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2013年3月 8日

私は常々ブログやツイッターで語ってきましたが、歯科治療の基本であるう蝕治療は適正に行われていないとその後、それがもとで数々の問題が生じて歯の寿命は短くなります。


毎日のように保険治療の12%金銀パラジュム合金のインレー(銀色の詰め物)が外れて患者さんが来院します。

外れたう蝕窩洞(詰められていた穴)には茶褐色〜黒色に変色した感染歯質(軟化象牙質)が残存しています。
多くの場合は前医がう蝕感染歯質を取り残したままインレーやコンポジットレジン等を充填しています。
もちろん、詰め物と歯との隙間から二次う蝕が生じる場合もありますが、元々感染歯質を残して"治療したこと"にしています。

これが、日本の保険歯科医療の酷い実態です(自費診療でも変わり有りませんが...)。
患者さんから治療費をもらって治療として成立しない行為を堂々と行っています。


う蝕一本でも、そこから医原性疾患が始まり将来歯がダメになり得ます。

たかが虫歯治療と思っている患者さんもいると思いますが、皆さんの多くはそのような歯科医が作った不良処置が原因で時間が経ってからその部分に問題を生じて来院されます。


なんと原因の大多数は過去の不良な治療です。


ここで提示するう蝕治療は基本的な症例です。このように適切なカタチでう蝕治療を行っていない歯科医が巷では大多数です。


是非、丁寧に適切な治療を臨床で励行する先生を探して下さい。

聡明な患者さんの多くは今の歯科医療の酷い実態を実感しているようです。
当オフィスにも2,3時間もかけて遠方から虫歯一本のためにでも来院される患者さんがいらっしゃるのは、それだけ巷の歯科医療が雑で学問的常識も無視しているからでしょう。






/////////////// う蝕治療 の一症例 //////////////


tuzura-panorama2.jpg

これは今回紹介するう蝕治療をした患者さんのレントゲン写真です。
白色の矢印部分にう蝕病巣がありますが、レントゲン写真には明瞭に写っていません。
渋谷区のある矯正歯科の先生から、このう蝕を含め数本のう蝕治療の依頼があり
治療を行いました。

このケースのように歯と歯のコンタクト部から生じるう蝕は必ずしもレントゲン写真でも明瞭に確認できない場合があります。
ちなみに、歯間隣接部のう蝕を鮮明に撮影する撮影方法(バイトウイング法)もあります。

実は、歯間部(コンタクト部)から生じるう蝕は大変多く存在しています。
患者さんご本人はもとより臨床家も見過ごしているケースが多いう蝕タイプです。

最近来院する患者さんの様子では、若いサラリーマンの患者さんの口腔内には平均して10本程度のこういった歯間部隣接面う蝕は存在しているようです。

潜在的に沢山存在するう蝕です。当院では日常的に発見した際には正しく治療しています。




T−1.jpg

下顎左側第二小臼歯の近心にう蝕を発見
コンタクト部(歯間隣接部)から発生したう蝕です。

エナメル質を透過して黒い影のようなモノが確認できます。






T−2.jpg


エキスカベーターという極小の耳かきのような器具で感染歯質を除去します。

このケースでは第二小臼歯の近心部う窩(う蝕の穴)には沢山の変色した軟化象牙質が存在していました。

これをう蝕検知液で染め出して、赤色に染まった歯質(感染歯質)を充分に除去して、
歯質切削粉が染色されていない健全歯質(非染色.白色)に変わった状況の写真です。

極小のエキスカベーターの先端部に乗る象牙質の切削粉が白色で、
感染歯質は除去が完了した状態です。







MIエキスカ.JPG

私は臨床で7,8種の極小タイプの手用エキスカベーターを使用しています。
この症例で使用したエキスカベーターは1番左のタイプ(先端直径は1㎜強)です。


う窩はある深さまでは概ねタービンバーで切削して削り取りますが、

深度が深くなれば歯髄に近くなるため歯髄腔へ穴が空くようなダメージや不容易な歯髄への感染が懸念されるために、手用器具のエキスカベーターで丁寧に歯髄の間際までう窩を清掃をします。

こういった感染歯質除去は正しい知識に裏付けられた臨床家としての技量と勘に因ります。すなわち、経験値に左右されます。



一般的に日本の歯科医はエアータービンだけで雑に形成して、
感染歯質を残したまま充填する傾向が強いようです。

短時間診療・効率重視の一般的街の歯科医院では、エキスカベーターで丁寧な感染歯質除去を行うような慎重さは微塵もありません。

ですから、う蝕治療後は再発も生じやすいのだと言えます。
一般的歯科医院はその程度で、治療を受けると危険です。








MIタービン&エアスケーラー.JPG

エアータービンとう蝕治療用チップを装着したエアースケーラー
左は、極小のラウンド型ダイヤモンドバーを装着した切削の時に使用するエアータービンです。

右はエアスケーラーという音波振動する器具の先端にう蝕治療用のチップを装着したモノです。

タービンバーは概ね初期のう窩へのアクセスで使用する器具です。
ラウンド型チップが装着されたエアースケーラーは手用エキスカベーターと共にう窩から感染歯質を効率的に除去する際に使用します。











現代修復学の常識:
ミニマルインターベンション(MI)とは?










歯科治療でいう ミニマルインターベンション(minimal intervention) とは、侵された歯質のみ選択的に除去して,なおかつ健全歯質は可能な限り残存させる様なう蝕治療を行う治療概念です。

従来、行われてきたインレーなどの金属充填物のように窩洞にインレーを保持させるためにはそれに必要な形態を付与する必要がありました。よって健全歯質を余分に除去して便宜的に大きな形態を付与する修復方法でした。MIによる方法とは従来のインレー等による修復方法とは対極にある方法論です。




MIによるう蝕治療が可能になった背景には、コンポジットレジンとそれを歯質に接着させる接着剤のようなボンディング剤の開発などの材料学の進歩によるところが大きいと思われます。

この症例のように感染した歯質のみをタービンバーやエキスカベーターで除去してえぐり取る方法ですから、
健全歯質である象牙質も外側のエナメル質も沢山保存できます。そして歯髄へのダメージも最少限に抑えられます。

完全にMIの概念に基づいて治療すれば、有髄歯のまま歯を補綴修復出来るため、より安全で生物学的な治療法と言えます。












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ラバーダム防湿下でアルミニウムマトリックス&ウエッジを適合し
バイタインリングを装着した状況です。

う窩の清掃が終了し窩洞を形成した後はコンポジットレジンを充填するために、適切な防湿を得る目的でラバーダム防湿法を施しました。

コンポジットレジン充填は、巷では安易に行われている傾向が強いようですが、実はステップワイズに厳格な条件や処理をして初めて、本来有するコンポジットレジンの物理的特性が発揮される歯科材料です。

ですから、防湿や歯質表面の処理や汚染防止を厳格に行わないと、後で充填部辺縁に隙間が生じたり破折が起きたりする可能性が高くなります。

当院では充填処置でも必要に応じてラバーダム防湿法を施すのは、コンポジットレジンの特性を充分に発揮させるためには必須の条件だからです。

マトリックスを装着する都合上、ラバーダム防湿法を使用できないこともあります。その場合は他の方法で処理表面が汚染されないように注意して行います。



t-4.jpg

極薄のアルミニウム製マトリックスを介して第一小臼歯と解剖学的歯牙接触をする様にCR充填を完了した状態です。
過不足無く緊密に窩洞へコンポジットレジンが充填されています。






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マトリックスを除去して粗いシリコーンポイントで概ね研磨を終了した状態です。

歯とコンポジットレジンの境界が目立たず、処理が適切であった事が解ります。


T-6.jpg

最終研磨などを終え、ラバーダムを外した状態。


充填あとも目立たずに自然観ある充填が完了した点に注目。
MIの概念に基づいたコンポジットレジンによるう蝕治療は、小さなう蝕ケースに最適です。

これは当オフィスのMIの概念に基づく典型的コンポジットレジンによるう蝕治療です。
正にこのレベルを標準的に日常臨床で行っています。




保険インレー2.jpg
保険治療による典型的な雑な修復物:第二小臼歯には精度の悪いインレー、第一大臼歯には不良な冠が装着されています。

よく見かける↑の写真のような醜い保険治療の金属インレー(矢印の歯)と私が今回行ったコンポジットレジン修復を比べて下さい。

一般的に街の歯科医に受診するとこのような比較的小さなう蝕でも金属インレーなどで精度の悪い不適切な治療が行われがちで非常に危険です。

もちろんMIの概念など無視しています。そして後年、歯がダメになります.....


ここに示すように、う蝕治療とは、地味に丁寧に正しく行うべき大切な治療行為です。

しかし、多くの患者さんが日常的に受けている治療は、不完全で、こういった適切なう蝕治療の重要性を馬鹿にした歯科医のいい加減な処置になっている事が多すぎます。

良い治療を受けるためには適切な治療に関しての正しい認識を患者さんご自身が持つことが大切です。




さて、あなたはどのような治療を希望されますか?

