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2009年9月29日

今回は、上顎前突を矯正学的に改善して、全顎的に安全な方法論で補綴処置した症例をご覧頂きます。今回も、自分のことを棚に上げて言いたいことを書かせて頂きますが、ご容赦下さい。







◎症例のイントロ



「 米国人はルックスから、英国人は日本人と同じ? 」



 ところで、日本人は民族的に上顎前突が多いのでしょうか?欧米の雑誌に、日本人旅行客が眼鏡をかけ、出っ歯(上顎前突)で首からNikonのカメラをさ
げた風刺絵を、日本人がエコノミックアニマルと呼ばれた70~80年代によく見かけました。これは、日本人を揶揄していたのですが、欧米のヒト達から見る
と日本人にみられる上顎前突が非常に奇異に映ったのでしょう。



 米国の中流家庭なら、もし子供が歯並びが悪ければティーンのうちに矯正をすることはごく普通のことです。私的体験ですが、チェルノブイリの事件があった
80年代半ば、米国の中流家庭はヨーロッパの汚染を恐れて、夏のバカンスは遠いハワイに変更して長期滞在することが多かったようです。私の宿泊したホテル
のプールでも、米国人らしいティーンエージャーが沢山遊んでいましたが、皆歯に矯正治療のブラケットを付けていたことを思い出します。ホントにほとんどの
プールで遊ぶローティーンが矯正治療しているので、びっくりしました。



 審美的な部分に執拗に固執する傾向は、特に米国人に強いようで、これに比べると例えば英国人などとは対照的な気さえします。



 例えば、グラムロックで有名だったデヴィッド・ボウィは、80年代まで乱ぐい歯(前歯叢生)のままでした。クィーンのボーカリストのフレディー・マーキュリーは上顎前突で、それを治さないままこの世を去ってしまいました。また、女性憧れのエルメスのバッグ=バーキンで有名なジェーン・バーキン(フランス在住、実は英国出身)は、前歯が空いた正中離開のまま活躍しています。この3人のショービズ界のセレブリティーがこういった状態なのです。こんな事に象徴されるように、精神性では米国人より英国人の方が日本人に近いように思えるのです。







「 多少の歯列不正なら問題はなし、でも重症な場合は... 」



 私は、日常的に歯列不正を抱えた患者さんを沢山診ていますが、歯列不正が余りにも著しい場合以外は、それを「治しなさい」などと滅多なことでは言いませ
ん。多少の歯列不正なら、その方の欠点にならない場合がほとんどだからです。口腔衛生の観点からも、正しい磨き方を身につければ、虫歯や歯周病にならずに
すむのですから。ちょっとした歯並びの不正も他人から観て気づかないことも多いですし、むしろ時としてチャームポイントにさえなる事だってあるように思い
ます。



 今回は、そういったチャームポイントなどにはなりえない、ご本人も長い間、気になさっていた上顎前突の症例を矯正学的に改善し、全顎的に補綴治療を施した一症例をご覧頂きます。







・・・・・・・・・・・・・・・





◎症例



患者:鈴木美保(仮名)

性別:女性

年齢:50歳

主訴:右上奥歯の冠が脱落したので治して欲しい



 鈴木さんが、「右上奥歯の冠が脱落したので治して欲しい」と来院されました。初めは、脱落部だけを治して欲しいとのことでしたが、お話ししている中で、上顎前歯部の前突も気になっていたので、これを含めて全顎的治療をすることになりました。







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上顎臼歯部の冠が脱落しています。これらの支台歯の歯質も変色しています。



 そして何より上顎前歯が突出して、前歯では噛み合わせがありません。口腔内に装着している補綴物も不適合なモノばかりです。





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 鈴木さんは、前突のために唇を上手く閉じられません。ひどくこのことを気になさっていました。前突になる方の唇の周りにある口を閉じるための口輪筋は、
筋力が弱い傾向にあります。口輪筋の力に対して、口の中の舌の突出圧が強いときには、歯が唇側に傾斜するようになり、結果"前歯が前突"することになりま
す。どうやら、前突した状態で以前にセラモ・メタル・クラウン(瀬戸の歯)が装着されたようです。



 この症例では、通常の症例同様にまず、全顎的にスケーリング&ルート・プレーニングしてできる限り歯周病学的問題を解決しました。



 また、前歯の根尖には病巣が存在したため、歯内療法学的治療(歯根の治療)もしました。(その各々には、コア(金属支台築造)を装着する予定)



そして再評価後、前歯の矯正処置に取りかかりました。









◎技工ラボでの仕事



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 矯正で歯牙が理想的位置に移動した状態を模型上で想定して、その状態で歯牙が並び綺麗に上下顎で噛めるような状態のプロヴィジョナルレストレーション(以後PRと略す)とコアを作製しているところです。



1.前歯では根管の方向と歯軸とはほぼ一致するので、根管にようじを挿入して、歯牙の平行性などを考慮して、歯牙が理想的状態に移動した状態にセットアップしているところです。



2.1の状態で、各々の根管に適合するコアを作製した状態



3.1を咬合面方向から観たところ。各前歯の平行性がとれています。



4.PRを作製するためのワックスアップ(ロウで歯冠をカタチ作った状態)





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5.4を咬合面から見たところ。PRという仮の修復物でありながら、最終補綴物同様の解剖学的形態をワックスアップで再現しています。当院の担当技工士=青木啓高氏の丁寧な仕事には頭が下がります。



