«  2018年10月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31
2009年9月14日

「 症例のイントロ 」

患者さんごとに、その方のためになる妥当な処置方針を考える事が、我々臨床医には必要です。同じ症例を観ても、いくつもの方法が存在します。



例えば、まともな臨床講習会では、ある症例を呈示されて、治療計画を立てるといったトレーニングをすることがあります。この時、先生方の見識の違いが如実
に現れるものです。この頃は、欠損歯があれば、もしくは歯周病に罹患した歯があれば、これを抜歯してインプラントを選択してしまうような先生が多いことに
驚かされます。



結局、現在のベーシックな学校教育が徹底していないことが原因とも思えます。オーソドックスな歯周病の処置を全くしたことがない先生ほど、または従来型
の義歯さえできない先生ほど安易に自費治療費が得られる方法論としてインプラント治療を第一選択にするようです。こういったことは多くの患者さんがご存じない大変に恐ろしいことなのです。
結果的に、そういった見識のない多くの歯科医師によって多くの患者さんにご迷惑をお掛けしています。


さて、ここでは残存する天然歯を従来から行われている歯根分割を応用して処置して、しかも将来を考え、対合歯として乱れた咬合平面を整えた一症例をご覧頂きます。余計な処置など全くせずに、妥当な処置の一つとしてこういった方法論を採ったわけです。



これをお読みの患者さんには、理解しずらいと思いますがお読み頂ければ幸いです。


「 症例 」

・患者:大野順子(仮名)
・年齢:70歳 女性

・主訴:歯周病の治療をして欲しい



Onodera_Jyunko002

初診時、正面観

臼歯部下顎右側第二大臼歯(47)の挺出*と共に、前歯中切歯(11,21)の挺出が顕著です。前歯部の咬合状態が悪く、中切歯がほとんど下顎前歯と噛んでいないのでこのような挺出をしたものと思います。
また、歯冠部及び歯頸部にかけての充填が沢山観られます。

*我々の口の中では、各々歯が噛み合(咬合)っています。適切に咬合していれば、ある位置に安定して植立していますが、どちらかが欠損してしまうと、噛む歯を求めて伸び出したように"挺出(ていしゅつ)"します。

挺出歯は上顎の最後臼歯(一番奥にある臼歯)の場合、下顎臼歯と干渉しないため問題になりませんが、今回のように下顎の最後臼歯が挺出した場合は、下顎が前方に運動する際に上顎の臼歯に干渉(衝突)を起こして問題になります。
今回は47と16が干渉していました。

スライド2
これは初診時の口腔内全体の状態です。

Onodera_Jyunko001''


青い部分:分岐部病変部
黄色の根:抜去される根
緑色の根:保存される根

○問題点:
・大臼歯(16,46)に分岐部病変があること(上図・青部分が分岐部病変部です)
・上下顎の大臼歯各々の予知性を考えて、大臼歯部にいかに補綴処置するか

写真上で青い部分は根分岐部病変部で骨が細菌に冒されて骨が吸収し、その空間が細菌の巣窟になっているところです。
この部分は洞窟状に歯肉縁下にあるため清掃できずに骨破壊が進行してしまうため問題になります。→この解決方法として、この部分を清掃できるような状態に修整する必要があります。
この症例のように歯根分割・抜去することで分岐部を清掃可能な部分へと変えることができます。

スライド3




全顎をスケーリング&ルートプレーニングして、再評価(再度診査する)をした際の口腔内写真です。
歯周病が右側上下顎大臼歯部(16,46)をのぞき、スケーリングとルートプレーニングで解決できました。分岐部は、外科処置で解決しました。これは、以下を参照してください。

スライド4

歯周病の治療により、腫脹した歯肉が退縮して歯の間に空隙を作った状態になると、この部分は写真のように歯間ブラシで適切に清掃する必要があります。


歯間ブラシは、この空隙の大きさによって、その空間に適当な摩擦が生まれるような大きさの適切なモノを選択し使用します。写真では、Lサイズの歯間ブラシを使用しています。

また、歯ブラシは基本的に手で丁寧に行ってもらうように指導しています。最近では、電動ブラシをお使いになっている方も多いようですが、ブラシの当て方が間違っている場合は、磨き残しが多く残ってしまった例をよく見かけます。

小学生に漢字を覚えさせるのに、まずパソコンを使わせる事はしないと思います。それと同じ理由で、磨き方を指導させて頂く患者さんに電動ブラシを勧めたりはしません。まずは手で、しっかり適切に磨けるようにトレーニングしてもらいます。

○このケースでは、歯頸~根面部での充填の既往が顕著であるため、今後さらに根面う蝕の発生が懸念され、根面う蝕(根面カリエス)への対策が必要となりました。具体的には、メンテナンス毎の高濃度フッ化物塗布と、日常での患者さんのフッ化物含有歯磨剤使用を指導しました。

「 外科処置 」

◎上顎右上第一大臼歯の歯周外科手術

スライド5

1.口蓋根を切る前の状態

2.歯冠部から口蓋根をタービンバーでカットした直後

3.抜去された口蓋根

4.口蓋根・抜去後の状態

スライド6

1.遠心頬側根の根本をタービンバーでカットした状態

2.抜去された遠心頬側根

3.遠心頬側根と口蓋根が抜去された後、歯槽骨を修整して歯肉弁で可能な限り抜いた後(穴)を覆い縫合した状態

4.同・側方面から観た状態

スライド7

1.手術後7日後に抜糸した際の咬合面観
分岐部病変(歯の根の間に歯周病による破壊が進んでいる)があるため、一番骨植のよい近心頬側根を残しました。さらに、歯冠部咬合面を小臼歯の形態にして保存し、概ねもう一本小臼歯が存在するような状況を作りました。(特に金属補綴などしていません)


2.手術後7日後に抜糸した際の右側側方面観
臼歯部での適切な咬合平面を得るため、手術後の46とその前の45の咬合面を削除・修整しています(写真2と4を比較のこと)

3.手術後5ヶ月の咬合面観
このようなアクロバットのような処置は、一般的には行わないと思いますが(私も行いません)、患者さんの努力と抜歯を希望しないというご希望もあって、このようなカタチに保存できました。実際に、問題なくお噛み頂いています。

4.手術後5ヶ月の右側側方面観
また、15と分割後の16に、コンタクトが回復しました。硬く固定せずに、ワイヤーを介して咬合時に自然動揺するように暫間固定を続けています。問題が生じなければ、このままお使い頂きます。

◎下顎右側第一大臼歯の歯周外科手術 

スライド8'

1.歯根切除する前の咬合面観

2.同・右側側方面観

3.右側下顎第一大臼歯(46)を分岐部に合わせてカットし状態

4.同・46の近心根を抜去し縫合した後の状態*

*歯根分割抜去(ヘミセクション)の場合は、いくら上手く分割抜去で来た場合でも、歯肉弁を剥離して一般の歯周外科に準じた方法で行います。すなわち、取り残しの歯石を除去したり、分岐部相当部から支台部にかけての形態修整などを行います。

スライド9'

1.手術時、縫合後、右側側方面観

2.術後3ヶ月、テンポラリークラウンを装着して歯肉成熟を待っているところ

3.最終補綴物を装着後・右側側方面観

4.同・右側舌側面観:近心根相当部は、ある程度空隙を狭めて、歯間ブラシでの清掃の際に、適当な摩擦を得るような状態に歯冠形態を付与しています。


下顎右側第一大臼歯(46)には、分岐部病変があり、このことで根分割抜去による保存方法を選択し、併せて第二大臼歯の挺出を是正するために咬合面を削除しました。これにより、第二大臼歯(47)と第一大臼歯遠心根、第二小臼歯(45)を連結補綴しました。