適切なう蝕治療をご希望の方は、当オフィスまでご連絡下さい。

麹町アベニューデンタルオフィスで本物の治療をお受け下さい。


























2013年3月 1日

臨床写真を整理していたら、過去に補綴など不可逆的加療を受けていない歯周病患者さんの臨床例を思い出しました。

以前も60代の補綴治療などほぼ受けていない患者さんの歯周病治療のケースをブログで書きましたが、ここで紹介する患者さんもそういったケースです。歯科的な治療である補綴修復治療を殆ど受けていない患者さんです。
主訴は、「ある医院で歯周病なので歯を抜くかも知れないと言われ、驚いて来院した」とのことでした。



またこの患者さんは入院等をして検査を受けてレントゲンを幾回も使ったので、歯科のレントゲン写真は撮影しなくて良いように前医からレントゲン写真のコピーを持って来院されました。

本来なら、精細な画像は正しい歯周病治療には必要なので初診時にはレントゲン撮影しますが、今回は撮影しないで治療しました(よって、レントゲン写真像はここには掲載できません)。



この患者さんは、歯周病のブロービング・チャート診査をしたら,概ね中等度〜一部重度の歯周炎でした。

現代の歯周病学的常識から言えば、オーソドックスなスケーリングやルートプレーニング(SRP)を行えば、治癒するケースでした。
たぶん前医が歯周病の正しい知識が無かったために(抜歯する等)そのような事を患者さんに語ったのだろうと思います。




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確かにこのよう↑に、初診時はかなり見かけ上でも充分ある程度進行した歯周病であることが解るほどの状態でした。


・・・

この患者さんに関しては,極めて基本的な歯周病治療を丁寧に行っただけです。
初診時と全顎SRPを行っておよそ1年後のメインテナンスの時の状態を下の写真で比較して下さい。


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写真 上:術前(初診時)  下:治療後1年・(メンテナンス時)







◎歯周病治療後には、歯肉退縮と根面露出は必ず生じます。
   露出根面には、根面う蝕が生じ易い傾向がありますが、上手く管理すべきです。


KTブログ2.jpg



初診時と治療1年目のメインテナンス時の右側側方面観を例に示します。
歯周病治療で歯肉は引き締まりました。
それと供に一様に歯根露出が起きています。
犬歯や小臼歯の歯根露出面には茶色に変色した極く浅い根面う蝕が確認できます。
露出根面や前歯〜小臼歯部根面のクサビ状欠損もピカピカで大変に良い状態に管理されています。


今まで詰め物などで全く治療の手が加えられていないこの患者さんの希望で、
極力非可逆的な治療は行わない方針で敢えて根面にう蝕治療の充填を行わずにメインテナンスを継続していました。

この患者さんは非常にコンプライアンスが高い(清掃に気を使う)真面目な方で、キレイに清掃されていました。

茶色の根面う蝕部も初診時から存在しましたが、特に進行していく状況もなくコントロールされていたので、表面のポリッシング(PMTC)とフッ素剤の塗布をして引き続き定期検査を通じて根面の様子を観察してゆくことにしました。

通常、歯頸部の明らかなう蝕部位はコンポジットレジン等を充填しますが、コンポジットレジンは術者が正しい充填をしないと歯周炎を起こしやすい事も考慮すべきです。
この患者さんのようにクサビ状欠損部や極軽い根面う蝕は敢えて充填しない方針には、私は賛成です。

他のブログ記事でも書いた通り、敢えてこのように加療を加えない姿勢とその意図は、
余計な不可逆的かつ侵襲的加療を"治療"の名の下に安易に行う巷の傾向に対するアンチテーゼです。





*今回のような浅い根面う蝕部に充填処置をしない臨床的基準は:

・変色部の歯質の硬度が非常に硬いこと
・予後観察で進行しない事
などの臨床的基準を根拠にしています。もちろん、定期的PMTCやフッ素剤の塗布を含むメンテナンスでの予後観察が前提です。もし変色部が変化すれば必要な処置をします。





・・・


KTブログ3.jpg


大変に良好にコントロールされ、健康的な歯周環境が維持されています。
犬歯や小臼歯クサビ状欠損部の根面う蝕は今後も注意して観察してゆきます。

70代後半で全てご自身の歯が健全なカタチで保存・管理されているこの患者さんは立派です。

そして、我々はこういった良く口腔内が管理されている患者さんから多くの事を学んでゆきます。

患者さんのお口自体が生きた教科書です。




















2013年2月28日

笹子トンネル事故から考える事: イントロダクション


笹子トンネル事故はニュースなどでコメントされている通り、これは高度経済成長期に作られた建造物の寿命が過ぎている現状を象徴するような事故でもあります。

更に今回は、定期検査の手抜きまでが指摘され始めています。既に業務上過失致死容疑での警察の家宅捜査も始まっています。

建物や何らかの構造物は、ある一定期間が経てば、必ず構造学的に物質的な疲労や問題点が生じます。

ですから、特に公の構造物は定期検査や補修・補強が義務づけられています。
古い旧建築基準法下で建てられている学校の鉄筋校舎は、X状の鉄筋で補強されているモノを見かけるコトがあります。
これなどは、建て換えの出来ない建物の妥当な対処法の一例だろうと思います。








「お口の中もトンネル事故と同様に深刻です」



実は、歯科治療にも今回のトンネル事故で問題になっているようなことが
一部に当てはまります。

最近特に、日本の歯科保険治療の功罪を考える必要性が高まってきたように私は思っています。

毎日、金属インレーが外れた患者さんが来院されます。
殆どは前医の基本を無視した雑な治療が原因です。
( ↑ 歯科教育を受けてきたと思えないような例が殆どです ) 

しかも、多くはう蝕の感染歯質を充分に除去しないで、すなわち感染歯質を取り残したまま充填処置が行われています。


毎日、患者さんの口の中にいい加減なう蝕治療の痕跡を見ているのでこちらも麻痺してきましたが、元々それ等は全て治療したことにならない類のデタラメな加療行為(治療ではありません)です。

気の毒なのことに患者さんはキッチリ治療出来たものと勘違いしていることです。

このように歯科医が行ったデタラメな治療でも歯科治療として請求されれば通用しているのです。

全く書面上も患者さんの自覚の上でも、表に現れないことです。
そんな治療とは言えないモノにも被保険者はお金を払い続けているのです。
端的に言うとこの事実が歯科保険医療の悪い側面です。


被保険者の皆さんは、歯科治療の実態にもっと関心を持って、
う蝕(虫歯)治療一つでも、適切な治療を良い医療機関に受診しお受けになって下さい。



概して、数をこなす短時間診療体制の医療機関は要注意でしょう。
効率的に診療すること自体は問題ではありませんが、担当医が治療上注意すべき重要なポイントを無視する医院が多い事に問題があります。

患者さんも不良な治療に「簡単に終わってよかった」と見当違いをしているのも問題です。
どうか、治療と言えないような加療行為に騙されないで下さい。







「口腔内の定期検査は必須です」



例え適切に治療を行ったとしても建築物などと同様に、長い年月口腔内に存在すると、色々な問題が生じ得ます。

歯科治療でもそういった点で長期間の予後観察といえる定期検査は重要です。
これは歯周組織や補綴された歯の状況をチェックすること、すなわち新たな問題点の発見には必須です。


トンネル内の検査では、チェック箇所を叩いて音を聞く"打音検査"といわれるモノがあるそうです。  
 歯科治療でも打診やプローブビングという歯や歯周ポケットへ行う検査などがあります。
適切な定期検査では口腔内の色々な歯科的項目を検査をしています。








「過去の治療が徐々に再発しています」


そして、今非常に心配なのは歯にインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)など補綴治療を過去に受けて補綴物が口腔内に装着されている患者さんのそれ等の状態です。

そうした過去に治療された既往がある歯、全てに再発が起き得るという現実を忘れてはいけません。

特に昨今は、過去に治療した治療部の再発症状で歯が痛み出したり、歯根に新たに根尖病巣が出来て急発症状で腫脹と疼痛を生じて来院する患者さんが顕著に増えています。
これは、患者さんの抵抗力低下が顕著になってきた状況を反映するモノだろうと思います。

この日本に住む人間には要注意な事項です。







 「あなたも過去に治療したモノを点検してみた方が良いのでは?」

当オフィスではトゥ-スクリーニング(自費)の際にも、定期検査と同様に口腔内の検査を併せて必ず行っています。

歯は、精度の悪い補綴物や充填物の際には歯と補綴物との境界部の隙間から細菌が術後に侵入し得ます。そして、二次う蝕(二次カリエス)と言われる術後に起きる二次的なう蝕を作る事があります。