6.PR完成後の右側方面観



7.同、正面観



8.同 左側側方面観



*これら、PRは即時重合レジンという一種のプラスチックのような素材でできていますが、加圧釜などで高圧下で重合硬化させているので非常に硬く数ヶ月の使用にも充分耐える耐摩耗性があります。







「 レベルの高い技工士とチームを組むことは必須 」



 こういった臨床的接点の多い難しい仕事も、青木氏のような見識ある技工士には可能です。それは、歯科医師と同じ勉強を高いレベルで習得されているためです。私が説明することを難なくラボで実現してくれるので、当院の患者さんへも全く迷惑をかけることなく、素晴らしい治療が可能になります。



 臨床家は、技術・知識共に高い、信頼できる技工士と共に治療することは必須です。コストを下げる余り、価格競争ばかりしているような低級な技工所などを
使う医院では、精度ある信頼できる処置は不可能です。患者さんの多くがこのレベルの事情まで理解していないと思いますが....



*自費治療費の違いの根底には、先生の治療レベルや手間などの違いの他に、技工レベル(技工費)の大きな違いも関係していることは知っておいて下さい。(安いところと、高級な仕事をするところでは、技工料は3~4倍以上違います。)



 また、近いうちにブログに書きますが、良い治療を受けたい方が自費治療費の額の違いで、歯科医院を選択する(安い医院へ行く)ことは、全くナンセンスであることも知っておいて下さい。









◎矯正学的治療について:





 「 Interdisciplinary approach とは 」



 私は、矯正家ではありませんから、通常矯正治療はしません。ただし、このケースでは治療費の問題と時間的問題などを考慮して私が行うことにしました。た
だ、今後は極簡単な限局的矯正以外は自身では行う予定はありません。やはり、専門家に任せる方が問題を起こすリスクが低く、安全だと考えるからです。



 また、歯周病や補綴処置などに高いレベルの認識がない矯正家の先生とは、共に一人の患者の治療を進めることは難しいと思います。私の場合には、幸運にも
米国でTMDのマスターを取得し、帰国後に矯正医専門医として活躍されているある先生とはコラボが可能なので、その方に歯周病治療や補綴を含むケースで
は、矯正治療を依頼することにしています。



 専門医制度が充実した欧米では、一人の患者さんに関して、複数の専門医が分担して治療するような、いわゆる"interdisciplinary
approach"といわれる治療方法が試みられる事も珍しくはありません。そうした場合、各専門医同士の高いレベルでの学問的共通認識とコミュニケー
ションが円滑である必要があります。





 「 日本では専門医が育たない 」



 ところで、日本には米国でのいわゆる"Board"のようなハードルが高く、本物の権威ある専門医制度がありません。日本には、歯科に限っていえば、各
学会単位で専門医・指導医といったモノは存在しています。ただ、米国のように難しい取得試験がある制度ではなく、臨床家としての高いレベルを保証するモノ
ではありません。



 また、現状では高いレベルの本物の臨床教育を行っている研修機関も私が知る限りでは"無い"に等しいと思います。私自身、大学院に入って初めて解った事
ですが、授業すら行われていないのです。最高学府がこの状態ですから、日本には専門医を育てる環境はないと思います。ですから、専門医を目指し向学心のあ
る先生方は、まともな指導をしてくれる海外の大学院に留学するのです。



 この状況ですから、interdisciplinary approachも一部のグループや先生方を除いては日本では一般的ではありません。



 そういったことから、必然的に日本では一般開業医が多くの学問分野を高いレベルで身につける必要が出てきます。そして、ほぼ一人で難しい症例も治療しなければいかない状況が、一般的になってしまいます。





 「 誰にも良い医療機関が解らない現状 」



 欧米であれば、治療費は高価であっても、専門医に受診すれば概ね高度な治療を受けられる保証があります。しかし、日本では難しい症状や崩壊した口腔内を
もつ患者さんはどこに行ったら高いレベルの治療を受けられるのか解らないと思います。おそらく、開業医がお金を出して掲載する怪しい「全国名医辞典」や
ネットのいかがわしい宣伝などを参考にして探すことが多いことでしょう。その結局、不見識で無責任な自称"○○専門医"の治療を受けて、トンデモナイ状況
に陥ってしまうことも巷には多く散見されます*。また、専門医が育たない機関である大学付属病院でも、残念ながら高度な治療は保証されません。毎年、何人
ものそういった医療機関で良い治療を受けられなかった患者さんが当院にも訪れますから、これは本当の話です。



*こんな信頼性のない情報に翻弄されて、無駄に時間を費やすかわいそうな患者さんの話も有ります。





◎この症例で行った矯正治療の流れ:



 主なステップを解説します。



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前歯部には、金属製コアをセットして、さらにPRを装着し、ブラケットをPRに付けた状態で矯正治療を始めました。



1.ライトワイヤーで手始めに、歯牙を挺出させた。



1-2.矯正を始めた時点のオーバージェットとオーバーバイト(水平・垂直的噛み込みの距離)の状態に注目。前歯部では咬合していない(開口状態と同じ)



