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2016年6月15日


イントロダクション:

日本の歯科界では、最も歯科医師の基本的治療であるう蝕治療が殆ど満足できる水準以下で患者さんがそれによって歯髄炎に発展したり治療し直しに費用や時間が費やされて大きな不利益を被っています。

 ある意味ではこういった現状は概ね保険治療で殆どの歯科治療が出来る非常に国民向きの日本型健康保険制度の功罪と考えても良さそうです。

以前から私はブログ記事やSNSで日本の歯科事情の現実を認識して能力がある臨床医に受診し皆さんが高水準の歯科治療を受けられるように啓蒙していました。
すなわち「上から5%の能力ある歯科医を探して受診しましょう」といったフレーズで表現していました。


実際のインレー装着状態の口腔内観察:


毎日のように患者さんの口腔内に見かける不良なう蝕治療すなわち保険算定の12%金銀パラジュウム合金製の精度不良なインレーを嫌になるほど我々は観ています。


保険治療の功罪5.JPG

アナタは上↑の画像のような不適合な金属インレーでう蝕治療を受けたいと思いますか? 

最近もネットでも銀歯が原因で歯を失うというニュース記事が出ています。


明らかに隙間が見える部分もありますが、 インレーの辺縁が光っているのは窩洞と一致しない不適合部位を現しています。 
一方,辺縁が一致していれば光らずにもっと段差がなく移行的に見えます。  

上の写真はある1人の患者さんの口腔内ですが,この方と同様に精度不良で辺縁不適合の金属インレーを10本程度装着されている方は街には沢山います。 

それ等の殆どは患者の意向など構わずに安価な保険算定を良いことに、説明さえも行われないまま勝手に形成し印象されてその次の来院時に口腔内にセットされたような雑な過程で治療されたインレーです。

そもそもこういったう蝕治療の充填物がいかなるモノで実際にどのような状況で装着されているのかも解らないまま口腔内に放置されて、患者さんの殆どはすっかり治療が済んだと安心しているのが通常です。

しかし、かなり多くの充填物はよく脱落します。
それは教科書レベルの学問的条件を無視したために脱落した例が殆どです。

患者さんはそのような事を全く認識していないので、きっと時々脱落するので不思議に思われるでしょう。しかし毎日のように麹町周辺の会社員のインレーが脱離して来院されます。




インレーの辺縁封鎖性と接着:

 日本では健康保険で一部負担金を払えば保険算定の金属インレーで治療できることになっています.
しかし保険で使用される12%金銀パラジュウム合金は世界的に辺縁封鎖が求められるインレーには使用されない不適当な硬い金合金です。 

cf.インレーではなく冠に使用する材料としては標準的で適当な材料といえます。


インレー模式図01.jpg

私は患者さんに自費負担を頂けるのなら 金属インレーには軟らかいハイカラットの金合金(20〜18K、白金加金など)を使用しています。  
治療費の問題からハイカラットの金合金(1歯数万円)を利用出来ない場合、現実的問題として費用対効果を考慮してより良い材料と方法を選ぶ事が重要になります。保険診療と自費が混在する日本の歯科治療故に重要な治療方法の選択概念になります.

保険算定で行う時には金属なら12%金銀パラジウム合金しか使用できません。この金合金はインレーに不向きなので本来私もオススメしたくありませんが、保険算定なら合着セメントをレジンセメントなど唾液で溶解しないセメントを使用して対応することがあります。


 *実はインレーや冠を合着する歯科用セメント(接着剤)の多くは口腔内の唾液で溶解します。辺縁封鎖性が悪い場合には唾液でセメントが溶解し易く脱落や二次う蝕を助長します。 

一方、 ハイブリッド型セラミックスのインレーが臨床的に優秀で推奨されるのは合着にレジンセメントを使用すること、このセメントは唾液で溶解しないこととハイブリッドセラミックスと歯質の両方に接着性が極めて良好でこれ等を接着で媒介して隙間が生じないという点があるからです。 

長期間経ってもインレーと歯質の間に隙間が出来にくいので最近ではハイブリッド型セラミックスで修復することが多くなりました。

ハイブリッドインレー2.jpg

ハイブリッドセラミックスインレーの精度が高い修復症例インレー辺縁が一致し移行的で精度が良好な点をご覧下さい。


もちろん通常のセラミックスでも表面処理を適切に行えば溶解しないレジンセメントで強固な接着が可能です。このように接着歯学の技術革新が昨今顕著で、我々がその素晴らしい恩恵を得られるようになってきました。


そもそも、多くの症例でインレー窩洞底に細菌が入り込んでいる感染歯質が取り残されている事が多いので、まずその点で感染を取り除くう蝕治療の基本が無視されています(上の模式図参照のこと)。

 感染歯質は可及的に除去するように臨床医の先生に守って頂きたいと思います。 

上の模式図ではインレーと窩洞の間に明瞭な隙間を描いていますが、実際にはその界面に摩擦が必要なのでほぼ接していて殆ど隙間がない状態で摩擦が生じることが求められます。これが緩いとインレーの脱落を生じます。多くの脱落したインレーでは窩洞壁とインレーに適切な摩擦が無い場合が殆どです。

インレーと窩洞の間に適当な摩擦を生じるためにはある程度の窩洞の深さも必要ですが、極端に浅い窩洞が多いのが最近の傾向です。これは金属を節約する歯科医に問題があります。

保険制度では窩洞の大きさに限らず治療報酬の点数は一定なので、なるべく金属を必要としないで利益が出るように極端に浅く金属を節約するように形成しているのでしょう。



◎保険制度では費用対効果で妥当な方法と材料を使うことが肝要:


自費のように材料と治療方法の選択が自由に出来ない保険制度ではう蝕治療にどのような材料と方法を使うべきか限られた選択肢の中から妥当なモノを適切に選ぶ必要があります。

一般的には現在コンポジットレジンの改良で金属に替わって咬合面へも適応できるケースも多くなりました。しかし窩洞の大きさが特に大きい場合や咬頭を含む場合には不向きな材料であることは以前と基本的に変わりません。


コンポジットレジンが不向きなケースで使用も出来るアマルガムについて以下に述べます。



○アマルガムを使いう蝕治療した高齢者のケース:


IT5mai .jpg

上の画像では、臼歯部に銀色に輝く充填物がアマルガム充填です。
歯冠から歯間部に続く複雑窩洞の充填物は食片や歯垢がたまりやすい部分にアマルガムが露出するので、この部分の歯垢付着が抑制されることはリスクの高い高齢者では臨床効果が高いと考えています。

この方は、80歳代の高齢者で初期の認知症も疑われたので口腔清掃がこの時点では比較的良好でしたが、口腔清掃が不良になる可能性を考慮して歯垢の付着が少ないアマルガムでう蝕を充填しました。

保険治療の範囲で費用対効果(コストパフォーマンス)と安全性の考慮からアマルガムが一番良い充填材料の選択になると考えました。  

*注:今年4月の保険点数改正でアマルガムは保険治療の充填物には無く(保険請求不可)なりました。ここに紹介する症例の数年前の時点ではアマルガムは保険算定できましたが、現在は保険算定外の材料となりました。



ITamalgam.jpg


パラジュウム系金合金の金属インレーに比べれば研磨によってアマルガムが伸びるので辺縁封鎖性が良く隙間は生じにくい材料です。


  また将来,隙間が空いても辺縁部を研磨して伸ばせば(バーニッシュ効果)で辺縁が封鎖できます。 

アマルガムは成分の一部に水銀が含有するため悪い歯科材料のように言及されることが多いようですが 欧米の専門医はアマルガムの特性を利用して本当に良く治療の適所に応用しています。
今回のように臨床で合理的に利用すればアマルガムは素晴らしい歯科材料にも成ります。う蝕抑制をすべき場合なら保険治療でなくても利用すべきケースが有ると思います。