適切に精度ある補綴治療をすればそれは本当に良い治療行為ですが、精度の悪い補綴治療をすると二次う蝕等の疾患の発生を助長します。

巷で日常的に行われている雑な保険治療など、ビックリするほど精度の悪い補綴を目にすることが多くあります。これは日本の保険制度の功罪の悪い側面です。

一般的に、請求点数を増やす事に歯科開業医の気持ちが偏っている昨今の歯科界では、雑な精度が悪い治療や学問的常識を無視した治療が沢山行われています。

きっと皆さんお口の中にもそうした治療が沢山存在しているはずです。





















2013年2月27日

◎意味のない治療や 必ずしも勧められない治療があることも知って下さい。



この頃、患者さんが自ら何らかの治療法を希望して来院することがあります。
ネットや雑誌で色々な情報が公開されています。
そういった情報を観て、自分もこうして治療してもらいたい。もしくは、そういった治療法から自分の治療方法を選択して来院する患者さんがいます。

歯科的知識を持つことは良いことですが、客観的な診断も出来ていない状態で患者さんが勝手な治療方針を決めて来院する場合には見当違いの治療方法を希望される場合も多く有ります。

「○○という治療方法をしたい」と希望して来院しても、全くその状況には適当でない、その治療方法では治療できない場合も多くあります。
医療サービスとは、一般のサービス業種と違うのは、患者さんの希望に添うことをすることが必ずしも一番良い対応でないという点です。もちろん、適切な治療方針を説明します。



本当は学問的な意味が無くても治療行為をすれば治療費が派生するために不必要な治療や,場合によっては患者さんのために必ずしもならない治療でも「出来ますよ」といって歯科医が行ってしまう傾向には疑問があります。
実は、こういった恣意的な思惑で行われる治療が沢山あるようです。


例えば、最後臼歯部(智歯部=親知らず部)や第二大臼歯部にインプラントを埋入する治療も、場合によってはその典型といえます。

臼歯部へのインプラント埋入自体は問題ではありませんが、ケース選択に注意を要します。
特に、高齢者や口腔ケアに疑問がある患者さんには埋入することは慎重になるべきです。

インプラントは清掃を徹底しないとインプラント周囲炎でダメになる可能性があります。
もちろん、埋入前の歯周病治療の時期にコンプライアンスが大変に良く、充分な口腔清掃を励行する患者さんの場合には可能にしても、清掃が難しい臼歯部への埋入は患者さんによっては行わない方が無難な場合が多いと思います。

口腔清掃に関しての考慮は大原則でしょう。治療する事自体は比較的に簡単でしょうが、患者さんの口腔内で安全に長く機能する方法論を選択すべきで、危険性を考慮して、予防原則に則り、少し余計に用心する態度こそ術者には必要です。

implants .jpg

この頃、よく見かける第二大臼歯部へのインプラント埋入↑症例


ここにインプラントを埋入しなくても上顎の大臼歯の挺出(伸び出すこと)があっても下顎は顎運動時には、咬合の干渉を受けません。

すなわち、第一大臼歯までで充分に噛める場合に、この部分へインプラントを埋入しても余り意味がないことを考慮すべきです。 
ましてや、ケアの励行に不安がある患者さんならば余計な治療となりかねません。

詭弁的根拠:第二大臼歯まで揃った方がより理想的咬合様式を取りやすいので、ここへインプラントを埋入することは正当な根拠だと主張する公立大学の先生がいましたが、多くの歯周病学を研究する臨床医は、この意見を怪しいと考えているように思います。

一般的には、写真のような症例は、歯科医の中では賛否が別れます。私的考え方では、行わない方が良いと考える治療方法です。

我々周囲で歯周病を研究している先生方の多くは、"勧められない治療"と考える先生が大多数です。 しかし、臨床医になるとどうしても治療費の問題で埋入をしてしまう傾向があるようです。









それから、最悪なことにこのケースでは第一大臼歯には根分岐部病変も見られます。

すなわち、歯周病を放置したままインプラントを埋入しているので,これは行ってはいけない禁忌症のはずです。
歯周病の感染叢から細菌がインプラント周囲に移動してインプラント周囲炎を起こす可能性があります。   日本の臨床医は歯周病を放置してインプラントを埋入するヒトが多くいますが、インプラントがダメになるのも当然です。


顎模型.JPG

↑は下顎の第二大臼歯が欠損し、上顎の対合第二大臼歯が挺出した場合のイメージ像です。

上顎の対合歯である第二大臼歯は挺出している状態ですが、下顎は前方と側方運動をしますが、挺出した上顎第二大臼歯と下顎は干渉することなくそのままで機能的な顎・咀嚼運動は特に問題なく行えます。

*欧米の補綴学の教科書にもよく掲載される典型的な下顎の臼歯を補綴する必要がないケースです。  なぜか、日本の教科書には余り掲載されていません。
たぶん、over-treatmentの概念が日本には根付いていないのでしょう。




私は、第一大臼歯までで充分に食物を咀嚼できるこのケースでは、↑のようなインプラントの埋入は全く無駄で、70才台のこの患者さんにはむしろ余計な埋入だと思います、
特に、高齢者にはリスクの少ない口腔環境を考えるべきと私は考えます。
私は、この治療方針は歯科医が治療費を稼ぐための過剰な治療行為と考えます。

臨床医の責任としては患者本位での見地に立ち欠損した部位に他の処置ではなく敢えてインプラントを埋入することに充分な科学的根拠や合理的な説明やが必要です。


この頃、1歯欠損の症例にブリッジではなくインプラントを埋入するケースも同様に沢山観られます。
欠損部の両隣在歯を削らないで保存できるというメリットは確かにあります。
しかし、選択出来るか否かは患者の側の希望やオーラルケアなどコンプライアンス(ケアを励行する患者の協力度)に依存すると考えています。もちろんインプラントの特性が患者側に充分理解されている条件は言うまでもありません。






◎ 臨床における decision making とは?
       そして、over-treatment という概念による歯止め




欧米の教科書には臨床上行われる治療方法における decision making(意思決定)の合理的な方法論が沢山語られています。 decision makingを研究する専門の教科書もあります。

こういった概念を重視する背景には日本の場合とは異なり、皆保険制度が無いことや法的な問題の捉え方の違いといった点で国情が異なることも原因だと思われます。


しかし、日本では処置方針の合理的決定に関する教育が無いに等しい点は反省すべきです。
大学の専門教育でない事は卒後もそういった概念を考える機会が無く,一度も合理的で臨床的治療方針の決定方法を意識しないまま、歯科医の経済的な思惑や学問的興味が優先して治療方針が極めて恣意的に決定されているケースが多いのではないかと私は想像しています。


そして客観的に患者さんのプロファイルを考慮しないで治療方針は決定されることが多いのが現実です。
以前書きましたがC型肝炎で検査数値が悪く、いつ入院するか解らない患者さんがある歯科医からインプラントを勧められた話が有りましたが、どういった考え方で抵抗力や基礎疾患のある患者さんへインプラント治療を勧めたのか大変に疑問でした。


一般に、街の歯科医の場合には「治療費がもらえるから」、
また大学病院など研究機関にいる歯科医は「専門分野の技量を磨きたいので行う」といった患者さんには面と向かっては言えない理由で治療をする先生が実際にはいます。

そして、これも日本ではあまり言及されない概念ですが、over-treatment (過剰診療) という概念も欧米では問題とされます。

日本は、皆保険制度がありますが、そのシステムの下で治療をして請求をすれば、出来高払いで治療報酬が得られるシステムになっています。とかく実質的に治療意義もない場合や治療根拠がない治療が沢山成されているのが現実だろうと思います。
医歯薬業界全般でこの傾向が多いと思います。


こういった側面を知って、患者さんも客観的に治療方法や方針を捉える見方の重要性と恣意的に治療を捉える考え方の不合理と危険性を知って下さい。

重要な治療を同意する際には,背後に上に書いたような歯科医の思惑があるか否かを考えることは実は重要です。

治療方法を多面的に考えて一番良い選択をされることを私はオススメします。







◎学問的に正しいというのみでは治療方針は決定できません:患者さん個別に最良の治療選択は違う。




理屈好きな人々が良く騙される詭弁には、「学問的に正しいから、正しいのだと考えるような思考」があります。


すなわち、学問的にはその治療法は単独では正しい方法であっても、ある患者さんに行えばその患者さんに必ずしも幸福な治療方針と言えない場合があるという事です。

患者毎に、個別に妥当な治療方針を決定する臨床医のdecision makingのトレーニングも必要でしょう。


我々臨床医は、個別の患者さんのプロファイル(年齢・性別・職業・生活環境・性格等)から、その方針が一番幸福な結果となる妥当な意志決定か否かを考える必要があります。
素人の患者さんへは最良に選択肢を幾つか提示して選択が誤らないようにすべきでしょう。

治療方法の選択はある種、経験則に依存するために若い先生方には非常に難しい事もあります。
患者さんの身になって長期予後を考えて安全で最も適切な治療方針を決定しているか否か?
歯科医自身が自ら反省し熟考する時期に来ているのではないかと私は切に思います。