2.矯正用ワーヤーをベンディング(曲げて)して、4前歯を舌側に傾斜移動すると同時に、下顎方向へ挺出させるために工夫した。



2-2.オトガイ(あごの)方向から観た噛み合わせ像:下顎前歯と咬合するには、まだかなり距離がある。







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3.2より1ヶ月ほど



3-2.2-2より更に歯牙移動が認められ、上顎中切歯2本が下顎前歯とほぼコンタクトした。



4.この時点から、金属製ワイヤーを外し、パワーチェーン(矯正用のゴム)に交換して、単純な舌側移動のみを行った。



4-2.もう少し側切歯を舌側に移動させる必要があるため、PRのコンタクト部を削り、更に側切歯が移動できるようにした。





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5.ほぼ歯牙が理想的な状態にまで移動した。



5-2この程度まで移動できれば、補綴学的な範囲で充分上下顎前歯の咬合獲得が可能。



6.5の時点でPR同士を即時重合レジンで連結結合した。ここから、数ヶ月保定期間に入る。



6-2咬合は良い状態が得られた。











◎外科的処置:





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手術で、歯肉を剥離した状態



 この外科手術の意図するところは、極めて専門的な事になるので、詳しい説明は割愛します。



 要するに、矯正学的に傾斜や挺出といった歯牙移動をした際には、歯根膜組織と共に、歯槽骨も局所的に吸収や添加されますが、移動後保定期間になってもその後に上手く生物学的で生理的な歯周組織の環境が整わない場合が多いため、外科的に修整します。



 今回は、前歯部の最終補綴物を連結するため、永久保定状態になりますが、上の手術をすることで、後戻りもかなり防げるようになります。



 補綴物が脱落した臼歯部分の歯質は縁下まで着色と共に一部軽い軟化状態を呈していたため、縁上に健全歯質がでるよう修整しました。この結果、右側臼歯~
犬歯は、歯冠長が長い状態を呈することなりました。見かけ上の欠点にはなりますが、健全歯質のみ保存できたため、後年歯根が腐るリスクは低くなります。





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オペ後、緊密に縫合した時の状態



オペ後約半年、PRのまま数ヶ月保定した後、支台歯を再形成し印象しました。







◎最終補綴物:



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技工士による最終補綴が出来上がりました。



 鈴木さんの場合は、臼歯咬合面は笑っても目立たないため、セラモ・メタル・クラウンは、咬合面は金属で覆うタイプにしました(もちろん、陶材で覆うフルベイクタイプでも作れます)。また、臼歯には全部鋳造冠も装着しました。



 上顎前歯は5本の連結冠で1ユニットとし、臼歯部がダメになった際には、臼歯部に局部床義歯を装着できるよう、犬歯(上顎右側犬歯:13)には、維持装
置のレストがかかるように設計されています。同様に、臼歯も局部床義歯を意識したレストが掛かる設計を下顎右側臼歯(46,47)と下顎左側犬歯(33)
に施してあります。



 このように、ある程度の年齢になった患者さんには、比較的近い将来問題が起こることを仮定した設計も必須です。大幅にやり直しをしなければいけないよう
な設計は、患者さんには迷惑をかけることになります。安全で、問題が生じたときに対応が可能な設計を可能な範囲で補綴処置に施すことが必要です。







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矯正学的治療によって、上の写真のように上顎前歯の前突が改善されました。





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噛み合わせを観ると、このように充分な前歯部での咬合が得られました。





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術前と比べて、前歯部の状態のみならず、口腔内環境が改善された状態にもご注目頂きたいと思います。





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術前と術後です。



口元の完成で、鈴木さんもよろこんで頂けました。









・・・







*私のブログは、全て実際に私が治療した症例の資料を基に、私自身が全て書いたモノです。当院の診療姿勢やエッセンスとお考え下さい。(多くの医院HPのように業者提供の写真・資料や他人の症例の流用ではありません。)





◎当院では、他院ではイイ加減に行いがちな目に見えないレベルまで基本的治療を正確に行っています。精度ある正しい治療をご希望の方、歯でお困りの方は、麹町アベニューデンタルオフィスへご相談下さい。

2009年9月 9日

街を歩いていると、歯科医師である職業病か他人の歯が気になる事があります。よく前歯の色やカタチが不自然な方を見かけます。本人も気になさっている場合が多いようですが、多くの方がなかなか治せないでいるようです。



今回紹介する40歳台のこの患者さん(女性)は、お子さんも大きくなり余裕が出てきたので、前歯のカタチと色合いの不調和を主訴に同部位の治療を希望し来院されました。



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ご覧頂いたとおり、上顎・左右側中切歯(11,21)、上顎・左右側側切歯(12,22)、上顎・左側犬歯(23)、右側第一小臼歯(銀色の冠が被っている歯:14)が治療の対象となりました。



まず、前歯で一番目立ち、中心にある上顎・左右側中切歯(11,21)の二本の色とカタチが悪く治して欲しいと言うことでしたが、お話しするうちに、他の4本も直すこととなりました。



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臼歯部を中心に、保険適応の銀色のインレーで修復されています。これら充填物下には二次的う蝕も発見されましたが、まず今回は前歯部を中心にした審美障害部位を解決することになりました。



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右が来院時軽く表面をポリッシングした後の硬質レジン冠です。ここには画像記録がありませんが、初診時にはもっと硬質レジン前層冠に汚いステインが沈着していました。



硬質レジン前層冠というのは、金属冠の見えるところに歯質に似せた白いレジンという(一種のプラスチックのような)物質を盛って白く覆った冠のことです。



この冠は、表面が瀬戸物のセラモ・メタル・クラウンやキャスタブル・セラミック・クラウンに比べると比較的安価に治療できます。しかし、耐摩耗性が悪く、歯垢、色素沈着や変色がしやすく、決して自然観のある審美性を保持できる補綴物ではありません。