 この症例のように、歯垢が充分に清掃出来ない可能性を仮定するリスクが高い症例にアマルガムを利用することで良い臨床的効果が得られます。 

また、アマルガムの銀イオンが歯質へ移行して二次う蝕を作りずらい効果(Oligo-dynamic action:オリゴジナミー効果)があります。
この効果で不適合インレーに因る二次う蝕のように後で生じるう蝕が生じにくいところもアマルガムの大きな利点です。


また、この症例では臼歯部の頬側面に生じた大きなう蝕にも迷わずアマルガム充填をしました。

う蝕傾向が高いケースに頬側の大きなう蝕に充填する安全性を考慮した方法は保存学を研究する臨床家には有名な修復手段です。


臼歯部頬側面AF.jpg


まとめ:

日本では健康保険制度の歯科治療が一般的であるために日常的レベルでの保険診療でこそ、適切な治療が行われるべきです。しかし幾度も私がブログ記事で言及したようにそれが全く行われていません。
私がこの記事で言及したような臨床に於けるエッセンスは、じつは臨床家にこそ読んで頂きたいものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・  ご連絡下さい  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非電話でご予約下さい。

虫歯1本から全顎治療まで内容を問わずお問い合わせ下さい。
実際に診察した上でないと個別の治療方法や治療方針に関してはお答え出来ません。

とにかくまずはご来院頂き診察させて下さい。

治療に関する説明とご相談は自費カウンセリングとしてお受けしています。

その他診療に関しては是非,麴町アベニューデンタルオフィスに電話でお問い合わせ下さい.















2016年6月 3日


  初診で来院される患者さんは以前治療したモノが再発したり壊れたりして治療し直し(再治療)を希望されて来院されることが殆どです。
その多くが何処の歯科医院で治療し直しが出来るのか迷って、当院HPやブログをネットでご覧になり来院されます。

治療範囲は1本の場合も複数歯の場合も様々で全顎に及ぶ20本以上が対象になるケースも希ではありません。
治療し直しというのは以前の治療に何らかの不良な部分があって起きるのが通常ですから、そういった前医が行った不十分な治療を適正なカタチで治療し直す事は技量と手間がかかります。
全く初めて手を付ける場合に比べれば遙かに手間がかかり技術的にも難しい治療になります。よって  再治療は最も経験と技量が要求される難しい治療分野です。
当オフィスでは千葉県で開業している時代から25年ほど全顎的治療し直しを多数手がけていますので他院に比べ再治療のスキルには自信を持っています。

巷に溢れる上部だけの審美性を追求した安易な歯科治療ではない見えない部分である歯内療法や歯周病治療など歯のインフラの治療を徹底する事をモットーに治療しています。
安心出来る歯科治療とはステップワイズで徹底して基本的治療を積み上げることです。

さらに良い治療とは科学的根拠に基づく治療を割愛しないで積み上げて行うことで、そういった治療を行う歯科医こそ良医と呼ぶべきだと換言できます. 

このような当たり前の治療を行ってこそ健康的な歯茎で綺麗に補綴物も映えます。
真の審美性ある補綴治療とはそういった正しい治療が成されて獲得されます。


過去に行った臨床例から:

不良な歯内療法と不良な歯周病治療のやり直しは必須です。
補綴治療し直しに際しての歯内療法と歯周病治療のやり直しなどはこのブログ記事をご参照ください.

術前術後症例4.jpg


前歯部の審美的でない状況(自然観のない硬質レジン前装冠)も精度が高い補綴再治療でスッキリと口元の印象がアップします。

以前レジン前装冠で治療した歯の摩耗や変色による審美障害は治療し直しに最も多い理由の一つです。  


下の写真の症例の詳細はこのブログ記事をご覧下さい。セラモメタルクラウンの技工過程も見られます
OY術前術後白バック.jpg


OYスマイル1.jpg

上の画像のように術前術後でバランスが良い適切な治療によって口元の印象が大きく変わりました。


上顎4前歯のみセラモメタルクラウンで補綴して下顎の黒く見えるう蝕は全てコンポジットレジンで最小限の切削で綺麗に修復完了しました。→敢えてここは上顎前歯のように歯を形成して補綴物を装着しないで治療でき、お望みの審美性も充分に得られるので過剰診療をしないで済みました。

このケースのように、最小限の侵襲的治療で過剰に多くの歯を侵襲する事も無く妥当な方針で審美性を獲得することができました。当オフィスでは,この症例のように過剰診療にならないように合理的で妥当な治療をするポリシーの下に診療しています.

これは正に歯科医の治療費獲得の思惑による過剰な治療方針に対するアンチテーゼで、これこそ患者本位の姿勢だと我々は信じています。  





SH完成スライド-3.jpg

上の画像のように上下顎の全顎規模で徹底的な補綴再治療を行った典型的な治療例のような全顎的な咬合の再構成も当オフィスは精度高いマイクロスコープテクニックによる補綴物の作製で精度高く行っています。 
正に一生モノの安心出来る補綴治療を極めて慎重な配慮と補綴設計で行っています。

前医の酷い治療でも妥当な方法論で患者さんのライフスタイに即して再治療し終えた全顎再治療の症例のように治療目標を見事に達成できた例は臨床医に多くの示唆を与えるものと思います。

このブログは歯科大学や歯学部など多くの研究機関からのアクセスがあるので是非、歯科医師にこそ参考にして頂きたいと思います。歯科界に何らかの臨床的示唆を与える事がもし出来ればと思います。  





/////////////////  まとめ  ///////////////////


そもそも適切で質の高い歯科治療を受けられずに被った一種の医原性疾患やかかりつけ歯科医を持たずに転院を繰り返して無計画な治療を受け続けてバランスに欠ける補綴治療を受けてしまったことを悩まれた末にようやく決断されご来院頂いた方々が多いと思います。

そういった方には今までの轍を踏まないように、最後まで通院して頂く事を条件に治療をお受けしています。 

すなわち,真っ当に歯科治療を受けられるように,まずは歯科治療をお受けになる際には今までの受診姿勢を省みていただきたいと思います。

我々は治療に関する概念や根拠を一通り平易に説明し充分にご理解いただいた上で了解を得て治療を開始致します(カウンセリングで行います)。

患者さんの気まぐれから途中で通院を止めるようなことがないようにある程度の努力が必要です。
予約などのご相談にも可能な範囲で応じますので、お互いにがんばって治療を完結しましょう。

安易に見かけだけの治療を受けては再度再発や色々な歯科的問題が発生するでしょう。
治療に関する心配の悪循環を我々の治療で断ち切って健康的で美しく歯の健康を担保して下さい。 


昨今,真摯な歯科医の心を感じない信用に値しない営利主義のブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんが認識不足で、そのような情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためにこのブログを作成しています。
私がオフィスで実際に行った臨床例を解説するカタチのブログ記事を作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を明確に反映したものです。

最近,セカンドオピニオン*や治療に関する説明を聞くためにカウンセリング*へおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。 

    *元々,セカンドオピニオンや歯科的な相談等(カウンセリング)は全て保険給付外の自費です。


  私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非電話でご予約下さい。
虫歯1本から全顎治療まで内容を問わずお問い合わせ下さい。実際に診察した上でないと個別の治療方法や治療方針に関してはお答え出来ません。とにかくまずはご来院下さい。
治療に関する説明とご相談は自費カウンセリングとしてお受けしています。

その他診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスに電話でお問い合わせ下さい.