   ○敢えて治療をしない事が最良の選択の場合*もあります。


* 解り易い例では、顎関節症の患者さんへの対応があります。
特に、顕著な症状もない時は全く加療しないことが最良の選択となる場合が多いと思います。

当オフィスにも顎関節症状がある患者さんは来院しています。
多くの場合まずは、経過観察をします。
顎関節症の患者さんへの生活歯への根拠の無い不可逆的加療は避けるべきです。

明確な科学的根拠も無く多くの歯を削って不要な補綴まで行って、症状が治らずトラブルになったケースを業界では幾例も耳にしています。








殆どの歯科医は、免許を取得してから3,4年もすれば日常的に遭遇する多くの治療は出来るようになります。
そういった時には若い歯科医は勘違いして「何でも出来る」、「出来るから治療すべきだ」、「治療できるのだから手を加えて治療すべきで、それこそが歯科医だ」と自身の技量や知識を過信して、見たモノ全部を治療の名の下に手を加えるべきだと勘違いする過ちを犯しやすいように思います。


治療の本質を考えれば、患者さんの一番ためになれること、または不必要な苦労を回避できるような安全な選択が解ればそれを勧めるのが担当医の良心だと私は思います。



充分患者さんに配慮した説明を歯科医がしないと、治療の予後が患者さんには予想も付かないので、患者さんは行わなくても良いような危ない選択を希望することがあります。



治療に伴う顕著なデメリットがある時には、患者さんへそのデメリットを説明するのが良心的な歯科医療なのかも知れません。
私は行わなくて良い治療を過去に受けてつまらない思いをされているケースを再治療を希望し来院する患者さんの口の中に沢山見てきました。

たぶん、そういったケースでは前医が総括的&客観的視点で治療方針を決めていないだろうと疑われます。


私自身も、一歩下がって客観的に治療の意志決定をする重要性と積極的加療をしないことが良い場合がある事を身を以て理解するようになりました。
それは、四十近くになってからのように感じます。

歯科医は思い上がりは禁物で、治療には敢えて行わないことも含めて、冷静な歯止めを課して行うべきです。
そんな考え方の重要性を益々身を以て考えるようになった今日この頃です。

では、また(^_^)ノ


























2013年1月 8日

これは、以前私もブログ記事で書いた通り、危険なワクチンの副作用が出てきました。そして、将来的に不妊症になる可能性が高いのかも知れません。成分を知ったら誰でも摂取を子供にするのは躊躇するでしょう。

子宮頸(けい)がんワクチン「サーバリックス」を接種した東京都杉並区の女子中学生(14)が、歩行障害などの重い副反応 中学生、長期通学不能


日本のワクチン政策は昔から疑問視されて通りだと思います。小児に摂取する他のワクチンも要注意です。
この頃、芸能人を使ってワクチン接種を宣伝していますが、皆さん危険な実態を知って下さい。
かなり前からインフルエンザワクチンやポリオワクチン等々に関しても沢山の疑問の声が上がっています。


一方では薬品業界ではもっともらしいPRに余念がありません。


皆さんは子pの状況をどう考えますか?
産婦人科医が自分の娘には絶対に摂取させないと言われるワクチンの本当の事を知って下さい。


 これもお読み下さい。近親者や娘さんに摂取するまえに良くお考え下さい。そして、知り合いにもこの問題を教えた上げて下さい。 







こういった発言はウソやデタラメなどでは全く無く、真実です。
ですから、社会正義のために法曹界の有志の方々も立ち上がったのです。

例え効果的なワクチンでも一部には副作用は生じます。
しかし、急性に生じる副作用などではなく、不妊症などの重要な障害が将来生じる可能性を深刻に考えるべきです。


これは、至急副作用や効果の問題点を重要に受け止めて予防的措置として、ワクチン接種を至急中止すべきでしょう。
これは薬害(=障害)が国民に広範囲に生じてしまう事を最少限で防止するための合理的かつ法的措置原則です。

死亡例も...子宮頚がんワクチン"危険すぎる副反応"の実態

このようなブログもあります

族議員と厚労省の官僚や悪い医療人が政治的に関わると恐ろしい事態が生じ得ます。
過去の薬害事件を皆さんも思い出して下さい。







2012年10月12日




◎iPS細胞の臨床応用関連で早くも誤報が出現


公演中の山中教授.jpg




先日ノーベル医学生理学賞を山中 教授が受賞されました。

人体の任意の部位から採取した細胞でいわゆる万能細胞を作る技術が評価されて、受賞したものです。
これは正に1世紀に一つの生物科学に関する革命的方法論です。
しかし、山中先生自らが言及している通り、まだ臨床応用へはいくつもハードルがある状態です。
難病を抱える患者さんは臨床応用を待ち望んでいるものと思いますが、
臨床応用には慎重になることが必要です。




そのような中、昨夜ニュースを見ていたら、すでに森口尚史氏という研究者がiPS細胞を使った移植の臨床応用に成功したという記事が目に止まりました。


どうやら、森口氏のこの報告は誤報らしいと言われています。

誤報というより全くのデタラメを意図的に発表したと考えた方がよいでしょう。
移植事実はどうであれ、ハーバード大学内部の倫理委員会もそのような手術の実施を承認した事実を否定しています。よって、デタラメの売名行為だったように思います。
結果的には、売名行為などでもなく、むしろ森口氏の研究者としての信用を著しく低下させただけだと思います。




今後、ノーベル賞を受賞してiPS細胞の臨床応用を期待される中で、同様にいかがわしい情報や詐欺医療が全世界で問題になるだろうと私は心配している。

たとえば、重症の患者を騙す詐欺医療にだって"iPS細胞"という言葉を使って騙す輩が出てくる可能性があります。    偽の再生医療を語る詐欺には要注意です。






◎新しい技術の臨床応用に関する幾つものハードル


例えば、新薬の研究などでは臨床応用されるまでにはステップワイズで基礎研究から確実に積み上げて行く過程を経てやっと臨床治験を行うことが可能です。

臨床治験の膨大なデータを精査して、やっと新薬として一般に臨床応用される段階になります。
そして、厚労省が認可して初めて一般的な使用が許可されます。


研究では、最初は体外の細胞レベルの基礎実験を試験管やシャーレの中で、いわゆるin vitroの実験系でラボで行う実験を沢山重ねます。

ラボ.jpg

ラボ実験での実験系(in vitro)では、生体内のマルチ・ファクターでの
複雑系の環境(in vivo )とは異なるために、in vitroレベルで得られた結果が生体内で反映される保証はありません。

そうした数々のin vitro の研究成果を元に生物の生体内での試験である動物実験(in vivo)をする初期段階に入ります。

動物実験で得られた数々の成果で、やっと生物体内での知見が明らかになります。
世界的には、動物実験を前にして、かなり厳密な倫理規定が関係し始めます。
例えば、北欧ではヒトに近いサルを使った実験が承認されずに、ビーグル犬を使った実験をする傾向があります。
動物愛護団体等の影響力が大きく、ヒトに近い動物種を使用できない事情があると言われています。


この動物実験で良い知見が得られたからといって、すぐに臨床応用をされることはありません。
人間の生体での効果を実際に確かめるいわゆる臨床治験にも、幾つもの厳格なハードルがあります。

当たり前の事ですが、治験参加者の人間に応用する訳ですから、動物実験のような扱いを出来ない訳です。より厳しい倫理規定を課す必要があるのは言うに及びません。






医療関連の研究では、人間を対象にする医学研究には厳しい倫理的原則があります。

これは ヘルシンキ宣言 といわれる原則です。

1964年に初めて採択されて、幾度か条項を時流に合わせて変更しています。
最新では2008年のソウル総会で更に幾回めの変更が加えられています。

研究者が臨床研究を行う時には、このヘルシンキ宣言に準拠した倫理規定の下で、研究が行われています。

大学病院など研究機関では、研究に関する倫理委員会が存在します。
特に、臨床的に応用する前提の研究には厳格な倫理規定の下で行われることが必要です。
幾つものハードルを越えて、やっと人間の生体での効果を確かめる臨床治験が行われます。

同様にiPS細胞を生体に応用するまでには数々のハードルがあります。
これから、その段階へ進むための前段階にやっと来たか否かといったまだ初期段階なはずです。

到底、ヒトへの臨床応用を行って良い段階ではないはずで、ハーバード大学で一気に臨床応用を許可するはずもない段階です。 森口氏のデマ報道は、研究者なら誰でも疑う全くのデタラメでしょう(ニュース参照のこと)。








◎臨床医はコンセンサスを得られたことしか行ってはいけない。


基本的には、臨床医は自分勝手な治療法など行ってしまうと危険です。
私は、歯科界にはびこるエセ治療を以前から非難しています。

以前にも幾度かブログに書いた自家製薬剤を使用するう蝕治療など、その典型です。

iPS細胞の臨床応用へのハードルが幾つもある事を上で述べましたが、
医療における研究はとにかく厳密な規定の下、積み重ねる必要があります。

そして、その先には学会など公の場で多くの研究者の眼に触れて、議論され複数の研究者に追試されて効果や安全性が確かめられた時に、初めてそれは研究者の間でコンセンサス(多くの同意ある認識)を得られることになります。