当院では、特にお若い患者さんの場合には硬質レジン前層冠での修復は、全くオススメしていません。その理由は、このケースを見て頂ければお解り頂けると思います。



再修復するにあたり、硬質レジン前層冠を除去しました(上図右写真)。



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歯内療法と併せて、歯周病の問題があったため、口腔内の全歯牙にスケーリングとルートプレーニング(徹底的歯石除去)を行いました(上図上左写真)。



そして、上顎前歯6本を対照に4ミリ以上のポケットを残した部分と生物学的幅系(以前の私のブログ参照)を侵した部位に、歯冠長伸展術など歯周外科手術で修正を施しました(縫合後の状態:上図上右写真)。



手術後6ヶ月ほど経過した最終印象前の状態です。正常な歯周組織の獲得が得られました(上図下左写真)。



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前医の支台形成(歯の削り方)や築造(土台)がいい加減であることが解ります。支台歯の築造(土台)が不適切なカタチのレジン*で作られていることも解ります。辺縁周囲に歯石やセメントのカスなどが堆積しています(上図左写真)。



*支台築造は、レジンで作る方がむしろ歯牙に負担無く良いケースも多いのですが、この場合は歯肉縁上に健全歯質を保存せず築造してあるため、適切な状況ではありませんでした。



支台築造は、歯肉に接するマージンから数ミリ健全歯質を保存して、その上に金属などで移行的に作られるべきモノです(上図右写真)。



術前の支台築造と私が行った築造を比較してください(上図参照・左右を比較)。



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もちろん、歯内療法も必要がある箇所はやり直しています(下のレントゲンが術後)。上のレントゲン写真のように、歯内療法をしないまま感染根管で放置されたところや、根管充填後、根尖病巣が残っている箇所を治しました(黒い影が消失か縮小しています)。



◎このように患者さんの見えない部分まで真面目に整えることが、予後の良い補綴には必須です。





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術前と完成後の状態を比較してください。



術前の中切歯は幅広の形態でした。この患者さんは面長の顔貌でしたから、前歯のカタチと顔のカタチとの不調和*がありましたが、完成後はこの点が改善されました。また、完成後のセラミック特有の自然観は十分に患者さんの主訴を解決しています。



*ヒトは、特に前歯のカタチと顔貌とは相似形である事が多く、調和を取るために、顔貌(のカタチ)を参考にすべきです。



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このように自然なカタチで修復を終えました。



歯周組織や外面的には解らない歯内療法的(歯の内部)健康まで得られました。



とかく、見かけの色やカタチだけを問題にすることが多いのですが、歯を取り巻くインフラまで健康を得る必要があります。こういった一面的でない治療価値を大切にして、審美性を獲得することが求められるのです。





◎当院では、このように見えない部分の治療を徹底して行います。



 このような正しい補綴処置をご希望の方は、是非ご相談ください。

2009年3月16日

「 儲かると思って歯科医師になった先生 」



 親が歯科医師でないヒトが圧倒的に多く歯科医師になっています。別に、世襲制の歯科医院が良いと言っているわけではありませんが、歯科医師の心持ちのよ
うなモノが狂ってきているのでこういったことを言及しているのです。私が大学に入学した頃は今よりはまだ歯科医師の実入りが良い頃で、何を間違えたのか儲
かると錯覚して歯科大に入学する学生が多かったように思います。今頃になってようやく、歯科界の状況が悪いことが解ったらしく、最近は獣医になる人が多い
そうです。しかし、何か間違っているように思います。私の同級生でも商人や一般の経営者の息子は、ベースとして歯科医師になったのは金儲けのためと考える
ことが圧倒的に多いようです。私から言わせれば、品格に欠ける先生方です。概して、そういった先生は内容の悪い無理な治療をする傾向があります。基本的な
知識の吸収をおろそかにして、ド派手なインプラント治療など平気でするコワイ先生も多いのです。多くの先生の技量や見識のいい加減さや頭の悪さを患者さん
が知ったら、治療など怖くて受けられなくなるはずです。(しかし、知らずに大枚を払って治療されている患者さんも多いのです。)





・・・





「 インプラント治療の良心とは? 」



例えば、1顎全部1歯に1本ずつ(欠損歯分)インプラントを埋入している例を見かけることがあります。これが安全な方法論のコンセンサスではないし、むし
ろリスクを高めていると私は思います。そういった治療をした方は責任取れるのでしょうか??たぶん、責任を取れるからおやりになったのでしょう。



沢山埋入できれば先生は儲かりますが、元々の歯の本数だけ埋入するケースでは、術者はインプラントと天然歯との違いがわかっていないと私は思います。以下
に示す私の症例は、何か歯周病学的問題が生じても歯周病治療ができる天然歯牙を支台にする場合です。インプラントでは、天然歯のように簡単にスケーリング
したりできません。高齢な方ならなおさら、近々に病気になったり入院する確率が高く、つまり口腔清掃不足でダメになる確率がかなり高いと思います。天然歯
とインプラントの場合の良い比較になるとも思います。



私が行った以下に示すケースは、残存歯を保存した結果としての補綴学的対応として必然性があり、対処方法は妥当だと私は思います。抜歯後、無歯顎に総義歯の選択をしないで、顎堤に人工物を欠損歯分埋入したインプラントとは全く質的に異なります。



cf.一例です。





たしかに、インプラントという人工歯根で、天然歯と同じように使用できればそれにこしたことはありません。もし、天然歯と同じ特性が得られれば素晴らしい
ことだと思います。しかし、まだそんな理想的システムは発明されていません。もちろん全欠損歯に対してインプラントを埋入するケースを選択した場合は、埋
入本数に起因するリスクを術者も患者も承知していなければなりません。 







 私の見解は↑のようですが、皆さんはこれをどう思いますか?