        



        



        



        



        



        



        



        


2016年5月29日


最近,かかりつけ医かかりつけ薬局を持つように厚労省は積極的に広報で勧め出し始めています。

従来,自身の健康や身体を理解してくれる   かかりつけの先生を持つ事が常識だったと思いますが,現代社会ではそうしたかかりつけの先生に診てもらうようなことが少なくなり、病気の時にその都度色々な医院へ受診する傾向が強くなってきました。また、一方では医療人への不信勘が強くなる傾向もあり患者側では自分に合った医師を選ぶため複数軒の医療機関を渡り歩くことが多く、いわゆる"ドクターショッピング"する患者さんが増えてきました。


特に,首都圏では一度来院しても再来院しないで転院してしまう傾向が強く、歯科医側でもそのような患者が多い中、患者の未来を考慮し患者本位の治療方針を行う歯科医も減ってきています。
すなわち患者さんを通りすがりの二度と来院しないような存在として捉えているとしか思えないような雑な治療を日常的に見かけるようになりました。

このような悪循環は患者と歯科医の両者がシッカリとした責任を取らないのでは永遠に続きます。
歯科医と患者の両者が責任ある行動すなわち治療や受診行為を行わないようでは達成できません。
残念ながらこのように現在、歯科界は極めて無責任で異常な状態に陥っています.

今まで私がブログで言及してきた不良な歯科治療の原因の根底には上に述べたような背景が強く関わっていると思います。
本来、歯科医が患者の事を未来まで見越して妥当な治療をしないのは可笑しな事です。しかし初診患者の歯科的トラブルが正に医原性疾患であるため患者側も受診医療機関を選ばざる終えません。
ドクターショッピングしないで探せ出せるように医療機関選択のためのエッセンスである知的観点を今まで私はSNSやブログで言及してきましたが、ある時点でシッカリ治療を受けなければやはり患者さんは悲惨な状態に陥ってしまいます。患者さんにもある時点で主治医としてお願いできる先生がいなければ、永遠に治療できない患者となってしまいます.

特にこの数年、以前では見られなかったように、治療期間中に勝手に患者さんが来院しなくなる事例に良く遭遇します。例えば,歯内療法の根管治療では根管充填前に来院しなくなる方がよくいます。1年以上経ってから再来院して歯冠部の破折や再度感染根管が再発して再治療により多くの時間を要するのが通常です。また、中等度以上の歯周炎の歯周病治療では途中で来院しなくなる方が多くなりました。
このように,少しの我慢が出来ないで治療中断した方は極く普通の治療ができない方で、換言すれば一生治療を受けられない患者さんです。  

かかりつけ歯科医を持つこためには患者さんが転院しないで治療を最後まで担当医に受ける努力が是非必要です。


○かかりつけ医を持つとは定期検査を受けること

とにかく治療は最後まで受けること。 そして定期検査を受けること。
これがすなわちかかりつけ医を持つことを意味します  

私のオフィスでも、定期検査の際に何らかの歯科的な問題を発見したり、またその機会に患者さんが気になる部分を診てもらい治療の必要性を聞くことは自然に出来るはずです。
このように敢えて受診する機会を持てなかったような問題がある患者さんが意外にも多いようです。
実際に、  定期検査を機会に治療を始めるヒトが沢山いるのは事実です。 

3ヶ月に1回の定期検査を受診する事はかかりつけ医とのコミュニケーションを保つこととも換言できます。その中から互いに信頼関係が産まれます。

口腔内の健康を担保するためには是非かかりつけ医が必要です。


/////////////////////ご予約下さい /////////////////////



昨今,歯科医院が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。

患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためこのブログを作成しています。私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

最近,歯科治療の方針に関するセカンドオピニオン*や治療に関する説明を行うカウンセリングへおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。 *歯科相談,カウンセリング,セカンドオピニオンは保険給付外です.

私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非電話予約して、当院をかかりつけ歯科医としてお使い下さい。

診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスへお問い合わせ下さい。

なお,最近予約を守らない方や当日キャンセルされる方がいて困っています。ご予約を守ってお越し下さい。




















2016年5月 9日


今回のブログも最近来院した患者さんの症例を例に挙げて解説します。
3.11以降増えている歯牙破折が上顎犬歯に生じて来院された患者さんですが,主訴部位に着手する前に基本的歯周病治療をおこなった後に補綴治療を行う予定で歯周病治療を行い始めましたが途中で止めてしまった患者さんの話です。


 ○歯周病は歯肉を観ただけでは解らない:この方が歯周炎だと解りますか?
まず正面観をご覧下さい。



 今正に多くの患者さんに受けてもらいたいのは歯周病の適切な治療です 
 巷にはイイ加減な歯周病治療が多いのでご注意下さい。  
   


 mh01.JPG

我々歯科医師のような学問的知識と臨床の経験がない患者さんには一見,歯周病に見えないかも知れません。もちろん歯科医でも観ただけで確定するわけではなくプローブでプロ-ビング等の客観的診査(下のプロ-ビング画像参照)で歯周病だと診断します。


probing2_bop.jpg
プローブで歯周ポケット測定すれば容易に出血するので炎症の存在が解り歯周炎であると診断します. (今回の症例ではありませんが,これはプロ-ビンで出血する例として掲載します)

しかしこの方はプローブで歯周ポケットをチョット触れただけでも出血するような、全顎的中等度の歯周炎の患者さんでした。

もちろん、患者さん本人は歯周病であるという認識は全くありませんでした。
ブラッシング時も歯周ポケットに沿って毛先がポケット周辺に刺激を与えるような磨き方もしていなかったでしょうから出血さえ日常的なブラッシングでは無かったと思います。
この患者さんに限らず、多くの患者さんは重度に歯周疾患が進行した患者さんでさえ全く歯周病である自覚が無い事は珍しい事ではありません。
ですから、歯周疾患は潜在的に進行してしまうので、診断された時点が良い治療機会になると考えるべきでしょう。


上顎右側犬歯が破折して頬側歯肉が腫脹しています(歯肉の膨らみに注目)。
そもそも主訴部がその歯でしたが、これを抜歯してブリッジを製作するにも歯周組織が歯周炎では治療が出来ないので歯周病の治療を先行して行い初期の歯周病の治癒が得られたところで抜歯とブリッジの仮歯を装着して歯周組織の治癒を待つような計画を考えました。カウンセリングでその旨を1時間以上にわたって説明しました。その計画を同意されて今回は歯周病治療に着手しました。


全顎5枚症例MH.jpg

上の全顎5枚法の口腔内写真を観れば、全顎的に色々な精度不良の治療が成されている事が解ります.
とり分け上下顎前歯部のセラモメタルクラウンのマージン部の不適合な精度不良が気になりました。削った歯とフィットしていないで歯肉に害を与え、不適合部に細菌の繁殖を許す不良補綴物が極めて問題です。この精度不良な補綴で前歯部の歯周炎が助長されたことは疑いのない事実です。

このケースは精度の悪い補綴で患者に医原性疾患を惹起させた最低の症例でした。

この患者さんのSRPを1回行いましたが,それで解ったことは今まで歯周病治療を全くする事なしに自費治療の補綴物が装着されていたことです。
これはこの患者さんに限ったことでは無く初診で来院する患者さんの殆どが今まで適切な歯周病治療を受けた経験が無いという事実です。また精度不良の補綴物で更に二次的歯周組織の環境悪化が多くのケースで起きています。

  このように多くの不良歯科医は面倒な歯周病治療をしないで補綴治療をします。
歯周病の状態で印象を採得するのでマージンが適切に印象されていないために、技工士がマージン部が解らない作業模型で極めていい加減な補綴物を仕方なく仕上げて納品している実態が解ります。→その結果,それは口腔内では不適合な補綴物になります。今回の症例が正にその典型です。
以前,技工所に見学に行った経験がありますが、どんな酷いマージンが不明な石膏模型や印象でも、それで補綴物を作っているので技工士という仕事は大変なお仕事です。保険の雑な治療は更に酷い状況は想像に難くありませんが、そういった実態を知らないで治療が終わったと喜んでいる患者さんが本当に気の毒でなりません。



     