こうした過程があって初めて安心して臨床応用出来る段階になります。
公的場である学会でも森口尚史氏の場合は、ポスター発表でさえ、疑義があるために却下されたとのことですから、学会は一種の倫理的フィルターの役割が発揮されたことになります。



ちなみに、学会には各々関連する専門雑誌があります。

投稿された論文は審査委員会で審査されて雑誌への掲載が許されます。
特に有名医学雑誌ではこの審査が厳しい傾向があります。研究者は、インパクトファクターが高い有名医学雑誌への掲載が許可された事だけでも名誉に思うような部分があります。
これは、審査を経て掲載許可された事は研究を高く評価されたことになるからです。


実は、歯科界にはステップワイズな合理的かつ倫理的思考ができないヒト達がいます。
一番危ないことは、勝手に自分で考えた事(治療方法など)を患者さんに直に臨床応用する先生が沢山いる事です。そして、学会で発表しています。


驚くべきことに通常なら基礎研究から積み上げられるステップを割愛して、いきなり臨床で自分の考えた方法や治療法や機械などを試して、発表しているものを見かけることがあります。

患者さんは実態を知らずに最新の治療法だと思って受けている中にも、そのような科学的根拠が疑わしい倫理的でないモノがあるだろうと思います。

ですから、皆さんは最新の治療法などという売り文句には注意して下さい。

学会や歯科界で充分なコンセンサスを得たそものならば、多くの先生がその効果や安全性を言及しているはずです。
一般的に広く言及されていない方法論は、効果や安全性まで怪しいモノである可能性さえもあります。
臨床では、一定の評価と安全性が確認されて評価が定まったものを選択すべきです。
こういった倫理的常識が無い医療人の治療は信用できません。





このような事は、本来は臨床医が厳密に理解すべきことですが、どうも医科のみならず歯科界にもそういった倫理的で地道な概念が欠けているように思えます。





追記(10/15): 
ワイドショーやニュース番組で森口氏の件で時間をさく割合が妙に多くなり、彼を袋叩きにし始めています。  

メディアは客観的に観るようにして下さい。丁度、最近では演歌歌手の独立問題等で2,3人の芸能人が毎日のように取り上げられた事がありますが、これと同じような状態です。

一種のスピンコントロールに利用され始めているようにも思います。

国難のこの時期に、大切な国民的な本来の関心事から眼を背けてしまうことは止めましょう。

皆さんも客観的な視点を失わないようにして下さい!


追起その2:

メディアの堕落ぶりを武田邦彦教授がブログで語っているので、ご覧下さい。

基本的に私も同意見です。
このようなことをTVのような媒体では語らない世の中になってしまいました。
この風潮は、現在の福島の事故を起こしたことと同根のようにも思います。


では、また(^_^)ノ
















2012年9月29日

◎全身麻酔時に歯が脱落した。そして来院:






実は以前、ある患者さんが病院で手術して前歯が脱落して来院したことがありました。


前歯脱落した写真.jpg
このように前歯は脱落します。
金属製の築造物の長さや歯質の健全性が乏しい等の悪い条件で非常に外れやすい状態だったと思います。
そして、そこへ大きな噛み込む力がかかったために前歯が脱落したと思われます。





病院では手術時の全身麻酔の際に、特に前歯が欠けてしまう偶発事故が時々起きています。

麻酔科医や外科医の間では良く知られた事のようです。
また病院によっては、事前に弱った前歯や虫歯が欠ける可能性があることを説明する場合もあるようです。  

しかし、病院ではその歯科的な対策をすることはないと思います。
 ですから、皆さんは事前に入院や手術の予定がある方は正しい歯科治療と何らかの対策をした方が良いかも知れません。




学生時代、身内が入院した際に某医療センターの麻酔科医の先生にお話を伺ったことがありました。

麻酔科医の先生は、以下のようにおっしゃっていました。

「歯医者の先生方が治療した前歯は時々壊れたり、脱落することがありますね」
「大部分は、気管内挿管の抜菅の際が危ないですね」


私はこれを聞いて、そういった歯科関連の問題が全身麻酔時には起きることをその時に初めて知りました。




全身麻酔に関しては浜松医科大の易しい解説 を是非参照して下さい。




 開業してから、しばらくあまりそのようなことを気にしていませんでしたが、↑の写真のような感じで前歯が外れたとある患者来院されました。

入院し手術時に前歯が外れたとおっしゃっていました。
すなわち、気管内挿管のチューブを無意識に咬み込んでしまい非弱な前歯が耐えられずに脱落してしまったようです。

このように、弱った前歯はモノを強く噛み込んでしまうと壊れてしまうことがあります。
それが、入院中だと例え病院に歯科外来や口腔外科があっても必ずしも適切な対応がされないことがあるようです。






◎大切な歯のために歯科が適切に対応すべきこと


入院を前提とした患者さんへは、以下のような(応急)処置や対策が可能です。

特に、・条件が悪い前歯の補綴物が装着された場合
       ・重度の歯周病患者さんで前歯の動揺度が大きい場合

      などの患者さんは、もし入院する事が事前にわかる場合は適切に備える必要がありそうです。
  例えば、進行した歯周病の患者さんで前歯の動揺が大きい方は、ワイヤーを併用して暫間固定(歯を暫間的に固定処置する方法)などで対応できる場合には事前に対応すべきでしょう。

特に前歯に虫歯がある時には必要な充填処置や補強などの対応は必要です。

そして、以前前歯部を補綴治療した患者さんで脱落の心配がある場合は、後に書くようなマウスピースなどによる対応は実際的であると私は考えます。

◎マウスピースで前歯を保護しました。




ある時以前、前歯部を陶材焼き付け冠(セラモメタルクラウン・メタルボンド冠)で治療した70才の患者さんが再来院しました。
近々、入院して胃の手術をするとのことで全身麻酔に備えてマウスピースを作製しました。

マウスピース2.jpg

この患者さんには上下マウスピースを作製しました。
装着して術中に外れないような柔軟性のある少し厚みがあるマウスピースを作製しました。


マウスピース1.jpg

バキュームの硬い管を試しに噛み込んで、歯を充分に保護することを確認しているところ。

手術前に、執刀医と麻酔科医に説明してもらい、術中はマウスピースを装着した状態で全身麻酔をしてもらいました。
このマウスピースを実際にこの患者さんが使用し無事に手術を終え前歯も無事て喜んでもらえました。





入院や手術を受ける予定のに皆さんへ:

入院や手術の前に不安がある方は必要な歯科治療をお受けになってから、入院や手術をお受けになることをオススメします。

治療をご希望の方は当院へお問い合わせ下さい。







2012年9月24日







◎義歯を作れない歯科医が患者さんを入れ歯コレクターにしてしまう




久しぶりに総義歯の話とその裏打ち修理に関して書かせて頂きます。

この頃、私などよりも若い先生方は全くもしくはほとんど総義歯や局部床義歯(部分入れ歯)を作ったことがない先生もいます。

また、担当の先生が義歯を作製しても充分に噛めるように調整できずに治療を終わってしまい患者さんが更に他の歯科医院へ転院して、また新しく義歯を作製するような事が巷では起きています。


私は以前、義歯を5つ持って来院した患者さんに出会ったことがありました。
こういった患者さんは一向に充分に噛める義歯を所有しないで歯科医院を転々と歩いているのでしょう。
このように、無駄な時間と無駄に医療費が捨てられるのは、このご時世には無駄が過ぎると思います。

特に義歯を上手く作る事は、歯科医にとっては臨床経験が充分に必要な分野です。

ですから、そういったチャンスもなく意識して積極的に義歯の勉強をしていない先生には、いくら治療費を払っても噛める義歯が作れません。

義歯使用の患者さんで来院する方の多くは、「義歯でうまく噛めない」というのが最も多い主訴です。

それもそのはず、保険・自費治療に関わらず、殆どのそういった患者さんの義歯は充分な口腔内での調整がされていないからです。
義歯は、口腔内で機能的に咀嚼できるように調整(修整)することが必須です。

特に、滑らかな顎運動や咀嚼運動が出来ないものでは、殆ど既製の人工歯のまま患者さんのお口の咀嚼運動に併せて人工歯が調整されていないモノが排列されている義歯をみることもあります。

たぶん担当した先生は義歯の調整の仕方を知らないヒトでしょう。
そして時間を費やして調整処置を行うと不採算になるので割愛しているのでしょう。
もちろん、技量や経験がなければ時間をかけても出来ないのかも知れません。







◎適切に作製された義歯は修理して長く使えます。
         より良く義歯をお使い頂くための条件:





ここで紹介するのは十数年前に上下総義歯を作製した患者さんが再来院された時のものです。
十数年が経って義歯がゆるくなった(適合が悪くなった)ので再来院されました。


とにかく、まずはキチンと機能的に使える適切な義歯(総義歯や局部床義歯)を作る事が大切です。

機能的に使える義歯が完成されれば、この症例と同様に、その後義歯と顎堤の間に不適合が生じても裏打ちの修理である"リベース"を行うことでその義歯は長く快適に使用できます。

この患者さんも、義歯と顎堤との隙間を赤い義歯用のシッカリした材料で裏打ち修理であるリベースをしました。


総義歯写真 2.jpg

元々、患者さんの要望に応えて丈夫で良く噛める義歯を適切に作製しておいたので、義歯の不適合が生じても、比較的簡単にリベースするだけで、義歯が元通りの吸着性を取り戻し機能的に咀嚼できる総義歯が甦りました。

下の写真の通り、総義歯と顎堤粘膜面の間にリベース剤(赤い材料)が足された事が解ります。
このリベースにより吸着が良くなり完成直後と同様な良い状態に上下総義歯が甦っています。


正面 2.jpg

リベース後、口腔内に装着した状態:
患者さんは上下総義歯を修理した後、何でも以前と同じように効率よく噛めて、喜んでおられました。



これからも、リベースをすることでずっと快適に義歯をお使い頂けると思います。(^_^)ノ


ヒトの顎堤は年齢や時間経過と共にそのカタチが変化してゆきます。

顎堤の変化はその下に存在する歯槽骨の変化によります。歯槽骨の吸収や変化の速度は個人差がありますが、歯槽骨・顎堤が変化する前提で義歯は考える事が肝要です。

義歯を作製したらその後、生涯で幾回かリベースをして義歯の適合を随時チェックすることで、良い状態でお使い頂けます。

この患者さんも今後、顎堤が変化すればリベースをすることで長い期間義歯を快適に使用できます。
リベースは基本的には何回でも行えるので義歯の管理はこういった修理も含めて柔軟に対応すべきです。


先に書いたように幾つも噛めない義歯を作りコレクションするご老人がいます。

そういったことは患者さんへの正しい歯科医からの啓蒙が足りないことと、受診した担当医が充分に噛める義歯を作製する技量がない事の両方が原因でしょう。ですから我々歯科医は、義歯の臨床技量を習得していることが先決です。


昨今、高額なインプラント治療を勧める先生方が多くいると思いますが、一方では従来型の機能的な義歯を作製して患者さんにお使い頂けるように技量を磨くことをしない傾向も顕著になってきました。

これは歯科界の歪んだ現実の反映でしょう。
そして、シンプルな総義歯さえまともに作れない先生ばかりになっているようにも思います。

私は、特に入院の可能性がある高齢者の患者さんには、口腔清掃との関係性からインプラントでは周囲炎発生のリスクがあります。
一方、インプラントのようなリスクのない安全な義歯はメリットが多いと思いオススメしています。






◎義歯の修理は歯科医院で適切に行いましょう



私には学生時代から20年以上履いている革靴があります。
既に部分的なソールの張り替えやオールソース交換など計3回ほど交換修理しています。
学生時代には好んで履いていた靴なので愛着があります。

毎回、靴職人の方が色々手をかけてくれて戻ってくる時には活き活きと革靴が甦ってるのには驚いたものです。

患者さんのお使いになる義歯も最初にキチンと機能的に噛める義歯へ調整した義歯であれば、その後はリベースなど比較的簡単な修理をすれば長くお使い頂けます。
そして使い慣れた義歯に愛着を持って下さい。


TVコマーシャルで、市販の軟性の裏打ち剤(チューブ入り)をよく見かけますが、これは歯科医院へ受診できない事情の患者さんに限っては緊急処置としては良い材料です。
しかし、基本的には今回の患者さんの義歯と同じように歯科医院で適切に義歯の裏打ち(リベース)をすべきです。


市販のそういった材料で長期間使っている方が潜在的には沢山いらっしゃるようですが、適切なリベースを歯科医院で行えば,より快適で衛生的な義歯に生まれ変わるはずです。

どうか、歯科医院で本格的に義歯の修理を適切に行い義歯を長くお使い下さい。
あなたにとっては日常お使い頂いている義歯はお気に入りの愛着を持つ鞄や革靴と同じかそれ以上のはずです。



義歯作製やリベースの依頼は、当院までお問い合わせ下さい。










2012年8月10日


また、先日の矯正中の患者さんが来院されました。




また違う部位のコンタクト部う蝕です。

もちろん、先日もう蝕の存在は解っていましたが、ご本人や矯正の先生の意向に沿って続きをしようと考えていたところでした。

確かに、小さなう蝕のために何回も来院されるのも大変ですが、
歯のコンタクト部の小さいう蝕治療ではあっても、大きさと無関係に時間がかかります。
ですから、1回に2箇所までにさせて頂いています。

今回も2箇所で1時間以上かかりました。

たぶん、効率の良い短時間診療をされている臨床家ならこのくらいの治療を15分だ、20分だといったことを言われるのだろうと思います(私は正反対の治療の仕方です)。


 しかし、今回、特に矯正の動的治療前のバンド装着に関わるケースのう蝕治療でもあり、ミニマルインターベンションの概念を厳密に遵守する故に、う蝕病巣内部をエキスカベータでえぐり出すように手用器具での処置に時間がかかりました(前回記事参照)。



MIエキスカ.JPG
エキスカベーターが再び登場\(^o^)/


実は、正しいMIをするという事は、地味で大変繊細な作業をすることです。
例えば、先端部が1〜2ミリのこういった耳かきのような器具を使うのですから....






前回同様、このケースのMIの概念に則る処置方法とは、具体的にはう蝕病巣中心部へのアクセスホールは出来るだけ小さく保ち外面的エナメル質を可能な限り大きく残す方法論です。
よって少し時間がかかりました。
たぶん、日常臨床でMIの治療をしていない先生には、この程度の処置すらできないと思います。


隣接面う蝕の特性から、予後を考慮すれば可及的に窩洞外形を小さく保ち、大きく広げるべきではないと考えています。

ましてや、こういった部分を全て従来の複雑窩洞の金属インレーにしてしまったらトンデモナイ事になります。MIは窩洞外形が小さいが故に矯正のバンド装着にあたり、充填物にヒビやリーケージ(隙間)が生じ難いのです。



注意しないと巷の歯科医はとにかく矯正家の意向に関係なく、従来の出来高払いに沿う保険請求額を増すための雑で一本調子の日頃の流儀で雑な治療をしてしまかも知れません。到底、適切な配慮でMIなどの概念に沿う繊細な治療はしないでしょう。



この点は、歯科矯正医が一般医にオファーするならオファー先の歯科医師のスキルまで考慮しないでオファーしてしまったらトンデモナイ事になると思います。そして、矯正の先生自体がう蝕治療概念を理解しておくことは言うでもありません。




intact.jpg

術前:ラバーダム防湿を施した切削前の状態です。

一見、う蝕は見えませんが矯正の先生や矯正治療をされる患者さんは歯間離開用のラバー製のリングを挿入したりする際に、歯間部が少し開くので、その隙間から小さなう蝕を発見することがあります。今回もそのようなケースです。 ↓  

*なお、掲載臨床写真はミラー観は反転しないでそのまま掲載しています。

caries.1jpg

注:これは矯正の歯間離開用のラバーリングを外して、コンタクトが充分に開いた状態です。 

第一大臼歯近心に黒いスポットが見えます。このケースでは単なるステインではなくう蝕の存在を表します。小臼歯にも同部位に一致して黒いスポットとう蝕が存在していました。

隣接面う蝕の特徴はコンタクトを介して、多くの場合は両隣在歯とも同じ部位にう蝕が発生しやすく、隠れたう蝕が潜在的に沢山あることを臨床家は知っておくべきです。


患者さんへのアドバイス:

出来るだけ歯間部はデンタルフロス(糸ようじも可)で清掃して下さい。
デンタルフロスで歯間部の詰まった食片や歯垢を取り除き、う蝕を予防して下さい。




先日は第二小臼歯の近心のう蝕を充填していますが、昨日はその遠心と第一大臼歯の近心う蝕を充填しました。

first_molar.jpg

第一大臼歯近心部を充分にエキスカベートして。アルミニウム・マトリックス、ウェッジ、バイタインリングでコンタクト部を調整中の状態。
 この後、エッチングなどコンディショニング後ボンディングエージェント(一種の接着剤)を塗布するところ。

premolar.jpg
小臼歯遠心は、セルロイドマトリックスを使用し窩洞にコンポジットレジンを充填したところ。

歯間部とコンタクトの状況に応じてマトリックスは適当なモノを選択します。







final.jpg

2箇所のコンポジットレジンが充填し終わったところ。
研磨が終了した状態









「矯正の先生へ 」



術前、術中のう蝕治療を一般歯科医へ依頼する際にはご注意下さい。

特に、矯正でバンド装着する予定歯ならこの水準の充填をすべきです。
感染歯質を残して充填するような現在巷に溢れる不良治療では矯正治療中にでさえ歯痛など問題を生じることさえ有り得ます。