患者さんの口腔清掃状態が良好であるため、46の遠心根を保存しました。清掃状態が悪いのなら、46は一本まるまる抜歯して、45と47を支台としたブ
リッジにする方法か、もしくは分岐部に触れずに*(そのままで)歯冠形態を整えるだけの補綴をしても良かったかも知れません。

補綴の方法は、患者の清掃状態、年齢、希望、予算などにより決定されるものです。正に、ケース・バイ・ケースといえます。
*分岐部の処置には、チェアータイム、諸々の手間やそれ相応の治療費が派生します。清掃ができない患者さんの場合は、近い将来ダメになる可能性が非常に高いため、行っても無駄だと考えます。一般に、口腔清掃良好でない限りは、歯周外科は禁忌です。

Onodera_Jyunko001'

初診時の右側側方面観で図示すると、黄色の点線が現すような位置が自然な咬合平面(上下顎の歯牙が噛む点をつないだ仮想の平面)と考えます。

今回の上下顎臼歯部の処置で咬合平面の乱れを上のような位置に(上図・黄色の点線部を参照)修整し、将来上顎もしくは下顎に欠損補綴を装着することになっても適切な咬合関係を保てるように修整しました。

Onodera_Jyunko035

このように、最低限の歯周病学的かつ補綴学的に環境を改善することで、現実的にこの患者さんに関する妥当な対応ができたと思います。
現在、問題なく使用されているアクロバチックな分割歯牙16は、いつまで使用できるのか保証はありません。しかし、これを残したことで患者さんの希望がかない、なおかつこの歯牙を保存することで高い口腔清掃を維持する事が可能になりました。

また、現時点での状態は決してゴールではありません。問題が生じれば順次柔軟に対応してゆく必要があります。根面う蝕予防やう蝕の再充填を含めて口腔内を高いレベルで維持してゆきます。

スライド10

現在、多くの先生方が16、46を抜歯してインプラントを埋入するような計画を平気で立ててしまいます。こういったことに、疑問を感じないような風潮が一番危険なのです。

・・・・・

必要のないインプラントを不適切に埋入した症例も提示しています。このブログを理解して頂くためにも次のブログを参照してください。

2009年6月 1日

全顎的症例を着手すると、概ね1年以上の時間がかかります。いくら1回数時間集中して治療しても、各々の治癒期間や歯周病学的常識から、数回で全顎症例を
終わりにするようなことは出来ません。しかし、恐ろしいことに「通院最大でも10回の集中治療で治せる」とか、インプラントは4回で治療終了などと、平気
で宣伝している歯科医院があることに驚きます。皆さんは、こういったうたい文句に踊らされることなく、真摯に正しい治療をごまかし無くしてくださる先生を
捜してください。



ところで、今回は最近の症例をお見せします。これは、主に上顎の補綴物などの崩壊と共に反対咬合で正しく咬合出来ない患者さんの全顎的症例です。





「 Case H.○. 」



40代の男性患者さんです。

補綴物が壊れていることと、全顎的歯周病(中等度~一部重度)、反対咬合などが主な問題といえます。





panorama




このレントゲン画像からは、色々な情報がありますが、ここでは歯内療法の不備、複数の補綴物が壊れている点などを確認して下さい。



initial frontal view






初診時5枚法




初診時の口腔内



レントゲンでは解らなかった、右側小臼歯部から~左側側切歯に及ぶ反対咬合の状態が解ります。下顎左側側切歯および中切歯(31,32)が舌側に傾斜しています。下顎左側中切歯は、根が露出して排濃も観られます。



上顎右側補綴物は、壊れています。また、マージン部が不適合です。上顎左側補綴物は、マージン部が不適合でポンティック部も清掃性が悪い状態です。



また下顎の充填・補綴物も総じて不良です。充填物は、カリエスの可能性も疑われます。



結果的に、上顎左側犬歯(23)以外は外科的手術をする必要がありませんでした。

=非外科的処置SRPのみにより、全顎的にポケットは3ミリ以下を達成しました。



再評価時




これは、全顎的にスケーリング&ルート・プレーニング(SRP)を徹底的に終えた後の画像です。



既存の補綴物は、歯肉に害を及ぼさないように、不適合である歯肉周囲をカットして(オーバーマージンの除去)、清掃しやすい状態にしてからSRPしました。全顎的に歯肉が引き締まり、歯間乳頭部に空隙が生じた状態が確認できます。



nakata/pr




SRPで歯周組織にある程度の治癒が得られました。 



SRP完了後、provisional
restorations(PR)をセットしました。PRをセットしたことで、患者さんはセット直後から快適に噛むことが出来るようになり、この後数ヶ月
続くであろう治療にも、その期間を気にすることなく生活し、通院していただけるようになりました。



残念なことに、このPRをセット出来きる前に来院しなくなる患者さんがいます。数回(4~7,8回)のSRPを我慢できないといった時点で、全顎的治療は
無理なのです。少しの辛抱が出来ずに、止めてしまう患者さんは、大変残念ですが如何なる医療機関でも、きちんとした治療は無理だろうと思います。せっかく
始めたSRPも無駄になりますし、思い立って決意した治療を放り投げては、状態が悪化してモノが噛めないまま一生を過ごすのがオチです。最近、お仕事が忙
しいとの理由でSRPを途中でキャンセルし次回予約をしていない患者さん方、良くお考え下さい。



PR装着後、下顎犬歯間にワイヤ&ブラケットによる通常の限局的矯正を行い、可能な範囲で歯牙の切端が綺麗なアーチを描くよう揃えました。切端が揃ったため、前歯部で正常な咬合状態を獲得することが容易になりました。



31の根の露出部では、長い年月反対咬合で生じた外傷性により骨吸収が生じています。今回の歯牙移動では、わずかに改善されたものの審美的な問題は残って
います。しかし、反対咬合が改善されたことと、清掃を良くしてもらうことで問題を生じないとの判断で、ココへは今回は積極的加療は行いません。必要があれ
ば将来何らかの方法で解決する約束をしました(ご本人は、さほど気にしていない)。



23の歯冠長伸展術




この歯牙(上顎左側三番(犬歯):23)は、クロスアーチと言われる上顎全部に渡る1ユニットの補綴物を安全に支えるためには"キー(かなめ)"になる大変重要な歯牙と言えます(23はKey toothと言います)。



クロスアーチでは、特に犬歯部には側方顎運動時には、強い側方圧*が掛かるため、是非この犬歯は良い状態で保存して支台歯として利用しなければならなかったのです。



この残根(23)は、歯肉縁下に埋もれています。正しく、マージンを設定するためには、健全歯質が歯肉縁上にくるように、生物学的幅計を考慮して支持骨を
切除し、crown
lengthening(歯冠長伸展術)を施す必要がありました。また、長く適正な状態を保つために、犬歯のみならず隣在歯の支持骨も残念ながらすこし削
除しなければなりませんでした。(極端な隣り合う歯牙の骨レベルの違いは、生理的ではありませんから。)



結果的には予想外に良い状態で犬歯(23)を保存できて、クロスアーチブリッジも、強固にサポートできました。



*側方圧が大きすぎると長い年月には、クロスアーチが壊れたり、冠内部の合着セメント層が崩壊したり、結果的にクロスアーチの脱落が生じることさえありま
す。特にある部分のみに大きな側方圧がかかることを避けるために、グループファンクションなどの複数歯でのガイドを設定するように歯冠部の形態を付与しま
す。また、オーバーバイトが深いと結果的に側方圧が大きくなるので、バイトが深かったケースでは、バイトアップして噛み合わせを浅くして、側方への圧のベ
クトルを小さくします(側方圧を小さくします)。