    
○当たり前の治療が受けられない幼稚化した大人:

この患者さんには早速4分割に分けて全顎的スケーリングとルートプレーニング(SRP)と呼ばれる歯周組織のポケット内歯根面に付着した歯石を除去して原因因子の歯周病菌を除去する治療を始めました。

SRPは歯周病治療の最も大切な基本的治療です。これが歯周病治療の核心でありこれを全顎的に行って初めて歯周病の治癒が適切に起きる環境ができます。よって途中でSRPを止めては全く意味がありません。

最近、いい歳の大人が歯周病治療の合目的であるSRPを最後まで受けられないで勝手に止めてしまう事例が多くなり困っていますが、この患者さんも1回目のSRPを受けた後、術後疼痛を嫌がって勝手に通院を止めてしまいました。治療に派生するある程度の術後性の疼痛がある事は当然で、これに文句を言う様なら全く治療は出来ません。よってこの方は子供レベルの思考の患者さんです。

そもそもこの患者さんは今まで受けてきた他院で行われたイイ加減な歯科治療を疑問に感じて真っ当な治療を受けるためにブログをお読みになって来院されたはずが、
科学的根拠に基づいた歯科治療を理解出来ないで、SRPを最後まで受け入れられないで止めてしまいました。すなわちこの方は、一生まともな治療は受けられない患者だと換言できます。

更にこの困った患者さんは術後性の疼痛が数日間治らないと執拗に電話を掛けてきて、挙げ句の果てに「痛みが取れないのは医療ミスだ」と見当違いのクレームまで言ってきたので呆れ果てました。

3.11後に、こういった簡単な歯周病治療の理屈や二次的な疼痛さえ我慢できない異様に子供じみた幼稚化した患者が増えてきました。さらに自分勝手な解釈や思い込みをしてクレームは自身に都合が良い見当違いな認識で執拗に続ける迷惑な人々です。

3.11以前なら殆どの患者が当然受け入れられた簡単な歯科治療すら理解して、やり終えられない患者ばかり増えているこの状況は極めて危機的状況です。

私の臨床経験の過去25年でこんな当たり前の治療が受けられない患者が沢山いる状況は全く経験がありません。極めて異常です。

東日本大震災(3.11)以降,信じられない事が多く起き始めています。今更敢えて日本の危機的状況を言ってみたところで認識が高い方々なら、今更誰も驚かないでしょう。


すなわちこういった患者が増えた背景には我々歯科医がどうにも出来ない重大な原因が存在する事は言うまでも無い事実だと考えています。


とにかく,まともな感覚が大人から喪失し始めています。

認識が高いアナタならこれを理解出来るでしょうか、それとも...



     

 /////////////////////  あぺんでぃっくす  /////////////////////


昨今,歯科医院が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。

患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためこのブログを作成しています。私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

最近,歯科治療の方針に関するセカンドオピニオンや治療に関する説明を行うカウンセリングへおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。

私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスへお問い合わせ下さい。





     


     


     


     


     


     


     


     


     



     


     


     


     




     


     


     


     




     


     


     


     




     


     


     


     



     


     


     


     


     


     

     


     


     


     


     


     


     


     


     


     


     


     

     


     


     


     


     


     


     




     


     


     


     

2016年4月27日

最近,下顎大臼歯が破折したり歯周病に罹患して抜歯するケースも増えています。大臼歯部の破折の場合には抜歯になるケースが多いので患者さんの希望も考慮して妥当で安全な治療方針を提示する事が我々臨床家には重要な使命になります。
ところで今回ご紹介する症例は破折線が歯髄を通っていなかったことにより幸運にも歯髄を抜髄しないで歯を保存する事が出来た症例です。

先日,歯が割れてある男性が来院されました。問題の歯はかなり前に割れて会社の歯科室で歯の割れた欠片をスーパーボンドという歯質に接着する歯科用接着剤で接着し原状に歯の形態を戻し治療した経緯がありました。
一般的に一度割れた歯を接着しても強い力が掛かれば再び歯は割れます。この症例もそういった典型例です。この症例では破折線が幸い歯髄を避けるように入っていたために歯髄に接致命的障害を与えないまま有髄(歯髄が生きたまま)の状態で機能していました。しかし接着が破綻していて破片が動いてしまうので、それが不快だといって事が主訴でした(下に示す写真参照のこと).

以前初めて歯が破折した時は飛び上がるような激痛を感じたと語っていました。もちろん破折部はエナメル質からその下の象牙質を横切っているので象牙質に存在する象牙細管という管を通じて歯髄へあらゆる破折面からの刺激が伝わるので痛みを感じます。

しかし今回来院した際に破折部をピンセットで動かしても,痛みを感じないとおっしゃっていました。
歯が破折してからもう数ヶ月時間が経つので歯髄の象牙細管も二次象牙質が出来て刺激をブロックしていたようです。
二次象牙質とは象牙細管を通じて刺激が続く際に歯髄にとっても不都合な刺激をブロックするために象牙質の歯髄側に形成される石灰化した防御層のことです。 これは知覚過敏症の際にも形成される極めて生物学的な防御機構です。今回もこの防御層が形成されることを患者さんに説明しましたが,硬組織が後から形成されることを初耳だと驚かれていました。二次象牙質の形成は生きた歯髄ならではの素晴らしい防御システムですから、歯髄を生きた(有髄の)まま保存することが大切だと改めてご理解頂けると思います。

レントゲンコピー.jpg

会社の歯科室で撮影されたレントゲン画像です。画像のコピーを携えてこの患者さんは来院されました。
この画像では偶然,破折して離開した部分が歯冠部に写っています。

図1-2.jpg

*図では智歯(親知らず)は割愛し描かれていません

術前01.JPG


下顎左側第二大臼歯の遠心の一部が破折しています。来院時はスーパーボンドが完全に剝がれて破折片が動いていました。
この破折片を再度スーパーボンドで接着したら再び同様な状態にも戻りますが、それでは患者さんが来院した意味がありません.私は破折片を除去し破折面をコンポジットレジンで被覆することにしました。元の形態に戻したら咬合圧によって再び破折してしまうので、豊隆を敢えて控えめにして薄めの層になるように被覆しました。このコンポジットレジンの層は露出した象牙質を完全に被覆して象牙質への細菌の侵入と刺激を完全にブロックするためのものです。

このような治療で患者さんのご意向にも沿えて,抜歯も抜髄もしないで、また破片が動くような不快感からも抜け出せたことで患者さんは近所の歯科医院ではなく私のオフィスにご来院頂いた甲斐があり,当オフィスを選択して頂いたことが正解だったことになります。
たぶん他院へ受診したらよくても以前と同様に破折片をスーパーボンドで接着して終わりにしてしまっただろうと思います(これではまた以前と同様の不快感が続く事になります)。

○私は以前にも歯牙破折に関するブログ記事を書いています。併せてお読み頂ければ幸いです。


図2(CR).jpg


術前術後.jpg

左:破片をピンセットで除去した状態.   右:破折面をコンポジットレジンで被覆した状態.

今回は出血が無かったので、破折面に接着に必要なエッチング等の適切な表面処理を出血や唾液に汚染されないで行えました。これは大変幸いなことでした。
もし破折部が出血していたら,この日のような適切な治療は不可能でした。

破片.JPG

上の画像は破折片です.