特に成人矯正では、大人の歯牙ならそんなに早くう蝕進行しないと思います。
レントゲンに写らないコンタクト部の微少なう蝕の場合には、敢えて触らない(治療しない)で矯正治療後にう蝕治療してもよいかも知れません。

適切な充填が成されない場合には矯正治療の障害になる可能性があります。
むしろ、オファー先として適当な先生がいない場合には、そのままにしておいた方が良いかも知れません。間違ったオファーは矯正治療を受ける患者さんに迷惑をかけます。


矯正家の先生も一般歯科治療の経験が無く、初めから大学など矯正科で勉強されている方の場合には自身でう蝕処置をしない方が多いと思います。また、充填処置などのことを自身の臨床感覚で理解されていない先生も多いようです。
歯科医へオファーする際には、適切な治療が成されるように充分配慮すべきだと思います。

ここに示すような微少なう蝕治療を行うケースではMIの概念を十分理解し実際にこれを行える術者にオファーすべきでしょう。


日本の接着歯学は世界最高水準で、優秀な材料が日本中どこにいても入手可能です。
しかし、正しい知識とステップワイズでの適切な処理をしないと接着が不良になり隙間ができたり破折や二次う蝕が生じる可能性があるため注意が必要です。

患者さんの口腔内をここ数年観ていて感じることは、科学的適正な臨床が全く行われていない酷い状況です。日常的にそういった姿勢がない臨床家にはこの程度のう蝕治療出さえも精度高く行えません。

複数の臨床家が同じ患者さんを担当する場合には責任を持って仕事を遂行できる条件は必須です。
日本には、実質的な専門医制度が根付いていない(ほぼ存在しない)ので、適切に専門的知識をもって臨床が出来る先生が何処にいるのかも解りません。もちろん、本屋で売ってる「全国名医辞典」なども歯科医の宣伝の本ですから信用は出来ません。


よって、矯正家が他の歯科医院へオファーする際のう蝕治療でさえ、適切にオファー先の先生が処置してくれるか否か確証が持てずに不安です。


これが、以前もブログ記事に書いた通りの日本の歯科界の遅れた酷い現状です。


















「どうやって大写しの写真撮ったんですか?」と質問してきた先生!

少しは勉強しなさい (-_^:)

日常的に口腔内写真で臨床の記録を残さない→臨床に反省がない先生。

すなわち、巷の歯科医は反省をしないので進歩しない臨床家が多いと言えます。

よって、もちろん私の撮ったこの程度の口腔内写真も撮れないのが日本の臨床家の実情です。

全く情けない.....
























2012年7月29日


全顎的再治療を考える


皆さんの多くは歯が痛くなった時に、その度に歯科医院へ行き治療されているのだろうと思います。

しかし、そういった治療を長年続けていると、ある時色々な点で不都合が生じます。
そもそも、ある歯科医院へ継続して通院してもお口の中全体を計画的にバランス良く治療することは日本の歯科事情からは極めて希だろうと思います。

ある時点で口全体のバランスが悪くなって上手く咀嚼出来ない状況も生じ得ます。
この場合は、1,2本治療し治して問題は解決できない事が多いと思います。
そういった場合には全顎的治療し直しが必要になります。



「地域再開発事業のコンセプトと同じ口腔内全顎再治療」


現代の社会生活で考えると、街は土地の所有者がある目的や都合で建物などを建設して、そういった建物や施設の集合により街は作られています。街は時代と供に変化してゆきます。
公的に建物や施設に関する規制や法的に条例などが存在しますが、無計画に出来上がった街はある時代になると諸々の不都合が生じます。


この10年、都内では街の再開発事業が盛んに行われています。
東京オリンピック前後に建てられた建造物や道路(首都高)などインフラが現代では都合が悪くなってきたのです。必ずしも100年先までを見通して計画されたわけではない街は、機能不全に陥っているのかも知れません。
個人的にはTokyoの街のダイナミズムが大好きですが、公共の利便性や震災への対応といった観点からはやはり今のTokyoは都合が悪くなったといえるでしょう。
ですから、現在新たにインフラ整備をし、街の作り替えである"再開発事業"がTokyoなど日本の都市部では進行中です。


丸ノ内マンハッタン計画.jpg
丸ノ内マンハッタン化計画より


東京など都会の再開発事業は、大規模に更地にしてその上で計画的に機能的都市計画に基づき都市としてのインフラ整備を伴った都市機能の大規模な建設を行います。

こうして出来上がった街並みは以前と違い機能的な正に現代の社会生活に合致した街並みとなる事でしょう。




////////// 口腔内の再開発事業:全顎的再治療 ///////////




ところで、私はヒトの口の中もTokyoや日本の都市と同様だと考えています。

多くの患者さんのお口の状態はバランスを崩した状態で、しかも一本一本の歯の処置がイイ加減なことが顕著に認められます。一口腔単位で治療計画をしない無計画な歯科治療を受け続けると後年、不都合な状況になります。

計画的に補綴されていないので噛み合わせが悪く充分に咀嚼して食べ物を召し上がれない状態の患者さんも沢山います。そういった場合、(口の中の再開発事業のような)全顎的再治療による作り替えの必要があります。

現実的には、長い間歯科治療を続けていると、このような機能的かつ一部では審美的な問題が生じるのも致し方がない事だろうと思います。

しかし、バランスが悪く数々の問題が生じているのならば、お口の中全体を治療し直してより健康的で良く噛めるバランスの良いお口の健康を手に入れてはいかがでしょうか?

全額再治療でより充実した質の高い生活をおくって下さい!






//////// 保存治療は口腔内のインフラ整備 /////////



我々の口腔内では口の中のインフラというべき組織には、歯を支持する歯周組織と歯の中心に存在する歯髄(神経繊維と毛細血管などによる組織)があります。

これらの健全性が保たれてこそ正しいカタチで歯は機能でき正しく咀嚼できます。

ですから、歯周病に罹患すれば歯周病治療を行います。また、歯髄が侵された時には歯内療法治療を適切に行います。歯を健全に維持してゆくためにはこういった歯科保存治療は必須です。


歯周組織と歯髄の保存や適切な治療は、街で例えれば、まずは建物の堅固な基礎構造・上下水道・電気ガス・インターネットなどを整えることです。
歯を支えていく組織の健全性はこれら社会のインフラ(インフラストラクチャー)と同様に必要条件です。




今まで適切な歯周病治療が一度も行われずに、ただ冠やブリッジや詰め物等の漠然とした治療を受け続けてこられたケースを患者さんの口腔内でよく見かけます。
そういった状況は現在の歯科界を象徴する問題点です。



患者さんは過去の治療に問題がありそうなことを治療した後時間が経ってお感じになっているようです。特に、過去に治療した詰め物が外れたり壊れたりする場合や補綴された歯が痛んだり歯茎が腫れたりすれば過去の治療に当然、不信感をもたれると思います。

口の中全体を治療し治したいけれどきっかけがなく、適切に治療してくれる歯科医院が解らない。

そういった事で悩んでいる患者さんが潜在的に沢山存在します。
当オフィスに来院する全顎的再治療を希望する患者さんも同様です。
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そういった患者さんにとっては過去に治療した部分を再治療する。すなわち、新しい適切な補綴物を装着して口腔内を再構築しより良く機能的咀嚼を可能にする事が主な治療目標です。

もちろん、インフラ整備である歯周病治療や歯内療法学的治療を必要性に応じてやり直すことが大前提です。

手間(時間)も費用もそれ相応にかかる生活の喜びにも関係する大切な治療です。
我々が説明する治療の概念を正しく理解して、治療の価値観を含めて治療(計画)に同意されれば、実際の治療計画に沿って治療を開始してゆきます。




////////////////    ある症例の解説    /////////////////


これは、今年終えた全顎再治療の一症例です。

この患者さんは公務員で来年退職予定です。
働いているうちにお口の中をキチンと治療し直したいというご希望で来院されました。

都内の2,3軒の歯科医院で色々な治療を受けていましたが、各歯個別の治療が充分でない気がしていたようでした。また、必ずしも噛み合わせがしっくりいかない。過去の修復物も摩耗したり不安があるのでより良いモノに補綴修復してもらいたい。
こうして、全顎的再治療を希望されました。






レントゲン診査から:




SH_panorama.jpg
術前のレントゲン像(デジタル・パノラマ撮影)




口腔内のインフラである歯周組織と歯髄の治療(歯内療法学的治療)状態の問題点がレントゲンで概ね解ります。
レントゲン像からは顕著な歯周病の徴候は無いように見えますが、歯周組織の検査(プロービングによるチャート診査)で中等度の歯周病がチェックアップされました。