この症例でも、バイトアップして、グループファンクションに準ずる咬合様式の付与をしています。これにより、クロスアーチへの側方圧が軽減できました。





final 5枚法




最終補綴物を装着した状態です。



このケースでは、クロスアーチブリッジの大臼歯部は、審美性に余り支障が生じないので全部被覆金属冠としました(金属被覆冠にすることで、治療費の節約が可能でした)。



また、セラモメタルクラウンの咬合面は、強い咬合力による陶材破折を防止するため、金属にしました。このようにこの患者さんは、顔貌がスクエアで咬筋も発
達しているため、フレームワークの設計には気を遣いました。(上顎犬歯の遠心斜面は陶材の破折好発部位なので、金属被覆にしてあります。)さらに、金属の
咬合面から、歯髄に問題が生じた時には歯内療法処置が容易に出来るという利点があります。



下顎臼歯部の補綴物は、近い将来補綴するという前提で、コンポジットレジンなどで暫間充填しています。ただし、失活歯全てに歯内療法を完了(再治療)しています(歯周組織&歯内療法での感染除去は完了済み)。



before&after




歯周組織の改善と共に、かなり良い咬合の回復が得られました。



ご本人も、良く噛めているので満足していただけたようです。



*ご理解が深まるように、以前の全顎症例もご覧下さい。





  ・・・・・・・・ お知らせ ・・・・・・・・・・



◎当院では、この症例のように丁寧に全顎的治療を行っております。

もちろん、巷でいい加減に行われている虫歯治療1本でも喜んでお受けいたします。



治療の規模や難易にかかわらず、完全な歯科治療をお望みの方は、是非ご相談下さい。



*ご予約は、電話にて承ります。












2009年2月20日

皆さんは、歯周病の治療を受けたことがありますか?

歯周病の発症は口腔内に常在する細菌によって起こされます。
ですから これら細菌を歯周病に罹患している歯周組織から除去することで治癒を促す。
すなわち、原因除去療法 を行い治療します。

診査を行った後、具体的にはまずスケーリングやルート・プレーニングという除石(歯石を除去すること)を行います。
また、細菌の住み家になり得る環境を修整したり(*),歯内療法(歯の神経などの治療)やう蝕治療を行い口腔内感染巣から細菌感染を除去します。

こういった一連の処置が歯周病治療における"初期治療"です。

*歯と辺縁が適合っていない不適合冠の除去・修整など。冠を除去した歯には暫間的にレジン(一種のプラスチック)性の仮の冠(テンポラリー・クラウン:TEK)を被せます。こういった補綴物の除去や修整は必要に応じて可能な範囲で行います。


では歯周病治療における基本である"初期治療"の内容を簡単にご覧頂きます。







      /////////////初期治療 /////////////  


「 診査・診断 」

口腔内撮影


問診を行った後、初診時の口腔内の状態を、写真撮影します。当院では、基本的には口腔内を5枚法で撮影しています。

写真撮影の詳細は以前のBlogを参照してください。



通常は口腔内撮影とレントゲン撮影を初診来院時に行います。



X線14枚
*上の14枚法の画像は一例としてアナログの従来型のX線フィルムを示します。


口腔内を全顎的にレントゲン撮影
ます。

現在、我々のオフィスではデジタルX線撮影を行っております。
現像を必要としないため撮影後すぐにディスプレーで確認できます。またデジタル装置による撮影での放射線線量は従来型の1/8~1/16程で安全性もより高い方法です。
得られた緻密なレントゲン像から歯槽骨の破壊状態などが明解に確認できます。



この後、患者さんの歯周組織をプローブという器具で診査します。



probe


これがプローブ(probe)と呼ばれる診査器具です


probe先端



プローブ先端には写真のように目盛りが付いています。
*直径は0.5mmが世界標準です.


いくつかのタイプのプローブが存在していますが世界中の専門医や教育機関で推奨されている直径0.5mmの目盛り付きプローブのPCP-11を主に使用しています(写真上のプローブ)。


*残念ながら日本の歯科医院にはこのようなプローブがない医院もあります。
またあっても、ルーティンで使用していない医院も多いようです。適切な歯周病治療はそういった医院ではできません。まともな医院へ受診しましょう!




probing



上顎中切歯遠心をプロ-ビングしているところ


歯の周りには溝が存在しています。解剖学的には健康で正常な場合は歯肉溝(gingival sulcus)と呼びますが、歯周病など病的状態の場合にはこれを歯周ポケット(periodontal pocket)もしくは単に"ポケット(pocket)"(以後こう呼ぶ)と呼びます。

プローブでポケットを測定することをプロービング(probing)と呼びます。プロービングによってポケットの深さや出血の有無を測定・確認します。



 概ねポケットが深いほど歯周病の侵襲が進んでいると思われより重度と診断されます。

BOP(+)



中切歯遠心部のポケットを測定した後、同部に出血が認められました。



プロービング時に出血が認められることをBleeding on probing(BOP(+))と記します。この部位には炎症が存在していると考えます。 

特に初期治療終了時などの再評価時にはBOP(+)部を記録します。BOP(+)部は炎症が残存するため更に何らかの治療が必要であることが示唆されます。

概して、再評価でBOP(+)の割合が高くなるほど、歯周治療の効果が無かった(=更に治療が必要である)、患者さんの清掃が不良(の可能性が大)もしくはその両方だと疑われます。

ペリオチャート記入



プロービングで得た測定値を記録しているところです。



この記録用紙をペリオチャート(periodontal chart)と呼びます。
世界中には沢山の形式のペリオチャートが存在します。
各々には特徴がありますが、当オフィスのチャートはスウェーデン・イエテボリ大学・歯周病科で使用しているモノを採用しています。(積極的な歯周病治療の対象になる4mm以上の箇所だけ記録されます。)


1本の歯をその四隅で近心・頬側・遠心・舌側の四面に分け、各々の最深値を記録します。ポケット底の最深部を探し記録することが必要です。
任意の何点かを測定して記録している術者が多いので、そういった場合は深いポケットを見逃してしまう可能性があります。


プロービングはトレーニングが出来ていないと適切な測定は難しいものです。
正確に測定できないと正しい治療は不可能です。かなり進んでいる歯周病でも進行度を過小評価してしまいます。

私は講習会で歯科医師を指導した経験から臨床医の多くが正確なプロービングさえできない現状を見てきました。これは一度も正確な臨床トレーニングを受けていないからです。こういったことは臨床全般に関して言えます。
その背景に大学教育で正しい臨床実地が殆どの歯科大学で行われていない実情を反映するものと考えています。




このように歯周組織を診査をした結果、歯周病の診断がつき治療計画が立案されます。



*患者さんには最初に歯ブラシの仕方など口腔清掃法に関してご指導しますが、ここでは割愛しまた別のブログで解説します。





「 スケーリング&ルート・プレーニングなど 」

キュレット



我々のオフィスで用いるグレーシータイプのキュレット(GRACEY11-12、GRACEY13-14)


チャート記録が完了したら、その結果を参照しながら歯周組織の治療を行います。
写真のようなキュレットと呼ばれる手用器具を使用し根面に付着した歯石を術者が直接手で丁寧に除去します。


キュレット先端



刃部の小さいminiタイプ(写真上2本)とregularタイプ(写真下2本)