◎良い治療を受けるには出来る歯科医を見付ける事が大切


この患者さんのように歯科医院選びでは自分の症状を適切に治療できる歯科医を選択する事がキーポイントです。

実際に同種の治療実績がある"出来る歯科医師"をブログの解説や実際の臨床写真で確認して歯科医を選ぶことも大切です。  
良く勉強をしていて臨床例を大切にする真摯な臨床家は口腔内写真で症例を保存します。やりっ放しにしていない先生が多いので、こういった観点でも良医が解ります。 
また臨床写真を撮影するのは短時間診療体制の雑な歯科医院では難しいと思います。

皆さんもこの方同様に治療が出来る歯科医師をネットによってピンポイントで探し出して受診してはいかがでしょうか?



















































2016年3月 8日

「イントロダクション」

本日,遠方からtwitterをご覧になりう蝕治療に患者さんが来院されました。 この患者さんは矯正の動的治療期間中でブラケットやワイヤーが口腔内に装着されていました。

主訴は犬歯のエナメル-象牙境部(Cej:歯冠と歯根の境界部)に出来たう蝕を治療して欲しいとのことでした。
う蝕はCej部に沿って以前帯状にコンポジットレジンが充填されていました。その一部が充填不十分で穴が開いていたところが気になるので充填して欲しいとのことでした。


矯正のブラケットやワイヤー等が装着されたままでは歯頸部のう蝕治療は制約がありますが、何とか充填は完了しました。動的期間中に問題が起きない程度の充填は出来ました。

まず今日は治療前にレントゲン撮影(パノラマ画像)を撮影しました。

WN01.jpg

レントゲン画像を観れば一見して解ることは、智歯が4本抜歯されないで放置されていることです。
そもそも特別な意図で智歯を利用する場合以外はこうした智歯は動的治療前に抜歯するのが常識だろうと思います。

今回のように前方の歯との間にう蝕を作る可能性が有ることと抜歯しないで放置すると後方から前方の歯を押すことで動的期間が終わって矯正が完了された歯列を乱してしまう可能性があります。このように矯正治療では智歯の抜歯は必須の合目的な治療行為になるのは歯科界では極く初歩的基本事項です。 


しかし、このような歯科常識も抜歯して治療開始が後にずれて患者の気が変わって治療を止めると言い始めたら治療費がもらえなくなるので、必要な抜歯をしていない不完全な状態でも一日も早く動的治療を始めてしまおうとする思惑が如実に表れています。こうして矯正治療も他の歯科治療同様に歯科医の都合が優先する傾向が強い治療だと解ります。  


WN02.jpg


この画像から想像すると、既にう蝕病巣は歯髄腔にまで及んでいる可能性も想像されます。
概ね歯髄は失活している可能性が大ですが、画像上では根尖病巣は確認されません。

* この患者さんには、矯正担当医にレントゲン像を観てもらうためにCDにこのレントゲン画像を焼いてお土産に持たせてお帰り頂いた。
こんなトンデモナイ治療でも私から担当医に直接助言するのは一種の内政干渉ですから患者さんご本人にまともな治療をする様に担当医にクレームを言ってもらうことにしました。


矯正治療の有無にかかわらず特に最後臼歯の智歯は前方の第二大臼歯と遠心部で接して歯垢の堆積が助長され清掃困難なことから第二大臼歯の遠心面(や智歯の歯冠部)にう蝕が形成されます。
第二大臼歯遠心面のう蝕は器具操作の関係で充分な治療が困難ですから、このようなう蝕を作らないように早期に智歯を抜歯することが肝要です。

こういったタイプのう蝕は最近、最も頻繁に見受けられるう蝕形態の一つといっても過言ではありません。 




「まとめ」

以前から私は成人歯科矯正の問題点をブログ記事に書いていますが、矯正治療で矯正を担当した先生が作る医原性疾患は非常に多くまた,動的治療期間中は治療が困難な場合が多いので患者さんが来院されても治療を充分に行えないで困る事が多いのも実状です。

何よりも矯正医にはう蝕と歯周病の問題は適切なケアで防いで頂きたいと思います。 また逆にそれが出来ない矯正医に治療を受けるのは危険ですから止るべきです.
いつも説明していることですが、動的期間中にクリーニングを含めた諸々のオーラルケアが院内で不可能な矯正歯科医院の場合には他院で管理してもらえるように依頼して適切なオーラルケアの体制を整えるのが最低限の矯正医の臨床的ルールだと考えます。 
しかし、未だ日本では"ただ歯を動かすだけの矯正医"  が多い事は信じられないほど無責任な状態ですが歯科矯正治療の分野ではそういった事が常態化している実態の反映だとも思います。

 歯科矯正を受ける予定のある方は、私が言及した歯科矯正の問題点を理解して学問的見識が高く良心的治療をしてくれる素性が確かな矯正医を探して是非受診して下さい。









ー当院へ受診希望の方へー

最近,他院での歯科治療の方針に関するセカンドオピニオンや治療に関する説明を行うカウンセリングへおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。

また、今回のように矯正関連で歯周病やう蝕治療を矯正科医の先生からご依頼頂く事も有りますが、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。矯正前に歯周病の治療を済ませられるように余裕を持ってご来院頂けるよう御願い致します。

私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.

























2016年3月 3日






先日,下顎臼歯の歯を抜いたがどのような方法で補綴したら良いのかと前医の延長ブリッジによる補綴方法が妥当か否か意見を私に聞くためにある患者さんが来院された。

麹町のある歯科医院で左側下顎第二大臼歯を歯周病のために抜歯されたそうです。
抜歯後にその歯科医院の先生が延長ブリッジ(延長ポンティックを付けた連結冠)を勧めてきたそうです。


HM.1jpg.jpg

*左側下顎第二臼歯は重度歯周炎のため抜歯されたばかりです。これから数ヶ月経てば抜歯したところも癒えて顎堤も綺麗になるでしょう。
歯内療法が不良の歯も有ります。将来根尖病巣の再発など懸念されます。
また、全顎的には中等度歯周炎が存在しています。

下顎臼歯部の欠損に使える補綴方法

一般的に臼歯部の欠損には、
延長ブリッジ(Ⅰ),従来型の局部床義歯(Ⅱ),インプラント(Ⅲ)などの補綴方法が可能ですが、臨床的にそれ等が妥当なモノか否か吟味する必要があります。

我々の咀嚼機能はこの患者さんのように第一大臼歯まで歯が揃っていれば充分に円滑に咀嚼出来ます。
失った第二大臼歯の咀嚼能力を補綴物を装着する事で回復できたら良いだろうと考える先生もいるようですが、
しかし臨床的にその補綴物によるデメリットがメリットをはるかに上回ってしまう事に気づかないようでは単なる馬鹿な臨床家です。

すなわち、この症例で前医の想定した
Ⅰ:延長ブリッジ(延長ポンティックを付けた連結冠)を装着した場合には支台(支えの歯)となる第二小臼歯や第一大臼歯に大きな力学的ストレスが掛かりますし、これを維持するためには支台歯と延長ブリッジのポンティック周囲を極めて綺麗に清掃する必要がありますが,これが出来ない場合には支台を含めて壊れる可能性が高い方法と言えます。

実は前医は歯周病治療も全くしていませんでしたから歯周炎が存在する状態で力学的ストレスが過大に加われば歯槽骨に予想外の大きな吸収を招く事も懸念されました。

延長ブリッジ1.jpg

こういった延長ブリッジの真の適応症は余りありません。 私は歯周補綴のフルブリッジの臼歯部欠損の場合に力学的に安定性が得られれば行うこともあります。しかし希にしか行わない方法論です。補綴学の実践的ディシジョン・メイキングのトレーニングが出来ていない臨床家ほど勝手で無責任な治療をしてしまう傾向が強いようです。


Ⅱ:また1歯欠損のために局部床義歯を入れる事も可能ですが、これも鉤歯(支えの歯)にかかるストレスが大きくメリットをデメリットが上回り患者さんに厳密なケアを強いてまで快適な義歯装着を得ることが難しいと思います(使用に耐えない義歯)。
今回の症例でも遊離端義歯は現実的では無く蛇足治療に他なりません。


cf.最も典型的な片側遊離端の局部床義歯装着症例ー

例えば,下顎片側に小臼歯から大臼歯に掛けて数本の欠損が存在する場合には典型的な局部床義歯の適応症です。
最近,歯科医に写真(下の画像参照)のような下顎遊離端の従来型局部床義歯を作製する能力が無い人間が多いらしく、使用に耐えない不良な義歯を持って来院される患者さんが多い現実には驚きます。