 無歯顎にインプラントを欠損歯牙の本数だけ埋入することを希望しますか?





・・・







「 親子二代で治療に関わる 」



 さて、本題です。数年前のある日、私の父が40年前に治療した患者さんが、再度補綴治療を希望して来院されました。昔父親が苦労して作ったと思われる補
綴物が装着されていましたが、一部歯周病で歯を失ったり、前層冠のレジンもすり切れて壊れてきたようで、良く噛めるように治して貰いたいとの希望でした。



 我が家は、祖父から3代歯科医院を営んでおります。この患者さんは現在70代後半くらいですが、早く下顎の奥歯を無くし、おそらく30歳代後半にこの治療を受けたと思われます。これくらい補綴物が保てば、患者さんに叱られることもないと思います。



父が治療した後を約40年経ってから私に再度治療させていただけることは、大変に有り難いことです。そういったことを感謝しながら、この症例をお受けしました。



昨今の将来どうなっても術者の責任がないような治療の姿勢とは対極とまではいかなくても、そういった治療より遙かに責任を持ったコンセプトがこの症例には存在すると思います。皆さんは、この症例をどうお感じになりますか?









[ 症例Y.S. ]





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上顎左側臼歯の欠損があります。前歯前層冠も摩耗しています。また、局部義歯の装置が狂い、顎堤吸収のため義歯も安定せず噛みづらいとのことでした。



前歯部の歯周病も進んでいました。



術前5枚






↑これが、術前の状態です。



 この設計の欠点は、前歯と臼歯は別々の連結冠で作られている点です。ですから、もしどれか1本でもダメになったら歯が欠けたままになって困ります。その
都度クラウンなりブリッジを再作製するのは非効率で無駄です。しかし、この設計自体は健全歯が多く残存していた時点では当然かも知れません。

 お歳や口腔内の状況を考えて、私は上顎は義歯をお入れになりたくないとの意向から、クロスアーチタイプの連結冠を設計し長期間補綴物が安全に長持ちする
よう考えました。これなら,どれか一本ないしは複数本歯がダメになっても、連結冠はそのまま使用し続けることができます。





義歯が入った状態と義歯




これが、術前の局部義歯



父親の作製した局部床義歯はIバー(維持装置)を使っています。



この装置は鉤歯(維持装置をかける歯)にストレスが強く掛かる可能性がある装置です。鉤歯にストレスを余り掛けたくないので、最終補綴には線鉤(線を利用した維持装置)を使うことにしました。



昔の義歯の多くが、維持装置に頼る考え方のため、床が小さい特徴があります。私は、総義歯に準ずる辺縁を持つ床を作り、維持装置に依存しない局部総義歯を作製しています。こうすると、安定し維持装置に問題も起こりません。







クラウン除去4枚




古いクラウンなど補綴物を除去しました。

陥没部には、暫間的にセメントを充填して、大まかな形成を済ませました。

当時の補綴の常識や技工士・技工所の問題を考慮するとこういったレベルが水準だったのかも知れません。しかし、問題はあるとはいえ、ここまで保存できたことは十分だと思います。



今後、痛んだ歯牙を支台歯にした私の補綴物は、そんな長期保存はできません。お年を考えるとこれから十数年でも十分なのかも知れませんが、高い補綴物の精度で問題を生じないようにすることがもちろん必要です。いつものように、精度の高い形成と印象や技工で対応しました。



プロビジョナル5枚法模型上




予め、プロビジョナル・レストレーション(仮の歯)をラボで作製しておきました。



写真のように最終補綴物を仮定して、咬合状態など一部の補綴物にだけストレスが掛からないように、グループファンクションに近い咬合状態を達成しました。



作製したプロビジョナル・レストレーションで上手く咀嚼できるのなら、そのカタチを参考に最終補綴物を作製します。





プロビジョナルセットデンチャー有無6枚




プロビジョナル・レストレーションを装着して、調整を終えたところ。



この後、歯周外科手術など行い治癒を待ちます。プロビジョナルを装着し安定した状態で咀嚼できるようにしています。この後、快適にいられるので数ヶ月の治癒期間も困りません。(こういったプロビジョナルを装着せずに数ヶ月間放置することは,避けるべきです。)



ココには画像は掲載していませんが、プロビジョナル装着後、前歯部も歯周外科手術により健全な歯周組織を獲得しました。





左側臼歯歯冠長伸展術




クロスアーチ連結冠にするため、できるだけ多くの歯牙を支台歯として利用したいので、上顎左側小臼歯は歯冠長伸展術により、健全歯質を縁上に出し支台築造をすることを目指しました。



また、左側第二大臼歯は抜歯しました。





印象前2枚




歯周外科手術後、上顎左側小臼歯2本は支台形成でき、両側第二小臼歯まで支台として利用できました。



歯質をスーパーボンドとコンポジットレジンという材料で、歯冠形態を修整や添加した上で支台歯の形成を完了しました。これは印象前の状態です。印象前の歯肉圧排用コードを歯肉溝に挿入したところです。