キュレットの先端はこのようにスケーリング部位に合わせて適切な角度設定がなされ、先端部の刃部も軸に対してオフセット(offset:ある角度を付与)が付いています(図参照)。
実際に器具をご覧頂けば解りますが、刃の先端部は3ミリ弱~5ミリほどの小さなモノです。これを正確にシャープニングして、目に見えないポケット内を十分にスケーリングなどするのは、かなり繊細な技量が必要になります。

スケーリング



グレーシー型手用キュレットでスケーリングしているところ



ポケットの中にある歯石は歯根表面に付着しています。歯肉縁下では直接根表面が見えないためこれは難しい除去作業です。
また、歯石を取り残さないようにポケットの最深部(=底)までキュレットの先端を到達させ、そこに付着する歯石を除去することが必要です。
ポケットが深くなるに従いスケーリングやルート・プレーニングは難しくなります。
特に深いポケットがある進行した歯周病の場合は初期治療後の再評価(再診査など)で治りきってい
ない部位が明らかになります。こういった部位にはもう一度スケーリングをし直すことや明視下でスケーリングするために歯肉を剥離する"歯周外科手術"を行う必要性が出てきます。

*一般に前歯より臼歯に向かうほどスケーリングは難しい作業になります。
前歯の切歯・側切歯・犬歯は単根で根の断面も比較的楕円形に近くスケーリングも比較的し易い傾向です。
一方、臼歯の一つである小臼歯は主に単根、一部複根(2根)で単根でも断面が前歯より陥没した形態がありスケーリングはやや難しくなります。
また、大臼歯は複根(2根や3根が多い)でより根の断面のカタチもバリエーションがあります。根の間には分岐部と呼ばれる又のような部分が存在します。分岐部を清掃することは非常に難しく、分岐部に細菌が侵入すると分岐部病変を生じることで治療が更に難しくなります。


♣ 歯石とは:


 もともと細菌の塊であるプラーク(dental plaque)が唾液やポケット内の浸出液由来のカルシウムを取り込んで石灰化したモノです。歯石自体は細菌の死骸の固まりで病原性は無いと言えますが、歯石表面が粗造であり、ここに新たな細菌達が付着して生育し始めてプラークを形成するので問題になります。
歯石表面に生きた細菌の塊であるプラークが付いていると考えて間違えありません。
よって,ポケット内から"歯石を除去すること=細菌を除去すること"と考えます。 すなわち歯石を除去することが歯周病の治療の最も重要な概念と考えます。


♣ ルート・プレーニングとは:



 スケーリングで歯石を除去するのみならず更に除去した後の根面から治癒を阻害する壊死物を除去しプラークの再付着を防ぎ治癒を促す滑沢な根面にする徹底的な根面の機械的清掃操作をルート・プレーニング(root planing)と呼んでいます。

臨床的に厳密にはスケーリングと区別していませんが、概念的にはスケーリングの延長上にルート・プレーニングが規定できます。我々臨床家は単に歯石を除去することから根面を滑沢に仕上げることまでを含んでこの操作をスケーリング&ルート・プレーニング(SRPと略す)と呼んでいます。換言すると、 SRPを丁寧に全顎に行うことが歯周治療の基本といえます。

エッジがダル



キュレットのエッジ(刃)がシャープなモノと鈍くなったモノ

*鈍い場合はエッジが光って見える(右のエッジが鈍い場合=光っている)



ある程度スケーリングやルート・プレーニングを行うと、先端の刃部(エッジ)が鈍くなり、除去効率が下がります。術中何度もエッジをシャープニング(研ぐこと)する必要があります。

(こういった基本を教えない大学もあるので、ここでは歯科医へ啓蒙の意味合いも含めて紹介しています)


シャープニング



シャープニング方法は、主に上の2種類の方法があります。

左:砥石をテーブルに置きシャープニングする方法

右:砥石を手で持ってシャープニングする方法



*手ではなく機械を使用してシャープニングする方法もあります。







キュレット図解



キュレット先端部の名称など参照





stone とfaceの角度



キュレットのfaceと呼ばれる面と砥石との角度は、110度でこの位置づけを一定にしてシャープニングする必要があります。刃の幅は1ミリ強です。小さいキュレット先端をシャープニングするのは難しく、トレーニングが必要なことがご理解いただけると思います。



SRPではシャープニングを正確に行うことが必要です。

術中1回もシャープニングをしない衛生士や先生がいますが、こういった場合には鈍い刃先により歯石の取り残しを生じますし歯石の表面を擦った(varnish)だけで済ませてしまうことになります。
つまり、これでは治療したことになりません。
シャープニング一つとっても、適切にできない術者が多いのが現状です。これは徹底した基本的臨床教育を指導できる水準の高い機関が少ないことも大きな原因です。
残念ながら、日本の大学がその充分な機能を果たしていません。




エアースケーラーでスケーリング



エアースケーラーでスケーリングしているところ



手用キュレットに替わりこのようにスケーラーという機械でスケーリングする場合があります。
スケーラーという機械は先端の金属製チップが振動することでスケーリング効果を得るモノです。種類としては写真のようなエアースケーラーや超音波スケーラーがあります。


一般に、スケーラーを使うとスキルに関係なくあるレベルのスケーリングが可能なものと考えられています。多くのリサーチで手用キュレットと同等な効果が得られるとの結果がでています。

しかし、リサーチのデータや実験条件を参考にすると、1本当たりの操作時間5~8分・術者の解剖学的な知識による違いなどにより効果が異なることが解ります。

理屈から考えれば、ポケット底までチップ先端が至っている必要があり根面にチップが良い状態で当たっている必要もあるので、これらは手用キュレットと同じです。
一般臨床の状況を考えると、時間だけでも(数秒から数十秒程度)この条件(5~8分)に至っていない場合が多いし、経験の浅い術者の場合も取り残しが多くなることが考えられます。
換言すると十分に時間をかけて、知識のある術者が超音波スケーラーやエアースケーラーを使ってスケーリングするときにより良好な治療効果が得られるといえます。


*一般の歯科医院で行われている超音波スケーラーを主体にした短時間のスケーリングやSRPでは中等度以上の歯周病の場合には歯石のポケット内での取り残しを生じ十分な治癒は難しいと思います。
ですから、もし進行した患者さんが完全な治療を望む場合には歯周治療の本質を理解して実践している医院に受診する必要があります。


スプラソン&オドントソン



当院で使用している超音波スケーラーのスプラソンP-MAXとオドントソン



我々のオフィスではエアースケーラー&超音波スケーラーと手用キュレットを共に使用しています。非外科的処置では手用キュレットによる根面の性状を関知しながらSRPをする事が完全な根面清掃には必須と考えています。また外科手術の際の根面清掃の仕上げには、超音波スケーラーを使用しております。いずれも、上に述べた特性や基礎的コンセプトを理解して行っています。




POLISHING





スケーリングやルート・プレーニングを行った後は、ポケットの入り口や縁上周辺を研磨ペーストを付けたゴム製のチップやブラシでポリッシング(研磨)します。
ポリッシングは表面に存在するプラークの沈着を助長する付着物や微細な歯石の粒を除去し滑沢に仕上げるため行われます。


また、メインテナンス時などでも縁下のプラークの除去と共に、ポリッシングします。専門的にはプロフェッショナル・トゥース・クリーニング="PTC"や、"PMTC"(←商業的用語)などと呼んでいます。これは、質の高いメインテナンスにも必須です。

2009年1月29日


「 治療の価値をご理解いただくこと 」



およそ15年前、近所に住む若い患者さんが来院しました。お父さんは、会社を経営されている方で、将来はこの患者さんが会社を継ぐであろうことが想像でき

ます。経営者として、ふさわしいオトナになっていただきたいと思いました。まずは、お口の中の治療が必要です。前歯がこんな状態の社長さんが信頼されるで

しょうか?