パーシャルデンチャー.jpg

上は実際に去年、全顎的に補綴の治療し直しを行った患者さんの下顎局部床義歯の画像です。






Ⅲ:インプラントをここに埋入するのは歯科医の一方的な都合、高額治療費を得るために埋入する典型例です。良好な予後も期待できない典型例です。

最近,根拠の無いインプラントによる補綴症例を患者さんの口腔内に見かける事が多くなっています。歯科界の経済的状況の反映が根拠無きこういった歯科医の都合による治療を産んでいるのでしょう。

また、シングルでインプラントを植立した場合でも高度な清掃を継続しなければ容易にインプラント周囲炎になり得ます。
元々歯周病で歯を失った患者へ高度なケアを行ってもらえるか否かよく考えれば一種の不安を抱くことが臨床家として自然です。
コンプライアンス良くオーラルケア出来る患者なら良いと思いますが、オーラルケアが継続できる確証が無い類の患者さんへ厳密なケアが必須な補綴治療を行うのは余りに臨床医として無責任過ぎます。しかも歯周病治療さえ行っていない臨床医が行うのなら最低です。







蛇足の補綴物.jpg

2画像ある内で上の写真は下顎第二大臼歯の抜歯直後を現します。一方,下の写真は下顎第二大臼歯が抜歯されてしばらく時間が経った後に下顎の方向に第二大臼歯が挺出*した状態を現しています。


上顎第二大臼歯が残っていて下顎第二大臼歯が欠損した場合には上顎第二大臼歯は下顎の歯と噛み合おうとして伸び出します。
*このような歯牙の生理的な移動を"提出"(ていしゅつ)と呼びます。
例えば数ミリの挺出が起きても下顎は前方に運動するために挺出した歯と下顎の第一大臼歯などは干渉して問題を起こすことは全くありません。

特に何もしないで放置してよいケースとして欧米の補綴学の教科書にも掲載されている典型例です。今回もその典型通りに歯周病治療以外には何も補綴治療をしない予定です。


とにかく今回の症例でも何も補綴治療を行う必要が無いことを患者さんへ説明しました。
むしろ補綴物によって二次的に新たに歯をダメにする可能性が大きいことを説明しました。
患者さんも余計な補綴物を入れないで済む根拠が有るシンプルな治療方針を喜んで頂けました。

私はかねたから言い続けてきたことですが、「敢えて何もしないことが最良だという選択肢を常に持っている者が良い臨床家」だと思います。

また、この患者さんは今まで口腔内にインレーやクラウン他補綴治療をされていながら適正な歯周病治療を全く受けていなかったので、むしろ次回から歯周病治療を徹底的に行って現在ある歯を全て健全なカタチで保存するように私が提案しました。
これには患者さんも前向きに同意して次回から歯周病治療を行う予定となりました。


◎歯科医師が治療行為として行う補綴治療には、意味の無い補綴治療や,むしろ二次的に大きな障害を誘発する治療もある事実を知り臨床的見識が高い上位から5%の良い歯科医を是非見つけて虫歯一本でも適切な治療を受け医原性疾患からアナタの身を守って下さい。




昨今,歯科医院が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう患者さん本位の視点で正しい歯科知識の啓蒙のためこのブログを作成しています。私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています。
これらコンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

最近,他院での歯科治療の方針に関するセカンドオピニオンや治療に関する説明を行うカウンセリングへおいでになる方々が増えています。充分時間を割いて予約で行っているため1時間自費1万円(税抜き)で行っていますのでご了承下さい。

私の診療姿勢に共鳴され,ご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.














2016年2月25日

一昨日,上顎の奥歯が痛むことを主訴に患者さんが来院しました。

お痛みの左側大臼歯部にはう蝕も無く口腔内全体も歯科治療を受けた既往が無い大変に歯が綺麗な患者さんでした。

以前,虫歯が無いのに歯が痛む時には歯牙破折を疑えという記事を私は書きましたが,今回は歯冠部をよく調べましたが破折線などの異常所見は全く見あたりませんでした。

そしてパノラマレントゲン画像を撮影したところ、直ぐに原因が判明しました。


TS.jpg


上顎左側最後臼歯部に埋伏智歯が存在して、第二大臼歯を後ろ(遠心)から接して押していました。






こういったケースでは咬合圧が第一、第二大臼歯に掛かると痛みを感じるのが通常です。

こういった埋伏智歯が前方の大臼歯を押して疼痛を感じるのは珍しいケースではありません。
疼痛は虫歯のような痛みでは無く違和感のような軽い痛みや鈍痛が一般的です。


この症例の治療方法は,埋伏智歯の抜歯です。抜歯すれば症状は消失します。









昨今,医療機関が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう正しい歯科知識の啓蒙のため私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています.コンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

私の診療姿勢に共鳴されご来院希望の方は是非ご予約下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.

























2016年2月16日

先日,親子でカウンセリングを受けに来院された患者さんがいました。患者さんはお嬢様の方で、お父様は娘さんの治療を心配されて一緒においでになったとのことです。
元々,お父様が私のブログの読者で以前治療においで頂いた私の診療方針をご理解頂いている方です。

昨今,一般的傾向では歯科治療はかかりつけ医院を持たないで治療の度に複数の医療機関に受診するケースが多いようです。何一つ担当医との信頼関係も成立しないまま新しい医院へ渡り歩く方が多いので、今回のような親子で同一歯科医院へ信頼関係で繋がるケースは患者と歯科医両者にとって安定した関係性が継続する理想的な診療のあり方だと私は考えています。




さて、今回の患者さんは16歳の高校一年生のお嬢さんですが、数年前に学校で前歯部に打撲を負って、上下前歯が不完全脱臼(亜脱臼)状態で大きく動揺する状態になったので、即座に上下とも近所の歯科医院で歯槽窩の適切な位置に整復して暫間固定してもらったようです。暫間固定も前医で外された状態で私のオフィスへおいでになりました。

s_mizuki1.jpg




○歯の脱臼に関して:


・不完全脱臼(亜脱臼):
定義からは、歯の転位はないが明らかな動揺を伴う歯周組織への外傷。歯根膜の一部に断裂がある場合を亜脱臼と呼んでいます。
今回は歯が歯槽窩(歯槽骨に歯が植わる穴)から脱離していない状態で少し位置は変異し動揺も増加していたそうですが元の歯槽窩に整復できたケースです(緊急歯科治療により行われた)。
このように歯が脱落しないで元の位置に即座に整復できた場合(不完全脱臼)は比較的予後が良く、元の位置で機能的に歯周組織が修復されることもあります。

外傷を受けた歯は、歯根膜細胞と歯根膜線維が保存された状態の場合には歯槽窩に戻せば良い治癒が期待できます。
今回は上下顎前歯は打撲という傷害を受けて一様に不完全脱臼状態だったとのことですが、下顎右側中切歯のみ歯髄壊死して失活しています(歯の神経が死んでいます)。


不完全脱臼3.jpg

前方から打撲などを負って不完全脱臼状態(亜脱臼)の前歯 :歯根膜線維,神経と血管の断裂で歯髄は失活します。
歯根膜の線維や細胞が歯根面に殆どそのまま残るので、上手く整復すると歯周組織の修復が進行し比較的予後が良い場合も多いと思います。




・完全脱臼:
学校保健会で常識化している事ですが、完全脱臼して歯が口腔外に飛び出して脱落してしまった場合には、素早く汚れを洗い直ぐに牛乳へ浸して歯科医に受診し元の位置に整復されれば歯周組織の修復は比較的良好に起きます。

