、歯科領域の疾患を医科では診断できないことがあるという1例だと思います。歯学部が隣にあ
るにもかかわらず、こうなるのは理解できませんが、これが実情です。信じられないことですが、大学病院などでは、担当医が個人としての責任を放棄するよう
な傾向も時々見られます。自分の分野外のことは、知らぬ顔をするのは呆れますね。こうなると,自分の身は自分で守らなければいけないのか?と悲しい気持ち
になりますね。でも、究極的にはその通りなのです。
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6.顎の障害で歯を診てもらったが、歯をガリガリ削られた結果、全く治らなかった
これは、大変な問題です。いわゆる顎関節症(TMD)の患者さんは、色々な医療機関に通い,結局治らない,悪化したなどの訴えをされる方が多いように思
います。症状によっては,何もしないことが最良の方法となることも多いので、ある程度経過観察するようにすべきかも知れません。
顎関節症では、
・口が開かなくなる
・顎が痛む
・口を開けると顎がガクンガクンして音が鳴る
・顎から肩のあたりまで筋肉が痛み肩もこる
・顎が痛くて気が変になりそうだ
などと、色々な症状や訴えが起きます。
顎関節症は、原因と成り得るモノがいろいろと考えられ、その原因を取り除かない限り完全には治ってくれないと思います。よく見られるのが、痛みなどに対
する対症療法を延々としている例です。私は日本国内には、質の高い顎関節症の研究機関とその研修施設が、存在しないと思っています。ですから、どうしても
我流で治療しようとする先生が多く、
症状の悪化を招くことも希ではありません。
一番問題になりやすい治療方法は、
咬合調整と称して、顎関節症患者の歯牙をガリガリ削って治療しようとする方法論です。よく調べもしないで、根拠もなく、安易に咬合調整を行ってしまう先生が一部にいることは事実です。
歯は、安易に特に広範囲に削るべきではありません。切削は、非可逆的変化を歯牙に与えてしまうので、確かな分析(←実はこれが曖昧なことが多い)で、この方法を採ることが最良の方法論となる以外には、可及的に避けるべきです。
10年以上前、あるテレビ局のニュース内の特集で、"顎関節症の名医"と称する先生が、患者さんに咬合調整をしているシーンを流したことがあります。受
診前には、顎関節症の症状がひどく自殺まで考えたという若いOLが、受診後一瞬で信じられないほど症状が軽くなったと語っておりました。いわゆるヤラセじ
みて見えるシーンです。この先生は、我々の世界では評判が良くない有名な方だったので、「マスコミに上手く取り入ったな」と、私はその時感じました。
潜在的に患者さんが沢山いる顎関節症のような疾患に対しては、宣伝をすると全国から患者さんが来ます。勘ぐった言い方をすれば、この疾患をターゲットに
儲けようという怪しい先生も当然出現します。ですから、安易に記事広告(雑誌の記事を装った単なる宣伝)や先生がお金を払い掲載して貰う「名医辞典」を疑
い無しに信じて受診することは避けるべきです。日本国内に、米国並みの専門医育成機関ができることを望みます。
*顎関節症に関しては、研究や専門的なトレーニングを受けていないので、私自身が積極的に加療することはありません。ただし、う蝕や歯周病を治療した後、結果的に顎関節症状が良くなった方はいます。
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7.入れ歯が浮き上がって、ご馳走が食べられないので困っているが、ある先生に執拗にインプラントを勧められ困っている
現在、まともな義歯も作れない先生が多いように思います。義歯をしっかり勉強する機会も、そういった気持ちもない先生が多いからだと思います。義歯が不安定な問題は簡単な話で、多くの場合は先生の技量がないのです。
最近では儲かるので、欠損部があればインプラントを勧める傾向があります。義歯を入れずに自分の歯のように気持ちよく使えるといったふれこみで、宣伝さ
れていることが多いようですが、私がBlogで何回も言及しているように、リスクなど考慮すれば,安易にそういった治療を第一選択すべきではないと思いま
す。
実は、昨日某医科大に勤務する先生が、私の文章をネットでお読みになり来院されました。彼女のお話の中で、「すぐにインプラントなどいれる先生にはかか
りたくない」とおっしゃっていました。また、「インプラントのような人工物を沢山入れるなんて、怖くて信じられません」ともおっしゃっておりました。私
が,今までお会いした医師の多くが、インプラントには否定的でした。これは、以下のような理由からでしょう。
・バイ菌の巣窟にインプラントが埋入されているわけだから、当然大きなリスクがある(常識的判断)
・医学的な基礎的知識もないような歯科医師が埋入するのは、おかしい(信用できない)
私も、これ↑には同感です。
欠損補綴ではブリッジが非適応の場合、まずは可撤式局部義歯や総義歯を考慮すべきだと思います。歯科医師も、従来型のオーソドックスな治療方法の習得を
優先すべきです。また、左のような従来型の補綴物が満足にできないような歯科医師は、インプラントなど治療すべきでないとも思います。
また、口腔内であっても、外科的手術で神経・脈管が集まる部分を扱うことなります。さらに、十分な知識・技量と緊急時の適切な対応も前提として求められる
のです。しかし、そういった緊急時の対応も含めて責任を持てるような対応ができるとも思えない歯科医師や医療機関で平気でインプラント手術が行われている
ことを知ってください。銀座の眼科での事件と同じようなレベルの問題も潜在的に歯科界にもあるだろうと思います。去年起きたインプラントオペに付随する死
亡事件など、氷山の一角に過ぎず、沢山の問題が起きているようです。
現在の日本の歯科界が少し冷静さを欠いています。もう少し、倫理性や患者の視点から歯科医師は客観的に、自身の行う歯科治療について反省すべき時期に来
ていると思います。患者さんの多くが、現在の歯科界の状況で迷惑を被っております。なぜか、患者さんがこういった確かな認識を持っていないので解らないだ
けなのです。あなたの受けた治療は、不都合・不完全・医原性疾患だらけかも知れません。
さて皆さんは,どうお考えになりますか?