初対面で、少しびっくりしたのは頭髪が金髪であったことです。少し"やんちゃ"をしていたようないかにも"言うことを聞かないタイプ"に見えました。しか

し、話してみると意外なほど素直でまじめな子であることが解ったのです。「最後まで治療に通ってくれますか?」との私の問いに、「はい、通います」ときち

んと返事をしてくれたので、徹底的に治療させていただくことにしました。





ところで、まだ働いていない二十歳の青年ですから、自費治療費はたぶん親御さんが払うことになるだろうと解っていました。ある段階で自費治療費のお話をお母さんとさせて頂くことになりました。





当時は、現在ほど診療契約を厳密に行っていなかったので、自費治療費の説明が治療が始まってしばらくしてからといったこともありました。この症例でも仮歯

(テンポラリー・レストレーション:TEK)の状態になってご両親に説明することになりました。説明のためにスライドフィルムをコンピュータに取り込ん

で、引き延ばして大きなカラー写真にして提示する必要がありました。しかし、当時はまだ現在ほどデジタル化されていなかったので、業者に頼むと1枚数千円

だと言われました。あまりに経費がかかりすぎるので困っていたら、青山の知り合いがタダで引き受けてくれました。これには本当に助かりました。


早速、大きな写真を十数枚携えて、お母さんとお話しすることにしました。シャープに細部までよく写り込んだ写真を比較すると、私の仕事が理解していただけたようです。自費治療の承諾を得ることができました。








ー 治療の価値は患者さん本人しか解らない ー





治療の価値というものは、その治療を受けた人だけしか解らないものです。治療を受けた方と、治療費をお支払い頂く方が異なる場合、なかなか価値をご理解い

ただけないことがあり、我々も困ることがあります。この症例の場合、1年半ほど治療期間が掛かりました。何回も通って、長い時間お互いに苦労したことは、

私と患者さんご本人以外には理解できないのです。











[ 症例 N.T. ]








正面・術前





術前・正面観


上顎・左右中切歯のう蝕が目立ちます。


その下の歯間乳頭部の腫脹も気になります。前歯の歯肉表面のぶつぶつが目立ちます。これは、線維性の歯肉と呼ばれる状態です(後述:参照のこと)。








術前・5枚法<

術前・5枚法写真





う蝕・歯周病の状態など、気になるところが沢山あります。








前歯部の治療期間での変化

1.術前





2.前歯う蝕は暫間充填して、全顎のスケーリング&ルートプレーニングを終えた状態です。かなり、ポケットも浅くなり回復しましたが、上顎中切歯部の歯冠

乳頭の腫脹は、未だ残っています。まだ、4ミリ以上のポケットを形成しています。これを残しては、再発のリスクがありますから、生理的環境に修正する必要

がありました。





この症例のように、慢性的に炎症が生じている部位に、線維性と言われる"セルライト"のような"オレンジの皮"のようなぶつぶつが大変目立つ歯肉が出現す

ることがあります。歯肉の下の方に"結合組織"というコラーゲン線維などの多い層があります。炎症の繰り返しにより線維組織を作り替える過程で線維成分が

なかなか代謝されずに沢山残ってしまったと考えられます。炎症が無くなってもなかなかこの性状は変わりません。こういった症例では、手術で、線維成分が異

常に多い厚くなった結合組織層を削いで薄くすることで、生理的性状の歯肉が獲得できます。





*健康な歯肉にも、"スティップリング"とよばれる小さなぷつぷつがみられます。これは生理的なモノで異常ではありません。





3.オペ後、堅い歯肉を縫合した状態です。





4.術前に比べ、前歯歯冠乳頭の生理的形態が戻ってきた状態を比較し(1,2と4)ご理解下さい。線維性の性状も改善されました。








クラウンレングスニング




う蝕で歯冠が無くなっています。正しく補綴するために歯根を歯肉上に出すために、crown lenngtheningという手術を施し補綴物をセットしました。





第一大臼歯には金のインレー、第二小臼歯にはセラモメタルクラウンを装着しました。








技工物




技工所から補綴物が出来上がってきました。





末永く口腔内で機能してくれることを願っています。ですから、全ての技工物はスキルのある優秀な技工士により仕上げられ、全ての技工物の歯質との辺縁部(マージン)は、顕微鏡(マイクロスコープ)で仕上げてもらっています。





このことで、歯と高い精度で適合して、マージン部の不適合による二次的う蝕の発生や脱落などのリスクを下げています。技工物の精度管理は、口腔内で永い間機能するための必要条件と考えています。当院では、責任をもった治療には必須と考えています。








ファイナル・セット後5枚法




補綴物が、高い精度でセットされた術後の状態です。





右上第一大臼歯は、旧補綴物のまま手を付けませんでした。咬合面の小さいう蝕は、アマルガムという充填物を充填しました。当時は、今のように信頼のできる良いCR(コンポジットレジン)が無かったので、アマルガム*を使用していました。








下顎術前



術後下顎






術前術後の下顎咬合面観を比較すれば、精度ある補綴の状況が解ると思います。


ブリッジ咬合面は、メタルで作ってあります。咬合力が強く、ブラキシズムを持っている可能性があるため、咬合面を白いポーセレン(瀬戸)などの材料にせ

ず、白金加金という金合金でカバーしました。長い間問題なくお使いいただくには良い設計だと思います(ポーセレンでカバーする設計ももちろんできます)。

術前の保険インレーと術後のハイカラット金インレーを比較すれば、辺縁部の適合性が遙かに良いことがおわかり頂けると思います。


また、銀色の小さな充填物は辺縁適合が良いアマルガム充填です。





*現在でも、患者さんがご希望ならばアマルガムを充填しています。アマルガムは正確に使用すれば、二次う蝕にもなりずらい優秀な充填材料だと考えています。











術後正面






正面観・術後





腫脹した歯冠乳頭形態は消え、生理的で引き締まった歯肉形態が獲得されました。どうぞ、術前と比較してください。








術前メラニン色素



正面・術後




黄色の線で囲まれた部分に黒いメラニン色素の沈着があります。術後の同じ部位のメラニンが消失していることをご覧下さい。





メラニン色素の出現は、生体防御の一つです。紫外線に当たると出現しますが、同じように長い間炎症が存在したままの部位にも時にメラニン色素の沈着が起きます。逆に、炎症が取れて生理的な歯肉環境が得られると消失すると言われています。この症例は、それを示す典型例です。





*色素沈着部(黄色く囲われた部分)に線維性歯肉の特徴である"ぶつぶつ"の存在がご覧頂けると思います。歯の間にある三角形の部分(歯間乳頭)にある"

ぷつぷつ"は、スティップリングと呼ばれる生理的なもので、これは健康的な歯肉に現れるものです(術後の歯間乳頭に見られます)。この点は、間違えないで

ください。

















「 全顎的治療の必要性 」





当院では、全顎的に徹底した歯周治療を行った上、健康的歯周組織が獲得された後に補綴物を装着しています。一口腔内は、一つの世界のようなモノです。ある

特定の歯だけ歯石を取ったり,綺麗にしても、他の歯の歯周ポケットやう蝕から、細菌は唾液に混じって移動することが科学的に解っています。付着したところ

からプラークというコロニーを形成しその場でう蝕を起こしたり、ポケットの中へ移動したりします。ですから、口腔内全部を綺麗にして、全体を健康な状態に

しない限り治療した部分の再発のリスクも大きくなるのです。





「 インプラント治療では気をつけて 」




同じ理由から、全顎的治療を徹底的にしないインプラント治療がダメな訳がご理解頂けると思います。日本の多くの先生がこの点をいい加減にしています。リス

クが大きいままインプラント治療を終了しています。全顎的に徹底的なう蝕治療や歯周治療をしないインプラント治療は大きな非難をするに値します。


全顎の歯周治療などには時間が掛かかります。ですから、長い治療期間のためにインプラントを希望している患者さんの気が変わって止めてしまわないうちに、早く埋入してしまうのでしょう。全く無責任です。