歯根膜細胞が障害を受けないように歯の歯根面に極力触れないで乾燥もさせないようにする事が肝要で細胞培養に使用する緩衝液や培養液等に浸漬する事が理想的ですが、学校などではミルクや生理的食塩水に漬けた状態で歯科医院へ受診すべきでしょう。
第一選択で牛乳を使用する訳はヒトの母乳同様に血清成分によりできた液体ですから歯根膜細胞には刺激が少なく優しい液体だからです。

歯髄は保存出来るのか?:

不完全脱臼では本ケースの上顎前歯部同様に失活しないで歯髄神経の反応を担保したまま保存出来るケースもあります(下顎右側中切歯のみ失活して根尖病巣を作った)。

ただ、今回の下顎中切歯のように脱臼時に毛細血管が完全に断裂されてしまった場合では基本的に歯髄組織には血液が送られないので歯髄は壊死します。
今回の下顎右側中切歯は壊死したためにレントゲン写真の画像の通り根尖病巣ができてしまいました。


s_mizuki2.jpg


根尖病巣の図.jpg

このように、歯髄という血液供給により生きた状態で機能している組織は血液が到達しなければ容易に壊死します.
死んだ組織の残骸(変性タンパク質)が歯根尖端の根尖孔から外部に漏れます。これらの変性タンパク質は免疫学的には正常な状態では体に存在しない物質ですから白血球によって非自己の抗原として処理されます。
白血球が攻撃した結果、局所の骨組織が崩壊して白血球の死骸である膿が溜ります。このように根尖病巣の内容物はいわゆる膿です。

上の様な過程で根尖病巣を作った歯根には、歯内療法学的視点で適切な根管治療を行い根管を根管充填材で緊密に閉鎖し根管内から抗原物質が根尖へ漏出しない状態にすれば根尖病巣は自然に治癒し消失します。

本症例は非感染性の壊死で生じた根尖病巣であったために比較的予後の良い治療が可能です。
間違いなくオーソドックスなラバーダム防湿下での滅菌性の高い器具での根管治療を行えば良好な治癒が期待できます。





○今後の治療計画:


・歯内療法;下顎右側中切歯の根管治療


 下顎前歯は例外的に歯内療法後に築造して冠(クラウン)など装着しない方が予後が良い例があります。

上下顎前歯比較.JPG


右が下顎の中切歯,左が上顎の中切歯です。

*歯の模型ですが解剖学的平均値で作られたリアルな模型です.
画像でお解りの通り上顎前歯に比較して下顎前歯は非常に歯根が細く、根管治療根充後に土台(支台築造=コア)を根管内へ装着した際は物理的な圧力によって破折の危険性が高いことを想像して頂けると思います。

以前から、私は根管治療した歯根は最終的にはコロナルリーケージが存在するので精度が高い辺縁閉鎖性が良い補綴物を必ず装着すべきだと説明してきました(歯内療法学では現在は常識)。

しかし唯一下顎前歯(下顎側切歯と中切歯)は例外的で,根管充填された歯に関してはむしろ歯冠補綴によって歯根破折し易い傾向から接着性の高い充填方法で根管口を閉鎖して終了する方が長期でのより長い歯牙保存が可能になるものと考えています。

このように,私の25年ほどの臨床経験からも下顎前歯部で無髄歯で歯冠補綴された歯に歯根破折を認めた例に幾度か遭遇しているので、日常臨床では常に下顎前歯部は歯内療法治療を行わないで済むようにう蝕を作らないようにケアすべきと考えています。

*最近の歯質接着性材料(ボンディング剤やセメント)がコンポジットレジンと併せて使用する事で長期での封鎖性と接着性の維持が良好なので適切な充填を歯冠部根管口に行えば臨床上コロナルリーケイジの問題は回避可能と考えています。

下顎前歯でも細い既製コアとレジン系築造材などを使い歯冠修復する事はもちろん可能ですが、
もし希望があれば患者さんの年齢を考慮して、今すぐに補綴修復しないで将来補綴した方が歯牙の寿命は長くなると考えます。 

根充後の根管口の修復2.jpg





・矯正顎的な治療;矯正専門医による分析に従った歯牙移動

スタディモデルを観れば解る通り前歯部がやや前突して咬合状態は前歯部で理想的な咬合からはかなり逸脱した状態です。
私は前歯部打撲以前の咬合状態を知りませんが、受傷後に歯牙の位置関係も多少変わったと患者さん本人とお父様も語っていることから、やはり受傷後に多少変異したことが想像できます。


石膏模型で患者さんの咬合状態や歯列不正の状態をご覧下さい。

study.jpg




以前から私が言及しているとおり、歯科矯正治療は、年齢にかかわらず行うことが出来ます。 

何らかの理由があって早期に治療を開始したい場合以外は矯正治療は患者さんの生活の中で無理のない時期に行えば良いと私は説明しています。
すなわち、今回の患者さんはまだ高校一年生ですから、大学受験が控える時期ですから、勉強の障害になると考える場合には、そういった時期を過ぎて大学に入った後や就職が決まって生活が落ち付いた時期に始めても良いと思います。


矯正医は生活のために来院した患者を逃さないように、受診すると治療を急いで薦める傾向があるので事前に患者さんには注意しています。
急ぐ理由がない時には、患者さんの生活や経済的状況に合わせて行うことで失敗無く矯正治療を受けられると思います。 







昨今,医療機関が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう正しい歯科知識の啓蒙のため私がオフィスで実際に行った臨床例をもとにこのブログを作成しています.コンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

私の診療姿勢に共鳴されご来院希望の方は是非ご予約下さい。
う蝕治療一本から,適切な治療をお受け下さい。
診療に関しては麴町アベニューデンタルオフィスにお問い合わせ下さい.










2016年2月 7日

私のオフィスへ遠方からもカウンセリングに来院される方が増えています。
今まで歯科医から治療根拠の説明や治療概念の説明を殆ど受けたことが無い方が多く、そういった方々が歯科診療自体に不安を持って来院されます。
巷の歯科医院では理由もわからないで治療を漠然と受け続ける患者さんが潜在的に沢山存在しているのが現実です。


今回,この記事では口腔内細菌の動態(移動や増殖)に関しての簡単な基本概念とその根拠に沿った歯周病治療に関して述べたいと思います。

以前,私のブログでは口腔内細菌の棲息形態としてバイオフィルムという概念を説明しました。
口腔内ではデンタル・プラーク(歯垢)という粘着性のペースト状のカタチで歯面に付着して多種類の細菌がエコロジカルな一種の社会を構成して棲息しています。そういった細菌が作る棲息形態をバイオフィルムと呼んでいます。
デンタル・プラークとバイオフィルムは同じモノを違った学問的用語で呼んでいるだけです。細菌学一般で通用する棲息形態をバイオフィルムという用語で呼んでいますが,これが口腔内に形成される時に特にデンタル・プラーク(歯垢)という用語を使っていると考えれば解り易いと思います。
余談ですが,キッチンシンクの排水溝に出来るヌメリも雑菌が作るバイオフィルムです.
換言すれば我々の口腔内デンタル・プラークも全く同じようなもので大変に汚いものだとお解り頂けると思います。

う蝕の図2.jpg
歯面に付着した歯垢の塊の下で細菌が出す酸によりエナメル質表面が脱灰され崩壊している状態を表現した模式図です.これがすなわちう蝕の本態です。

上の図のように,う蝕(虫歯)とは歯質表面に歯垢というカタチで細菌達が付着しエナメル質の場合にはカルシウムに富む石灰化結晶の集合体を酸で脱灰しボロボロに崩壊させてう窩(虫歯の穴)を作る事です.