クロスアーチ連結冠を装着するための支台歯の平行性に注意しました。2、3回仮印象を行いサベイヤーで平行性のチェックもしています。平行性が少しでも
狂っていると、連結冠のクロスアーチは支台に適合しません。高い技量が術者と技工士に必要とされます。こういった仕事は、十分トレーニングをした術者にの
み可能となります。技量が追いつかないと、結果的に不正確な補綴物により問題を生じ、患者さんに迷惑を掛けます。



*初めにも書きましたが、このケースは天然の歯牙を支台にしています。これがインプラントだったら、患者さんの口腔内清掃が悪くなったら、どうなるでしょ
うか?植立し過ぎは、清掃不良を助長します。ダメになるリスクを高めます。元来、天然歯よりも細菌の感染に弱いインプラント周囲がやられるわけです。ダメ
になったら、どうします??



cf.一例です。



ファイナルセッティング5枚




連結されたセラモメタル・クラウンを装着しました。



上顎両第一大臼歯は、延長ポンティックとしました。これにより、咀嚼能率も上がり良く噛めるような補綴物になりました。



(連結冠は、後ロウ着でフルブリッジの各パーツをロウ着しました。)





義歯入った正面




マージン・フィット(辺縁適合性)が良好で精度が高い補綴物が装着できました。引き締まった歯肉に現れているとおり、歯周治療により健全な歯周組織も獲得されています。





デンチャー装着 装着下顎




デンチャーは、白金加金製の線鉤を用いて、支台歯にストレスをかけ過ぎないように考慮しました。これは基本ですが、線鉤のような"逃げ"のある装置にした
方が鉤歯への負担が軽減され、鉤歯を長持ちさせることが可能です。また、粘膜にタッチする面積を多くして、粘膜負担を多くして均一に圧がサポートされるよ
うに留意しました。これらは、いつも私が行っている安全で安定の良さを狙うデンチャー設計です。この患者さんには、装着後ほとんど調整せずに快適にお噛み頂けました。



露出根面には、以前の根面カリエスの痕跡から、将来も根面カリエスが生じる可能性があるため、フッ素剤の塗布など、口腔ケアも併せて指導しました。長く快適にお使いいただけることを願います。









  親子二代で関わった一症例でした。





2009年2月 4日

[ 症例 M.K. ]



年齢:75歳 男性

主訴:噛めないので、噛めるようにしてもらいたい



ある日、長身でお年とは見えない頑強な体格をされた方が来院されました。この方は、学校の先生をされていた方で、校長を歴任された後、退職されて今は第二
の人生を楽しんでいらっしゃるとのことでした。とにかく噛めるようにして欲しいとのことで拝見したのですが、上下ほとんど噛み合う場所が無くお困りのよう
でした。



この方のように、全くまともに噛み合う歯がない状態で何年も過ごしていらっしゃる患者さんが世の中には沢山いらっしゃいます。治療に行くのもなかなかきっ
かけが無く、毎日食べ物を丸呑みのようなカタチで召し上がっている方です。実際に、ご来院いただければ多くの場合何らかの方法論で噛めるように治療をする
ことは可能だろうと思います。

「 歯科医師は、大工さんのよう 」

補綴をするに当たっては、治療費が派生します。高度で時間の掛かる治療にはそれなりの自費治療費がかかります。しかし、患者さんにも予算がありますから、
むやみに高額な治療にするわけにもゆきません。予算内で患者さんのご希望をふまえ、より良い治療をさせていただかなければなりません(初めから予算内では、無理なケースもあります)。
また、治療費を削った結果、すぐに壊れるようなことがあってもいけません。私はできるだけ、安全に長くお使いいただける設計や材質の補綴物をお作りしたいと考えています。



こういったところは、街の工務店によく似ています。希望に可能な限り沿い、予算をふまえた設計をするのは、なかなか難しいのではないかと思います。私も、設計・施工をする大工さんと同じ思いを持ちながら治療しています。

komemtoto 正面観




義歯も、壊れたモノなら有るとおっしゃっていましたが、まともに噛めるモノではありませんでした。

術前・5枚法


まともに噛み合う(咬合する)部分がありません。下顎を少し噛めそうなところに動かして、咬合させているようでした。

術前きちんと咬合していない

黄色の矢印の示す部分は、本来は上下で咬合すべきところですが、噛んでいないかわずかに噛んでいるといった状態です。



この方のように、上下顎でまともに噛み合う位置に歯が並んでいない場合は、工夫が必要です。このケースでは、上下の顎の間隔をもう少し開ける方法、すなわち"咬合挙上(バイトアップ)"を行い、補綴学的に歯冠形態を工夫して、正常な噛み合わせを獲得することにしました。



全顎的に歯周病の治療をすると共に、プロビジョナル・レストレーション(意味のある暫間補綴物)を作製して装着しました。

プロヴィシオナル作製




ラボで、咬合の回復と生理的咬合関係が得られるように設計して、プロビジョナル・レストレーションを装着しました。



こういった設計をスムーズに担当技工士とできるのは、補綴の専門教育を徹底的にした先生と同じレベルの教育を彼が受けているからです。私の仕事を依頼して
いる青木・技工士は、以前から研究会で技工士の方々に講師として教えております。私は、彼に全幅の信頼を置いて技工物を作製してもらっております。
TEKセット口腔内