よって、全顎に歯周病治療の基本であるスケーリングとルートプレーニングを徹底的に行いました。また、歯内療法学的には、上顎前歯の根管治療が不良でした。→再根管治療をしました。

このケースは全顎再治療ケースの中ではそれほど酷い状況とは言えないでしょう。

私は、全顎的再治療を沢山経験してきましたが、不良な根管治療が沢山あり、歯周病治療も一年以上を要する手間のかかるケースも多く経験しています。

今回は主に補綴学的不都合が再治療することの主たる根拠です。
それでも、治療には1年弱の期間を要しました。




正面観写真ー術前術後の比較


SH正面.jpg
術前・正面観


SH完成正面.jpg

術後・補綴物装着後の正面観




術前正面観: 目につくのは上顎前歯部の表面が摩耗して解剖学的唇側面の特徴が消失しているレジン前装冠です。

旧世代の耐摩耗性が低い硬質レジンによるレジン前装冠です。
素人でも何か変な格好の悪い歯だと解るような摩耗など経年変化が起きており、お世辞にも良い状態ではありません。
硬質レジン前層冠は、金属の上にレジン(一種のプラスチック)を盛って作製しますが、 レジンが摩耗しています。これにより金属部の地も露出している箇所が幾箇所あります。

ちなみに、現在の新世代レジンであるハイブリッド型コンポジットレジンでは物理学的特性が飛躍的に改善されています。新世代のハイブリッド型では、この写真のような摩耗は生じ難く、格段に良い耐久性が実現されています。


また上顎左側側切歯(2番)はう蝕で黒変した歯根が露出しています。う蝕失活歯を放置すると時にはこのように真っ黒に黒変する事が認められます。
この変色した質色は変えることが出来ません。歯周ポケット部を透過して歯肉部にまで黒い色調が透けて見えています(写真参照)。
黒変した歯根の色は仕方がありません。これを防ぐには幼少期からのう蝕予防や早期の適切な歯科治療を受けて防いで頂きたいと思います。
逆に言えば、若年期に発生したう蝕でこういった見かけ上の不良状態(審美障害)にまで影響を及ぼします。健康的で美しく健全な歯を維持したいと思う方は是非、予防的歯科治療をお受けになり適切な口腔清掃を実践して下さい。


左右側方面観写真


左右側方.jpg
上が術前・側方面観
下が術後・側方面観


左右側方面観:下顎左右第一大臼歯(6番)が両側とも欠損しています。右は最終補綴物では欠損のまま補綴学的に工夫して目立たなくし歯間ブラシなど補助的清掃腰部での清掃性にも良いように形態にも留意しました。
(仮歯(テンポラリークラウン)の時に形態を試行錯誤して清掃しやすい状態を決定しました。
左側は欠損部は小さなポンティックを持つブリッジで補綴されていましたが、より清掃性に配慮し適切な形態を最終補綴では表現しました。また両側とも歯肉縁上にはレジン充填がされていてう蝕傾向の高さを物語っています。

臼歯では有髄歯のまま健全な状態で補綴して安全で長持ちする補綴物を設計しました。
大臼歯部では縁上のエナメル質に補綴物マージン(辺縁)を設定しています。


術前咬合面観(上顎):前歯にはレジン前装冠よるブリッジ(左側中切歯欠損)が装着されています。また、臼歯には辺縁に隙間や不適合のある金属製インレーやアマルガム充填が成されていました。

再治療過程でこれら全ての術前装着/充填されていた補綴修復部には感染歯質の取り残しや二次う蝕による感染歯質(軟化象牙質)が沢山残されていて酷い状態でした。

感染歯質を徹底的に除去してコンポジットレジンで充填した後、支台歯形成をしました。全顎的に補綴物はセラモメタルクラウン(陶材焼き付け冠)を作製・装着しました。

また、大臼歯は咬合面をメタルにして、咬合面の陶材が破折するリスクを避けました。
頬側面は広角部に見えて目立つため、陶材(ポーセレン)にしてあります。

セラモメタルクラウンではメタル部の設計は患者さんの要望や審美的な要求性などにより決定されます。

臼歯部でメタルが気にならない場合には、特にこの症例と同様に、大臼歯咬合面をメタルでカバーする設計は安全な方法論だと考えています。


咬合面下顎ー

ブリッジ比較.jpg

術前→術後:術前は下顎・左側ブリッジはインレーによる部分冠で支台歯をカバーする設計のブリッジでが装着されていました。
 
支台歯を部分冠でカバーする設計は歯牙の削除量が少ないという利点はありますが、咬合圧が長年かかるために、このケースのように歯牙と部分冠の金属の境界(マージン)部に隙間が生じて二次う蝕やブリッジの脱落も生じやすく問題があります。

*そもそも部分冠をブリッジ支台歯に適応する際には辺縁封鎖性が良い延びがあるハイカラットの金合金を使用することが学問的常識です。この場合のように金の含有量が少ない辺縁封鎖性が悪いパラジウム合金を使用するのは間違いです。


再治療ではブリッジの設計を変えて、支台歯は通常のフルカバレッジでオーソドックスなセラモメタルクラウン製のブリッジを作製・装着しました。

また欠損部ポンティックでは歯間ブラシによる清掃を適切に行えるような歯間空隙を設定しています(側方写真も参照)。







右側比較 .jpg

術前→術後:欠損部の間隔が比較的狭いことから、右側ではブリッジにはしないでポンティックを設定しないで5番遠心と7番近心の欠損部側での豊隆形態調整で歯間ブラシで清掃しやすい連結冠を作製装着しました。






SH術前スライド.jpg
術前口腔内・五枚法:術前の補綴物に注目




SH完成スライド.jpg
術後口腔内・五枚法:補綴再治療完成(術前と比較して下さい)








//////////  治療のコンセプトとポイント  //////////


再治療では術前の補綴設計の欠点を改善してにより安定した補綴を設計しました。
すなわち、今回の再治療ではフルカバレッジ(全部被覆冠)のクラウンで支台歯をカバーするオーソドックスな精度の高いブリッジを装着しました(上述文章参照)。

この症例の再治療する補綴設計のポイントは、セルフケアし易く安全で長持ちする予知性の高い補綴治療です。

鉄則通り、ポーセレン(陶材)はポーセレンと噛み合うように、またメタルはメタル同士もしくはメタルと天然歯質が噛み合うように上下顎の補綴物を設計しています(上下顎・咬合面に注目)。

具体的には、患者さんの希望で大臼歯部では咬合面を陶材ではなくメタルでカバーしました。
ただし、頬側は口角部で金属が目立つためにポーセレン築盛にしました。
また前歯舌側部2/3はほぼメタルでカバーして下顎前歯切端は上顎前歯のメタル部に咬合して陶材の破折リスクを軽減しました。

このように、患者さんの希望に応じて適切な補綴の設計をして長持ちする安全な治療を提供する事は私のポリシーです。

時折、金属と陶材が咬合し合うような間違った補綴設計を平気でしていて、陶材が剥がれたり、破折している症例に遭遇します。
このような、歯科医や技工士の常識不足は患者さんに迷惑をかけることのなります。

補綴物治療は、今回はフルカバレッジ(全部被覆)のセラモメタルクラウン(陶材焼き付け冠)で補綴物をしました。
今回もラボテクニシャンがマイクロスコープで精度高い技工を行っています。
高精度のクラウン&ブリッジにより安心出来て長持ちする補綴治療は可能になります。



術前に装着されていた修復物を除去して感染歯質を徹底的に除去した上でコンポジットレジンなどを一度充填してから、支台歯になるように歯を形成し、そこへクラウンやブリッジを装着しました。
私が、通常行っている抜髄などしない生活歯のまま有髄で保存する生物学的築造方法です。

歯髄を健全なカタチで保存して、有髄歯として可能な限り歯を保存することで安全で長持ちする生物学的に健全な状態で補綴治療を致しました。

いわゆる怪しい造語の"審美歯科"という造語を頻繁に使う先生方(の大部分)のように補綴する際は、正しい根拠も無く安易に抜髄してから補綴する。
そういった誤った・イイ加減な診療常識で治療をする先生方とは生物学的な常識の捉え方には大きな違いを持っています。

ただ、審美性改善や追求といったことのために、生体にとって必要な治療概念を誤る安易で軽率な歯科医には我々保存学を正しく解釈する歯科医は呆れています。

このように私は、歯周病学や歯内療法学を通じて歯科保存学を学んだ人間として、生物学的かつ生理学的に正しい世界的科学的根拠に基づき歯科治療をしています。

昨今の歯科医療に不安をお持ちの方も、安心して予後の良い当オフィスの歯科治療をお受け下さい。




ところで、
あなたのお口は大丈夫でしょうか?




再治療をお考えの方は是非、麹町アベニューデンタルオフィスへご連絡下さい。



                                                                                         ホリエモ〜ン! (^_^)ノ









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麹町アベニューデンタルオフィス 院長 戸村真一

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こんにちは、麹町アベニューデンタルオフィス院長 戸村 真一です。

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