口腔疾患の殆どは口腔内細菌によって生じています。
う蝕はう蝕原性菌によって起こります。
一方,歯周病は歯周病菌によって生じます。これら歯科の2大疾患の細菌は各々棲息環境も違いその細菌学的性質も異にします。

・う蝕病原菌:歯の表面に歯垢として塊で付着して歯周ポケット内よりも空気が多い通性嫌気性*の環境に住む性質があります。
*次に記す嫌気性に対しての用語です。通性嫌気性とはう蝕病原菌の好む環境で、これはすなわち歯質表面に付着した歯垢の内部環境,ある程度酸素にさらされる程度の酸素分圧の特徴を表現した用語だと考えて下さい。

・歯周病菌:歯周ポケット内の極めて空気が少ない,酸素分圧が低い(嫌気的*)環境を好んで棲息します。
  *空気の少ない嫌気的環境に住むことを好む細菌を嫌気性菌と呼びます。歯周病は嫌気性菌により生じます。
上に記した通り歯周病とう蝕ではそれを起こす細菌の性質を異にします。上のようにう蝕と歯周病では全く別な細菌によって生じることをまず知って下さい。

よってう蝕が沢山あっても歯周病には殆ど罹患していない方もいます。一方,若い頃から虫歯が一本もできなくても中年以降は歯周病には罹患する方も多いのが現実です。
これは全く異なる細菌によって生じる細菌学的原因論を知れば概ね理解出来ると思います。

更に、歯周ポケット内では酸素が極めて少ない嫌気的環境のためにう蝕病原菌は活動できません.つまり歯周ポケット内ではう蝕が生じません。これは幸いなことで、もし歯周ポケット内でう蝕が起きてしまったら,知らぬ間に歯の歯根途中に出来たう蝕で次々と歯を失ってしまうでしょう。



○う蝕は歯面に細菌を付着させなければ生じません


 う蝕(Caries)の成因は細菌が歯面(Tooth)に歯垢というカタチで付着して細菌(Bacteria)へ食餌(Diet)を供給する環境があれば成立します.あくまで歯垢が歯の表面に付着して歯の表面で起きる現象です。

Kayes circle 3.jpg


よって,う蝕が成立しないようにする現実的な方法はブラッシングで歯垢を歯の表面から除去することです。

更にブラッシングをしていても食餌(diet)の要因が強い場合(甘い物を長い時間口腔内に入れる)にはう蝕になるリスクが上がります。
ですから甘い物の摂取の仕方を注意することも重要になります。
お菓子を食べるならダラダラ食べないで、食べた後に口腔清掃を行えばう蝕は生じないことも理解できると思います。

何故か日本では甘いお菓子だけが悪者になっているようですが、摂取の仕方を理解して逆に清掃出来れば甘い物の摂取は全く問題がありません。甘党の方は甘い物と上手く付き合って下さい。



○歯周病治療は一口腔一単位:

歯周病治療では口腔内の全歯周ポケット内の歯根面に付着する歯石にスケーリング&ルートプレーニング(SRP)と呼ばれる徹底的な根面の機械的清掃を手用キュレット等を使って行います。
治療対象部位は口腔内全般です。ある特定の部位だけを歯周病治療しても意味を成しません。
これは口腔内で歯周病菌が他の部位(歯周ポケット)から唾液の環流によって移動してくるからです。

ミクロレベルの細菌にとっては口腔内は地球の如き巨大な環境です。
私は細菌の移動する特性とその概念の例え話に次のような話をよくします。

「福島で汚染物質を大気や海洋に放出すると、スイスの山奥の雪が汚染されたり、インド洋のマグロが汚染されます.」 このように口腔内の細菌も遙々唾液で他のポケットへと移動してゆくことが解っています。

通常,口腔内を6分割して6回に分けて全顎を対象にSRPを行いますが、時々全てのSRPを終えないで途中で来院しなくなる方がいます。
途中で治療を止めた場合にはSRPしていない部位が口腔内にあるので細菌が移動して治療(SRP)した部位まで無駄になってしまいます。途中で治療に来院しなくなるのなら、初めから治療を受けない方がむしろ時間や治療費を無駄にしないで済みます。

素人の患者さんには細菌の移動といった認識が無い事が多い様ですが更に少し付け加えると、元々歯肉溝には細菌は棲息していません。
成長と供に口腔内細菌の内から嫌気性菌の一部が歯肉縁上に付着した歯垢の中から入り込み歯肉溝へ移住して病的な環境を形成したものです。
歯周疾患を生じた状態を解剖学的な正常状態の歯肉溝と区別して歯周病に罹患した病的状態(病的な歯肉溝)を歯周ポケットと呼んでいます。
こういった事から、一般には歯周病治療をしている時には歯周ポケットや単にポケットという用語を使用しています。

一旦,歯周病治療のSRPを完了して歯周ポケット内の細菌が除去され細菌が存在しない良い環境になっても、また歯肉縁上に付着した歯垢から細菌が再び戻ってきます(下図参照)。

ブラッシングで除去されないで歯肉縁上に付着したままの歯垢は内部に存在する細菌が増殖し続けます。細菌の増殖によって歯垢全体のボリュームが増加して歯周ポケット内へ成長してゆきます。こうして歯周ポケット内へ増殖した歯垢の塊から嫌気性菌はポケット内へ戻ってゆきます。
このように歯垢は成長し拡がってゆく性質もあります(下図参照)。

縁上プラークの移動2.jpg
歯周ポケットの縁上歯質に付着した歯垢は清掃されないで放置されると歯垢全体は体積を増やし成長します。そして歯肉縁上からポケット内方向へも進展します。
こうして再びポケット内へ嫌気性菌が戻ってゆきます。

☆☆☆

インプラント埋入前には残存歯の歯周病治療を完了させておくことはこのような細菌の移動が細菌学的に明白なので臨床上特に重要です。

私の別のブログ記事で幾回も書いている通りインプラント周囲へ残存歯の歯周ポケットから歯周病菌が移動してくる可能性がある事実は特に日本の臨床家は無視している先生が多いことで極めて恐ろしい実態です。インプラント周囲炎が生じてインプラント周囲から排膿している症例も有りました。



○歯周病治療は定期検査(メインテナンス・ケア)とワンセット:その科学的根拠


極めて軽度の患者さんは別として殆どの歯周病治療を行う患者さんには歯周病の治療を終えても定期検査においで頂くことをルールにしています。

上に述べたように一旦細菌が除去されてきれいになったポケット内の環境も縁上の歯垢から嫌気性菌が歯周ポケットへ戻ってまた元と同様の環境へリバウンドすることが解っています。


SRP後の細菌数の変化.jpg


 歯肉縁上を清掃していない場合のポケット内の細菌数のリバウンドは2〜3ヶ月でSRPする前の状態に戻ってしまうことが解っています.
このような科学的根拠から3ヶ月に1回のメインテナンス・ケアのため来院して頂く事が重要となります。

 3ヶ月に一度の定期検査で細菌のリバウンドの有無を確認しもし一部にリバウンドの可能性すなわち,プロ-ビング時の出血やポケットの深化があれば再度その部分をスケーリングや洗浄して細菌叢を改善することが可能です。
歯周ポケット内は通常,3ヶ月では元のような硬い歯石形成はないので,修整には最初に行った時のような手間のかかるSRPは行う必要はありません。多くは歯石化していないバイオフィルムの状態ですから超音波やエアスケーラーなどの振動性イリゲーションディバイスでポケット内環境を改善できます。

こうしてポケット内環境の局所的改善をするのが定期検査の大切なポイントです。




昨今,医療機関が業者に依頼して作成した高額治療に誘導するためのブログ記事やwebサイトが多いのが現状です。
患者さんがそのようないかがわしい思惑の歪な情報に混乱しないよう正しい歯科知識の啓蒙のため私がオフィスで実際に行った臨床例をもとに作成しています.コンテンツ全ては私が作成した私自身の臨床姿勢を反映したものです。

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