*欧米では全顎の感染除去をしていない場合は禁忌症で、埋入できないことが常識として強調されています。




そういった先生が多すぎるので、お気を付け下さい。





このような知識や技量もない無責任な歯科医師が、高額な治療費獲得のためにインプラント治療を執拗に勧める傾向が見られます。これは非常に恐ろしいことです。


最近の歯科界全体が間違った方向に進んでいます。こういった危機感や現状を、より多くの患者さんにご理解いただき、正しい治療をなさる良心的な先生を見つけてください。












2009年1月22日

現在、医療のトピックとして一番注目を集めている分野が「再生医療」です。歯科界でも、歯周組織再生をねらったエムドゲイン(エナメル基質蛋白の商品名)による再生療法が90年代後半に一般臨床で応用されるようになりました。



それまでも、ゴアテックス膜などを介在させて組織の治癒過程のスピードをコントロールすること、すなわち上皮の根尖側方向への増殖をブロックし、セメント
質の再生(新生)と歯根膜線維を再生することで、失われた歯周組織を再生させる方法(GTR法)は有りました。ところで、エムドゲインによる歯周組織再生
法では、より胎生学的な組織構築の過程を再現することに因る、より真の組織に近い再生をねらうモノとして大変エポックメイキングでした。



私は、スウェーデン・デンタル・センター弘岡秀明先生と共に、臨床医に対する初期のガイド役として、文献を何編も書き、この組織再生に関する本邦初の教科
書を執筆しました。当時、私自身も初めて接する分野であったため一から勉強し,共著者が執筆を私に丸投げしたこともあって、やっとの思いで教科書を作り上
げました。



ココにお見せするのは、エナメル基質蛋白であるエムドゲインを使用して歯周組織を再生させた典型的な症例のうちの一つです。私が、この療法に関して精通し
ていることを知ったある先生から患者さんを紹介されて、この療法を試みたのです。以下、20代後半の男性患者にエムドゲインによる歯周組織再生療法を試み
た症例です。







[ 症例 M.F. ]



五枚法




初診時の口腔内5枚法写真です。



問題となるのが、左側下顎第一大臼歯の近心部です。

ポケットが8ミリBOP(+)、歯槽骨はクサビ状吸収しています。







術前




術前の手術部の写真



全顎のスケーリング&ルートプレーニング(口全体の歯石可能な限り除去)を行いました。

*原因除去療法を行ったわけです。紹介者である担当医がいるので、補綴物・充填物には一切触れませんでした)。



この後、この療法を行ったのです。





reflection




歯肉への切開後、歯肉を剥離して骨欠損部の炎症性結合組織を十分除去、根面のルートプレーニングをしたところ。



第一大臼歯の近心に骨欠損部が現れています。





欠損部図示・reflectionと同じ写真で




写真の角度の問題で,骨の欠損部が解りずらいのですが、黄色斜線部に深さ約4ミリ、幅2ミリ以上の深い骨欠損があります。まさに、典型的なエムドゲインの適応症といえます。





EDTAゲルで清掃




近心根面を十分にスケーリング&ルートプレーニングした後、根面へEDTAジェル(PrefGel™)を塗布し、根面の脱灰による清掃とコンディショニングを行いました。





・根表面に残存する恐れがある内毒素などの再生阻害因子の除去

・脱灰によるコラーゲン構造の骨格露出による再生担当細胞の遊走(chemotaxis:細胞を誘引する働き)をうながすこと



以上の2つの目的のためEDTAゲルを塗布しました。



洗浄中




EDTAジェルを生理的食塩水で洗浄しているところです。





エムドゲイン塗布



根面が完全に清掃されたところで、エムドゲインのゲルをシリンジで注入・塗布しているところです。





縫合




ナイロンの糸で、変法マットレス縫合という方法で縫合し終わったところです。



完全に手術部が閉鎖されて、抜糸までほどけないようにします。





抜糸前




10日後、抜糸前の状態



縫合直後と基本的な外観には変化がありません。



抜糸後




抜糸直後



この後、6週間ほど手術部は歯ブラシは避けて、洗口剤で洗口してもらいました。

またこの間、歯肉縁上のポリッシングを2週に1回行いました。

このように、初期の再生治癒を妨げないように、歯肉に機械的刺激を与えずに清掃することが必要です。







・・・・







この結果、次のようなX線上での骨や歯周組織の再生を確認できました。



骨の時間的成長




術前~6ヶ月(6Ms)~1年6ヶ月(1.5Y)後と、時間経過と共に骨(歯周組織)の再生が変化してゆく過程が解ります。



6ヶ月(6Ms)の時点では、まだ、歯槽骨の石灰化度が低いため明瞭な骨の再生を現していません。一方、1年6ヶ月(1.5Y)後には、歯根膜組織の再生
を現す明瞭な白線を伴う骨組織が現れています。エムドゲインにおける再生療法では、単に歯槽骨ができるのみならず、セメント質の新生を伴った歯根膜組織の
再生が生じているのです。これは、一般的歯周外科手術では果たせません。故に、エムドゲインによる歯周再生療法の意義があります。



・・



歯周再生療法を行うに当たって、十分な初期治療(スケーリング&ルートプレーニングなどを含む原因除去療法)が行われる必要があります。原因除去療法によ
りある程度の治癒を得た結果、まだ残っている深いポケットを伴う骨欠損で適応症に当てはまる部位に、この療法が試みられて初めて成功への第一段階をクリア
したことになります。手術は、上に提示したような臼歯部の場合では、歯周外科手術に関するスキルが要求されます。



この再生法は、基本的歯周治療をルーティーンで行っている医院でないと難しいと考えています。また、多くの先生のお話では、初期治療を行わないで直接行っ
ているようなことも耳にしますが、それでは無理です。この再生法の本質を理解していない人があまりにも多いことは嘆かわしい次第です。



多くの医院ホームページで、「当院ではエムドゲインによる再生療法ができる」と宣伝されていますが、本当にこの療法をやりこなすだけの見識と技量をもった
先生は,私の観たところそんなに多くはないと思います。それは先に書いた様なことで、本質を理解できていない先生が多いからです。簡単にそういった"宣
伝"を信じず、見識と技量のある先生に診てもらうようにしてください。







エムドゲインの手術風景です。良かったらご覧下さい(解説は英語です)。









・・・・





「 エムドゲインについて 」



エナメル基質蛋白は、胎生期にヒトの歯胚内で分泌される蛋白で、アメロジェニン(amelogenin)が主成分です。製品化するにあたり、ヒトの胎生期
の蛋白を採取するわけにはいかないので、ブタの歯胚から採取・精製しています。もう、全世界で100万件以上の手術が行われ、問題は起こっておりません
(感染対策など施されています=ご安心下さい)。このように精製されて商品化されたエナメル基質蛋白が、エムドゲイン(EMDOGAIN)です。スウェー
デンのBiora社から発売されています。



エムドゲインの主成分といえるアメロジェニンは、歯牙のエナメル質形成に関与しており、また、歯周組織のセメント質の形成など歯根膜組織を形成する際に働
くことも解っています。換言すると、エムドゲインを使用した歯周組織再生療法は、この性質を使用して歯周組織を再生させるように考えられた療法です。