しばらくの間、このプロビジョナルで様子を見て、冠の形態など修正しながらより良いモノに近づけました。


ココで、少し問題になったのは発音の問題でした。今まで義歯のない(=歯のない)状態で生活していたので、計算して設計した理想に近いモノでも発音がしづ
らくなったのです。新しい補綴物が入るとよく見られることですが、慣れが重要です。この場合、前歯を削るわけには行かないので,形態がどうのというより、
この形態に慣れていただけるようにご自宅でできるだけおしゃべりをしてもらうようにお願いしました。

頑強な支台歯




これは、補綴物装着前の上顎の状態です。残りの歯がしっかりと残っていたので、前歯が4本無くなったこういったケースでも一続きのブリッジ(フル・ブリッ
ジ)にできました。残存歯が何本有ればフルブリッジにできるかといった法則はありません。力学的に,明らかに無理な場合もありますが、プロビジョナル・レ
ストレーションを作って補綴物が持つか持たないかを確かめて決定します。このケースでは、ブリッジが揺れることもなくしっかり数ヶ月保てたので、最終補綴
物もこの設計を採ったのです。



試行錯誤の余地が、こういった暫間補綴で与えられるので安全です。こういった基本を理解していない先生も多いので、時に補綴の失敗を目にします。



上の写真のように、歯並びは四角いカタチ(スクウェア型)に並んでいます。こういった歯並びのヒトは、概してしっかりとした骨格の丈夫そうな方が多いので
す。また、顔貌も咬筋が発達したお顔立ちです。このように,歯列と顔貌や、時に体格にも相関性や類似性があります。スクウェア型の歯列の患者さんは、咬合
力も強い方が多いのです。この方も例外ではなく、プロビジョナル・レストレーションもかなり擦り減りが早かったのです。ですから、この強い咬合力に耐え
て、耐久性のある補綴設計が必要とされました。すなわち、咬合面を金属で覆うタイプで、前歯部舌面も金属で覆い、下顎前歯切端がそこを滑走する様(*)に
しました。



*ヒトは閉口時には上下歯牙がきっちりと咬合し、生理的顎運動を行う際には上顎前歯舌面のある範囲を下顎前歯切端が滑走して運動します。このときの前歯部
でガイドする働きやこういった誘導要素を"アンテリアー・ガイダンス(anterior
guidance)"と呼んでいます。生理的な咬合回復では,アンテリアー・ガイダンスが適切に設定されるよう前歯部での歯の形態と咬合関係を適切に回復
することが必要です。これは現代咬合論の基本中の基本なのです。



前歯説面で滑走




黄色の矢印部分の金属部が、前歯の切端が滑走する領域です。このようにアンテリアー・ガイダンスが適切に設定されています。



主訴など考慮して、この75歳男性患者の咬合回復に、咬合面の審美回復を考えるのは見当外れです。

ファイナル・セット後5枚法




最終的な補綴物が装着されたところです。

正面観

良く噛めるようになりました。

「 設計はケースバイケース 」


同じような欠損形態でも、補綴設計は幾通りも存在します。

それに応じて治療計画も当然変わります。



ー 決定要因 ー


○患者さんサイド:
性別・年齢・職業・趣味(ライフスタイル)・性格・知性(歯科的理解)・予算(経済力)・希望・時間的制約など...

○歯科医師サイド:

学問的制約・コスト的制約・時間的制約・術者の技量 など...



これらの要因により決定されます。



この患者さんの場合は、私からご提案した「良く噛めて、丈夫な補綴物」を喜んで受け入れてくれたため、問題なく安全な方法論を採れました。例えば、患者さ
んが金属が口腔内に露出することを拒むと、ポーセレン(瀬戸)などの材質で咬合面を覆う設計になってしまい、強い咬合力による破折のリスクが高くなりま
す。ただ、このケースでは初めから予算的制約で上顎をポーセレンにはできなかったのですが...



予算の問題は有りますが、最近の多くの先生は下顎の両側欠損部への補綴処置としてインプラントを勧める傾向があります。患者さんのお年も考えて、適応か否
か考えることは必要です。さらに、歯を失った原因が歯周病であり、口腔ケアが難しくなりやすい年齢で、リスクが倍増することも忘れないようにしていただき
たいと思います。

さらにさらに、咬合圧も強い状態も加味すれば、このケースはインプラントの禁忌症だと思います。シンプルで「良く噛めて,壊れにくい設計」こそ、この患者さんの希望にかなう合目的の設計だと思います。

「 治療の価値に関する認識は、情報や知識で変わる 」
この患者さんも、この治療の価値をお解り頂けたようです。偶然、この患者さんの教え子に技工士さんがいたそうで、いろいろと自分の受けた治療の話をしたそ
うです。私は、中心位という位置で咬合器に模型を装着するので、フェイスボーという器具で生体の三次元的位置を咬合器に移し装着するのですが、こういった
操作などしていることや徹底的な歯周病の治療を受けたことを教え子の技工士さんに話したところ、「そのようなことまでしてくれる先生がいるのか」と驚かれ
たと言って、さらに喜んでくださいました。



日常行っている治療のステップも、他院では行われていないことも多いのです。例えば、技工士さんのような方が聞けば治療の違いがわかります。有り難いこと
に、客観的にその技工士さんが指摘したことで、当院での治療の努力やレベルを患者さんがより一層認識していただけるようになったのです。



当院は、精度を上げる操作はできるだけ割愛しないで丁寧に行っております。行わなくて良い場合もありますが、全て割愛すると精度を保証できるものがなくなってしまいます。エラーを作らないように、丁寧に必要なことを行っておりますので、治療を安心してお任せ下さい。

皆さんも、単に医院が近いという理由で受診するのではなく、的を射た治療方針を提案して下さるような良い先生をお捜しになって下さい。

2009年1月16日

今日は、観て簡単に解るブログを書きます。皆さんは、前歯の見かけを気にすることが多いと思います。もし、治療して白い歯を被せるのなら、ヒトからは直したように見えない自然な状態になる方が良いと思いませんか?