「 細胞外マトリックスについて 」



エムドゲインの主成分であるアメロジェニンは、いわゆる細胞外マトリックス(Extracellular
matrix:ECM=細胞外基質)の一種です(*)。ECMとは、細胞の間にコラーゲン線維などの骨格形成(足場)をしているモノと共に存在して、細胞
を支持したり、細胞に栄養したり、細胞の移動を容易にしたり、細胞に"シグナル"といわれる(信号の様な)指示を与える役目を担っています。



*アメロジェニンは、歯周組織や歯胚に限局して存在し、存在時期も限定されるため、一般的にはECMとして語られません。しかし、その役割・働き等からココでは細胞外マトリックスとして分類しました。



シグナルによって、ある種の細胞を作業現場にリクルートして、組織や器官形成の一部の仕事を担当させます。歯周組織の場合は、残存歯周組織から細胞がリクルートされて再生が開始すると思われています。形成する対象に応じて、形成に役立つ専門の細胞がリクルートされます。



ある仕事に特化した働きをする専門の細胞は"分化した細胞"といわれます。一方、仕事内容が定まっていない専門家ではなく素人の細胞を"未分化な細胞"といいます。歯周組織再生では、歯根膜から未分化な細胞(

未分化間葉細胞)がECMなどのシグナルを受け、分化して線維芽細胞などになり再生を始めると考えられています。また、現場では指示を与えられた細胞達がさらに隣接する組織構造を作る細胞を呼び寄せて、次々に組織が再生してゆくものと考えられています。



このECMにはいろいろな種類があり、女性にお馴染みの保湿成分であるヒアルロン酸も一種のECMです。お肌の表皮は、角化層の下に細胞が敷き詰められて
いますが,その下層に細胞がまばらなコラーゲン線維やヒアルロン酸などECMが豊富な"結合組織"が存在して、これが表皮を支持しています。ヒアルロン酸
の保湿効果は、このECMが水分を抱え込む性質に因ります。また、肌の弾力があるのは、この層のおかげです。さらに、老化の実態は、ECMの存在が減った
り,バランスが悪くなったモノといえます。



ところで、このECMが最近の再生医療の一番ホットな分野でもあるのです。先日、あるTV番組でも特集された
ですが、指先が切断されたヒトの傷口に、ブタの膀胱内皮から抽出したECMを連続して毎日塗布したところ、4週間で完全に指先が再生されたという驚くべき
モノでした。私も、興味深くこの番組を観ていました。後日、信憑性のある文献を調べたらこれが真実であることが書かれていました。



エムドゲインでも、こういったECMによる再生が使われていたことになります。エナメル基質蛋白というECMは、89年に研究がスタートしたそうですか
ら、ECMを使用した再生医療では、医科の再生医療に先んじてパイオニアといえます。今後、さらに臨床成績が良い確実な再生方法が発見されることを切に
願っています。









2009年1月 8日

今週、若い弁護士さんが来院されました。初診時の記録として口腔内写真を撮影しました。 すると「カメラで撮影までするんですか?」と、初めての体験だっ
たようです。また、う蝕治療(途中から歯内療法に移行しました)をしましたが当然のこととしてラバーダム防湿法の下治療を行いました。「こういったモノ
(ラバーダム)を使うんですか?初めてです」と、これも初体験だったようです。両方とも、一般的歯科医院ではルーティンで行われていないのです。



我が医院では、1,2回の来院で終わるような簡単な治療の方は別として、できるだけ初診時から口腔内撮影をしています。特に、歯周疾患や補綴学的な治療を
する患者さんの口腔内は、各ステップで記録しています。できる限り治療過程が客観的に後になってから解るようにしておくことが必要です。このブログで、皆
さんに症例をご覧いただけるのも、私が今まで記録していたおかげです。また、患者さんご自身にとっても、初診時に治療すべき箇所を客観的にご理解いただけ
ることや、治療過程での治癒の具合が確認できるといった利点があります。逆に、全く口腔内撮影を行っていない医院というのは、"治療しっぱなし"というこ
とです。そこには臨床に対する反省は余り存在しません。



どうですか?



口腔内撮影しないような先生の姿勢に、あなたは信頼をおくことができますか?





・・・・



ここで、簡単に口腔内撮影の説明をします。





口角こう



口角こう(リトラクター)



こういった器具で頬を引っ張り、歯および歯肉・粘膜まで唇に隠れることなく撮影できます。

強化プラスチック製のオートクレブ滅菌可能なもので、使用時は滅菌消毒されたモノを使用しています。





ミラー



口腔内撮影用のミラー



きれいに要所が撮影できるように、直視像ではなく鏡で反射させて撮影します。



長細いミラーは側方面を撮影するモノ

もう一方は、咬合面(噛む面)を撮影するときに使います。







一式



口腔内撮影に使用している器具一式



ミラーは息で曇るため、40度ほどの湯で暖めた状態でミラーを使用します。





・・・・



[ 実際の撮影風景 ]





正面観は直視の状態で、また側方面観や咬合面観は鏡を使い撮影します。



 *以下の図は、実習時に作製したスライドを流用しました。



正面



正面観を撮影しています。



スタッフが口角こうで口唇を引くと同時に、口唇前方に出して歯周組織や粘膜が口唇で隠れないようにしています。



サイド



側方面観を撮影しています。





*慣れない先生方には、鏡の位置付けが難しいようです。概して撮影の下手な先生は、側方の写真がうまく撮れません。



スタッフが同じく、口角こうで口唇を引いています。



咬合面



咬合面観を撮影しています。



(共著者、Dr.Hiddeがモデルとして撮影しています。)







撮影のスタイルは、ヒトにより多少異なりますが、必要な画像情報を的確にとらえる(写すべき要所を押さえる)ことが必要です。





・・・・





去年、医療コンサルタントのX氏から依頼され、銀座からほど近いある大きな歯科医院へ講義に行きました。歯周病の基本的な講義と、そちらの院長のリクエストに応えて口腔内写真の実習を行いました。



その医院は、代診の先生と助手・歯科衛生士などスタッフを含めると20名弱の大きな医院です。口腔内カメラを購入したので、撮り方を代診の先生たちに教え
てもらいたいとのことでした。実際、指導させていただいたのですが、皆さんほとんど撮影が初めてに近い方ばかりだったようで、まともに撮影ができる先生は
皆無でした。また、この医院の先生方は、私の見た限りでは正確なプロービング(歯周ポケットの測定)さえでき無い方々ばかりのようでした。もちろん、ペリ
オチャートもルーティンで正確に記録していないでしょう。



この医院のように、新開地にある"患者数をこなして経営している歯科医院"では、ペリオチャートも記録せず、口腔内撮影などしていない訳です。ですから、
患者さんの記録もいい加減です。先生もスタッフも治療を顧みることができないので、彼らの技術的進歩や診療に対する反省もできないでしょう。確かにお忙し
い医院なのでそうなりがちなのは解りますが、ほんの数分時間をさけないで(慣れると3分で終わります)記録をないがしろにする歯科臨床というのは私には理
解できません。これが日本の一般的状況だというのは誠に残念なことです。あの実習を機会に、あの医院も口腔内写真を撮るようになったなら幸いですが...
はて現在は??







・・・・





「 HPの臨床写真 」



多くの先生が、日常的に口腔内の画像での記録を残していません。ですから、HPに掲載している写真の多くが、既製の写真を流用しています。新規開業の先生
の写真などなおさら、ご自身で撮影した写真など無いはずです。お金を出して買って掲載している場合も希になりますが、多くは業者からの譲渡サンプル写真や
同業者の画像の二次使用です。



先日、当院近くから転院されてきた患者さんがおりました。その患者さんは、ある駅近くの医院のHPを観てその医院へ受診したそうです。しかし、実際に行っ
ていることがHPの内容とあまりに違っていて驚いたとおっしゃっておりました。基本的には、HPには良いことしか書きません。(もちろん私のHPも同じだ
と思います。)しかし、私は全て自分で行った症例の記録をご紹介しています。アラが見えるのでは?と同業者から心配されるようなかなり大きな拡大されたう
蝕治療写真なども公開しております。



特に、特殊なモノではなく、当院のスタンダードとしてお見せしております。実際に、"このレベルでは行っている"ということだとご理解下さい。





・・・







皆さんは、お口の中を撮影されたことがありますか?

皆さんが通っている歯科医院は、口腔内撮影をしていますか?

過去に治療した先生の症例を提示されたことがありますか?





良い医院選択のキーポイントの一つに、"口腔内撮影などして記録している"、"過去の症例を呈示できる"といったことがあげられます。



最後に、臨床がお上手な先生方は皆、臨床写真がキレイで的を射た写真を撮影されています。







   臨床写真は、先生の臨床を映す鏡です。





2008年12月15日

皆さん、降圧剤を飲んで歯肉が腫れることをご存じですか?近年、高血圧の患者さんも増えています。それらの多くの方が、降圧剤を服用していますが、ここで問題なのがそのうちの何割かに歯肉増殖症が発症するという事実です。


特に、ニフェジピンによる歯肉増殖症が有名です。これは、一種の副作用です。服用者の2~5割に程度の差こそあれ発症するといわれています。
しかし、一般的に内科医はこういった歯科領域の副作用を患者に注意することはないようです。
降圧剤服用+歯周疾患により発症する副作用なので、服用者であっても歯周病を治療することで必ず治ります。
発症予防のためにも降圧剤を服用されている患者さんには歯周病の治療をオススメいたします。



[ 症例:H.S. ]

ここに示す症例は、40代女性の降圧剤服用患者で、下顎前歯部の歯肉の腫脹を主訴に来院されました。



正面



ご覧のように、下顎前歯部に歯冠を半分以上覆うくらい歯肉が腫れています。

典型的な増殖症です。





初診・5枚法



前歯部の腫れが著名ですが、ほかの部分も歯周病によって侵され、発赤・腫脹しています。



この症例では、腫脹部以外も含めて歯周病の基本的治療であるスケーリング&ルート・プレーニング(徹底的歯石除去など)を全顎的に行いました。





BOP正面



前歯の歯肉は腫れることで見かけ上、歯の周りに大きな溝="ポケット"(仮性ポケット)を作っています。歯周病のポケット測定に使うプローブという器具でポケットを測ると深いポケットを形成して、出血が著しいことがわかります。



このポケットには、細菌の塊(プラーク)が存在しこれが悪さをして強い炎症を生じています。





時間経過



これは、歯肉腫脹部の治療過程を経時的に比較したものです。
はじめは、患者さんにブラッシングだけしてもらいました。これによって少し腫脹の消退がみられます
(0→1W)。
さらに、超音波スケーラーでポケット内のスケーリング(除石)と洗浄をしました。
この時点で顕著な腫脹の消退がみられました(1W→2Ws)。
そして、手用キュレットで丁寧にスケーリング&ルート・プレーニングしました(2Ws→3Ws)。
3Ws以降は、特に歯肉縁下には触れず、歯肉縁上を磨く(PMTC)だけで経過観察しました。
3週目(3Ws)で既に腫脹は消えています。
3週(3Ws)以降は2ヶ月(2Ms)まで安定して再発の兆候は見られませんでした。







術前・術後



術前・術後の歯肉の状態を比較してください。



前歯部の腫脹のみならず、他の部分も含めてお口の中全体の歯周病が改善され、引き締まった健康な状態となりました。



*降圧剤服用者で、歯間乳頭部(歯と歯の間の歯肉の三角地帯)が丸く膨らみだしたら、初期症状が始まっているかもしれませんので、歯周病治療をお受けください。





術後



きれいになりました。



メインテナンスの励行で、よい状態が保て再発を抑えられます。





・・・





[ 歯肉増殖症の話 ]



薬剤を服用していても歯周病でなければ、歯肉増殖症は生じません。また、増殖症を発症しても、歯周病の原因因子であるバイ菌(歯垢=プラーク)を局所から取り除けば(歯周病治療すれば)、必ず増殖症は改善されます。



○歯肉増殖症になる可能性がある薬剤



・ニフェジピンなど、降圧剤(カルシウム拮抗剤)

・ダイランチンなど抗てんかん薬

・シクロスポリンAなどの免疫抑制剤



現在、上の3種類の薬剤を服用して副作用としての歯肉増殖症を発症することが知られています。臨床上、見かけはニフェジピンと他の2剤の場合は同じで区別できません。また、全て治療方法も同じです。



○治療方法



使用を中止すれば改善されますが、原則的に各々薬剤の服用は中止できませんから、治療方法は発症するための原因因子(バイ菌=歯垢・歯石)を除去して治療することになります。ですから、具体的治療方法は以下の2つになります。



・スケーリング&ルート・プレーニングによる、オーソドックスな歯周病治療



・歯肉切除による方法(スケーリングも併用する)



今回は、浮腫性の増殖だったので、歯肉切除は行いませんでしたが、セルライト(オレンジ・ピールスキン)のようなぶつぶつした見かけの繊維性の歯肉増殖を
起こしたケースでは、反応が悪いことが考えられるため、歯肉切除を選択することがあります。一度に悪循環を改善できるので、著しい改善が早期に得られま
す。



○その他気をつけること



・歯肉増殖症の患者さん(ニフェジピン服用者)が医科の病院に受診して、腫瘍を疑われて生検(バイオプシー)を採取されたり、各種検査を受けた方がいまし
た。口腔内のことは、歯科にまずは受診すべきでしょう。こういった疾患は、医師には認識がないので大事(おおごと)になってしまったようです。ただ、残念
なことにこの疾患を全く知らない歯科医師も多いので、歯科医院へ行っても治療できないかもしれません。



・改善しても、メインテナンスを含め口腔環境をある程度厳格にキープしていないと再発の危険性が大きいといえます。基本は、一般の歯周病と同じですがさらに徹底した管理が必要です。







*ご来院ご希望の方は、まずお電話にてご連絡下さい。



常時、歯科全般及び、上のような歯肉増殖症の患者さんをお受けしております。お気軽にご来院下さい。

歯周病
Powered by
本サイトにて表現されるものすべての著作権は、当クリニックが保有もしくは管理しております。本サイトに接続した方は、著作権法で定める非営利目的で使用する場合に限り、当クリニックの著作権表示を付すことを条件に、これを複製することができます。
麹町アベニューデンタルオフィス 麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

麹町アベニューデンタルオフィス
院長 戸村真一

こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

街の歯科医院へ行くと感じる嫌な感覚を皆様が受けないような雰囲気にしました。 スカンジナビアン調に私自らがエントランスから室内の隅々に至るまでデザインし、 患者さんがリラックスできる清潔で清々しいセンス溢れる空間をご用意しました。

 巷の歯科治療の嫌な記憶を思い出すことのない快適な環境でお持ちしております。気持ちよく治療をお受け下さい。

日本の医療機関のホスピタリティーは低くセンスが感じられないのが現状です。 当院の室内環境は、私の診療哲学の現れです。 また、私のオフィスでは正しく丁寧に本当の歯科治療を致します。 正に、日本の酷い歯科医療のアンチテーゼを具現したのが私のオフィスです。