今日は、我が医院のスタンダードな前歯修復例の一例をお見せいたします。



TVを観ていても職業病か、芸能人の歯が気になります。前歯数本だけ白く目立ちすぎる不自然な歯の芸能人が意外に多いのです。解りやすく言うと、これは
残っている(隣の)歯と色合わせができていない例だろうと思います。多くの患者さんは、残っている歯より白くしたがる傾向があります。しかし、部分的に歯
を白くすると特に前歯の場合は、直した歯だけが不自然に白く浮き出て見えるようになってしまいます。ですから、当院ではこういった自然観に関することをご
理解いただき、単に患者さんのご希望にそのまま従うことを致しません。





[ 症例 S.K. ]



この患者さんは、年齢28歳のOLで、会社でつまずいて右側中切歯を折ってしまったそうです。電話を頂いてからすぐに来院されました。





歯冠部破折・正面



正面観



中切歯が横に折れています。



歯冠部破折・咬合面観



咬合面観



写真では解りずらいのですが、中切歯の歯髄(神経)の角がわずかに露出(露髄)していました。



露髄したので、この後ラバーダム防湿の下抜髄(神経を抜く)しました。ここでは写真で記録はありませんが暫間的にコンポジットレジンで歯冠を盛り上げ、社
会生活に支障がないように即日に仮修復しました。根充後は、金属コアを装着→支台歯形成→テンポラリークラウン(仮の冠)作製→シリコン印象剤で印象など
しました。また、印象時に色合わせ(shade taking)も併せて行い、印象と共にラボ(技工所)に作製を依頼しました。



ラボでセラモメタルクラウン*を作製し、装着しました。



*セラモメタルクラウン=メタルボンドクラウン=陶材焼き付け鋳造冠

 金属にセラミック(瀬戸物)を焼き付けた自然観のある冠



この患者さんは、以前当院で歯周病の治療を受けていてBOP(-)であり、歯周処置を割愛できたので今回は治療の実日数が減りました。





shade taking



これが、shade taking資料の一部で使用したスライド

VITAシェードという陶材の色見本を隣在歯である左側中切歯に合わせて写真を撮っているところ。



色見本と比べて(比色して)、本物の色合いを技工士は知ることになります。優秀な技工士は、歯科医師のコメント(描写)とこういった資料でその場にいなくとも、正確な患者さんの歯の色合いを再現できるのです。



こういった仕事は、熟練した優秀な技工士とコミュニケーションをしっかりとり行う必要があります。



ラボの技工料というのはピンから切りまであります。安い技工料のラボと高いラボでは4倍ほどの違いがあります。すなわち、これは技量の差と比例します。当
院の技工士は、テクニシャンとしてトップクラスの技量を持ち、技工料も一般のラボより高いのです。レベルに合う対価を頂けるよう自費単価を決定していま
す。





セット後 正面1/2



セット後の正面観です。





正面





右側中切歯が人工物とは解らない自然な再現性です。



良くごらん頂きたい。横走する少し茶色がかった部分*も正確に再現しています。歯肉より1/2は少し茶色く、歯冠側1/2はより白くより透明観もあります。



私と組んでいる青木啓高・技工士は、
一流のテクニックを持っているので、こういった自然な再現が可能です。私は、彼の極めて徹底した精度管理や保守的までに丁寧な姿勢が気に入り、仕事をお願
いしております。また、マイクロ・スコープによるマージン部の処理・作製もルーティンで行っていただいております。(ここのラボは、レベルの高い医療機関
のみ仕事を限定して行っております。)





*天然の歯は、一様な色合いから均一に出来上がっているのではなく、色の付いたシマ模様や内部での部分的着色などがあるのです。そういった特徴を自然に再
現することが、こういった左右一方を補綴するときには必要になります。左右の歯の色が違う人の多くは、こういった正しい再現ができていないレベルの低い技
工過程で冠が出来上がっているものと思います(概して、下手な技工士による安いモノとも言えます)。



自然観を得るなら、セラモメタル・クラウンやキャスタブル・セラミック・クラウン、オールセラミック・クラウンなどにより、上に書いたような配慮ある仕事をする歯科医院で治療する必要があります。当院ではこれを励行しています。







ですから、「安かろう、悪かろう」という考え方もある程度は本当なのです。







smile





 スマイルも自然





皆さんも、キチンとした治療をしてくれるバランスの良い歯科医師を見つけてください。





◎よく" 審美歯科 "という言葉をお使いになる先生がいますが、私はこの言葉が余り好きではないので極力使いません。巷では、この言葉を使えば患者さん
が来るのではないかと頻繁に使っている先生方が沢山おります。そういった先生の多くで、目に見えづらい大切な歯周病や歯内療法などの"保存療法"を十分に
行っていない傾向が目に付くのです。さらに、審美歯科の看板を掲げてホワイトニングなど必要のない場合にも行い、実質的歯科保健とは方向の異なる治療で高
額な自費治療費を受け取っていることも多いと思います。



私はそういった先生方と臨床家としての姿勢を異にしています。





補綴
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麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。